178 / 458
悪魔教会編
178.情報がまだ足りない
しおりを挟む
ルカはライラックとブルースターと一緒にボードゲームをして遊んでいた。
魔道具の一種で、たくさんのマスがある。
サイコロを振って止まった場所でいろんなことが起こるが、毎回何が起こるかわからないので、ハラハラドキドキで大人気の商品だ。
かなり昔からあるもので、ルカが遊んでいるのはナタリーに押し付けられた。
「面白いので時間がある時にでも遊んでみてください」と念入りに言われてしまった。
「次ルカの番だよー」
「あっ、ほいっ。6だね」
サイコロの出目は6だった。6面ダイスのサイコロの中で一番大きな出目だ。
勝手にコマが進むとイベントが発生する。
青マスはお金が増える。
「えーっとこのマスは効果が三倍マスだから……1500万だね」
「えっ!?」
「この場面でなかなかいいマスを踏みましたね」
「って言うか、さっきから一回も赤マス止まってないよね」
「そうだね。でもこういうゲームでしょ?」
「次は私の番ですね。よいしょ、黄色マス。イベントマスですか……」
「何か出てくるよ……うわぁ!」
ライラックは黄色いマスが突然渦を巻いたので覗き込んだ。
すると奇妙な顔をした生き物が飛び出してくる。
驚いたら-500万らしい。けどブルースターは面白そうに手を合わせた。
全く驚いていないので無効マスだ。
「もう、もう少し表情を豊かにしようよー、ブルースター」
「すみません。次はライラックさんの番ですね」
「よーし! おっ、また緑マスだ」
「緑マスはあれだよね。アイテムマスだよね」
「そうそう。えーっと今回は……ツルハシとヘルメット?」
「鉱山イベントでしょうか? 一獲千金チャンスというのがありましたよね」
「そんなイベントまで用意されているんだ。一体どれだけイベントが詰まっているんだ」
「確か1000種類は軽く用意されているはずですよ」
「そんなに! これはいつまで経っても終わらないかな」
「でもゴールまで残り50マスもないよ?」
「そういうことじゃないんだよね。って全然戻ってこないね、シルヴィたち」
とか言っていると扉が開いた。
どうやら2人が戻ってきたみたいだ。ボードゲームをしながら出迎えると、シルヴィアの形相が浮かんでいた。
「ちょっと、窓が白くなっているんだけどどういうこと!」
「フェリスさんも混乱していましたよ」
ニャー
フェリスが怯えながら鳴いた。初見だと誰でもそうなるが、ライラックたちは既に知っているのでまるで驚く様子もなく、サイコロを振っていた。
「そっかー。おっ、3が出た。やったイベントマスだ!」
「よかったですね。これで鉱山イベントが来れば……」
「ダメだー、深海短剣イベントだよー。でも未知の炭酸ガスを発見、賞を貰うって買うてある」
「賞状イベントですね。最後にボーナスで加点されるんですよ」
「そう言えば幸福度だもんね、このゲームの勝敗」
「はい。ですがサイコロの運だけで幸福を測るのはどうなのでしょうか?」
「そこはゲームだから」
「そうですね……シルヴィアさん、どうしましたか?」
シルヴィアがイライラしていた。拳を強く握りしめ、テーブルに近づくと、せっかく遊んでいたボードゲームをひっくり返した。
「いつまでやっているのよ!」
「おっと!」
「危ないなー」
「ゲームが中断したらどうするんですか」
ボードゲームがひっくり返されるタイミングで乗っていたコマをライラックが糸で回収した。ボードゲーム本体も《星の銃》でブルースターが支える。床すれすれで変な形になって停滞していた。絶対にこんな使い方じゃない。
ルカもルカで説明書や何やらが飛び散らないように空間に壁を作り受け止める。
ここにいる面々はみんな異次元だった。
「わかったよー。じゃあこの続きはまた今度ねー」
「そうだね。それでシルヴィたちはどうだった?」
「どうって……ねえ」
「はい。白い服を着た奇妙な方々がお2人ほど徘徊されていました」
「徘徊って……どこも一緒だね」
「そうみたいだねー。これで敵の行動パターンもあらかた割れたかなー」
「ですが情報が圧倒的に足りていませんね。困りました」
ブルースターは見るからに落胆する。
まだまだ敵の素性は掴めないが、ある程度目的ははっきりしている。
とは言え動物を殺しているのに獣人が味方しているのは妙な話だ。
それだけバルトラに価値があるのだろうか? ルカは首を捻ってしまい、ダリアに心配される。
「大丈夫ですか、ルカさん?」
「うん。ちょっと考え事をしていて」
「考え事もいいけどさー、やっぱり情報が足りないんだよねー。敵の拠点もわからないしー」
「それでしたら私わかりますよ。この地図の×マークこの中心にある建物がわかりますか?」
「これは……教会?」
「そうです。彼らはこの教会の地下に自分たちの宗教を広める形で何かしらの工作活動をしているんです」
「結構物騒なことをするのね。でも地下って……」
「常套句だよー。とにかくここに行ってみるかしないかなー」
ライラックにしては珍しい発言だ。
だけどそれはつまるところ興味が湧いていることになる。ルカは危険ではあるが、ライラックとならできそうと踏んで提案してみることにした。
魔道具の一種で、たくさんのマスがある。
