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シルヴィアの休日

41.シルヴィアの休日④

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 変なものを食べさせられた。
 この町はおかしくない。このお店が行政違反を犯していた。

 深く気を落としたシルヴィアを、労おうとして、ライラックは辺りを探し始める。
 すると、シルヴィアの好きそうなお店を見つけた。
 それは通りの向こう側にある、人気の少ない、小さな青屋根のお店だった。

 ライラックはポン!と手を叩き、シルヴィアの肩を、ツンツンしていた。
 すると、シルヴィアはライラックにつまらなそうな顔をする。
 十五歳の少女らしく、思春期だった。

「シルヴィ、あのお店行ってみないー?」
「あの店? ええ、いいわよ」
「オッケー。じゃあ、早速行ってみようかー」

 シルヴィアはライラックに腕を掴まれて、青屋根のお店に連れていかれた。

「ちょっと、ライ!」
「ほら、早く早く」

 青屋根のお店。
 そこにあったのは、小さな古書店だった。
 ライラックはよく知っている。シルヴィアは喜んで、口を開ける。
 そう、ライラックは本を読むのは嫌いだけど、勉強が好きなシルヴィアは真逆で、こういうのを見ると、燃えるたち。
 その中でも、魔導書は大好物だった。
 現に、シルヴィアは……

「このお店、結構古い本が多いわね」
「よかったー。喜んでもらえて」

 ライラックはホッとする。

「ほら、ライ。早速行くわよ」
「はいはい。やっぱり、シルヴィはこうでないとねー」

 ライラックは呆れてしまう。
 すると、シルヴィアはライラックに振り返り、

「ほら何してるのよ!」
「はいはい」

 ライラックはやっぱり呆れ気味。
 一緒になって、青い屋根の古本屋に入店した。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 二人は青い屋根のある、小さな古本屋に入店した。
 するとそこには、

「「うわぁー!」」

 二人は瞬きを繰り返す。
 ありえない大きさの本棚が、ぎっしり詰まっていた。
 何回瞬きをしても、そこには確かに本棚だらけで、遠くのカウンターが思った以上に遠い。

「なんか、遠近感が……」
「しっ。そう言うこと言わないの」

 変な雰囲気になる前に、シルヴィアがライラックの口を塞ぐ。
 その足で、本棚を見て回ると、結構古い本が、かなり安価な値段で売られていた。

 ライラックも退屈を紛らわすために、さんざん見て回ると、一冊気になる本があった。

「これ……」
「ライ? なにその本」

 ライラックが手にしていたのは、図鑑のようなものだった。
 解説付きの本らしく、中に書いてある内容を見ようと覗き込むが、そこにあったのは、色褪せた独特な紙の本。
 東の方の国々で昔から使われている、水に強い和紙と言う素材だった。
 それにしても古そう。
 作者の名前も分からなくて、それにしては結構する。

 だけど気になる内容は、ライラックが食いつくもので、東の島国で伝えある伝説の暗殺者、忍者に付いてや暗具について書かれていた。
 かなり珍しいジャンルで、コアのタイプだった。
 肝心のライラックは食い入るようだったけど、きっと買うんだろう。

 話しかけても無駄だと悟り、シルヴィアは少し奥の方に行ってみた。
 するとまだまだ珍しい古書の山が並んでいて、その中には有名なものや魔導書のレプリカまであった。
 その品数に圧巻させられる。

「へぇー、かなりの量が置いてあるのね」

 ぼーっとしながら、眺めているとその棚の中から、何冊か興味を惹くものがあった。
 シルヴィアは少し迷ってから手に取ると、中をぱらっと見てみる。

「えーっと、うわぁ! これ、魔導書だ。しかも本物」

 それは結構な値が付きそうな魔導書だった。
 しかも本物だったことに目を見開いて、驚くと風の魔術の記述が多かった。
 しかしそこに書いてあるのは昔、シルヴィアがまだ幼い頃に出会った人から教えてもらった内容で、本の背表紙にはその人の名前があった。

「これ、師匠のだ。絶対買おう」

 師匠は魔導書を書かない。
 だからこれはかなり希少なもので、しかもよく見ていけば、魔法のことも書いてあった。
 シルヴィアは迷うことなく、即決し、残った本も読んでいく。
 しかし、

「この本、私には読めないわ。ルカなら……読めるかもしれないわね。よし、買っていきましょう」

 そう口にした。
 買うものを決め、ライラックに合流すると、一緒になってカウンターに行く。
 そこにいたお爺さんからは、こう念押しして言われた。
 何だか念が強い。

「大切にするんじゃぞ。若いもんたち」
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