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聖夜編
401.ブルースターVS時間稼ぎ1
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ライラックが召喚士の男と圧倒的な力量の差を見せる中、ブルースターにもやるべきことがあった。
それはたった一人でウォビュートモールを相手し足止めをすることだ。
あまりにも厳しい戦力差。それを前にしてもブルースターは与えられた役割をきちんと全うする。それだけの実力がブルースターにも備わっていて、ルカを除けばライラックと張り合える程だった。
だからだろうか。ブルースター自身も全く負ける気がしない。
「私の役目は貴方を止めることです。ですので、ここは容赦なく行かせていただきますね」
ブルースターは《オーロラウィング》をはためかせると、虹色の翼が爛々と発光する。
鮮やかな光がウォビュートモールを包む。
光が苦手なのか、前脚で顔を覆ってたじろいでいた。
如何やら効果は覿面なようで、ブルースターは幸先良かった。
「それでは行きますよ。《星の銃》!」
指先に光属性の魔力を溜める。
魔力を充填すると、それを一気に撃ち出した。
光の弾丸が戦を残し、一瞬にしてウォビュートモール目掛けて放たれる。
触れればダメージは必至。しかし倒せるとは思っていない。
キュイーン!
ウォビュートモールに《星の銃》はしっかり命中した。
しかし思った以上のダメージが期待できない。
むしろ無いと言っても等しく、簡単に鋼鉄の爪で弾かれてしまった。
「まあそうですよね。それでは連射で行きましょうか」
両手を銃の形にして指先に光属性の魔力を集める。
集中した魔力を発光させると、ウォビュートモールは目障りに思ったようで、爪を叩き付けて来た。
引っ掻くでは生温いらしく、よっぽど光が嫌いと見えた。
けれどブルースターの前には意味もなく、スンと躱してしまう。
「そこっ!」
躱した瞬間の硬直時間を突いて、ブルースターは《星の銃》を撃った。
懐に命中した二射連続の弾痕は真っ白な光の穴として残された。
それでもウォビュートモールにはほぼ意味がない。ダメージはあるとしても、圧倒的な再生力ですぐに傷口が塞がってしまう。
「これでもダメなんですか。そうなると……もう少し近距離で行きましょうか」
《オーロラウィング》をはためかせ、ウォビュートモールに近付く。
背後を取って背中を狙った。
超至近距離ならダメージも大きく、再生までには時間も掛かる。
そのための魔力充填も兼ねようとしたのだが、ウォビュートモールは動きは遅いが巨体を活かしたパワフルな攻めでブルースターに背後を取らせない。
「難しいですね。背後を取らせてくれませんか」
そう上手く行くとは思っていなかった。
相手は召喚士が呼び出すような強力なモンスター。
当然知能もある程度は持ち合わせているようなので、主導権を握られているとはいえ自発的に判断して動けるだけのポテンシャルを持っていた。
「となれば、まずは爪をやりましょうか」
《星の銃》を構え、ウォビュートモールの鋼鉄の爪を狙う。
攻撃させて貰えないのなら、邪魔になりそうな部分を削るのが得策と見た。
実際、ブルースターの役割はウォビュートモールを倒すことじゃない。足止めをして、ライラックとの共闘時間を稼ぐことだった。
「《星の銃》……うっ!」
ブルースターは《星の銃》を撃とうとする。
しかし撃とうとした瞬間、ウォビュートモールは鋼鉄の爪で空を裂く。
近くに居たブルースターを切り裂こうとするのだが、咄嗟にスライドしてギリギリの所で躱せた。けれど耳障りな風切り音がブルースターの聴覚を鈍らせた。
「うっ、耳が痛い……」
ブルースターは耳を押さえた。
頭がクラクラして、視界が霞み始めた。
体が傾いてしまい、ウォビュートモールの鋼鉄の爪が二重に見える。
ここまで飛行を可能にしてくれた《オーロラウィング》の弊害で、空間把握能力が著しく欠落してしまった。
「これはマズいですね」
ブルースターはウォビュートモールの攻撃を必死で躱す。
何度も何度も振り下ろされる鋼鉄の爪。
一掻きされたら体は傷だらけでは済まない。
おそらく命は無いだろうと先に読むと、慎重にならざるを得なくなった。
「ここは避けることを全力で努めましょうか」
ブルースターは先戦を変更した。
けれど鋼鉄の爪がガツガツ空気を裂いた。
「うわぁ! よっと! 動きは遅いですが、風圧がかなり来ますね」
空を裂く度にブルースターの周りの空気も裂いて、風圧が襲い掛かる。
このままではマズい。ブルースターの脳裏に過る。
ウォビュートモールの攻撃は遅いが強力で、ある程度大きく回り込まなければ間接的に被害を受ける。実際、脇腹の辺りが軋んでいた。
このまま一人で相手をするのは無理があると、ブルースターは諦めかけた。
その時だった。ブルースターの名前を呼ぶ声が聴こえた。
「ブルースター!」
叫び声が上がった。眼下を見ればライラックがいる。
傍らには倒れた召喚士の姿があり、如何やら勝ったらしい。
これで時間稼ぎは終わり。ブルースターは役目を果たした。
それはたった一人でウォビュートモールを相手し足止めをすることだ。
あまりにも厳しい戦力差。それを前にしてもブルースターは与えられた役割をきちんと全うする。それだけの実力がブルースターにも備わっていて、ルカを除けばライラックと張り合える程だった。
だからだろうか。ブルースター自身も全く負ける気がしない。
「私の役目は貴方を止めることです。ですので、ここは容赦なく行かせていただきますね」
ブルースターは《オーロラウィング》をはためかせると、虹色の翼が爛々と発光する。
鮮やかな光がウォビュートモールを包む。
光が苦手なのか、前脚で顔を覆ってたじろいでいた。
如何やら効果は覿面なようで、ブルースターは幸先良かった。
「それでは行きますよ。《星の銃》!」
指先に光属性の魔力を溜める。
魔力を充填すると、それを一気に撃ち出した。
光の弾丸が戦を残し、一瞬にしてウォビュートモール目掛けて放たれる。
触れればダメージは必至。しかし倒せるとは思っていない。
キュイーン!