サイコロを振って止まった場所でいろんなことが起こるが、毎回何が起こるかわからないので、ハラハラドキドキで大人気の商品だ。
かなり昔からあるもので、ルカが遊んでいるのはナタリーに押し付けられた。
「面白いので時間がある時にでも遊んでみてください」と念入りに言われてしまった。
「次ルカの番だよー」
「あっ、ほいっ。6だね」
サイコロの出目は6だった。6面ダイスのサイコロの中で一番大きな出目だ。
勝手にコマが進むとイベントが発生する。
青マスはお金が増える。
「えーっとこのマスは効果が三倍マスだから……1500万だね」
「えっ!?」
「この場面でなかなかいいマスを踏みましたね」
「って言うか、さっきから一回も赤マス止まってないよね」
「そうだね。でもこういうゲームでしょ?」
「次は私の番ですね。よいしょ、黄色マス。イベントマスですか……」
「何か出てくるよ……うわぁ!」
ライラックは黄色いマスが突然渦を巻いたので覗き込んだ。
すると奇妙な顔をした生き物が飛び出してくる。
驚いたら-500万らしい。けどブルースターは面白そうに手を合わせた。
全く驚いていないので無効マスだ。
「もう、もう少し表情を豊かにしようよー、ブルースター」
「すみません。次はライラックさんの番ですね」
「よーし! おっ、また緑マスだ」
「緑マスはあれだよね。アイテムマスだよね」
「そうそう。えーっと今回は……ツルハシとヘルメット?」
「鉱山イベントでしょうか? 一獲千金チャンスというのがありましたよね」
「そんなイベントまで用意されているんだ。一体どれだけイベントが詰まっているんだ」
「確か1000種類は軽く用意されているはずですよ」
「そんなに! これはいつまで経っても終わらないかな」
「でもゴールまで残り50マスもないよ?」
「そういうことじゃないんだよね。って全然戻ってこないね、シルヴィたち」
とか言っていると扉が開いた。
どうやら2人が戻ってきたみたいだ。ボードゲームをしながら出迎えると、シルヴィアの形相が浮かんでいた。
「ちょっと、窓が白くなっているんだけどどういうこと!」
「フェリスさんも混乱していましたよ」
ニャー
フェリスが怯えながら鳴いた。初見だと誰でもそうなるが、ライラックたちは既に知っているのでまるで驚く様子もなく、サイコロを振っていた。
「そっかー。おっ、3が出た。やったイベントマスだ!」
「よかったですね。これで鉱山イベントが来れば……」
「ダメだー、深海短剣イベントだよー。でも未知の炭酸ガスを発見、賞を貰うって買うてある」
「賞状イベントですね。最後にボーナスで加点されるんですよ」
「そう言えば幸福度だもんね、このゲームの勝敗」
「はい。ですがサイコロの運だけで幸福を測るのはどうなのでしょうか?」
「そこはゲームだから」
「そうですね……シルヴィアさん、どうしましたか?」
シルヴィアがイライラしていた。拳を強く握りしめ、テーブルに近づくと、せっかく遊んでいたボードゲームをひっくり返した。
「いつまでやっているのよ!」
「おっと!」
「危ないなー」
「ゲームが中断したらどうするんですか」
ボードゲームがひっくり返されるタイミングで乗っていたコマをライラックが糸で回収した。ボードゲーム本体も《星の銃》でブルースターが支える。床すれすれで変な形になって停滞していた。絶対にこんな使い方じゃない。
ルカもルカで説明書や何やらが飛び散らないように空間に壁を作り受け止める。
ここにいる面々はみんな異次元だった。
「わかったよー。じゃあこの続きはまた今度ねー」
「そうだね。それでシルヴィたちはどうだった?」
「どうって……ねえ」
「はい。白い服を着た奇妙な方々がお2人ほど徘徊されていました」
「徘徊って……どこも一緒だね」
「そうみたいだねー。これで敵の行動パターンもあらかた割れたかなー」
「ですが情報が圧倒的に足りていませんね。困りました」
ブルースターは見るからに落胆する。
まだまだ敵の素性は掴めないが、ある程度目的ははっきりしている。
とは言え動物を殺しているのに獣人が味方しているのは妙な話だ。
それだけバルトラに価値があるのだろうか? ルカは首を捻ってしまい、ダリアに心配される。
「大丈夫ですか、ルカさん?」
「うん。ちょっと考え事をしていて」
「考え事もいいけどさー、やっぱり情報が足りないんだよねー。敵の拠点もわからないしー」
「それでしたら私わかりますよ。この地図の×マークこの中心にある建物がわかりますか?」
「これは……教会?」
「そうです。彼らはこの教会の地下に自分たちの宗教を広める形で何かしらの工作活動をしているんです」
「結構物騒なことをするのね。でも地下って……」
「常套句だよー。とにかくここに行ってみるかしないかなー」
ライラックにしては珍しい発言だ。
だけどそれはつまるところ興味が湧いていることになる。ルカは危険ではあるが、ライラックとならできそうと踏んで提案してみることにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
164
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる