53 / 536
魔術運動会編1
53.練習風景①
しおりを挟む
ルカがクラスメイト達から称賛される中、中庭では、クラスメイトたちが、運動会に向けて練習をしていた。
そもそも、運動会の競技とは一体何なのか。ルカはまだ知らなかった。
そこで、
「見てよルカ。皆んな頑張ってるよ」
「うん。頑張ってるのはいいけど、あれは何をしてるの?」
「何って、玉入れよ?」
シルヴィアはルカを連れて中庭にやって来た。
そこにいたのはクラスの代表たち。
運動能力に優れ、剛腕で戦うギルレス。彼は《ブースト》が上手く、頼りになる存在。それこそ、アタッカーです。
「ギルレス、これ頼んだよ」
「任せてくれ。おんどりゃぁ!」
うちのクラスのスピードスター、アレックス。
彼は、《ソニック》や《アクセル》などの、スピード系の魔術が得意で、高速詠唱を得意とする。
「じゃあ僕は、次の玉を回収してくるから。こっちは頼むよ。ビビュン!」
「任せておいて。《ツインバレル》!」
アレックスから受け取った玉を、餅みたいにくっつけた。
それを放り投げる少女は、ペタン。両腕に装填した玉をまるで樽を抱えるみたいに投飛ばして、一気に籠の中に叩き込む。
ネットが急激な重さを受けて倒れそうになるが、それを支えるもう一人の力自慢、
「ゴス!」
「いいよいいよ、ゴレイン。じゃあ僕も、そりゃ!」
小柄な獣人の少年は、大柄な少年の肩を借りて跳んだ。すると、玉を押し出すようにしながら、次々に籠の中に叩き込む。
その間大柄な少年はその横に広がったガタイのいい体を利用して、皆んなを支える。
二人の少年は、ゴレインと、マーチス。とても仲が良かった。
しかし、ルカはこの状況を茫然と眺めていた。
何故なら、ルカはこの競技を含めて概要を知らないまま、さらには初見で見ていた。
「これって、何をしたらいいの?」
「何って、見たら分かるでしょ?」
「そうかな?」
「そうでしょ? あの籠の中にたくさん入れたら勝ちなのよ」
それを聞いて、ルカはこう思った。それこそ、元も子もないようなくだらない発想だったので、自重する。
「じゃあ普通に手で持って投げれば……」
「馬鹿ね。あの玉、一つ一つが一キロぐらいあって、おまけに本番はもっと高い位置なのよ? 距離も離されるし、魔術を使わないと」
「そうかな?」
ルカは聞き分けが悪かった。
何故なのか。その理由は実際に見せれば、判るだろう。それこそルカは、少ししゃがみ込んで、
「要するに、遠い位置から投げて、さらには一つ一つが少し重たい。安全を考慮した結果、そうすることにしたってことでしょ?」
「そうよ」
「でも素手で投げる行為は許されている。ってことはつまり、手のひらに集める魔力や、腰や足の軽減に使う魔力は必要ないってことだよね」
「そ、それはそうだけど……」
「じゃあこれでよくない。ほい」
ルカは落ちていた玉を拾い上げる。しかも軽々とと言った感じで、手の中には三つの玉が重さの概念を吹き飛ばして、持たれていた。それから何をするのかと思えば、軽々と投げ、同時に投げたことで、空気圧で、玉が一つになっていて、そのまま投げていた。
しかも入らないわけがない。
ルカの投げた玉は、皆んながやっている距離よりもかなり遠い距離から、投げたにもかかわらず簡単に入っていた。
「う、嘘でしょ?」
「ね、言ったとおりでしょ?」
「な、何か魔術を使ったのよね?」
「ううん、筋力と気合と、呼吸法?」
まるで武闘家の言い方。
それこそ、ルカは魔法だけではない、生き残るために、武術ではないが、独自の呼吸法を編み出していた。
それこそが、
「呼吸法?」
「うん。基本的な精神の統一化や、呼吸のリズム、筋力の使い方に、あえて魔力を絶つことかな」
「そ、そんな無茶苦茶な。それじゃあ魔術師って」
「言わないよねー」
ライラックが締めに入った。それを聞いてシルヴィアは落胆して溜息を吐いていた。それこそ、大きくだ。
しかし肝心のルカは、なんてことのない感じで、動揺すらしないんだ。
そもそも、運動会の競技とは一体何なのか。ルカはまだ知らなかった。
そこで、
「見てよルカ。皆んな頑張ってるよ」
「うん。頑張ってるのはいいけど、あれは何をしてるの?」
「何って、玉入れよ?」
シルヴィアはルカを連れて中庭にやって来た。
そこにいたのはクラスの代表たち。
運動能力に優れ、剛腕で戦うギルレス。彼は《ブースト》が上手く、頼りになる存在。それこそ、アタッカーです。
