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第9章
大殿への直言
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さくは立膝を立てて跪きながら、弥三郎の書状を読む大殿の顔色を窺った。大殿はうんとかうむとか言いながら一心不乱に読み耽っていた。その様子から大殿の驚きと興奮が伝わってくる。何度も何度も書状を読み返し、やっと大殿は顔を上げた。
「こ、こ、これは弥三郎が考えた事か?さくが考えたこときゃ?」
あまりの驚きで大殿は話の語尾が妙な響きである。
「書かれてある事全て、弥三郎様が部屋に籠って一人、考えていた事に御座います。」
「誠か!弥三郎がこの様な事を・・・・、考えていたとは・・・・・。」
大殿は考え深げな表情を見せた。
「それで、どう思われますか?弥三郎様のお考えを。」
さくは大殿の表情を窺う。
「どうも何も・・・・。素晴らしい考えではないか。直ぐにでもこの策を取り入れるべきじゃ。そうかそうか・・・・弥三郎がのう。廃嫡するかどうかはもう少し様子見じゃ。」
それを聞いたさくはギクリとした。大殿は弥三郎の廃嫡も考えていたのか・・・・。弥三郎の教育係としては由々しき事態であった。なんとかしなくては・・・・・。
「よもやよもや廃嫡などと。大殿はその様な事を考えていらしたのですか。その書状を見て頂ければ分かると思いますが、弥三郎様が英明な器量人で御座いますことは明らか。大殿の後を継ぐのは、弥三郎様を於いて他に居ません!」
さくは力強く断言した。本音を言えばいささか、いや、かなり不安な所があるが、自分の立場として、ここは力強く言っておくべきだろう。
「そなたの目からはその様に見えるのか?それは本心か?」
「はい。本心に御座います。」
さくは大殿の目を真っすぐに見つめて言った。心の揺らぎを悟られない様に。
「う~~~~ん。そうか、そなた程の者がそこまで言うのなら、見どころはあるのじゃろうな。」
大殿は腕を組んで考え込む。
「・・・・・。弥三郎様はただ引き籠ってる訳ではありません。部屋の中で書を読み、国の事に思案を巡らせています。さくは部屋一面、本だらけの部屋に驚きました。まるで医者の様です。」
「しかし、引き籠って本ばかり読んでいてもな。知恵があるのは分かったが・・・・・。」
「・・・・・・・。」
さくは大殿の話を黙って聞いていた。
「それ以外の資質はないであろう。人と話が出来ねば、臣下と心を通わす事は出来ない。体が弱くては刀を振れない。奇矯な振る舞いが多ければ他国に侮られ、臣下が離反する・・・・・。違うか?」
大殿の問いにさくは考え込んだ。大殿の言ってることは正しい。というか、さくの懸念もそこにある。弥三郎に知恵があるのは確かである。さくが驚くほどに。だが、他はからきしである。弥三郎には知恵があっても実行力が無い。彼奴の言ってることは机上の空論なのだ。それは良く分かってはいた。しかし、さくは引き下がれない。父の国安はさくを弥三郎の教育係として送り込むことで、次の国主との縁を太くしようとしているのだ。幸いな事に弥三郎はさくに好意を持っている。宮脇の家で弥三郎を盛り立てて行けば良いのではないか。弥三郎は宮脇の家を頼みにし、宮脇の家の発言力が高まるのでは。そう考えれば後継者は弥三郎が良いだろう。もし、弥三郎が補佐できない体たらくな男だったなら、下剋上を起こすなり、他国に降るなりすれば良い。最初から弥三郎を排除するよりも、まずは支えた方が無難だ。その方が選択肢は広がる。さくは冷徹にその様に考えた。さくは大殿に向き直った。
「恐れながら申し上げます。志那国ではこの様な言葉があります。「人を用いる要諦は、木材を用いるを習うべき」と。即ち、良い所を上手く使い、悪い所は削り捨てれば良いのです。」
