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雷鳥編
282.パターン1 村の観光③
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ルカ達はライチョウ村の観光地を散々歩き回った。
雪崩坂を始めとして、樹氷街や氷霊の滝など面白そうなところは幾つかあったのだが、残念ながらルカ達の反応は微妙だった。
「何かあれだね」
「待って、その先は言わないで!」
ライラックが困惑気味かつつまらなそうな反応をした。
その先の言葉を言わせないようシルヴィアが制止させたが、言いたいことはルカにも伝わっていた。
あまりにも微妙だった。
もちろんインパクトが無いわけではなく、一つ一つに凄く魅力があって楽しかった。
とは言え体感型でもなく、遠目から観察するだけでは面白みもなかった。
それにもっと面白いことをした後のため、感動も何もかもが半減してしまっていた。
「雷鳥の背中って気持ち良かったよね?」
「ライ、それはもう答えだよね? 感想を通り越して本音言ってるよね?」
「もちろーん……か如何かは御想像にお任せいたします」
ライラックが気色悪い敬語を使った。
ルカは違和感しかなかったが、誤魔化そうとしていると悟った。
もちろんライラックは面白がっていたので、特に気負いもしなかった。
「皆さん、そろそろライチョウ村に戻りませんか?」
「そうですよね。ルカさん、気を取り直して行きましょう!」
別にルカは気など悪くしていなかったが、ダリアとブルースターに促され、一旦村に戻ることにした。
とりあえずこれから何をしようか模索していると、お土産屋を見つけた。
「そうだ。お土産でも買っていく?」
「良いわね。ちょっと見て見ましょうか」
シルヴィアは良いアイデアだと思ってくれた。
しかしルカは言わなかったが、《テレポート》でいつでも村には来れるのだ。
「いらっしゃい」
お土産屋はライチョウ村の入り口辺りに有った。
当然のことだが観光客を呼び寄せるためだった。
店の中には色々なものは置いてあった。
定番の饅頭の箱や樹氷の折れた枝を加工した置物に、冷凍トマトなど品揃えはそれなりに充実していた。
「色々あるわね。如何する?」
「如何すると言われても……」
「私のお土産はもうありますから……」
ルカとダリアは微妙な顔をしていた。
二人ともある程度必要なものは雷山を登った際に手に入れてていた。
そのため微妙な反応をしていたが、シルヴィアが気になるものを見つけて手に取った。
「コレって……」
「キーホルダーだね。だけどこの羽根、雷鳥の物かな?」
手にしたキーホルダーは雷鳥の抜け落ちた羽根から出来ていた。
白と黒の色合いがまさにそうで、お土産屋のおじさんも言ってくれた。
「良く知っているの。それはこの村の守り神、雷鳥ライトニングバードの抜け落ちた羽根で作られた旅のお守りじゃ」
「お守り……」
「そうとも。雷鳥の羽根にはな雷を避ける効果があるんじゃよ。だから高いところに行く旅人には打って付けのお守りじゃな」
なるほど、要するに高いところに行く人向けと言うわけだ。
ルカはそう納得し、シルヴィアに買ってあげることにした。
「すいません、これ買います」
「毎度あり」
ルカは亜空間から財布を取り出すと、お金を払った。
お釣りをもらい財布に戻すと、買ったばかりのお守りをシルヴィアに手渡した。
「はい、シルヴィ」
「わ、私にくれるの? わざわざ自分で買うから良かったのに。って、自分で使わないの?」
「うん。シルヴィアはかなり飛ぶから雷余計にってね」
「うっ、大きなお世話だけど……ありがとう」
シルヴィアは微妙な表情を浮かべながらもルカから受け取った。
一瞬見せた表情からは嬉しさが込み上げていたが、その様子を見てダリアが嫉妬していた。
「ダリアにも買ってあげるよ。何なら全員分買ってあげるから」
「本当ですか! 嬉しいです。大切にしますね」
「う、うん。それはどうも」
あまりにも喜び方がオーバーリアクションだったので、ルカは流石に引いてしまった。
とは言え喜んで貰えて何よりと頭を軽く撫でていた。
ダリアはとろんとした顔色を浮かべていた。
「って、ルカ。自分の分は買わなくても良いの?」
「えっ?」
「自分の分は買わなくても良いのって聞いたの。あちっ!」
シルヴィアは肉まんを頬張りながらルカに尋ねた。
確かにルカ一人だけお守りを買っていなかった。
ブルースターも不公平だと思い買いに行こうとした。
「それでは私が勝って来ましょうか?」
「良いよ。だって……はい」
ルカはコートのポケットに手を突っ込んだ。
すると白と黒の羽根が出てきた。雷鳥のものだったが、加工などは特にされていなかった。
「ルカ、コレって?」
「さっきの雷鳥の羽根を少し貰ったんだよ。だから別に買わなくても良かったの。あむっ!」
肉まんを頬張っていた。
もくもくと湯気が立ち込めると、体の中から温まっていく気がした。
「何よそれ。それじゃあ私達が損したみたいじゃない!」
「損はしてないよ。買ったのは私だから」
「そう言うことじゃないのよ。はぁー、良くやるわね」
「まあね。でもこれを加工しないといけないから少し大変かな。まあ、慣れているからいいけどね」
こういう作業は昔から慣れていた。
何ならナタリーと一緒にやったことがあった。
あの頃が懐かしいと思いつつ、遠くて近い空を見上げていた。
雪崩坂を始めとして、樹氷街や氷霊の滝など面白そうなところは幾つかあったのだが、残念ながらルカ達の反応は微妙だった。
「何かあれだね」
「待って、その先は言わないで!」
ライラックが困惑気味かつつまらなそうな反応をした。
その先の言葉を言わせないようシルヴィアが制止させたが、言いたいことはルカにも伝わっていた。
あまりにも微妙だった。
もちろんインパクトが無いわけではなく、一つ一つに凄く魅力があって楽しかった。
とは言え体感型でもなく、遠目から観察するだけでは面白みもなかった。
それにもっと面白いことをした後のため、感動も何もかもが半減してしまっていた。
「雷鳥の背中って気持ち良かったよね?」
「ライ、それはもう答えだよね? 感想を通り越して本音言ってるよね?」
「もちろーん……か如何かは御想像にお任せいたします」
ライラックが気色悪い敬語を使った。
ルカは違和感しかなかったが、誤魔化そうとしていると悟った。
もちろんライラックは面白がっていたので、特に気負いもしなかった。
「皆さん、そろそろライチョウ村に戻りませんか?」
「そうですよね。ルカさん、気を取り直して行きましょう!」
別にルカは気など悪くしていなかったが、ダリアとブルースターに促され、一旦村に戻ることにした。
とりあえずこれから何をしようか模索していると、お土産屋を見つけた。
「そうだ。お土産でも買っていく?」
「良いわね。ちょっと見て見ましょうか」
シルヴィアは良いアイデアだと思ってくれた。
しかしルカは言わなかったが、《テレポート》でいつでも村には来れるのだ。
「いらっしゃい」
お土産屋はライチョウ村の入り口辺りに有った。
当然のことだが観光客を呼び寄せるためだった。
店の中には色々なものは置いてあった。
定番の饅頭の箱や樹氷の折れた枝を加工した置物に、冷凍トマトなど品揃えはそれなりに充実していた。
「色々あるわね。如何する?」
「如何すると言われても……」
「私のお土産はもうありますから……」
ルカとダリアは微妙な顔をしていた。
二人ともある程度必要なものは雷山を登った際に手に入れてていた。
そのため微妙な反応をしていたが、シルヴィアが気になるものを見つけて手に取った。
「コレって……」
「キーホルダーだね。だけどこの羽根、雷鳥の物かな?」
手にしたキーホルダーは雷鳥の抜け落ちた羽根から出来ていた。
白と黒の色合いがまさにそうで、お土産屋のおじさんも言ってくれた。
「良く知っているの。それはこの村の守り神、雷鳥ライトニングバードの抜け落ちた羽根で作られた旅のお守りじゃ」
「お守り……」
「そうとも。雷鳥の羽根にはな雷を避ける効果があるんじゃよ。だから高いところに行く旅人には打って付けのお守りじゃな」
なるほど、要するに高いところに行く人向けと言うわけだ。
ルカはそう納得し、シルヴィアに買ってあげることにした。
「すいません、これ買います」
「毎度あり」
ルカは亜空間から財布を取り出すと、お金を払った。
お釣りをもらい財布に戻すと、買ったばかりのお守りをシルヴィアに手渡した。
「はい、シルヴィ」
「わ、私にくれるの? わざわざ自分で買うから良かったのに。って、自分で使わないの?」
「うん。シルヴィアはかなり飛ぶから雷余計にってね」
「うっ、大きなお世話だけど……ありがとう」
シルヴィアは微妙な表情を浮かべながらもルカから受け取った。
一瞬見せた表情からは嬉しさが込み上げていたが、その様子を見てダリアが嫉妬していた。
「ダリアにも買ってあげるよ。何なら全員分買ってあげるから」
「本当ですか! 嬉しいです。大切にしますね」
「う、うん。それはどうも」
あまりにも喜び方がオーバーリアクションだったので、ルカは流石に引いてしまった。
とは言え喜んで貰えて何よりと頭を軽く撫でていた。
ダリアはとろんとした顔色を浮かべていた。
「って、ルカ。自分の分は買わなくても良いの?」
「えっ?」
「自分の分は買わなくても良いのって聞いたの。あちっ!」
シルヴィアは肉まんを頬張りながらルカに尋ねた。
確かにルカ一人だけお守りを買っていなかった。
ブルースターも不公平だと思い買いに行こうとした。
「それでは私が勝って来ましょうか?」
「良いよ。だって……はい」
ルカはコートのポケットに手を突っ込んだ。
すると白と黒の羽根が出てきた。雷鳥のものだったが、加工などは特にされていなかった。
「ルカ、コレって?」
「さっきの雷鳥の羽根を少し貰ったんだよ。だから別に買わなくても良かったの。あむっ!」
肉まんを頬張っていた。
もくもくと湯気が立ち込めると、体の中から温まっていく気がした。
「何よそれ。それじゃあ私達が損したみたいじゃない!」
「損はしてないよ。買ったのは私だから」
「そう言うことじゃないのよ。はぁー、良くやるわね」
「まあね。でもこれを加工しないといけないから少し大変かな。まあ、慣れているからいいけどね」
こういう作業は昔から慣れていた。
何ならナタリーと一緒にやったことがあった。
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