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17話 モンスターを狩りに行こう
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俺はラウリィを受け入れることにした。
とは言っても、別にHな意味じゃない。
単純に、ラウリィを俺なりに従者として雇うことにしたのだ。
(とは言っても、ラウリィは貴族。しかもストチュール子爵の三女って、ヤバくないか?)
何度考えても俺は頭がおかしくなりそうだった。
正直、簡単には受け入れることはできない。
モヤモヤとした気持ちにさせられると、ラウリィの今後を一任できないので、とりあえず話してみた。
「ラウリィはどうしたい?」
「どうしたいですか? 私はヒジリさんと一緒にいたいです」
「あー、そういうことじゃないんだけど。ラウリィはなにかしたいことがある?」
俺はラウリィに単純思考で訊ねていた。
もはや俺が考える余地はない。
なにせ従者として雇ったはいいものの、正直俺一人で手に余っている。
(ラウリィがこんなボロ小屋に住むなんてなー。絶対知らないんだろうけど、バレたらミレイユとスフロにぶち殺されそう……おお、怖い)
全身が身震いしてしまった。
その姿にラウリィは鳥肌を立たせると、心配した様子で立ち上がる。
「大丈夫ですか、ヒジリさん!」
「大丈夫だよ。ところでラウリィは何処に住むの?」
「えっ、ここじゃダメですか?」
「ダメじゃないけど、やっぱり同棲だよ、それ?」
「は、はい。覚悟はできています!」
覚悟なんてして欲しくない。むしろそんなもの要らない。
俺は何もする気はないし、変な気を起こしたりしない。
何せこの体は借り物だ。結局はゲームのアバターで、異世界に転生とは言っても、色々人間としておかしい所があった。
(キマってるな、ラウリィ。本当、純粋だよ)
こんな純粋な子を俺みたいな得体のしれない奴の所に寄こしても良かったのか不安になる。
けれど今となっては考えても遅い。
頭を悩まされているのはしつこいので、やることを決めて行こう。
「とりあえず今日の晩ご飯を調達しに行こう」
「夕食ですね。料理なら任せてください!」
「へぇー、やったことあるんだ」
「貴族でも料理の一つくらいはできるんです。簡単なものですけどね」
ラウリィは自信満々に笑みを浮かべる。
俺は意外な一面を見れるのではないかと思い、少しワクワクしていた。
しかしそのためには食材が足りない。幸いこの土地は痩せているが、俺の【固有魔法:付与】のおかげで簡単な野菜は育てられている。
「それじゃあ俺はモンスターを狩って来るよ。その肉を食べるけど、大丈夫?」
「が、頑張ります。モンスターのお肉、怖いですね」
ラウリィは緊張した表情を浮かべている。
それも仕方の無いことで、モンスターの肉を食べて、腹を壊すかもしれない。
そんな恐怖心と好奇心に苛まれると、ラウリィはゆっくりと立ち上がる。
「あ、あの、ヒジリさん!」
「なに?」
「実はもう一つお願いしたいことがあるんです」
「お願い? うーんと、調理器具は一通り揃っているけど」
「それは嬉しいです。ですがそれじゃないです。私もヒジリさんの狩りに同行させてください」
ラウリぃは意外なことを言った。
俺は驚いてしまい、目を丸くするも、理由は一目瞭然。
ラウリィは脚を震わせていて、完全にビビっていた。
にもかかわらず狩りに同行するなんて意思を持つのは変わり者だった。
「狩りに行くの? ラウリィが?」
「は、はい。私、ヒジリさんみたいに強くなりたいんです。ですので、その、ヒジリさんの剣技をもっと近くで見させてください。お願いします。従者としてではなく、教えを乞うということでお願いします」
ラウリィはペコリと深いお辞儀をした。
頭のてっぺんを曝け出すと、震えた声ではあるが、それは堂々と自分の意見を言い放つ。社畜人生まっしぐらだった俺には到底できない荒業で、圧倒されてしまっていた。
「危険だけど、付いてくる?」
「はい!」
「死ぬかもしれないし、俺は別に剣技を教えられるほど強くも無いよ」
「構いません。少しでも近くで戦うヒジリさんを見たいんです。お願いします!」
ラウリィの意思は頑なに強い。
もはや解ける様子は無く、俺は人間が持つ意思の強さにも圧倒されてしまった。
ここは無碍にできない。俺を慕ってくれるのなら少しは応えることにした。
「分かった。だけど俺から距離を取りすぎないでね」
「ありがとうございます!」
ラウリィは晴れやかな笑みを浮かべると、俺の隣に擦り寄る。
妙に密着しているような気がするが、セクハラじゃないと信じたい。
やけに顔が火照る中、俺はラウリィを連れ、森の中でモンスター狩りをすることにした。
とは言っても、別にHな意味じゃない。
単純に、ラウリィを俺なりに従者として雇うことにしたのだ。
(とは言っても、ラウリィは貴族。しかもストチュール子爵の三女って、ヤバくないか?)
