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鉱石編

131.アルティマの呪い

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 ルカ達は困ったことの直面していた。
 未だに森の中を彷徨っている。
 如何してこんなことになったのだろうかと、少し前の記憶を呼び起こす。


 アルティマフレアをダリアに返したルカ。
 赤くて小さな石ころだけど、触れているだけで温もりを感じる。
 その温もりは時に世界を破壊する爆弾になるが、ルカから受け取ったダリアはそのことを思い出して手が震える。

「あ、あの。ルカさん、このアルティマフレアって酸性に弱いんですよね」
「うん。衝撃にも弱いから注意してね」
「確か少しの衝撃でも大変なことになるのよね。有名な話だけで、大陸の半分が消滅するぐらいだって。そんなのただの噂よね」

 シルヴィアは笑っていた。
 笑いながら話すのは信じていない証拠だ。
 しかしここはルカなりの優しさを見せる。

「うん、本当だよ。正確には大陸半分に加えて海があったらその水蒸気を糧にして水素爆発を起こす危険な石だよ」
「えっ!?」
「だから本当なんだって。だからダリア、絶対に落としたら駄目だよ。拾った時点でアウトなんだから、有効活用してあげないとね」
「「「……」」」

 3人はその場で固まってしまった。
 ルカの話が嘘か真か、真偽は定かではない。
 ただ、ルカの表情から察するに嘘をついているような様子はなく、ジョークで済ませられるような甘いものではなかった。

「ほら何してるの。早く行かないと、遅れちゃうよ」

 ルカは3人を急かした。
 シルヴィアはじっとしていても仕方ないので、アルティマフレアをハンカチで包み鞄の一番奥に入れる。
 ルカが持っていた方が安全なのだが、責任を負いたくはない。
 それにどうせ回収するだろうと高をくくっていた。だけどこれが問題だった。

「ねえ、さっきから何かに狙われている気がするんだけど……」
「だよねだよねー。カラスか何かかな?」
「カラス? アルティマフレアを狙っているんだよ」
「如何してよ。落としたら大変なことになるんでしょ! それにハンカチに包んでいるのに」

 シルヴィアが困惑した。
 視線を配ると、木の葉の中に2つの頭を持つカラスがいる。
 ツインヘッド・クロウだ。

「ツインヘッドはマズいかな。赤外線が見えるから、ハンカチの中のアルティマを見つけられたのかも」
「今からでも異空間に隠せないのー?」
「流石に無理。入れる瞬間を掠め取られる……弱ったな。ダリア、アルティマ欲しい?」

 ルカはダリアに尋ねた。
 しかしダリアはルカに任せると、シルヴィアからアルティマフレアを受け取って走り出した。

「ちょっとルカ何処行くのよ!」
「温泉の中に戻してくる。そうすれば酸化して溶けだして、中の魔力が融点を越えずに消滅するはずだから」

 難しい話しでライラックとダリアはついて行けなかった。
 シルヴィアも何とか話を理解したが、頭の上スレスレをツインヘッド・クロウが飛んでいく。

「うわぁ!」
「あはは、やっぱりシルヴィアって運がいいよね」
「笑いどころじゃないわよ!」

 ライラックはシルヴィアを煽った。
 ダリアは微笑ましく思い笑っていたがルカのことが気になって追いかけることに必死になった。

「私追いかけますね」
「ちょっとダリア! ルカは大丈夫だって」
「いいじゃんかー。まだ時間があるし、追いかけてみようよ。結構速いから気を付けてね」

 ライラックも走って行ってしまう。
 いつもはダラダラしているのに今日のライラックは一味も二味も生き生きしていた。
 如何してか腑に落ちないシルヴィアだったが、洞窟探検では役に立てなかったこともあり、自分も追いかけることにする。

「仕方ないわね。こういう時こそ、大人的対応する子が必要よね」

 シルヴィアは自分を殺した。 
 ルカのことを真っ直ぐに追いかけるダリアと子供のようなライラックを制御するため、全力で風を味方に付ける。
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