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第19章
次に戦うのは夏の本選で
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グラウンドに整列するミカエルと習志野の選手たち。鼻高々のミカエルナインに対し、習志野の面々は苦渋に満ちたものであった。
「イエーイ。勝った勝った。三流高校が習志野に勝っちゃた。しかも10対0でボロ勝ち。リトルリーグと試合した方がいいのはそっちじゃないの。」
勝ち誇った愛菜はいけ好かない習志野マネージャー・林を扱き下ろした。
「・・・・・・・。」
林は言葉なく俯く。
「コラ、愛菜ちゃん。試合をしてくれた習志野の方たちに失礼でしょ。何てこと言うの。」
咲良は愛菜を立場上、窘めはしたが、内心は快哉を叫んでいた。今日の夜は俯いている林の顔を思い出して、軽く4杯は飯が食えるだろう。
「・・・・・・。ボロ勝ちって言っても、2軍から9点取って、1軍からは1点しか取れなかったじゃないか。実質的には1対0だろうが。9イニングやったら間違いなく逆転していた。」
「初めに6回戦って決めたのはそっちでしょ。だからこっちも6回戦の戦い方をしたの。9回やるんだったら、それに合わせた戦い方も出来まーす。負け惜しみ言うんだったら、初めから1軍出せよバーカ!」
舌を出してあっかんベーをする愛菜に林は掴みかかる。
「この野郎、そこまで言うなら、あと3イニング延長だ。」
「イヤでーす。今日はもうやらない~~~。」
「こいつ~~~。」
林は愛菜のブレザーの胸倉を掴む。それを制したのは習志野のキャプテン久里だ。
「止めろ、林。見苦しいぞ。」
「でも・・・・・。」
「確かに彼女の言う通りだ。6回戦を提案したのはこちらだし。最初から1軍を出さない判断をしたのもこっち。何を言われても反論できない。こちらの完全な負けだ。」
久里は失意の林を尻目に、咲良に向き直った。
「今回はこちらの完敗です。最初から1軍を出して、9イニング試合をするべきだった。そちらを舐めすぎていました。野球部部長として非礼をお詫びします。」
久里はペコリと頭を下げた。
「いえいえ、そんな・・・・・。」
久里に頭を下げられて恐縮する咲良。
「再度、日を改めて、練習試合を組んで頂けないでしょうか。今度はこちらがそちらの高校に出向かせて貰います。」
「本当ですか!」
願っても無い申し出である。咲良は手塚の方を見た。予想に反して手塚は渋い表情である。喜んでいる様には見えない。何故だろうか?咲良の困惑した表情を見て、久里は目線を手塚に転じた。
「どうも。部長の手塚です。」
「・・・・・。林から聞きました。あなたが大阪藤蔭出身だとか。」
「・・・・・・。」
手塚は何も答えなかった。
「良いチームですね。さすが藤蔭の方が纏め上げただけの事はある。」
「まあ、これからです。」
「今度は是非、うちの方からそちらへ出向かせて下さい。」
「再戦は今年の夏の予選大会にしましょう。」
「えっ?」
面食らった表情の久里に、手塚は穏やかに言った。
「今度は甲子園行きの切符を賭けて戦いましょう。その時までお互い奥の手は取っておくという事で。」
手塚の言葉を聞いて、ミカエルも習志野の面々も顔を見合わせた。
「・・・・・自信があるのですね。」
「ええ、あります。」
手塚はハッキリと答えた。
「あんたねえ、今日は交通事故の様なもんだよ。地力が違うのに・・・・・。」
「林、黙れ。」
皮肉を言う林を久里がピシャリと遮った。
「分かりました。では、夏の大会で戦うのを楽しみにしています。」
「こちらこそ。」
久里と手塚はがっちりと握手を交わした。
「イエーイ。勝った勝った。三流高校が習志野に勝っちゃた。しかも10対0でボロ勝ち。リトルリーグと試合した方がいいのはそっちじゃないの。」
勝ち誇った愛菜はいけ好かない習志野マネージャー・林を扱き下ろした。
「・・・・・・・。」
林は言葉なく俯く。
「コラ、愛菜ちゃん。試合をしてくれた習志野の方たちに失礼でしょ。何てこと言うの。」
咲良は愛菜を立場上、窘めはしたが、内心は快哉を叫んでいた。今日の夜は俯いている林の顔を思い出して、軽く4杯は飯が食えるだろう。
「・・・・・・。ボロ勝ちって言っても、2軍から9点取って、1軍からは1点しか取れなかったじゃないか。実質的には1対0だろうが。9イニングやったら間違いなく逆転していた。」
「初めに6回戦って決めたのはそっちでしょ。だからこっちも6回戦の戦い方をしたの。9回やるんだったら、それに合わせた戦い方も出来まーす。負け惜しみ言うんだったら、初めから1軍出せよバーカ!」
舌を出してあっかんベーをする愛菜に林は掴みかかる。
「この野郎、そこまで言うなら、あと3イニング延長だ。」
「イヤでーす。今日はもうやらない~~~。」
「こいつ~~~。」
林は愛菜のブレザーの胸倉を掴む。それを制したのは習志野のキャプテン久里だ。
「止めろ、林。見苦しいぞ。」
「でも・・・・・。」
「確かに彼女の言う通りだ。6回戦を提案したのはこちらだし。最初から1軍を出さない判断をしたのもこっち。何を言われても反論できない。こちらの完全な負けだ。」
久里は失意の林を尻目に、咲良に向き直った。
「今回はこちらの完敗です。最初から1軍を出して、9イニング試合をするべきだった。そちらを舐めすぎていました。野球部部長として非礼をお詫びします。」
久里はペコリと頭を下げた。
「いえいえ、そんな・・・・・。」
久里に頭を下げられて恐縮する咲良。
「再度、日を改めて、練習試合を組んで頂けないでしょうか。今度はこちらがそちらの高校に出向かせて貰います。」
「本当ですか!」
願っても無い申し出である。咲良は手塚の方を見た。予想に反して手塚は渋い表情である。喜んでいる様には見えない。何故だろうか?咲良の困惑した表情を見て、久里は目線を手塚に転じた。
「どうも。部長の手塚です。」
「・・・・・。林から聞きました。あなたが大阪藤蔭出身だとか。」
「・・・・・・。」
手塚は何も答えなかった。
「良いチームですね。さすが藤蔭の方が纏め上げただけの事はある。」
「まあ、これからです。」
「今度は是非、うちの方からそちらへ出向かせて下さい。」
「再戦は今年の夏の予選大会にしましょう。」
「えっ?」
面食らった表情の久里に、手塚は穏やかに言った。
「今度は甲子園行きの切符を賭けて戦いましょう。その時までお互い奥の手は取っておくという事で。」
手塚の言葉を聞いて、ミカエルも習志野の面々も顔を見合わせた。
「・・・・・自信があるのですね。」
「ええ、あります。」
手塚はハッキリと答えた。
「あんたねえ、今日は交通事故の様なもんだよ。地力が違うのに・・・・・。」
「林、黙れ。」
皮肉を言う林を久里がピシャリと遮った。
「分かりました。では、夏の大会で戦うのを楽しみにしています。」
「こちらこそ。」
久里と手塚はがっちりと握手を交わした。
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