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悪魔教会編
214.ここからは私の番だ
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教祖の顔は屈辱を受けたようにねじ曲がっていた。
ルカのことを相当に汲んでいるようで、完全にバルトラの支配されている。
「その言動の呂律の回って無さは確実に人間じゃない。だからもう容赦はしないよ」
「容赦だと? 笑わせるな」
「笑い事じゃないよ。私は人は殺したくない。だけど一度でも悪魔に魂を売った奴は、もう人間じゃないんだよ。だから私も容赦はしない。全力で事件を終わらせる。全ては闇の中で、もう二度と掘り返されることがないほど深くね」
ルカは真顔で答えた。
すると教祖は壁に叩きつけられたことで背中の骨を折ったらしいが、再生魔術で体を治してしまう。
流石の回復力とは言いたいが、ルカには遠く及ばなかった。
「ブルースター。今、回復するからね」
ルカは詠唱もすることなく、ブルースターの体を完全に治した。
もちろん魔法だ。魔術よりも遥かに高い回復力を誇る。
「お前は魔術師じゃないのか」
「確かに今は魔術師かな。だけど今だけは魔法使いになるよ」
「魔法使いだと! 舐めるな。この私を舐めるなぁ!」
教祖はバルトラの魔法を使うと、重力が発生した。
地面や壁が軋む音を立てる中、ルカは冷静で平常神のままだった。
まるで重力場をものともしない振る舞いに、教祖は恐怖していた。
「何故だ……何故だ何故立っていられる!」
「ん? もしかして重利力系魔法の弱点知らないの? 加重の真逆を発動すれば簡単に返せるんだよ?」
気が付けば地面や床の軋みは無くなっていた。
ルカが無言の状態で減重効果を発生させて、重力場の影響を完全に殺してしまっていた。
これによってバルトラは唯一無二の特技を失ってしまったんだ。
「バルトラの重力操作を無効にするなどと。この私を愚弄しているのか!」
「被害妄想はやめて欲しいな。それじゃあ、重力操作の真の使い方を教えてあげるよ」
ルカは右足をトンと鳴らした。バルトラは一瞬ビビってしまったが、別に何も起きていないので、高笑いを浮かべた。
「ただのハッタリか! やはり重力操作はバルトラだけのもの!」
「馬鹿っ」
ルカは溜息を吐いた。
すると高笑いを浮かべていた教祖の体が強烈な重力の加重攻撃に襲われた。
立っていられなくなるほど、上下左右から信じられない圧力が発生して空間が歪み出そうとする。
骨が音を立てて軋み出し、全身の毛穴から赤い血飛沫が噴き出た。
「ぐはっ! あがっ、な、何だこの痛みは。全身が……全身が、痛い。痛すぎる。回復魔術が間に合わない!」
教祖は絶叫していた。
聞くに堪えない苦痛の叫びにルカは耳を塞いでいたが、一応説明はしてあげようと思った。いわゆる強者の余裕と言うやつだろう。
「これが多重加重。重力操作系魔法の恐ろしいところだよ」
《超多重加重》。これがルカの発動させた魔法の答えだ。
同時に複数の圧力と重力を発動させることで、いわゆる深海から地上へ一気に上昇するような水圧の原理と似ている。
体が重力の圧力に耐えられなくなって、粉々に潰れてしまう。
厳密に言えば潰れるんじゃなくて、小さくまとまろうとするんだ。
これがルカの発動した重力系魔法の恐ろしさを体現した、敵を殺すための魔法だった。
「あまり好きじゃないんだよ。この魔法は……」
「舐めるな。舐めるなよぉ!」
「それなら抗ってみてよ。解除」
私は魔法解除した。
すると多重加重から解放された教祖は全身の血液をほとんど失って地面に倒れた。
うつ伏せで動かなくなると、私はブルースターの傍により、抱えてこの場所から逃げようとする。
しかしルカは邪悪な魔力を感じた。
「まだだ……まだ、我らが悲願を果たさねば……」
「うわぁ、くどい。くどすぎるよ。千年前の恨みと悲願なんて今だと時代遅れなんだよ?」
ルカはお手上げといった具合でジェスチャーをしてみせた。
教祖は全身の血液がほとんど失われているにもかかわらず立ち上がったがよろよろしていて、今にも死にかけだ。
だけどまだ立ち上がるというのならルカがやることは一歩的な戦いだった。
もう一度同じ魔法を使って息の根を止めようとしたのだが、教祖はルカよりも先にバルトラの力を使った。
「我らが悲願。世界の終わり。そのために、バルトラよ力を寄越せ!」
「キャラ変わっているんだけど……嘘っ、命を食わせるの!」
ルカは信じられなかった。やっぱり悪魔教会だ。
この連中は何をしでかすかわかったものじゃない。
ルカを前にして人の命を盲目に奪うような行いをした。
周囲の生命力と自分の生命力を対価にして、教祖はバルトラの力を全身に露見させる。
「ユルサナイ。ワレラハマケナイ。モット、モットクワセロ……モットコロサセロ」
言葉がかなり重たかった。
一言一言から発せられる魔力が全身にチクチクと伝わってくると、教祖の体が完全に獣に変わっていた。
「うわぁ、全身を食わせたんだ。そんなことをして世界を崩壊させようなんて。そんなことで、重力に縛られたものが解放されるわけがないのに……」
ルカは溜息を吐くと、本気でやることにした。
ルカのことを相当に汲んでいるようで、完全にバルトラの支配されている。
「その言動の呂律の回って無さは確実に人間じゃない。だからもう容赦はしないよ」
「容赦だと? 笑わせるな」
「笑い事じゃないよ。私は人は殺したくない。だけど一度でも悪魔に魂を売った奴は、もう人間じゃないんだよ。だから私も容赦はしない。全力で事件を終わらせる。全ては闇の中で、もう二度と掘り返されることがないほど深くね」
ルカは真顔で答えた。
すると教祖は壁に叩きつけられたことで背中の骨を折ったらしいが、再生魔術で体を治してしまう。
流石の回復力とは言いたいが、ルカには遠く及ばなかった。
「ブルースター。今、回復するからね」
ルカは詠唱もすることなく、ブルースターの体を完全に治した。
もちろん魔法だ。魔術よりも遥かに高い回復力を誇る。
「お前は魔術師じゃないのか」
「確かに今は魔術師かな。だけど今だけは魔法使いになるよ」
「魔法使いだと! 舐めるな。この私を舐めるなぁ!」
教祖はバルトラの魔法を使うと、重力が発生した。
地面や壁が軋む音を立てる中、ルカは冷静で平常神のままだった。
まるで重力場をものともしない振る舞いに、教祖は恐怖していた。
「何故だ……何故だ何故立っていられる!」
「ん? もしかして重利力系魔法の弱点知らないの? 加重の真逆を発動すれば簡単に返せるんだよ?」
気が付けば地面や床の軋みは無くなっていた。
ルカが無言の状態で減重効果を発生させて、重力場の影響を完全に殺してしまっていた。
これによってバルトラは唯一無二の特技を失ってしまったんだ。
「バルトラの重力操作を無効にするなどと。この私を愚弄しているのか!」
「被害妄想はやめて欲しいな。それじゃあ、重力操作の真の使い方を教えてあげるよ」
ルカは右足をトンと鳴らした。バルトラは一瞬ビビってしまったが、別に何も起きていないので、高笑いを浮かべた。
「ただのハッタリか! やはり重力操作はバルトラだけのもの!」
「馬鹿っ」
ルカは溜息を吐いた。
すると高笑いを浮かべていた教祖の体が強烈な重力の加重攻撃に襲われた。
立っていられなくなるほど、上下左右から信じられない圧力が発生して空間が歪み出そうとする。
骨が音を立てて軋み出し、全身の毛穴から赤い血飛沫が噴き出た。
「ぐはっ! あがっ、な、何だこの痛みは。全身が……全身が、痛い。痛すぎる。回復魔術が間に合わない!」
教祖は絶叫していた。
聞くに堪えない苦痛の叫びにルカは耳を塞いでいたが、一応説明はしてあげようと思った。いわゆる強者の余裕と言うやつだろう。
「これが多重加重。重力操作系魔法の恐ろしいところだよ」
《超多重加重》。これがルカの発動させた魔法の答えだ。
同時に複数の圧力と重力を発動させることで、いわゆる深海から地上へ一気に上昇するような水圧の原理と似ている。
体が重力の圧力に耐えられなくなって、粉々に潰れてしまう。
厳密に言えば潰れるんじゃなくて、小さくまとまろうとするんだ。
これがルカの発動した重力系魔法の恐ろしさを体現した、敵を殺すための魔法だった。
「あまり好きじゃないんだよ。この魔法は……」
「舐めるな。舐めるなよぉ!」
「それなら抗ってみてよ。解除」
私は魔法解除した。
すると多重加重から解放された教祖は全身の血液をほとんど失って地面に倒れた。
うつ伏せで動かなくなると、私はブルースターの傍により、抱えてこの場所から逃げようとする。
しかしルカは邪悪な魔力を感じた。
「まだだ……まだ、我らが悲願を果たさねば……」
「うわぁ、くどい。くどすぎるよ。千年前の恨みと悲願なんて今だと時代遅れなんだよ?」
ルカはお手上げといった具合でジェスチャーをしてみせた。
教祖は全身の血液がほとんど失われているにもかかわらず立ち上がったがよろよろしていて、今にも死にかけだ。
だけどまだ立ち上がるというのならルカがやることは一歩的な戦いだった。
もう一度同じ魔法を使って息の根を止めようとしたのだが、教祖はルカよりも先にバルトラの力を使った。
「我らが悲願。世界の終わり。そのために、バルトラよ力を寄越せ!」
「キャラ変わっているんだけど……嘘っ、命を食わせるの!」
ルカは信じられなかった。やっぱり悪魔教会だ。
この連中は何をしでかすかわかったものじゃない。
ルカを前にして人の命を盲目に奪うような行いをした。
周囲の生命力と自分の生命力を対価にして、教祖はバルトラの力を全身に露見させる。
「ユルサナイ。ワレラハマケナイ。モット、モットクワセロ……モットコロサセロ」
言葉がかなり重たかった。
一言一言から発せられる魔力が全身にチクチクと伝わってくると、教祖の体が完全に獣に変わっていた。
「うわぁ、全身を食わせたんだ。そんなことをして世界を崩壊させようなんて。そんなことで、重力に縛られたものが解放されるわけがないのに……」
ルカは溜息を吐くと、本気でやることにした。
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