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◇526 フェーズ1 防衛
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アキラたちは転移した。
強制テレポートでやって来たのは特別なエリア。
イベント会場は本来のマップとは異なっているようで、ボヤけた視界が開けて来た。
「ここは……うわぁ!」
アキラの目が開き、視界がクリアになると、目の前の景色が浮かんだ。
そこに広がるのは巨大な要塞。
目の前には灰色の壁があり、所々が罅割れ、亀裂が走り、あまりにも頼りない姿だった。
「なんで壁があるの? しかもあの建物って、要塞?」
「そうだな。……ん?」
要塞の存在、壁の存在。
二つを同時に理解すると、目の前にメッセージがポップする。
そこには文字が刻まれており、今回のイベント詳細がようやく明かされた。
[半チャーハン・バトルズ
—フェーズ1 防衛—
制限時間の間、要塞及び壁を死守してください。現在の要塞の耐久値:70,壁の耐久値:65。健闘を祈ります]
と書かれていた。
あまりにもあっさりした詳細にアキラたちはポカンとする。
言いたいことは理解できる。とりあえず守ればいい。防衛の名に恥じないが、ここで問題なのは一体何から守るのかだ。
「どうしよう。Night?」
「恐らくは他のプレイヤー、もしくはモンスターだな。とは言えこれで第三部。耐久の減りがやけに速いな」
Night曰く、今回の防衛ミッションはプレイヤー、もしくはモンスターから、目の前の要塞と壁を守ることらしい。
バトルズとは言っても、何もプレイヤーとの対人戦だけが全てではない。
アキラたちは予定と違うので困惑するが、とりあえず要塞と壁に上がってみることにした。
「うわぁ、高い!」
「しかも入り組んでいて迷うな」
「そうだねー。うわぁ、ここの壁崩れた!?」
「気を付けなさい。壁が壊れるってことは、耐久値が減るってことよ」
「今のでほんの少しだけですが、小数点が減ったらしいですね」
「うわぁ、ごめんね」
要塞の中はとにかく入り組んでいた。
最上階まで辿り着くだけで大変そうだ。
額の汗を拭いながら、アキラたちは階段の段差もまちまちな酷い造りの要塞を歩き回った。
「あっ、どうも」
「ああ、こんにちは!」
すると要塞の中には他のプレイヤーも居た。
アキラたちの前に合われたのは男性たちで構成されたギルド。
ギルマス風の丸眼鏡をかけた青年と軽い会釈を交わすと、アキラたちは避けて進んだ。
「今のギルドは知性の行方だな」
「な、なんって?」
「知性の行方。十人以上で構成されたギルドで、研究系だ」
「研究系なのに、戦闘系のイベントに参加しているんだ。珍しいね。よっぽど配信に出たいのかな?」
「だろうな。配信に出れば幾らか出る」
「現実だね。でもライバルがいたら、やる気も出るよね!」
知らないギルドとの交流、それから同じようにライバル。
そうと分かると俄然やる気が出た。
とは言え、本当の意味では戦いたくは無く、アキラはすぐに本心を吐露した。
「って言いたいところだけど……」
「聖レッドローズ騎士団だけで充分だ」
「そうだね、充分だね」
アキラとNightが互いに合いの手を入れ合う。
それだけライバルになり得るのは聖レッドローズ騎士団だけで良い。
これ以上増えるとなると、流石も継ぎ接ぎの絆の五人だけでは無理があった。
「充分ですって!? 舐めた言い回しね」
「えっ?」
突き当りの角を曲がろうとした。
すると上の階から声がする。
声が反響して誰か勘違いしちゃったのかな。
アキラはそう感じ、謝ろうと上を見る。するとそこにはブローズの姿があった。
「ブローズ!? どうしてここに」
「イベントに参加して貴女たちを倒すために決まっているでしょ?」
「決まってないけど……」
