戦国ニート~さくは弥三郎の天下一統の志を信じるか~

軽部雄二

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第27章

襲われたはる

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 夜の街並みの中を一人の若い女が足早に歩いている。ひと月に六人も辻斬りの被害に遭っている町は死んでいる様だ。皆、家の中で息を潜めて夜が明けるのを待っている。例えこの女が襲われて助けを呼んでも、出て来るものは一人もいないであろう。女が手にしている明かりの提灯が顔を照らした。女ははるであった。不用心にも一人で町中を出歩いている様だ。ブツブツと独り言を言っている。
「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。どうか、辻斬りが出ませんように・・・・。」
 速足で歩くはるが、四つ辻に差し掛かった時である。不意に人影が立ちはだかる。あまりの恐怖にはるは息を飲み込んだ。
「ど、どちら様で・・・・・。」
 なんとか声を振り絞ったが、返事は無い。恐る恐る人影に提灯を向けると・・・・・。
「おやおや、これはまた、上玉のおなごだな。」
 提灯が照らした姿。それは年の頃、30ぐらいで、抜き身の刀を手にしてる人相の悪い男であった。はるはその姿を見て、一目で分った。
「きゃ~~っ。辻斬り~~。」
 轟く悲鳴に夜の闇が震えた。だが、夜は死んだままである。はるは提灯を放り出して、今来た道を駆けだした。男はそれを追いかけながら、刀の先ではるの尻をツンツンと突いた。刺してはいない。猫が鼠を弄ぶ様な、趣味の悪い嬲りである。
「姫様~~~。」
「はっはっはっ。誰も助けにはこない。皆、自分の身が一番だ。家の中で聞き耳を立てて、おなごが嬲られている声を聞いて矛を扱いておるのだ。」
 男は勝ち誇った様に言うと、後ろからはるを押し倒した。
「姫様。姫様~~。」
「いいぞ、いいぞ。俺は泣き叫ぶおなごを犯すのが好きなのだ。もっと叫べ。誰も助けには来ない。」
 男は刀を地面に突き刺すと、はるの小袖を引っぺがしに掛かった。
「きゃ~~~~。姫様~~。」
「喚け、喚け。はっはっはっ・・・・・。」
 男の高笑いが途中で止まった。背後から冷たい刃先が首筋に突き付けられたのが分かったからである。
「姫様~~~。遅お御座います~~~。」
「だ、誰だ。」
 はるが歓喜の声を上げる中、男が振り返るとそこに居たのは、薙刀の切っ先を賊の首元に突き付けるさくであった。その後ろに弥三郎もいる。
「はる。よくやってくれました。もう大丈夫ですよ。」
 左京・左月も闇から現れ、男を包囲した。
「観念しろ。お前が卑怯者の辻斬りだな。」
 左月が男を詰問するが、男は動じる様子が無い。
「俺は辻斬りではない。ちょっとこの女を揶揄っただけだ。」
「ほう。揶揄っただけですか。それでは何故、刀を抜いているのです。」
 さくは男が地面に刺した刀を首を振って示した。
「そ、それは・・・・。」
「一部始終を我らは見ていたのです。言い逃れするでない。」
 さくの追及に男は言葉が出ない。これは男が辻斬りと認めた証拠といえた。
「決まりですね。こやつが辻斬りです。斬り捨てましょう。」
 左京が吐き捨てた。
「待ちなさい。未だ聞く事があります。そなたは何処の家の者ですか。」
「言えない。言えば主に迷惑が掛かる。」
「言うのです。言わねば、頸撥ねる。」
 さくは薙刀の切っ先に力を込めた。後ろ向きの男の首先に赤い血の川が流れる。男は背後に居る女に本気で首を斬られるのではないかと恐怖に駆られた。
「分かった。言う。言うから命だけは助けてくれ。」
 男はさくに背を向けたまま、命乞いをした。
「では、言いなさい。言えば命は助けましょう。」
「・・・・・宮脇家の者だ。」
 それを聞いた左京・左月は驚いた表情を見せたが、さくの表情はびくとも崩れない。
「ほう。宮脇家と言うと宮脇国安か?」
「そうだ。」
「名は?」
「矢吹家、次男、勝行だ。」
「ほう。成程。それではこちらを向くがよい。」
 男は言われるがまま、ゆっくりとさくの方に向き直った。
「勝行。随分と醜悪な面構えになりましたね。」
「????。」
「私が分からないのですか?」
「????。」
「宮脇家の娘、「さく」じゃ。」
「えっ!」
「勝行の事は良く知っております。そなたは似ても似つかぬ別人じゃ。大体、宮脇の家が大殿の城下で辻斬りなど命じる訳がなかろうが。」
「・・・・・・。」
「出鱈目を言ってこの場を逃れるつもりだったのでしょうが、罪を着せるつもりの者を、私が見知っていたのが運の尽きですね。」