「・・・・・・・。」
大殿は無言である。さくは尚も続ける。
「弥三郎様は類まれな知恵者で御座います。この部分を上手く使えば宜しいかと。悪い所は確かに多う御座いますが、それを補うために家臣が居るのでは。大殿は、臣下並びに宮脇の家は頼みにならぬと考えておいでなのでしょうか?」
「い、いや。そんな事はない。」
「それならば、跡目は弥三郎様に継がせるべきです。木材に悪い所が有るからと、良い所まで全て捨て去ってしまうのは愚の骨頂。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
暫しの間、沈黙が流れる。さくが弥三郎を廃嫡するのは愚の骨頂とまで言い切ったので、大殿は考え込んでいる様子であった。
「・・・・・さくよ。」
「はい。」
「それはそなただけの考えか?国安の、宮脇の家の総意であるか?」
さくは躊躇した。父の国安がどこまで弥三郎を支えるつもりか腹三寸は分からない。さくが弥三郎の甲斐性の無さを話して聞かせると、直ぐに他国への内通を考えた程だ。だが、成り行き上、ここで逡巡する訳にはいかないのだ。さくは間髪入れず答えた。
「総意で御座います。父の国安共々、宮脇家は弥三郎様を支持致します。」
「・・・・・・・。そうか。臣下の中にも弥三郎を支持してくれる者が居たか・・・・・・。宮脇家の忠節、有難く思うぞ。」
大殿は考え深げに言った。
「恐れ入り奉ります。」
さくは頭を下げた。そして思った。大殿は本心では弥三郎に跡目を継がせたがっているな・・・・・。
「さくよ。」
「はい。」
「暫くの間、そなたに弥三郎を任せてみる。」
「畏まりました。」
「先ずは、会話じゃ。」
「会話?」
「儂と弥三郎の間には会話らしい会話が無い。何を話し掛けても「普通です」としか言わんでな。会話がそこで切られてしまうのじゃ。それを何とかして欲しい。」
「会話が無いと・・・・・・。それは奇妙な事で御座います。
「何がじゃ?」
「さくやはるには饒舌に国の取るべき方策についてお話になりますのに。本来、おしゃべりな方に見受けられました。」
「ふ~~む。おしゃべりのう。」
「私たちに素晴らしい話をされましたので、大殿に話すように促しました所、弥三郎様は「引き籠りが自分の事もままならぬのに、国の事を語っておると思われる」と、仰りました。」
「馬鹿な。そんな風には思わぬ。」
「策を貶されるのではないかと懸念しておいででした。」
「何故だ。素晴らしい策ではないか。」
大殿は半ば憤りを露わにした。そこでさくはゆっくりと語りかけた。
「大殿。弥三郎様は繊細なお方。周りが自分の事を良く思ってないのを感じ取り、殻を閉ざしておいでなのです。」
「皆が弥三郎を良く言わないのは知っている。しかし、儂はその様には思っておらぬ。何故、儂にも心を閉ざすのだ。」
「・・・・・・・。それは大殿も弥三郎様の事を周りに恥じているからです。」
それを聞いた大殿は怒りを露わにして、怒声を放った。
「何を言うか!弥三郎は儂の大事な嫡男ぞ。誰が何と言おうと自慢の息子じゃ。」
「・・・・・。それは本心から仰っておいでですか。」
「無論じゃ。」
「ならば何故、弥三郎様の廃嫡を考えておいでなのです。自慢の息子だと言うのなら、誰が何と言おうとも、弥三郎様を信じて跡目に立てれば良いではありませんか。」
「・・・・・・。それは・・・・。」
「本心では大殿も弥三郎様の事を軽んじておいでなのです。だから廃嫡を考えられた。周りであれこれ言う者たちは所詮他人です。しかし、父である大殿が同じような態度を取られたら、弥三郎様は倍、傷つきます。それが心を開かない理由です。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
