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◇549 コアを守る龍
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アキラたちは体を窄めながら、横にした状態で、狭い隙間を潜り抜けた。
隠し通路を通り抜けるのと同じか、それよりも細い隙間だった。
流石にアキラたちも苦しい顔をするも、何とか隙間を通り抜ける。
「よいしょっと!」
アキラが隙間を通り抜けると、奥の空間に出るや否や、四つん這いになっていた。
腹を押し潰され、胸が痛い。
それでも何とか抜けると、Nightたちも続いていた。
「ふぅ、なんとかなったねー」
「いたた、腰が……」
「刀が引っかかってしまいましたが、無事ですよ」
「ふん。まさかこれだけしか開かないとはな。防御面でも一流か」
アキラたちは何とか壁を開けることに成功した。
簡単なロックで閉じられていただけで、突起を押しながら横に開くと、音を立てながら簡単に開いた。
けれどほんの数十センチしか開いてくれず、子供でも通り抜けるのは厳しかった。
それでも上手く乗り越えると、アキラたちは誰にも気が付かれず、奥の空間へとやって来た。
「ここは部屋のようだな」
「それに青白く光ってるよ。ちょっと眩しいね」
奥に開いていた空間は、大広間よりも更に広い部屋だった。
加えて、部屋中を照らすように、青白く光が眩しい。
不意に視界を狭め、瞼を閉じてしまいそうだ。
「この部屋が中枢部と言うことですよね?」
「そうだ。ここを先に落としたグループの勝ちになる」
「それじゃあ、この部屋の何処かに、勝利条件的なものがあるんだね」
「そう言うことだ。とはいえ、簡単に制圧できる気は……あっ、おい!」
Nightを中心に確認作業をしていた。
そんな中、フェルノは突然走り出す。
青白い光に導かれるがまま、むしろ引き寄せられる虫のように、部屋の奥へと走る。
「みんな、あの光、ちょっと変だよー」
フェルノはそんなことを言う。
確かに妙に眩しく、一つの光源だけで、充分に灯りを賄っている。
とは言え、別に変でも何でもない。
アキラたちは、フェルノの突飛な行動に振り回されつつも、部屋の奥へと向かった。
するとそこには気になる物が置いてある。
部屋の奥、真ん中に置かれた円形の装置。
岩を切り出したような台座には、細かな機械的な装飾が施されていて、その中央に青い巨大な球がクルクルと回っている。
「うわぁ、なんか凄い」
「コレはなんでしょうか? これまでの経験を踏まえますと、コアと呼ぶべきでしょうか?」
今までも似たようなものは何度も見て来た。
その経験からか、答えが分からなくても、何となくの想像ができる。
「恐らくはコアだろうな。コレが、この部屋の光源を全て担っている」
「確かに眩しいよね。おまけに熱い」
「熱を持っているんだな。この要塞を統べる中枢機関、とでも呼ぶべきか」
目の前の青い球の正体は、要塞のコア。
コアがあるから、要塞は存在できている。
つまり、コアの機能を停止させ、制圧してしまえば、第二フェーズのイベントは終了だ。
「それじゃあ簡単だよ―。早速壊そう!」
「おい、壊すのは早計だ。第一、無防備にコアだけが置かれているのも妙だろ」
「だけどさー、なーんにも襲ってこないよ?」
部屋に入った時点では何も起こらない。
コアに近付いても、何も襲って来ない。
安全が確保されている? 全身を鳥肌が駆けた。
「なんか今、ブルってなったけど」
「フェルノ、あからさまなフラグ立てないで!」
「ごめんごめーん。んじゃ、【吸炎竜化】!」
フェルノ武装した。
全身を〈ファイアドレイク〉で武装すると、鋭い爪を尖らせる。
圧倒的な光源から発せられる熱さえ、簡単に受け流すと、拳で粉々にしようとした。
「せーのっ!」
フェルノの右ストレートが炸裂。
放たれると、コアを粉々に出来そう。
だったけれど、拳は届く前で、急に部屋の中が地震でも起きたみたいに揺れ出す。
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
「う、うわぁ!?」
「な、なにこれ。今までの地響きと全然……」
「皆さん落ち着いてください。動かず、冷静に、揺れが収まるまでしゃがんで待ってください」
雷斬の冷静な判断に、誰も文句はない。
その場にしゃがみ込み、揺れが収まるのをジッと待つ。
するとものの十秒程で、揺れは収まってくれた。
なんだったのか? そう思ったのも矢先、急に地面が割れ、中から何かが飛び出す。
「ボーンシャァァァァァァァァァァァァァァァ!」
けたたましい轟音が響くと、アキラたちは体が動かない。
威圧さえ、ハウリング攻撃を、まともに喰らってしまう。
「な、なに、これ!?」
「全員防御を固めろ。来るぞ!」
「来るってなにが!? はっ……」
アキラはNightの警告に反応する。
一体何が襲って来たのか、視線を天井付近に向ける。
するとそこには巨大な頭、そこから首と体が一つになり、細くて長い手足を生やしたモンスターが居た。
「コレって、龍?」
「ボーンドラゴン、屍となった骨竜だ。コイツが、この要塞を守る守護者ってことだな」
