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シルヴィアの休日

40.シルヴィアの休日③

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 シルヴィアたちは、アルカード魔術学校に、注文したものを送ることにした。
 流石に重すぎるからだ。
 けど、これでやるべきことを終わった。

「ふあー、終わったね」
「終わったって。ライは何もしていないでしょ!」
「む!?」

 シルヴィアはライラックにそう言いつけた。
 でも言い返せない。何せ、ここまでライラックは物を運んだだけ。しかも、シルヴィアと一緒で、基本的に何もしていないんだ。
 すると、シルヴィアは気を変えて、

「でも、助かったわ」
「なにが?」
「何がって。ライのおかげで早く終わったのよ。ありがとう、ライ」
「はいはい」

 シルヴィアはライラックを褒めた。
 するとライラックは、目を丸くする。
 だけど、流石のライラックもこんなことでにやけたりしない。
 だって、ライラックはシルヴィアのことが嫌いではない。
 それを抜きにした親友だった。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 時刻は正午。
 シルヴィアたちは、ちょっとよさそうなレストランでご飯を食べることにした。
 しかし、ちょっぴり高かった。

「結構するわね」
「そうだねー。如何する?」
「私はこのサンドイッチにするわ」
「じゃあハンバーガーにしょうかなー」

 二人は思い思いに注文した。
 値段に気を配りつつ。
 高級な装い。ホールを回る、ウエイトレスたち。

 その笑顔は作り笑いを張り付けたみたいで、シルヴィアたちは顔を顰める。
 何せ負の感情を直に浴びた身だ。
 この程度であれ、気を張っている様子と、高級な宝石を身に着けたアクセサリーが嫌だった。

「見てよあれ。こってりな揚げ物だよ」
「おまけに高そうだよ」

 シルヴィアたちは偏見だった。
 しかしいざ運ばれてきた料理を口にした途端、下をビリリと電気が走る。

「なにこれ。うへぇ!」
「がはぁがはぁ! ま、マズい」
「こら。そんなことお店の中で言っちゃ駄目でしょ。この町で一番の人気店なのよ」
「でもさー」

 二人は目を真っ赤にしていた。
 しかし周りのお客たちは満足そう。

「本当に味がわかってるのかしら?」
「見てよシルヴィ」

 ライラックはシルヴィアの服の袖を引っ張る。
 すると顔を顰めていた。
 ハンバーガーの中身を見せ、包装紙を解くと、中にはへんてこな草が入っていた。
 これは香草だ。

「シルヴィ。これって、前にルカが言ってた」
「まやかし草? これって、嘘でしょ!」
「いや、マジみたいだよー」

 シルヴィアたちが目を見開くのも無理はない。
 すると、急に気持ち悪くなる。
 何せこの草。魔力の耐性がないと、すぐに暗示にかかる凶悪な香草で、毒草だった。
 つまり香草と言う名の、麻薬だ。

 そのことに気が付いた、シルヴィアは一言文句を言いに行こうとした。
 こんなもの食べちゃ駄目なのに。
 法律違反だ。

「料理長は何をしているのかしら!」
「やめときなよ、シルヴィ」
「何でよ。だって、こんなの!」
「無駄だよ。それより、早く行こ」

 ライラックは気づいていた。
 こんなもの、何の役にも立たない。

 証拠が証拠になっていない。
 監査が入っても、その時に入っていなかったら、意味がないんだ。

 だからこそ、ライラックの判断は依然として正しく。
 シルヴィアを連れて、急いで出た。

 食べかけのものは吐き出して、すぐに口をすすぐ。
 それからお店を一睨みした。
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