ウォビュートモールに《星の銃》はしっかり命中した。
しかし思った以上のダメージが期待できない。
むしろ無いと言っても等しく、簡単に鋼鉄の爪で弾かれてしまった。
「まあそうですよね。それでは連射で行きましょうか」
両手を銃の形にして指先に光属性の魔力を集める。
集中した魔力を発光させると、ウォビュートモールは目障りに思ったようで、爪を叩き付けて来た。
引っ掻くでは生温いらしく、よっぽど光が嫌いと見えた。
けれどブルースターの前には意味もなく、スンと躱してしまう。
「そこっ!」
躱した瞬間の硬直時間を突いて、ブルースターは《星の銃》を撃った。
懐に命中した二射連続の弾痕は真っ白な光の穴として残された。
それでもウォビュートモールにはほぼ意味がない。ダメージはあるとしても、圧倒的な再生力ですぐに傷口が塞がってしまう。
「これでもダメなんですか。そうなると……もう少し近距離で行きましょうか」
《オーロラウィング》をはためかせ、ウォビュートモールに近付く。
背後を取って背中を狙った。
超至近距離ならダメージも大きく、再生までには時間も掛かる。
そのための魔力充填も兼ねようとしたのだが、ウォビュートモールは動きは遅いが巨体を活かしたパワフルな攻めでブルースターに背後を取らせない。
「難しいですね。背後を取らせてくれませんか」
そう上手く行くとは思っていなかった。
相手は召喚士が呼び出すような強力なモンスター。
当然知能もある程度は持ち合わせているようなので、主導権を握られているとはいえ自発的に判断して動けるだけのポテンシャルを持っていた。
「となれば、まずは爪をやりましょうか」
《星の銃》を構え、ウォビュートモールの鋼鉄の爪を狙う。
攻撃させて貰えないのなら、邪魔になりそうな部分を削るのが得策と見た。
実際、ブルースターの役割はウォビュートモールを倒すことじゃない。足止めをして、ライラックとの共闘時間を稼ぐことだった。
「《星の銃》……うっ!」
ブルースターは《星の銃》を撃とうとする。
しかし撃とうとした瞬間、ウォビュートモールは鋼鉄の爪で空を裂く。
近くに居たブルースターを切り裂こうとするのだが、咄嗟にスライドしてギリギリの所で躱せた。けれど耳障りな風切り音がブルースターの聴覚を鈍らせた。
「うっ、耳が痛い……」
ブルースターは耳を押さえた。
頭がクラクラして、視界が霞み始めた。
体が傾いてしまい、ウォビュートモールの鋼鉄の爪が二重に見える。
ここまで飛行を可能にしてくれた《オーロラウィング》の弊害で、空間把握能力が著しく欠落してしまった。
「これはマズいですね」
ブルースターはウォビュートモールの攻撃を必死で躱す。
何度も何度も振り下ろされる鋼鉄の爪。
一掻きされたら体は傷だらけでは済まない。
おそらく命は無いだろうと先に読むと、慎重にならざるを得なくなった。
「ここは避けることを全力で努めましょうか」
ブルースターは先戦を変更した。
けれど鋼鉄の爪がガツガツ空気を裂いた。
「うわぁ! よっと! 動きは遅いですが、風圧がかなり来ますね」
空を裂く度にブルースターの周りの空気も裂いて、風圧が襲い掛かる。
このままではマズい。ブルースターの脳裏に過る。
ウォビュートモールの攻撃は遅いが強力で、ある程度大きく回り込まなければ間接的に被害を受ける。実際、脇腹の辺りが軋んでいた。
このまま一人で相手をするのは無理があると、ブルースターは諦めかけた。
その時だった。ブルースターの名前を呼ぶ声が聴こえた。
「ブルースター!」
叫び声が上がった。眼下を見ればライラックがいる。
傍らには倒れた召喚士の姿があり、如何やら勝ったらしい。
これで時間稼ぎは終わり。ブルースターは役目を果たした。
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