中枢部に設置されたコアを守るもの。
それはプレイヤーではない。
誰も居ないことを怪しんではいたが、飛び出してきたのが、ドラゴンともなると戦況は極めてマズく、流石に言葉を失うしかなかった。
隠し通路を通り抜けるのと同じか、それよりも細い隙間だった。
流石にアキラたちも苦しい顔をするも、何とか隙間を通り抜ける。
「よいしょっと!」
アキラが隙間を通り抜けると、奥の空間に出るや否や、四つん這いになっていた。
腹を押し潰され、胸が痛い。
それでも何とか抜けると、Nightたちも続いていた。
「ふぅ、なんとかなったねー」
「いたた、腰が……」
「刀が引っかかってしまいましたが、無事ですよ」
「ふん。まさかこれだけしか開かないとはな。防御面でも一流か」
アキラたちは何とか壁を開けることに成功した。
簡単なロックで閉じられていただけで、突起を押しながら横に開くと、音を立てながら簡単に開いた。
けれどほんの数十センチしか開いてくれず、子供でも通り抜けるのは厳しかった。
それでも上手く乗り越えると、アキラたちは誰にも気が付かれず、奥の空間へとやって来た。
「ここは部屋のようだな」
「それに青白く光ってるよ。ちょっと眩しいね」
奥に開いていた空間は、大広間よりも更に広い部屋だった。
加えて、部屋中を照らすように、青白く光が眩しい。
不意に視界を狭め、瞼を閉じてしまいそうだ。
「この部屋が中枢部と言うことですよね?」
「そうだ。ここを先に落としたグループの勝ちになる」
「それじゃあ、この部屋の何処かに、勝利条件的なものがあるんだね」
「そう言うことだ。とはいえ、簡単に制圧できる気は……あっ、おい!」
Nightを中心に確認作業をしていた。
そんな中、フェルノは突然走り出す。
青白い光に導かれるがまま、むしろ引き寄せられる虫のように、部屋の奥へと走る。
「みんな、あの光、ちょっと変だよー」
フェルノはそんなことを言う。
確かに妙に眩しく、一つの光源だけで、充分に灯りを賄っている。
とは言え、別に変でも何でもない。
アキラたちは、フェルノの突飛な行動に振り回されつつも、部屋の奥へと向かった。
するとそこには気になる物が置いてある。
部屋の奥、真ん中に置かれた円形の装置。
岩を切り出したような台座には、細かな機械的な装飾が施されていて、その中央に青い巨大な球がクルクルと回っている。
「うわぁ、なんか凄い」
「コレはなんでしょうか? これまでの経験を踏まえますと、コアと呼ぶべきでしょうか?」
今までも似たようなものは何度も見て来た。
その経験からか、答えが分からなくても、何となくの想像ができる。
「恐らくはコアだろうな。コレが、この部屋の光源を全て担っている」
「確かに眩しいよね。おまけに熱い」
「熱を持っているんだな。この要塞を統べる中枢機関、とでも呼ぶべきか」
目の前の青い球の正体は、要塞のコア。
コアがあるから、要塞は存在できている。
つまり、コアの機能を停止させ、制圧してしまえば、第二フェーズのイベントは終了だ。
「それじゃあ簡単だよ―。早速壊そう!」
「おい、壊すのは早計だ。第一、無防備にコアだけが置かれているのも妙だろ」
「だけどさー、なーんにも襲ってこないよ?」
部屋に入った時点では何も起こらない。
コアに近付いても、何も襲って来ない。
安全が確保されている? 全身を鳥肌が駆けた。
「なんか今、ブルってなったけど」
「フェルノ、あからさまなフラグ立てないで!」
「ごめんごめーん。んじゃ、【吸炎竜化】!」
フェルノ武装した。
全身を〈ファイアドレイク〉で武装すると、鋭い爪を尖らせる。
圧倒的な光源から発せられる熱さえ、簡単に受け流すと、拳で粉々にしようとした。
「せーのっ!」
フェルノの右ストレートが炸裂。
放たれると、コアを粉々に出来そう。
だったけれど、拳は届く前で、急に部屋の中が地震でも起きたみたいに揺れ出す。
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
「う、うわぁ!?」
「な、なにこれ。今までの地響きと全然……」
「皆さん落ち着いてください。動かず、冷静に、揺れが収まるまでしゃがんで待ってください」
雷斬の冷静な判断に、誰も文句はない。
その場にしゃがみ込み、揺れが収まるのをジッと待つ。
するとものの十秒程で、揺れは収まってくれた。
なんだったのか? そう思ったのも矢先、急に地面が割れ、中から何かが飛び出す。
「ボーンシャァァァァァァァァァァァァァァァ!」
けたたましい轟音が響くと、アキラたちは体が動かない。
威圧さえ、ハウリング攻撃を、まともに喰らってしまう。
「な、なに、これ!?」
「全員防御を固めろ。来るぞ!」
「来るってなにが!? はっ……」
アキラはNightの警告に反応する。
一体何が襲って来たのか、視線を天井付近に向ける。
するとそこには巨大な頭、そこから首と体が一つになり、細くて長い手足を生やしたモンスターが居た。
「コレって、龍?」
「ボーンドラゴン、屍となった骨竜だ。コイツが、この要塞を守る守護者ってことだな」
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