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◇552 VSボーンドラゴン3

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「アイツら、なにやってるんだ」
「私、ちゃんと離れなさいって言ったわよね?」
「ああ、ベルは確実に言った。まさか、生易しい手段で、ボーンドラゴンを倒せるとでも思ったのか?」
「バカね。モンスターの方が、基本的に強いこのゲームで、策もなく勝てる訳ないでしょ?」

 Nightとベルは悠々としていた。
 自分たちの役目を果たすと、早急に姿を隠す。
 ボーンドラゴンの視線から外れると、アキラたちの視線からも外れた。
 これで文句を言わせない。否、言わせる気さえなかった。

「けほっ、けほっけほっ!」
「酷い目に遭ったー」
「はい。ですが、間一髪の所で気が付けて良かったですね。もしもあの爆発に巻き込まれていたら……」
「木っ端微塵だったねー」
「うん。でもNightは、私たちが感覚で避けるって気が付いていた筈だよ。そうじゃなかったら、こんな勝算もない作戦、しないよ」

 アキラたちはなんとか爆発から逃れていた。
 ボーンドラゴンに命中した矢。
 その先端に巻かれていた白い布と、曲射の正体。
 どちらも爆発物が入っていたからで、アキラたちが逃げる時間を稼ぐための手段だった。

「とは言え、少しは余裕ができましたね」

 雷斬の言う通りではあった。
 背後には黒い噴煙が漂っている。
 その中にはボーンドラゴンが居て、訳も分からない攻撃に、慌てているのだろう。

 バーン! ガキュン。ドーンドンドン、バン、ドーン!!

 全身をのたうちまわる音がした。
 とは言え、薄っすら見えるHPバーは変わりない。
 もう自傷ダメージは受けてくれないようで、外部からの攻撃でなければ、話にもならない。

「二人の矢だけじゃ、全然足りないんだ」
「そうですね。狙いは良かった筈ですが」
「むーん、これじゃあいつまで経っても終わらないよー」

 フェルノは嘆いた。
 けれど膠着状態はいつまでもは続かない。
 仲間の応援も見込めない今、アキラたちが戦うしかない。
 それだけ残り時間も迫っていて、アキラたちは意識を切り替える。

「このままじゃイベントが終わっちゃう。なんとかしないとマズいよ」
「確かにそうですが……少々難しいですね」
「そうだよー。だって、落ちてるのコレだけだよ?」

 フェルノはそう言うと、床に落ちていた白い欠片を拾い上げる。
 何処からどう見ても、骨の一部だ。
 きっと爆発によって砕け散った、ボーンドラゴンの体の一部だろう。

「やっぱり骨のモンスターだから、柔らかいのかな?」
「そうかもねー。でも落ちてるの、コレだけだよ?」
「確かにそうですね。もしかすると、ボーンドラゴンの体はとても硬いのでしょうか?」
「骨なのにー? カルシウムどんだけ摂ってるのー? 牛乳ガブ飲み?」

 フェルノは冗談を言う。
 とは言え、それならそれで面白い。
 けれど何か引っかかる。あの爆発で、手に入ったのはボーンドラゴンの体の一部。
 しかも、もの凄く中途半端な部分で、アキラは首を捻る。

「ボンギャラララァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 すると噴煙が解かれた。
 中から暴れ狂うボーンドラゴンの姿がある。
 しかし先程よりも明らかに機嫌が悪く、同時に動きが鈍い……気がした。

「な、なに? 急にどうしたの!?」

 ボーンドラゴンは暴れ始めた。
 しかしその動きは明らかに敵意を向けている。
 体をしならせ、くねらせて、アキラたちを襲う。

「ボンギャラ! ギュンラァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 ボーンドラゴンは、動きが鈍かったが、鮮烈な攻撃を続けた。
 特にアキラを執拗に狙っている気がする。
 躱しながら、的確に違和感に気が付いた雷斬は、刀で攻撃を仕掛ける。

「どうしてでしょうか? ボーンドラゴンの攻撃が……それっ!」

 雷斬は違和感を確かめるべく、刀で攻撃した。
 するとボーンドラゴンに攻撃が当たる。
 硬い骨に弾かれてしまうが、それでも攻撃が通った。

「おっ、いいなー、雷斬。私もー、それっ!」

 フェルノも雷斬を見てか、拳を突き出す。
 硬い骨と骨の間に爪が突き刺さると、ボーンドラゴンは痛そうだ。
 HPも削れ、確実にボーンドラゴンにダメージを与えた。
 が、フェルノも違和感に気が付く。

「なーんか変だよねー。攻撃は当たってるけど……」
「そうですね、フェルノさん。もしかすると……」

 雷斬とフェルノは互いに目を見合わせ、アイコンタクトを取る。
 軽く頷き合い、ボーンドラゴンから距離を取る。
 するとボーンドラゴンは一切反撃する気が無く、むしろスルーした。
 確実に視界に入り、目障りだった筈なのに、外す時は気にも留めない。

「やはりですか」
「そうだねー。ボーンドラゴンはアキラにしか目が行ってない。っていうより……」
「なんで私だけ襲われるのー!」

 アキラはつい叫んでしまった。
 ボーンドラゴンはアキラにだけ興味を示す。
 執拗に付け狙い、何処までも追い続け、それを必死に躱す攻防が続いているのを、雷斬とフェルノは違和感に感じた。
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