外には夕闇が迫りつつあった。家中の者が火を灯しに来る。二人は無言でそれを目で追った。暫し、沈黙が支配する。
「・・・・・・。
しかし、儂は弥三郎に批判めいた事を言った事はないぞ。」
家中の者が去り、再度、二人になるのを待って、大殿は口を開いた。
「確かに直接ものを言った事はないかもしれません。しかし、人と云うものは自分に批判的な者は直感的に感じ取るのです。目線・仕草・態度・言葉の裏を読むのです。」
「・・・・・・・。」
「大殿は家中の者に迎合し、弥三郎様を批判的に見た事は一度もありませんか?」
「・・・・・・・。」
「弥三郎様を嫡男に持った事を悔いた事があるのではありませんか?」
「・・・・・・・。」
大殿は眉間を摘まみながら目を閉じた。さくはそれを黙って見ていた。どれ程の時間が経っただろうか。大殿はゆっくりと口を開いた。
「そなたの言う通りだ。・・・・・言われてみれば思い当たる節もある。儂は自分でも自覚がないままに弥三郎を傷付けておったやも知れぬ・・・・・・・。」
大殿の表情には悔恨の表情が見て取れた。
「大殿は憶えがあるので御座いますね。」
「うむ。」
「・・・・・・・。話し合うべきです。今ならまだ、関係を修復できます。」
「・・・・・。具体的にどうすれば良い?」
「そうですね。・・・・・・弥三郎様はお食事はあの部屋で?」
「そうじゃ。あの部屋で一人で食べておる様じゃ。」
「それならば、食事は皆で摂る様にされてはどうでしょうか?」
「食事を皆で・・・・・。」
「さくには弥三郎様は、ご家族の中で孤立されてる様に見受けられます。まずは定期的に顔を合わせる様にしてみては。」
まずは弥三郎をあの部屋から連れ出して、孤立させない様にしなければならない。さくは食事を皆で摂る様に仕向ける事が、引き籠り脱却の第一歩だと考えたのだ。大殿は膝を叩いて賛成した。
「それは良い!それは良い考えだが・・・・。弥三郎が応じるだろうか?」
「それはお任せください。」
さくははっきりと答えた。大殿はにんまりと白い歯を見せた。
「そうか。頼もしいぞ。」
「それでは、明日のあさげ(朝食)から。」
「こ、こ、これは弥三郎が考えた事か?さくが考えたこときゃ?」
あまりの驚きで大殿は話の語尾が妙な響きである。
「書かれてある事全て、弥三郎様が部屋に籠って一人、考えていた事に御座います。」
「誠か!弥三郎がこの様な事を・・・・、考えていたとは・・・・・。」
大殿は考え深げな表情を見せた。
「それで、どう思われますか?弥三郎様のお考えを。」
さくは大殿の表情を窺う。
「どうも何も・・・・。素晴らしい考えではないか。直ぐにでもこの策を取り入れるべきじゃ。そうかそうか・・・・弥三郎がのう。廃嫡するかどうかはもう少し様子見じゃ。」
それを聞いたさくはギクリとした。大殿は弥三郎の廃嫡も考えていたのか・・・・。弥三郎の教育係としては由々しき事態であった。なんとかしなくては・・・・・。
「よもやよもや廃嫡などと。大殿はその様な事を考えていらしたのですか。その書状を見て頂ければ分かると思いますが、弥三郎様が英明な器量人で御座いますことは明らか。大殿の後を継ぐのは、弥三郎様を於いて他に居ません!」
さくは力強く断言した。本音を言えばいささか、いや、かなり不安な所があるが、自分の立場として、ここは力強く言っておくべきだろう。
「そなたの目からはその様に見えるのか?それは本心か?」
「はい。本心に御座います。」
さくは大殿の目を真っすぐに見つめて言った。心の揺らぎを悟られない様に。
「う~~~~ん。そうか、そなた程の者がそこまで言うのなら、見どころはあるのじゃろうな。」
大殿は腕を組んで考え込む。
「・・・・・。弥三郎様はただ引き籠ってる訳ではありません。部屋の中で書を読み、国の事に思案を巡らせています。さくは部屋一面、本だらけの部屋に驚きました。まるで医者の様です。」
「しかし、引き籠って本ばかり読んでいてもな。知恵があるのは分かったが・・・・・。」
「・・・・・・・。」
さくは大殿の話を黙って聞いていた。
「それ以外の資質はないであろう。人と話が出来ねば、臣下と心を通わす事は出来ない。体が弱くては刀を振れない。奇矯な振る舞いが多ければ他国に侮られ、臣下が離反する・・・・・。違うか?」
大殿の問いにさくは考え込んだ。大殿の言ってることは正しい。というか、さくの懸念もそこにある。弥三郎に知恵があるのは確かである。さくが驚くほどに。だが、他はからきしである。弥三郎には知恵があっても実行力が無い。彼奴の言ってることは机上の空論なのだ。それは良く分かってはいた。しかし、さくは引き下がれない。父の国安はさくを弥三郎の教育係として送り込むことで、次の国主との縁を太くしようとしているのだ。幸いな事に弥三郎はさくに好意を持っている。宮脇の家で弥三郎を盛り立てて行けば良いのではないか。弥三郎は宮脇の家を頼みにし、宮脇の家の発言力が高まるのでは。そう考えれば後継者は弥三郎が良いだろう。もし、弥三郎が補佐できない体たらくな男だったなら、下剋上を起こすなり、他国に降るなりすれば良い。最初から弥三郎を排除するよりも、まずは支えた方が無難だ。その方が選択肢は広がる。さくは冷徹にその様に考えた。さくは大殿に向き直った。
「恐れながら申し上げます。志那国ではこの様な言葉があります。「人を用いる要諦は、木材を用いるを習うべき」と。即ち、良い所を上手く使い、悪い所は削り捨てれば良いのです。」
「・・・・・・・。」
大殿は無言である。さくは尚も続ける。
「弥三郎様は類まれな知恵者で御座います。この部分を上手く使えば宜しいかと。悪い所は確かに多う御座いますが、それを補うために家臣が居るのでは。大殿は、臣下並びに宮脇の家は頼みにならぬと考えておいでなのでしょうか?」
「い、いや。そんな事はない。」
「それならば、跡目は弥三郎様に継がせるべきです。木材に悪い所が有るからと、良い所まで全て捨て去ってしまうのは愚の骨頂。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
暫しの間、沈黙が流れる。さくが弥三郎を廃嫡するのは愚の骨頂とまで言い切ったので、大殿は考え込んでいる様子であった。
「・・・・・さくよ。」
「はい。」
「それはそなただけの考えか?国安の、宮脇の家の総意であるか?」
さくは躊躇した。父の国安がどこまで弥三郎を支えるつもりか腹三寸は分からない。さくが弥三郎の甲斐性の無さを話して聞かせると、直ぐに他国への内通を考えた程だ。だが、成り行き上、ここで逡巡する訳にはいかないのだ。さくは間髪入れず答えた。
「総意で御座います。父の国安共々、宮脇家は弥三郎様を支持致します。」
「・・・・・・・。そうか。臣下の中にも弥三郎を支持してくれる者が居たか・・・・・・。宮脇家の忠節、有難く思うぞ。」
大殿は考え深げに言った。
「恐れ入り奉ります。」
さくは頭を下げた。そして思った。大殿は本心では弥三郎に跡目を継がせたがっているな・・・・・。
「さくよ。」
「はい。」
「暫くの間、そなたに弥三郎を任せてみる。」
「畏まりました。」
「先ずは、会話じゃ。」
「会話?」
「儂と弥三郎の間には会話らしい会話が無い。何を話し掛けても「普通です」としか言わんでな。会話がそこで切られてしまうのじゃ。それを何とかして欲しい。」
「会話が無いと・・・・・・。それは奇妙な事で御座います。
「何がじゃ?」
「さくやはるには饒舌に国の取るべき方策についてお話になりますのに。本来、おしゃべりな方に見受けられました。」
「ふ~~む。おしゃべりのう。」