「ギルレス、これ頼んだよ」
「任せてくれ。おんどりゃぁ!」
うちのクラスのスピードスター、アレックス。
彼は、《ソニック》や《アクセル》などの、スピード系の魔術が得意で、高速詠唱を得意とする。
「じゃあ僕は、次の玉を回収してくるから。こっちは頼むよ。ビビュン!」
「任せておいて。《ツインバレル》!」
アレックスから受け取った玉を、餅みたいにくっつけた。
それを放り投げる少女は、ペタン。両腕に装填した玉をまるで樽を抱えるみたいに投飛ばして、一気に籠の中に叩き込む。
ネットが急激な重さを受けて倒れそうになるが、それを支えるもう一人の力自慢、
「ゴス!」
「いいよいいよ、ゴレイン。じゃあ僕も、そりゃ!」
小柄な獣人の少年は、大柄な少年の肩を借りて跳んだ。すると、玉を押し出すようにしながら、次々に籠の中に叩き込む。
その間大柄な少年はその横に広がったガタイのいい体を利用して、皆んなを支える。
二人の少年は、ゴレインと、マーチス。とても仲が良かった。
しかし、ルカはこの状況を茫然と眺めていた。
何故なら、ルカはこの競技を含めて概要を知らないまま、さらには初見で見ていた。
「これって、何をしたらいいの?」
「何って、見たら分かるでしょ?」
「そうかな?」
「そうでしょ? あの籠の中にたくさん入れたら勝ちなのよ」
それを聞いて、ルカはこう思った。それこそ、元も子もないようなくだらない発想だったので、自重する。
「じゃあ普通に手で持って投げれば……」
「馬鹿ね。あの玉、一つ一つが一キロぐらいあって、おまけに本番はもっと高い位置なのよ? 距離も離されるし、魔術を使わないと」
「そうかな?」
ルカは聞き分けが悪かった。
何故なのか。その理由は実際に見せれば、判るだろう。それこそルカは、少ししゃがみ込んで、
「要するに、遠い位置から投げて、さらには一つ一つが少し重たい。安全を考慮した結果、そうすることにしたってことでしょ?」
「そうよ」
「でも素手で投げる行為は許されている。ってことはつまり、手のひらに集める魔力や、腰や足の軽減に使う魔力は必要ないってことだよね」
「そ、それはそうだけど……」
「じゃあこれでよくない。ほい」
ルカは落ちていた玉を拾い上げる。しかも軽々とと言った感じで、手の中には三つの玉が重さの概念を吹き飛ばして、持たれていた。それから何をするのかと思えば、軽々と投げ、同時に投げたことで、空気圧で、玉が一つになっていて、そのまま投げていた。
しかも入らないわけがない。
ルカの投げた玉は、皆んながやっている距離よりもかなり遠い距離から、投げたにもかかわらず簡単に入っていた。
「う、嘘でしょ?」
「ね、言ったとおりでしょ?」
「な、何か魔術を使ったのよね?」
「ううん、筋力と気合と、呼吸法?」
まるで武闘家の言い方。
それこそ、ルカは魔法だけではない、生き残るために、武術ではないが、独自の呼吸法を編み出していた。
それこそが、
「呼吸法?」
「うん。基本的な精神の統一化や、呼吸のリズム、筋力の使い方に、あえて魔力を絶つことかな」
「そ、そんな無茶苦茶な。それじゃあ魔術師って」
「言わないよねー」
ライラックが締めに入った。それを聞いてシルヴィアは落胆して溜息を吐いていた。それこそ、大きくだ。
しかし肝心のルカは、なんてことのない感じで、動揺すらしないんだ。
10
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。
SHEILA
ファンタジー
ベイリンガル侯爵家唯一の姫として生まれたエレノア・ベイリンガルは、前世の記憶を持つ転生者で、侯爵領はエレノアの転生知識チートで、とんでもないことになっていた。
そんなエレノアには、本人も家族も嫌々ながら、国から強制的に婚約を結ばされた婚約者がいた。
国内で領地を持つすべての貴族が王城に集まる「豊穣の宴」の席で、エレノアは婚約者である第一王子のゲイルに、異世界から転移してきた聖女との真実の愛を見つけたからと、婚約破棄を言い渡される。
ゲイルはエレノアを聖女を騙る詐欺師だと糾弾し、エレノアには国外追放を、ベイリンガル侯爵家にはお家取り潰しを言い渡した。
お読みいただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる