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悪魔教会編
217.抑制する時計の秘密
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懐中時計のボタンを押し込んだ。
すると空間が不思議な膜に覆われた。
「これは、魔力の波動?」
ルカは時計から発生した魔力を全身に感じた。
しかし体には何も影響がない。
魔法を使ってみようとしたが、普通に発動した。一体何の意味があるのか。
「時計の針はまだ30秒しか経ってない。それじゃあ試しに……」
ルカは《永久》を使ってみようとした。
すると時計の力が発動する。ルカの行使した《永久》の力が発動しているのに、空間が歪まなかった。
「えっ!? どうして《永久》の力が発動しているのに、空間が歪まない?」
いつもならもっと空間に変化が起こるはずだ。
これは私以外の世界に及ぼす影響で、同一の世界の影響は別世界にも影響を及ぼす。
本来なら、この瞬間に同じ座標に何かしらの影響が出ているはずだけど、家の中に何も起きていなかった。こんなことが起こるのか? ルカは不思議に思う。
「これは……凄い。何でこんなことが……」
ルカは懐中時計を見た。
すると赤い針がもうすぐ12時を指す。
もしかしたらこの懐中時計の効果なのか。凄い代物と興奮していたが、赤い針が12時を指した時だった。
ぐにゃー
空間が捩じれた。
すると急に部屋の中が時が止まったみたいに空中に浮いていたものが固定されてしまった。
「ヤバっ! どうしよう。このままじゃ戻せない」
空中に浮かんだティッシュの箱が無情にも固定されてしまった。
ツンツンと指で触れてみても不自然な形で固定されているので動かすこともできない。
こうなった以上、もう一度同じ魔法を使うかそれとも破壊してしまうしかないが、ルカは燃やしてしまうことにした。
小さな火で燃やすと、すぐに消滅する。
「これで一安心。だけど、どうして私の魔法が……しかも、効果がないんじゃなくて、効果の影響が薄かった?」
ルカは首を傾げてしまった。
そこでこれを作った人を知りたくなる。
ナタリーに聞いてみようと思い、家に向かった。
「そう言えば、ナタリーの家って初めて行くけど、どんなところなんだろ」
ルカは早速ナタリーの家に向かった。
前にルカの家を訪ねてきた際、自分の家の住所を教えてくれた。
かなり高級住宅が立ち並ぶ区域なようで、この格好では場違いな気がした。
「ここは……確か昔から貴重な魔法が数多くあった場所。えーっと、この先?」
路地を一本入ると、そこに見えたのは大きな建物だった。
高級住宅地だからナタリーの家も広いのかと思っていたが、如何やら違うらしい。
縦に長い建物のようで、見た限りマンションのようだった。
「ここだよね?」
一瞬自分の記憶を疑った。
何せ路地に入ると、急に煌びやかな建物ではなく奥ゆかしさの方が際立った建物が現れたからだ。
「でも私は好きだな。こういう建物」
植物の蔦が建物に絡まっていた。
おそらく【真樹の魔術師】だからだろう。
「とりあえず中に入ってナタリーの部屋に案内してもらおう。エントランスに人がいればいいんだけど……」
そう思いマンションに入ろうとした。
すると背後からナタリーの気配がして、振り返るとそこにはナタリーが買い物帰りの気を抜いた様子でそこにいた。
「あれ? ルカさん」
「やぁ、ナタリー。おはよう」
「おはようございます。えっ? どうしてこんなところにいらっしゃるのですか?」
「ここにいたらダメなの? 私はナタリーに会いに来たんだよ」
そう答えると、ナタリーの反応が変わった。
気の抜いた気配と態度から急にビシッと気を張り出す。
もしかしていつもの感じになってしまったのかな。休みの日ぐらい、気を抜いていてもいいのに。
「すみませんルカさん。私のフロアの案内します」
「フロア? いいや、ここでいいよ」
「えっ?」
ナタリーが盛っていた荷物を落とした。
ルカは中身が零れる前に受け止めると、ナタリーに手渡す。
そのついでに懐中時計の秘密だけ聞くことにした。
「ナタリー。この懐中時計は何?」
「やっと届きましたか。それは私から、ルカさんへの贈り物です」
「贈り物はわかってるよ。それよりこの時計。一体何が起きているの? 私の魔法にまで影響を及ぼすなんて。どういう構造?」
ルカは質問攻めを繰り広げた。
しかしナタリーはイラつく様子もなく、笑みを浮かべたままルカに答える。
「簡単に答えますね。そちらの懐中時計は魔道具の一種です。特殊な構造をしていて、上部のボタンを押し込むことで1分間だけ魔力の波動を空間全体に広げ、あらゆる魔法の硬貨を打ち消します」
「打ち消す?」
「はい。ですがそれをルカさんが使った時だけ、別の硬貨が付与的に発動します。それがルカさんが全力を出しても壊れない世界です」
「壊れないってことは歪まないからねじれが起きないってことだね」
「そうです。ルカさんが今後何かしらのことで本気を出す際、その制約を外すために私が特別に依頼した品です」
「依頼した品? 誰が作ったの?」
「それは……まだ秘密です。ですがルカさんも知っている方ですよ」