「そんなのはどうでもいいの。ふーん、それが貴女のギルド……粒揃いに見えて、弱そうね」
「そんなことないよ! みんな私よりも強いんだよ。ねっ!」
アキラはブローズの驕り高ぶった態度を軽くいなす。
しかし仲間のことをバカにされたので、少しだけイラっとした。
けれど落ち着かせて仲間の姿を一目見ると、私は唖然とする。
誰も怒っていない上に、大人な対応でいなしていた。
「はぁ、アキラに負けたからとは言っても、驕りが過ぎるだろ」
「なっ!?」
「そうだよー。それにさー」
「そんなつまらない子供な態度で、怒鳴る様な大人はいない。あまりにも沸点が低すぎて、逆に笑い物だ」
「んなっ!?」
ブローズは自分が咎められたことに気が付かされ、心にグサリと刺さる。
しかしそれで折れたりはしない。
流石の東ブロック最強ギルドのギルマスで、立ち直りも早かった。
「ふん、同じエリアでよかったわ。これで第三フェーズで思う存分倒せるもの」
「倒す前提なんだね。あれ、エリアってなに?」
「「気が付いてなかったの?」か?」
ブローズとNightに引かれてしまった。
一体なんのことだろう。
アキラは同じように分かっていないメンバーで固まると、互いに顔を見合わせる。
「おいおい、ここに全てのプレイヤーが集まっている訳ないだろ」
「そうなの?」
「当り前よ。はぁー、なんで私、こんななにも知らない子に負けたの? 本当に汚点よ、汚点」
「ひ、酷い言われよう」
「ですね」
「そうね」
「二人共、援護射撃しないでよ」
アキラは雷斬とベルにも援護射撃を喰らってしまう。
グサリと心を貫かれると、呆れた様子でブローズは手招きする。
「まあいいわ。ふん、会わせてあげたい人がいるの、付いて来なさい」
「えっ、会わせたい人?」
「私のギルドメンバーよ。その中でも精鋭をね」
そう言うと、ブローズはアキラたちを招き入れる。
否、同じように上の階へと足を進める。
それにしてもブローズのギルドは一体どんなメンバーなのか。
何も知らないNightを除く継ぎ接ぎの絆は、少しだけ緊張した様子で、ブローズに付いて回った。
強制テレポートでやって来たのは特別なエリア。
イベント会場は本来のマップとは異なっているようで、ボヤけた視界が開けて来た。
「ここは……うわぁ!」
アキラの目が開き、視界がクリアになると、目の前の景色が浮かんだ。
そこに広がるのは巨大な要塞。
目の前には灰色の壁があり、所々が罅割れ、亀裂が走り、あまりにも頼りない姿だった。
「なんで壁があるの? しかもあの建物って、要塞?」
「そうだな。……ん?」
要塞の存在、壁の存在。
二つを同時に理解すると、目の前にメッセージがポップする。
そこには文字が刻まれており、今回のイベント詳細がようやく明かされた。
[半チャーハン・バトルズ
—フェーズ1 防衛—
制限時間の間、要塞及び壁を死守してください。現在の要塞の耐久値:70,壁の耐久値:65。健闘を祈ります]
と書かれていた。
あまりにもあっさりした詳細にアキラたちはポカンとする。
言いたいことは理解できる。とりあえず守ればいい。防衛の名に恥じないが、ここで問題なのは一体何から守るのかだ。
「どうしよう。Night?」
「恐らくは他のプレイヤー、もしくはモンスターだな。とは言えこれで第三部。耐久の減りがやけに速いな」
Night曰く、今回の防衛ミッションはプレイヤー、もしくはモンスターから、目の前の要塞と壁を守ることらしい。
バトルズとは言っても、何もプレイヤーとの対人戦だけが全てではない。
アキラたちは予定と違うので困惑するが、とりあえず要塞と壁に上がってみることにした。
「うわぁ、高い!」
「しかも入り組んでいて迷うな」
「そうだねー。うわぁ、ここの壁崩れた!?」
「気を付けなさい。壁が壊れるってことは、耐久値が減るってことよ」
「今のでほんの少しだけですが、小数点が減ったらしいですね」
「うわぁ、ごめんね」
要塞の中はとにかく入り組んでいた。
最上階まで辿り着くだけで大変そうだ。
額の汗を拭いながら、アキラたちは階段の段差もまちまちな酷い造りの要塞を歩き回った。
「あっ、どうも」
「ああ、こんにちは!」
すると要塞の中には他のプレイヤーも居た。
アキラたちの前に合われたのは男性たちで構成されたギルド。
ギルマス風の丸眼鏡をかけた青年と軽い会釈を交わすと、アキラたちは避けて進んだ。
「今のギルドは知性の行方だな」
「な、なんって?」
「知性の行方。十人以上で構成されたギルドで、研究系だ」
「研究系なのに、戦闘系のイベントに参加しているんだ。珍しいね。よっぽど配信に出たいのかな?」
「だろうな。配信に出れば幾らか出る」
「現実だね。でもライバルがいたら、やる気も出るよね!」
知らないギルドとの交流、それから同じようにライバル。
そうと分かると俄然やる気が出た。
とは言え、本当の意味では戦いたくは無く、アキラはすぐに本心を吐露した。
「って言いたいところだけど……」
「聖レッドローズ騎士団だけで充分だ」
「そうだね、充分だね」
アキラとNightが互いに合いの手を入れ合う。
それだけライバルになり得るのは聖レッドローズ騎士団だけで良い。
これ以上増えるとなると、流石も継ぎ接ぎの絆の五人だけでは無理があった。
「充分ですって!? 舐めた言い回しね」
「えっ?」
突き当りの角を曲がろうとした。
すると上の階から声がする。
声が反響して誰か勘違いしちゃったのかな。
アキラはそう感じ、謝ろうと上を見る。するとそこにはブローズの姿があった。
「ブローズ!? どうしてここに」
「イベントに参加して貴女たちを倒すために決まっているでしょ?」
「決まってないけど……」
「そんなのはどうでもいいの。ふーん、それが貴女のギルド……粒揃いに見えて、弱そうね」
「そんなことないよ! みんな私よりも強いんだよ。ねっ!」
アキラはブローズの驕り高ぶった態度を軽くいなす。
しかし仲間のことをバカにされたので、少しだけイラっとした。
けれど落ち着かせて仲間の姿を一目見ると、私は唖然とする。
誰も怒っていない上に、大人な対応でいなしていた。
「はぁ、アキラに負けたからとは言っても、驕りが過ぎるだろ」
「なっ!?」
「そうだよー。それにさー」
「そんなつまらない子供な態度で、怒鳴る様な大人はいない。あまりにも沸点が低すぎて、逆に笑い物だ」
「んなっ!?」
ブローズは自分が咎められたことに気が付かされ、心にグサリと刺さる。
しかしそれで折れたりはしない。
流石の東ブロック最強ギルドのギルマスで、立ち直りも早かった。
「ふん、同じエリアでよかったわ。これで第三フェーズで思う存分倒せるもの」
「倒す前提なんだね。あれ、エリアってなに?」
「「気が付いてなかったの?」か?」
ブローズとNightに引かれてしまった。
一体なんのことだろう。
アキラは同じように分かっていないメンバーで固まると、互いに顔を見合わせる。
「おいおい、ここに全てのプレイヤーが集まっている訳ないだろ」
「そうなの?」
「当り前よ。はぁー、なんで私、こんななにも知らない子に負けたの? 本当に汚点よ、汚点」
「ひ、酷い言われよう」
「ですね」
「そうね」
「二人共、援護射撃しないでよ」
アキラは雷斬とベルにも援護射撃を喰らってしまう。
グサリと心を貫かれると、呆れた様子でブローズは手招きする。
「まあいいわ。ふん、会わせてあげたい人がいるの、付いて来なさい」
「えっ、会わせたい人?」
「私のギルドメンバーよ。その中でも精鋭をね」
そう言うと、ブローズはアキラたちを招き入れる。
否、同じように上の階へと足を進める。
それにしてもブローズのギルドは一体どんなメンバーなのか。
何も知らないNightを除く継ぎ接ぎの絆は、少しだけ緊張した様子で、ブローズに付いて回った。
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