何度考えても俺は頭がおかしくなりそうだった。
正直、簡単には受け入れることはできない。
モヤモヤとした気持ちにさせられると、ラウリィの今後を一任できないので、とりあえず話してみた。
「ラウリィはどうしたい?」
「どうしたいですか? 私はヒジリさんと一緒にいたいです」
「あー、そういうことじゃないんだけど。ラウリィはなにかしたいことがある?」
俺はラウリィに単純思考で訊ねていた。
もはや俺が考える余地はない。
なにせ従者として雇ったはいいものの、正直俺一人で手に余っている。
(ラウリィがこんなボロ小屋に住むなんてなー。絶対知らないんだろうけど、バレたらミレイユとスフロにぶち殺されそう……おお、怖い)
全身が身震いしてしまった。
その姿にラウリィは鳥肌を立たせると、心配した様子で立ち上がる。
「大丈夫ですか、ヒジリさん!」
「大丈夫だよ。ところでラウリィは何処に住むの?」
「えっ、ここじゃダメですか?」
「ダメじゃないけど、やっぱり同棲だよ、それ?」
「は、はい。覚悟はできています!」
覚悟なんてして欲しくない。むしろそんなもの要らない。
俺は何もする気はないし、変な気を起こしたりしない。
何せこの体は借り物だ。結局はゲームのアバターで、異世界に転生とは言っても、色々人間としておかしい所があった。
(キマってるな、ラウリィ。本当、純粋だよ)
こんな純粋な子を俺みたいな得体のしれない奴の所に寄こしても良かったのか不安になる。
けれど今となっては考えても遅い。
頭を悩まされているのはしつこいので、やることを決めて行こう。
「とりあえず今日の晩ご飯を調達しに行こう」
「夕食ですね。料理なら任せてください!」
「へぇー、やったことあるんだ」
「貴族でも料理の一つくらいはできるんです。簡単なものですけどね」
ラウリィは自信満々に笑みを浮かべる。
俺は意外な一面を見れるのではないかと思い、少しワクワクしていた。
しかしそのためには食材が足りない。幸いこの土地は痩せているが、俺の【固有魔法:付与】のおかげで簡単な野菜は育てられている。
「それじゃあ俺はモンスターを狩って来るよ。その肉を食べるけど、大丈夫?」
「が、頑張ります。モンスターのお肉、怖いですね」
ラウリィは緊張した表情を浮かべている。
それも仕方の無いことで、モンスターの肉を食べて、腹を壊すかもしれない。
そんな恐怖心と好奇心に苛まれると、ラウリィはゆっくりと立ち上がる。
「あ、あの、ヒジリさん!」
「なに?」
「実はもう一つお願いしたいことがあるんです」
「お願い? うーんと、調理器具は一通り揃っているけど」
「それは嬉しいです。ですがそれじゃないです。私もヒジリさんの狩りに同行させてください」
ラウリぃは意外なことを言った。
俺は驚いてしまい、目を丸くするも、理由は一目瞭然。
ラウリィは脚を震わせていて、完全にビビっていた。
にもかかわらず狩りに同行するなんて意思を持つのは変わり者だった。
「狩りに行くの? ラウリィが?」
「は、はい。私、ヒジリさんみたいに強くなりたいんです。ですので、その、ヒジリさんの剣技をもっと近くで見させてください。お願いします。従者としてではなく、教えを乞うということでお願いします」
ラウリィはペコリと深いお辞儀をした。
頭のてっぺんを曝け出すと、震えた声ではあるが、それは堂々と自分の意見を言い放つ。社畜人生まっしぐらだった俺には到底できない荒業で、圧倒されてしまっていた。
「危険だけど、付いてくる?」
「はい!」
「死ぬかもしれないし、俺は別に剣技を教えられるほど強くも無いよ」
「構いません。少しでも近くで戦うヒジリさんを見たいんです。お願いします!」
ラウリィの意思は頑なに強い。
もはや解ける様子は無く、俺は人間が持つ意思の強さにも圧倒されてしまった。
ここは無碍にできない。俺を慕ってくれるのなら少しは応えることにした。
「分かった。だけど俺から距離を取りすぎないでね」
「ありがとうございます!」
ラウリィは晴れやかな笑みを浮かべると、俺の隣に擦り寄る。
妙に密着しているような気がするが、セクハラじゃないと信じたい。
やけに顔が火照る中、俺はラウリィを連れ、森の中でモンスター狩りをすることにした。
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