それを聞いて心当たりがあった。
おそらく千年前の魔法使いだ。
すると空間が不思議な膜に覆われた。
「これは、魔力の波動?」
ルカは時計から発生した魔力を全身に感じた。
しかし体には何も影響がない。
魔法を使ってみようとしたが、普通に発動した。一体何の意味があるのか。
「時計の針はまだ30秒しか経ってない。それじゃあ試しに……」
ルカは《永久》を使ってみようとした。
すると時計の力が発動する。ルカの行使した《永久》の力が発動しているのに、空間が歪まなかった。
「えっ!? どうして《永久》の力が発動しているのに、空間が歪まない?」
いつもならもっと空間に変化が起こるはずだ。
これは私以外の世界に及ぼす影響で、同一の世界の影響は別世界にも影響を及ぼす。
本来なら、この瞬間に同じ座標に何かしらの影響が出ているはずだけど、家の中に何も起きていなかった。こんなことが起こるのか? ルカは不思議に思う。
「これは……凄い。何でこんなことが……」
ルカは懐中時計を見た。
すると赤い針がもうすぐ12時を指す。
もしかしたらこの懐中時計の効果なのか。凄い代物と興奮していたが、赤い針が12時を指した時だった。
ぐにゃー
空間が捩じれた。
すると急に部屋の中が時が止まったみたいに空中に浮いていたものが固定されてしまった。
「ヤバっ! どうしよう。このままじゃ戻せない」
空中に浮かんだティッシュの箱が無情にも固定されてしまった。
ツンツンと指で触れてみても不自然な形で固定されているので動かすこともできない。
こうなった以上、もう一度同じ魔法を使うかそれとも破壊してしまうしかないが、ルカは燃やしてしまうことにした。
小さな火で燃やすと、すぐに消滅する。
「これで一安心。だけど、どうして私の魔法が……しかも、効果がないんじゃなくて、効果の影響が薄かった?」
ルカは首を傾げてしまった。
そこでこれを作った人を知りたくなる。
ナタリーに聞いてみようと思い、家に向かった。
「そう言えば、ナタリーの家って初めて行くけど、どんなところなんだろ」
ルカは早速ナタリーの家に向かった。
前にルカの家を訪ねてきた際、自分の家の住所を教えてくれた。
かなり高級住宅が立ち並ぶ区域なようで、この格好では場違いな気がした。
「ここは……確か昔から貴重な魔法が数多くあった場所。えーっと、この先?」
路地を一本入ると、そこに見えたのは大きな建物だった。
高級住宅地だからナタリーの家も広いのかと思っていたが、如何やら違うらしい。
縦に長い建物のようで、見た限りマンションのようだった。
「ここだよね?」
一瞬自分の記憶を疑った。
何せ路地に入ると、急に煌びやかな建物ではなく奥ゆかしさの方が際立った建物が現れたからだ。
「でも私は好きだな。こういう建物」
植物の蔦が建物に絡まっていた。
おそらく【真樹の魔術師】だからだろう。
「とりあえず中に入ってナタリーの部屋に案内してもらおう。エントランスに人がいればいいんだけど……」
そう思いマンションに入ろうとした。
すると背後からナタリーの気配がして、振り返るとそこにはナタリーが買い物帰りの気を抜いた様子でそこにいた。
「あれ? ルカさん」
「やぁ、ナタリー。おはよう」
「おはようございます。えっ? どうしてこんなところにいらっしゃるのですか?」
「ここにいたらダメなの? 私はナタリーに会いに来たんだよ」
そう答えると、ナタリーの反応が変わった。
気の抜いた気配と態度から急にビシッと気を張り出す。
もしかしていつもの感じになってしまったのかな。休みの日ぐらい、気を抜いていてもいいのに。
「すみませんルカさん。私のフロアの案内します」
「フロア? いいや、ここでいいよ」
「えっ?」
ナタリーが盛っていた荷物を落とした。
ルカは中身が零れる前に受け止めると、ナタリーに手渡す。
そのついでに懐中時計の秘密だけ聞くことにした。
「ナタリー。この懐中時計は何?」
「やっと届きましたか。それは私から、ルカさんへの贈り物です」
「贈り物はわかってるよ。それよりこの時計。一体何が起きているの? 私の魔法にまで影響を及ぼすなんて。どういう構造?」
ルカは質問攻めを繰り広げた。
しかしナタリーはイラつく様子もなく、笑みを浮かべたままルカに答える。
「簡単に答えますね。そちらの懐中時計は魔道具の一種です。特殊な構造をしていて、上部のボタンを押し込むことで1分間だけ魔力の波動を空間全体に広げ、あらゆる魔法の硬貨を打ち消します」
「打ち消す?」
「はい。ですがそれをルカさんが使った時だけ、別の硬貨が付与的に発動します。それがルカさんが全力を出しても壊れない世界です」
「壊れないってことは歪まないからねじれが起きないってことだね」
「そうです。ルカさんが今後何かしらのことで本気を出す際、その制約を外すために私が特別に依頼した品です」
「依頼した品? 誰が作ったの?」
「それは……まだ秘密です。ですがルカさんも知っている方ですよ」
それを聞いて心当たりがあった。
おそらく千年前の魔法使いだ。
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