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悪魔教会編
163.古い教会
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黒猫は細い路地もものともせずスタスタと飛び越えてしまう。
振り返ってみるとルカの姿はなく、猫は『ほら見ろニャ』と鳴いていた。
鼻っから信じていなかったのは警戒心が強いからだろう。
『やっぱり人間何て信じるべきじゃないニャ』
「酷いこと言うね。でも悪い人間もたくさんいるよ」
『ニャニャァ!』
黒猫は驚いて飛び跳ねる。背後にはルカが立っており、悠々としていた。
黒猫が離れてからそんなに時間は経っていない。
にもかかわらずルカの方が先に目的地に付いていることが不気味で仕方ないのだ。
『いつの間に移動したのニャ! お前は化け物かニャ』
「化け物は流石に言いすぎだよ。それに私は変なことは何もしていないからね」
『どういうことニャ。説明してみるニャ!』
説明と言われても難しい。この魔術はルカの得意とする時空系魔法の応用によって編み出された魔術だ。
この魔術の名前は《ショートゲート》。壁や地面に時空の歪みを生じさせることで、壁の1枚や2枚ぐらいは易々とすり抜けることができるものだ。
ルカは必死に言葉を繋ぎ、無理やりにでもわかりやすく説明を心掛けた。
けれど残念ながら、黒猫には一蹴されてしまう。
『そんなの意味がわからないのニャ』
「だろうね。正直説明なんかに時間を当てるよりも、私は後ろの建物について気になるよ」
ルカは親指を後ろに立て、背後に立つ巨大な建物を見つめた。
どうやら教会のようだがかなり古ぼけている。青カビに浸食されたり苔むしていて、神聖な体は何処にもない。完全に廃墟だ。
ルカ自身教会は千年前から見てきたが、手入れの有無でここまで変貌を遂げてしまうのは全く嘆かわしい。とは言え興味はないのだが。
「ここが例の教会だね。ってことはブルースターがいるの?」
『知らないニャ』
「知らないの? 知っているからここに連れてきたんじゃないの?」
『いる時はいるしいない時はいないのニャ。ブルースターは 時々何処かに出かけるのニャ』
「出かける……じゃあ魔力を辿ればいいのか」
ルカは地面に手を添えた。意識を集中し、この町を流れる魔力に意識をアクセスする。
地脈の流れを利用して絶えず流れ続けている魔力の本流に触れることでたまに持って行かれそうになる。
けれど久しぶりに使うと、体中がポカポカして気持ちがいい。
『何馬鹿なことをしているのニャ』
「猫なのにニャアニャア語尾付けている方が馬鹿でしょ」
『その方が人間に媚が売りやすいのニャ」
「あはは。それ言っちゃうんだね……どうして人間が嫌いなの?」
ルカは黒猫に尋ねてみた。
しかし訝しい表情を浮かべていて、放してくれそうにない。
けれどルカは視線だけは動かさず、黒猫が話をしてくれるのを待った。
「話してくれないの?」
『……人間は私の仲間をたくさん殺したニャ』
「殺した? そう言えば最近野良猫を見かけない気がするけど……何かあったの?」
『あいつらは猫を捕まえているのにゃ。猫だけじゃなくて動物なら何でも、人間だって集めているんだニャ』
「人間を集める? 何だか嫌な予感がするんだけど」
『そんなの最初から知っているニャ』
黒猫は呆れていた。だけどルカにとって、既に意識は別のところにある。
ブルースターが学校に来ていないことと野良猫が消えていること。二つには繋がりがあるはずだ。
どうしてブルースターなのか、プラネットの因縁と掛け合わせてみても謎が深まるが、少なくとも今考えるべきは……
「誰か来たね」
ルカは気配を読み取ると、物陰に隠れて動かない少女を見つける。
修道服が少しだけはみ出していたので簡単に見抜くことができた。
