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聖夜編
375.地下室があるなんて知らなかった
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ルカ達は苦言を呈しながら、目の前の地図と睨めっこ。
平面図で、大量の建物や木々が生えた森などが描かれていて、正直覚えるのは大変。
けれどルカは余裕で覚えてしまい、これも日々注意深く観察しているおかげだと感じた。
「ううっ、難しいわね」
「そうかなー?」
シルヴィアは眉根を寄せた。
すると隣に居るライラックは珍しい反応を示す。
「いつも勉強にやる気は無いのに、如何してこう言う時だけ本気モードなのよ! 地図覚えてるの得意なの?」
「うーん、得意って言うのかなー? 覚えないとダメって言うのかなー?」
「なに言っているのよ」
「いやぁ、自然と覚えちゃうもんだよねー。こういうの」
何だろう。ライラックの様子が少しおかしい。
けれどただおかしいのではなく、言葉に深みを感じた。
それを気に留めたのはルカだけで、シルヴィアが眉を顰めた。
如何やらみんなは何も感じていないらしいので、あえて黙っておく。
「うーん、そうだ。シルヴィ、大きな建物を覚えた方が良いよ」
「大きな建物? もしかして定番なことを言っているの?」
「そうだよ。目印になる建物を覚えておけば、そこから連鎖的に周囲の風景や記憶を頼りに目的地には辿り着けるから」
ルカはそう説明する。
するとシルヴィアは「そこじゃないのよね」と文句を吐く。
「サンタ・ク・ロースさん、この建物にいる子供達には許可を貰っているんですか?」
「ん?」
「だから、許可は貰っているんですか?」
「許可? そのようなものが必要なのか?」
「必要ですよ。これじゃあ私達、犯罪者ですよ!」
シルヴィアはサンタ・ク・ロースことドリアードに尋ねる。
もちろん許可は取っているはずだ。
しかしシルヴィアが心配しているのは、建物一つ一つに住んでいる人の個人情報まで掛かれていること。明らかに犯罪の臭いがするので、加担しているのではないかと、今更になって不安に思った。
そのことをサンタ・ク・ロースことドリアードに伝える。
すると「ふぉっふぉっふぉっ!」と笑い出す。
「そんなことか。それなら心配要らんよ。儂はこの町の市長じゃぞ」
「しょ、職権乱用じゃないですか!」
「そんなことないぞ。実際、儂は毎年のように子供達の欲しいものを魔法で察し、そして配っておるんじゃ」
「うわぁ……」
言葉を失ってしまった。
やっていることは完全に思考を覗いているのと同じだ。
それが個人の知らない間に行われると考えれば、かなり怖いと思った。
しかしこれ以上考えると自分にも毒だと悟る。恐らく、この思考すら読まれているのでは? と、そんなことはないのだが、シルヴィアは勝手に怖がってしまった。
「シルヴィ、そんなことは良いから、早く覚えよう」
「そ、そうね。そうするわ」
シルヴィアも地図に集中する。
時間は刻一刻と迫っていて、喋っている暇すらなくなった。
「よーし、覚えた!」
「お疲れさま、ライ」
「ルカこそ早いよねー。もしかして前以って?」
「まあ、ある程度はね」
別に張り合っているわけではないので、強くは出ない。ライラックも理解してくれている。
そうこうしていると、時間は過ぎていた。
しかし時間が過ぎたということは、全員頭に地図を覚えられたということだ。
「ふぅ。やっと覚えました」
「お疲れさま、ダリア」
「ありがとうございます。あっ、ルカさん……」
「なに?」
「そう言えば何ですけど、プレゼントって何処にあるんでしょうか?」
「ん?」
ルカは首を捻った。
確かにここまでプレゼントのプの字も見ていない。
「考えてみたら、このクリスマスと言うのは、人に特に子供に幸せ贈るのが伝統なんですよね。プレゼントを贈ることで、幸せを届ける。夢や希望を与えて、喜んでもらう。それで笑顔何て素敵じゃないですか」
「そうじゃろうそうじゃろう」
「でも、肝心のプレゼントは何処にあるんでしょうか? もしかして私達が調達に?」
ダリアがそんなことを心配すると、サンタ・ク・ロースことドリアードはまたしても、「ふぉっふぉっふぉつ」と笑いを浮かべる。
今度は一体何を考えているのか。そう思ってチラリとみると、床をジッと目を凝らしながら歩く。
「何をしているんですか?」
ダリアは尋ねた。
するとサンタ・ク・ロースことドリアードは、石畳を一つコンと踏み込む。
何をしたのか。首を捻った途端、急にガタガタガタガタと地面が揺れ始めた。
「な、何が起こっているんですか!」
「床が揺れていますよ? うわぁ!」
「ダリア、掴まって」
「はい」
ルカはダリアに腕を差し出すと、掴んで貰った。
おかげで誰も転ばないで済んだけど、一体何が?
見れば地面に罅が入っていた。いいや、罅が入り、その向こうには下へと続く階段がある。
如何やら地下室のようだ。
「ち、地下室?」
「うむ。さて、地図を覚えたのなら、行くとするか」
サンタ・ク・ロースことドリアードは大詰めと言うべきなのか、ホッとした表情を浮かべていた。
如何やら地下室にダリアの不安の答えがあるらしい。
平面図で、大量の建物や木々が生えた森などが描かれていて、正直覚えるのは大変。
けれどルカは余裕で覚えてしまい、これも日々注意深く観察しているおかげだと感じた。
「ううっ、難しいわね」
「そうかなー?」
シルヴィアは眉根を寄せた。
すると隣に居るライラックは珍しい反応を示す。
「いつも勉強にやる気は無いのに、如何してこう言う時だけ本気モードなのよ! 地図覚えてるの得意なの?」
「うーん、得意って言うのかなー? 覚えないとダメって言うのかなー?」
「なに言っているのよ」
「いやぁ、自然と覚えちゃうもんだよねー。こういうの」
何だろう。ライラックの様子が少しおかしい。
けれどただおかしいのではなく、言葉に深みを感じた。
それを気に留めたのはルカだけで、シルヴィアが眉を顰めた。
如何やらみんなは何も感じていないらしいので、あえて黙っておく。
「うーん、そうだ。シルヴィ、大きな建物を覚えた方が良いよ」
「大きな建物? もしかして定番なことを言っているの?」
「そうだよ。目印になる建物を覚えておけば、そこから連鎖的に周囲の風景や記憶を頼りに目的地には辿り着けるから」
ルカはそう説明する。
するとシルヴィアは「そこじゃないのよね」と文句を吐く。
「サンタ・ク・ロースさん、この建物にいる子供達には許可を貰っているんですか?」
「ん?」
「だから、許可は貰っているんですか?」
「許可? そのようなものが必要なのか?」
「必要ですよ。これじゃあ私達、犯罪者ですよ!」
シルヴィアはサンタ・ク・ロースことドリアードに尋ねる。
もちろん許可は取っているはずだ。
しかしシルヴィアが心配しているのは、建物一つ一つに住んでいる人の個人情報まで掛かれていること。明らかに犯罪の臭いがするので、加担しているのではないかと、今更になって不安に思った。
そのことをサンタ・ク・ロースことドリアードに伝える。
すると「ふぉっふぉっふぉっ!」と笑い出す。
「そんなことか。それなら心配要らんよ。儂はこの町の市長じゃぞ」
「しょ、職権乱用じゃないですか!」
「そんなことないぞ。実際、儂は毎年のように子供達の欲しいものを魔法で察し、そして配っておるんじゃ」
「うわぁ……」
言葉を失ってしまった。
やっていることは完全に思考を覗いているのと同じだ。
それが個人の知らない間に行われると考えれば、かなり怖いと思った。
しかしこれ以上考えると自分にも毒だと悟る。恐らく、この思考すら読まれているのでは? と、そんなことはないのだが、シルヴィアは勝手に怖がってしまった。
「シルヴィ、そんなことは良いから、早く覚えよう」
「そ、そうね。そうするわ」
シルヴィアも地図に集中する。
時間は刻一刻と迫っていて、喋っている暇すらなくなった。
「よーし、覚えた!」
「お疲れさま、ライ」
「ルカこそ早いよねー。もしかして前以って?」
「まあ、ある程度はね」
別に張り合っているわけではないので、強くは出ない。ライラックも理解してくれている。
そうこうしていると、時間は過ぎていた。
しかし時間が過ぎたということは、全員頭に地図を覚えられたということだ。
「ふぅ。やっと覚えました」
「お疲れさま、ダリア」
「ありがとうございます。あっ、ルカさん……」
「なに?」
「そう言えば何ですけど、プレゼントって何処にあるんでしょうか?」
「ん?」
ルカは首を捻った。
確かにここまでプレゼントのプの字も見ていない。
「考えてみたら、このクリスマスと言うのは、人に特に子供に幸せ贈るのが伝統なんですよね。プレゼントを贈ることで、幸せを届ける。夢や希望を与えて、喜んでもらう。それで笑顔何て素敵じゃないですか」
「そうじゃろうそうじゃろう」
「でも、肝心のプレゼントは何処にあるんでしょうか? もしかして私達が調達に?」
ダリアがそんなことを心配すると、サンタ・ク・ロースことドリアードはまたしても、「ふぉっふぉっふぉつ」と笑いを浮かべる。
今度は一体何を考えているのか。そう思ってチラリとみると、床をジッと目を凝らしながら歩く。
「何をしているんですか?」
ダリアは尋ねた。
するとサンタ・ク・ロースことドリアードは、石畳を一つコンと踏み込む。
何をしたのか。首を捻った途端、急にガタガタガタガタと地面が揺れ始めた。
「な、何が起こっているんですか!」
「床が揺れていますよ? うわぁ!」
「ダリア、掴まって」
「はい」
ルカはダリアに腕を差し出すと、掴んで貰った。
おかげで誰も転ばないで済んだけど、一体何が?
見れば地面に罅が入っていた。いいや、罅が入り、その向こうには下へと続く階段がある。
如何やら地下室のようだ。
「ち、地下室?」
「うむ。さて、地図を覚えたのなら、行くとするか」
サンタ・ク・ロースことドリアードは大詰めと言うべきなのか、ホッとした表情を浮かべていた。
如何やら地下室にダリアの不安の答えがあるらしい。
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