「・・・・・・。」
「そなたは一体、何者なのじゃ。」
「・・・・・・。」
 男は無言で不敵な笑みを浮かべた。答えるつもりはないらしい。大殿に辻斬り成敗を弥三郎の手柄として報告する際に、正体が何者だったのか知っておく必要があったのだが、男は出鱈目を述べた。さくもしゃべれば命は助ける等と言ったが、助けるつもりは無い。あくまで弥三郎に人を斬らせる為の生贄なのだ。男とさくの駆け引きが火花を散らす。
「喋らぬと言うのであれば、首を撥ねるまでです。」
「・・・・・・・ぺっ。」
 男は笑みを崩さず、さくの顔に唾を吐きつけた。唾がさくの顔を垂れる。
「成程、それが答えですか。」
 さくは唾を拭おうともしない。それを見た左京・左月の兄弟が激高する。
「こ奴め。姫様、切り捨てましょう。」
 さくは無表情で二人に言った。
「斬り捨てる前に、手籠めにされて殺された六人の仇を取らねばなりません。」
「????。」
「この男を動けぬように抑え込みなさい。」
 左京と左月は訳が分からぬままに、二人掛かりで男を羽交い絞めに抑え込んだ。
「うぬっ!なにをするか!」
 さくは薙刀を地面に放り投げると、つかつかと男の足元にしゃがみ込み、男の小袖に手を掛けた。無造作に引っぺがすと、瞬く間に男は全裸になった。
「な、何をする。」
 さくは露わになった男の矛を手で扱き始めた。弥三郎との秘密の営みで、男の敏感な所を知り尽くした手技に寄り、矛は瞬く間に天を衝いた。後ろで見ていた弥三郎は湧き上がる嫉妬心を抑えられない。
「さく、な、何をやっているのだ。私と云うものがありながら。」
「姫様、な、何故、その様な事を。」
 弥三郎や左京の声を他所に、さくは冷たく言った。
「黙って見ていなさい。」
 さくの雰囲気は余人が立ち入る事を許さない、冷徹なものであった。三人は思わず沈黙したが、殺されると思っていたのが、思いもかけず悦ばされる事になった賊の男は愉快そうに言った。
「おいおい。宮脇の娘は痴女か。まさか賊の男に欲情しちまうとはな。いいぜ。可愛がってやるよ。」
 さくは侮蔑的な男の言葉を全く無視して、男の矛を扱き続けた。
「おい。逝っちまうよ。解放してくれ。解放してくれたら、姫様の火処にぶち込んでやるからよ。」
 尚も口の減らない男が、ふと、後ろを振り返ると、顔を引き攣らせたはると目が合った。
「姫様。お待ちください。まさか本気ではありませんよね。」
 さくを諌めるはるにも、男は侮蔑的な言葉を吐きつける。
「本気だよ。この姫様は淫乱で、皆の前にも関わらず俺の矛を扱いちまう痴女なのさ。ははは!」
 男ははるが皆の前で欲情したさくを諌めているのだとばかり思っていたのだが、それは全くの勘違いだと次の瞬間分かった。
「本当にその男の矛を切り落とすおつもりなのですか!」
 その場にいた四人の男達はギョッとした顔ではるを、次いでさくを見た。目を剥いた男の顔を、さくは矛を扱きながらニヤリと仰ぎ見る。男達は皆、さくが本気なのを見て取った。男の矛が隆々と突き立ったのを頃合い良しと、さくは懐から脇差を抜刀する。
「ま、待て。お主、本気か?」
「六人も女を手籠めにして殺めたのです。思い残す事はないでしょう。」
 さくは矛に脇差を当てがった。
「わ、分かった。儂だって犯りたくて犯ったんじゃないんだ。命令だった。堪忍してくれよ。」
「それならば、誰に命じられたのか言うのです。」
「・・・・・・・。」
「そうですか。」
 さくが刃に力を込めると、男は必死に喚き散らした。
「そんな事をしたら、ただでは済まないぞ。儂を誰だと思ってるんだ。」
 さくはその言葉に動きを止める。
「そなたは何者か?名を名乗るがよい。」
「儂は弥三郎じゃ。お前の主家の、次期当主じゃぞ。」
 これには皆、唖然とする。この男は今度は弥三郎の前で、弥三郎のフリを仕出したのである。
「ほう。そなたは弥三郎様なのか。そんな顔をしているとは知らなんだ。」
「さ、さもあらん。儂はいつも引き籠っておるからな。」
 男は目の前にいる男の一人が、弥三郎だと分からない様だ。さくはその事に違和感を覚えた。以前ならまだしも、最近は弥三郎もよく外にも出るようになり、挨拶もする様になった。家中の者なら顔が分かりそうなものなのに・・・・。
「して、弥三郎様が何故、辻斬りなどする様になったのです。大殿はご存じなのですか?」
 さくは騙されたふりを演じて話を合わせた。男は偉丈夫に構えて言う。
「なに、私は変人でいつも部屋に籠っている。誰からも相手にされぬので、ムラムラした時に女を襲って、口封じに殺していたのだ。」
「・・・・・・。」
 さくは男の話を聞いて考え込んだ。弥三郎は変わった。以前の弥三郎から考えられぬ程に。これもさくのお陰だ。だがもしかしたら、さくと出会わなければ本当に辻斬りしていたかもしれないと思ったからである。
「分かったか。宮脇の娘ごときが差し出がましいわ。早う離せ。」
 さくは弥三郎を信じていた。例えさくと出会わなかったとしても、このような暴挙を弥三郎がする筈がないと。
「・・・・・・。」
「早うしろ。」
「・・・・・嘘つきめ。」
 ぼそりと呟くが早いか、さくは脇差の刃に力を込め、一気に呪われた肉棒に滑らした。
「うぎゃっーーーーーー。」
 男は矛を切り取られて絶叫した。切り取られた陰部からは、血の小便をしてるかの様に鮮血が飛び散った。
「うぎゃっーーぎゃーーー。」
 凄まじい絶叫が夜中の町に響き渡ったが、家々は静まり返っている。皆、息を呑んで関わらない様にしているのだ。地獄の亡者を起こすような悲鳴に、はるは思わず耳を覆った。左京・左月も男を押さえ付けながら、さくの思わぬ仕儀に顔を強張らせる。まさか本当に矛を切り取るとは思ってもみなかった。辻斬りを捕まえて無力化してから、弥三郎に止めを刺させるだけだと思っていたのに、なんと惨たらしい事をするのか。左京は思い出していた。宮脇家の現当主・国安が、さくがおのこだったならば、跡目を継がせたかったと、常々言っていた事を。おのこが怯むような凄惨な行動を果断に実行できるさくに、その場にいた皆は背筋が寒くなった。
「ぐうぉお~~、ぐぐぐ。」
 矛を切断された男は、とんでもない量の血を滴らせながら呻いている。額に脂汗を光らせながら、痛みに必死に耐えていた。
「もう良いですよ。放しなさい。」
 左京と左月は呻く男を解放した。蹲る男。さくは弥三郎に呼び掛ける。
「弥三郎様。この男に止めを。」
 男は痛みで身動きできない。抵抗などとても出来ない状態にして、首を弥三郎に落とさせる算段だった。ところが弥三郎は顔を強張らせ、自らの股間を抑えたまま、身じろぎも出来ない有様である。
「弥三郎様。大丈夫ですか?」
 さくは弥三郎の状態を確かめる。弥三郎は立ち尽くしたまま、男の垂れ流す血を見て、顔色を失っていた。人がこれ程の血を流すのを恐らく初めて見た故か。ましてや自らの想い人が、おのこの矛を切り落とす所を、目の前で見た事に強い衝撃を受けたらしい。これしきの事で顔色を失うとは情けなき事よと、さくは胸の中で毒づいた。が、その事はおくびにも出さずに努めて明るく言った。
「さあ、弥三郎様。この者の首を撥ねられませ。」
「・・・・・。さくよ。お前は何て残酷な事をするのだ。」
 弥三郎は声を喉の奥から絞り出す。
「いくらなんでも、あんまりではないのか。おのこの矛を切り取るなどと・・・・・。」
「別に普通の事に御座います。」
 さくはあっけらかんと言った。
「領民が六人も犯されて斬られているのです。これぐらいして当然ではありませんか。」
「・・・・・・。」
「これも乱世の習い。奪った者は奪われる定めに御座います。」
「・・・・・・その様な事を言うなら、さくもいずれこの男の縁者に報復されるぞ。」
「負ければそうなるでしょうね。ですから、勝ち続ければ宜しいのです。」
「・・・・・・。」
「大殿の跡目を継がれる方が、その様な事を逐一、考えて如何致します。奪わなければ奪われるのです。この男の首を撥ね、次期当主として勝ち続ける誓いを立てられませ。」
「・・・・・・。」
 弥三郎は蹲る男の元に駆け寄ると、背中を擦ってやる。
「大丈夫じゃ。今、医者を呼んでやる。」
 六人もおなごを凌辱して殺した辻斬りを医者に見せると言う弥三郎。さくは呆れた。暫し、どうしたものかと思案する。
「・・・・まさか、・・・お前は・・・・この国の跡目の・・・・弥三郎なのか・・・?」
 男は息も絶え絶えに弥三郎に問うた。
「そうだ。それがな・・・・。」
 男は脇差を抜いて、弥三郎に斬り付けた。だが、それよりも素早い反応で、さくは弥三郎の襟首を掴み、引き剥がす。
「うわっ!」
 刃は悲鳴を上げる弥三郎の首を掠めた。さくは咄嗟に男を蹴り付ける。もんどりうって倒れる男を目で制しながら、距離を取った。
「それ言わぬ事ではない。情けを懸けたが故に、殺される所ですよ。」
 こうなっては仕方がない。弥三郎に止めを刺させる事に拘っている場合ではなくなった。一刻も早く止めを刺す事が先決である。さくは左京に命じた。
「仕方ない。左京、斬り捨てよ。」
「はっ。」
 左京は刀を抜き、進み出ると、刀を振りかぶった。だが、その刀が振り下ろされる事は無かった。左京が呻き声を上げながらバタリと前のめりに倒れたのだ。
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