「私たちに素晴らしい話をされましたので、大殿に話すように促しました所、弥三郎様は「引き籠りが自分の事もままならぬのに、国の事を語っておると思われる」と、仰りました。」
「馬鹿な。そんな風には思わぬ。」
「策を貶されるのではないかと懸念しておいででした。」
「何故だ。素晴らしい策ではないか。」
大殿は半ば憤りを露わにした。そこでさくはゆっくりと語りかけた。
「大殿。弥三郎様は繊細なお方。周りが自分の事を良く思ってないのを感じ取り、殻を閉ざしておいでなのです。」
「皆が弥三郎を良く言わないのは知っている。しかし、儂はその様には思っておらぬ。何故、儂にも心を閉ざすのだ。」
「・・・・・・・。それは大殿も弥三郎様の事を周りに恥じているからです。」
それを聞いた大殿は怒りを露わにして、怒声を放った。
「何を言うか!弥三郎は儂の大事な嫡男ぞ。誰が何と言おうと自慢の息子じゃ。」
「・・・・・。それは本心から仰っておいでですか。」
「無論じゃ。」
「ならば何故、弥三郎様の廃嫡を考えておいでなのです。自慢の息子だと言うのなら、誰が何と言おうとも、弥三郎様を信じて跡目に立てれば良いではありませんか。」
「・・・・・・。それは・・・・。」
「本心では大殿も弥三郎様の事を軽んじておいでなのです。だから廃嫡を考えられた。周りであれこれ言う者たちは所詮他人です。しかし、父である大殿が同じような態度を取られたら、弥三郎様は倍、傷つきます。それが心を開かない理由です。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
外には夕闇が迫りつつあった。家中の者が火を灯しに来る。二人は無言でそれを目で追った。暫し、沈黙が支配する。
「・・・・・・。
しかし、儂は弥三郎に批判めいた事を言った事はないぞ。」
家中の者が去り、再度、二人になるのを待って、大殿は口を開いた。
「確かに直接ものを言った事はないかもしれません。しかし、人と云うものは自分に批判的な者は直感的に感じ取るのです。目線・仕草・態度・言葉の裏を読むのです。」
「・・・・・・・。」
「大殿は家中の者に迎合し、弥三郎様を批判的に見た事は一度もありませんか?」
「・・・・・・・。」
「弥三郎様を嫡男に持った事を悔いた事があるのではありませんか?」
「・・・・・・・。」
大殿は眉間を摘まみながら目を閉じた。さくはそれを黙って見ていた。どれ程の時間が経っただろうか。大殿はゆっくりと口を開いた。
「そなたの言う通りだ。・・・・・言われてみれば思い当たる節もある。儂は自分でも自覚がないままに弥三郎を傷付けておったやも知れぬ・・・・・・・。」
大殿の表情には悔恨の表情が見て取れた。
「大殿は憶えがあるので御座いますね。」
「うむ。」
「・・・・・・・。話し合うべきです。今ならまだ、関係を修復できます。」
「・・・・・。具体的にどうすれば良い?」
「そうですね。・・・・・・弥三郎様はお食事はあの部屋で?」
「そうじゃ。あの部屋で一人で食べておる様じゃ。」
「それならば、食事は皆で摂る様にされてはどうでしょうか?」
「食事を皆で・・・・・。」
「さくには弥三郎様は、ご家族の中で孤立されてる様に見受けられます。まずは定期的に顔を合わせる様にしてみては。」
まずは弥三郎をあの部屋から連れ出して、孤立させない様にしなければならない。さくは食事を皆で摂る様に仕向ける事が、引き籠り脱却の第一歩だと考えたのだ。大殿は膝を叩いて賛成した。
「それは良い!それは良い考えだが・・・・。弥三郎が応じるだろうか?」
「それはお任せください。」
さくははっきりと答えた。大殿はにんまりと白い歯を見せた。
「そうか。頼もしいぞ。」
「それでは、明日のあさげ(朝食)から。」
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