ルカはスッと立ち上がり近づいていくと、そこにいたのは青い瞳を持つ少女。
ブルースター・プラネットが身を小さく屈めて隠れていたのだ。
振り返ってみるとルカの姿はなく、猫は『ほら見ろニャ』と鳴いていた。
鼻っから信じていなかったのは警戒心が強いからだろう。
『やっぱり人間何て信じるべきじゃないニャ』
「酷いこと言うね。でも悪い人間もたくさんいるよ」
『ニャニャァ!』
黒猫は驚いて飛び跳ねる。背後にはルカが立っており、悠々としていた。
黒猫が離れてからそんなに時間は経っていない。
にもかかわらずルカの方が先に目的地に付いていることが不気味で仕方ないのだ。
『いつの間に移動したのニャ! お前は化け物かニャ』
「化け物は流石に言いすぎだよ。それに私は変なことは何もしていないからね」
『どういうことニャ。説明してみるニャ!』
説明と言われても難しい。この魔術はルカの得意とする時空系魔法の応用によって編み出された魔術だ。
この魔術の名前は《ショートゲート》。壁や地面に時空の歪みを生じさせることで、壁の1枚や2枚ぐらいは易々とすり抜けることができるものだ。
ルカは必死に言葉を繋ぎ、無理やりにでもわかりやすく説明を心掛けた。
けれど残念ながら、黒猫には一蹴されてしまう。
『そんなの意味がわからないのニャ』
「だろうね。正直説明なんかに時間を当てるよりも、私は後ろの建物について気になるよ」
ルカは親指を後ろに立て、背後に立つ巨大な建物を見つめた。
どうやら教会のようだがかなり古ぼけている。青カビに浸食されたり苔むしていて、神聖な体は何処にもない。完全に廃墟だ。
ルカ自身教会は千年前から見てきたが、手入れの有無でここまで変貌を遂げてしまうのは全く嘆かわしい。とは言え興味はないのだが。
「ここが例の教会だね。ってことはブルースターがいるの?」
『知らないニャ』
「知らないの? 知っているからここに連れてきたんじゃないの?」
『いる時はいるしいない時はいないのニャ。ブルースターは 時々何処かに出かけるのニャ』
「出かける……じゃあ魔力を辿ればいいのか」
ルカは地面に手を添えた。意識を集中し、この町を流れる魔力に意識をアクセスする。
地脈の流れを利用して絶えず流れ続けている魔力の本流に触れることでたまに持って行かれそうになる。
けれど久しぶりに使うと、体中がポカポカして気持ちがいい。
『何馬鹿なことをしているのニャ』
「猫なのにニャアニャア語尾付けている方が馬鹿でしょ」
『その方が人間に媚が売りやすいのニャ」
「あはは。それ言っちゃうんだね……どうして人間が嫌いなの?」
ルカは黒猫に尋ねてみた。
しかし訝しい表情を浮かべていて、放してくれそうにない。
けれどルカは視線だけは動かさず、黒猫が話をしてくれるのを待った。
「話してくれないの?」
『……人間は私の仲間をたくさん殺したニャ』
「殺した? そう言えば最近野良猫を見かけない気がするけど……何かあったの?」
『あいつらは猫を捕まえているのにゃ。猫だけじゃなくて動物なら何でも、人間だって集めているんだニャ』
「人間を集める? 何だか嫌な予感がするんだけど」
『そんなの最初から知っているニャ』
黒猫は呆れていた。だけどルカにとって、既に意識は別のところにある。
ブルースターが学校に来ていないことと野良猫が消えていること。二つには繋がりがあるはずだ。
どうしてブルースターなのか、プラネットの因縁と掛け合わせてみても謎が深まるが、少なくとも今考えるべきは……
「誰か来たね」
ルカは気配を読み取ると、物陰に隠れて動かない少女を見つける。
修道服が少しだけはみ出していたので簡単に見抜くことができた。
ルカはスッと立ち上がり近づいていくと、そこにいたのは青い瞳を持つ少女。
ブルースター・プラネットが身を小さく屈めて隠れていたのだ。
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