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◇523 同盟を結んでさぁ行くぞ!
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あれから数分後。Night一人が戻って来た。
如何やら話は上手くまとまったらしい。
早速アキラが訊ねようとするも、先にNightが答えた。
「とりあえず上手くはいった。妖帖の雅も快く協力してくれるらしい」
「本当! やった、これで百人力だね」
「そうだな。とは言え、今回のイベントはほとんど平日と重なる。そのせいもあってか、クロユリたち同様、私たちもイベントに全力を注ぐことはできない」
「うーん、丁度最終日が終了式だもんねー」
「皆さんも同じですか。やはり金曜日が正念場でしょうか?」
「そう言うことになる」
今回のイベント、半チャーハン・バトルズは、月・水・金に渡って開催される。
しかも一日を三分割。イベントは深夜まで行われる。
人地につき最大八時間。その時間の間にどれだけポイントを稼げるのかが勝敗を分けるのだが、まさか深夜を回る可能性まで存在していた。
「ってことは、Deep Skyも?」
「恐らくな」
「うーん、私たちも学生だもんね。時間はあるけど、思いっきりは無理かも」
「まず間違いなく無理だ。つまり短期決戦。時間との勝負になる」
時間との勝負となれば、継ぎ接ぎの絆は大いに不利。
何故なら人数差がエグいので、アキラたちは未だに危機的。
イベント上位に食い込むには、三日目まで生き残ることが最低ラインだと悟ると、それでも難しい修羅の道を行こうとしているのは確実だった。
「今のままで勝てるかな?」
「勝ちたいのか?」
「ブローズたちには勝ちたいよ。でも、そこまで行けるかな?」
「まあ条件は同じとは言えないからな。だが安心しろ」
「安心?」
「なにか当てがあるんでしょうか?」
「どっちでもいいけど、もう時間は無いのよ?」
「安心しろ。時間は必要ない……筈だ」
「「「筈?」」」
またまた嫌な予感がした。
それに加えてNightの顔色も悪い。
確実性が無いもののようで、アキラらたちは顔を見合わせる。
「ねぇ、Night。なにが当てなの?」
「これは私じゃない。クロユリたち、妖帖の雅が追加で人員を補充してくれるらしい。所謂助っ人と言うやつだな」
「「「助っ人!?」」」
「そう驚くな。まあ、私もどんな奴らかは知らないが、有能な戦闘系ギルドらしい。あまり知られてはいないようだが、クロユリたちとも交流があって、色んな厄介ごとを任せているらしい。まあ、他意外な奴らだ」
「「「それ、私たちも同類だよね?」」」
Nightはしかめっ面を浮かべた。
自分で墓穴を掘ったのだから仕方がない。
けれどアキラたちもどんなギルドが来るのか分からない。楽しみだけど不安が膨らむも、ここは一瞬意識を切り替えた。
「みんな、もうやれることはやったよ。後は楽しむしかないよ!」
「楽しむ前に作戦会議だ」
「えっ、作戦会議?」
「当り前だ。フェーズごとに入念な作戦を立てておくのは得策だろ」
「得策かもしれないけど、通用するかな?」
「そうよね。いつもNightしか分かってないわよね」
「それを言ったらお終いだ。だからこそ、作戦会議をすると提案している。異論はあるか?」
「「「ないよ」」」
「ないのか」
そもそも異論なんてものはない。
むしろNightはちゃんと考えてくれている。
例え伝わらなかったとしても、ある種の共通認識を持つこと。それこそがギルドとしての繋がりを深める気がした。
「それじゃあ今から帰って作戦会議する?」
「うーん、ちょっとパス」
「そうですね。流石に時間も時間ですから」
「だよね。分かってた」
もう時間も遅くなっている。
そろそろログアウトしようという運びになり、一度ギルドホームに戻ることになった。
「それじゃあまた明日ね」
「ああ。とりあえず、作戦を立てておくか」
ギルドホームまではポータルを踏んで一瞬。
それぞれがギルドホームをセーブ地点にした上でログアウトすると、アキラはふと椅子に座り、腰を下ろした。
「いよいよイベントだ。楽しみだけど、ちょっと怖いな」
『恐れなくていいですよ。いざとなれば私の力を』
「そうだよね。私はみんなと一緒だから、怖くないよね」
『私もいますよ』
「そうだね。リュー……ん?」
『はい、私は貴女と共に』
私は目を閉じていた。
しかしおかしなことに気が付いてパッと目を開けた。
頭を抱えると、不思議な声が聞こえたことにビックリする。
「さっきの声って、あれ? 今、リューって、私、あれ、またなにか忘れちゃったのかな?」
何だか怖くなってしまった。
最近は無かったのに、こういうこともしばしばある。
いつも私のことを励ましてくれる。何となくそんな気がすると、記憶の奥底から想像を呼び起こしてみた。
しかしきっと疲れているだけだ。アキラは首をブンブン振って考えないようにすると、ログアウトすることにした。
「私もログアウトしよう。考えるのは後にして」
意識を切り替え、考えを改める。
一瞬にしてログアウトすると、アキラは聴こえた声に名残惜しさを感じた。
リューと言う名前。何度も口にし、耳にした、そんな気がしてしまい、不思議な気持ちになってしまったが、今だけは忘れることにして、ギルドホームは人気を失った。
如何やら話は上手くまとまったらしい。
早速アキラが訊ねようとするも、先にNightが答えた。
「とりあえず上手くはいった。妖帖の雅も快く協力してくれるらしい」
「本当! やった、これで百人力だね」
「そうだな。とは言え、今回のイベントはほとんど平日と重なる。そのせいもあってか、クロユリたち同様、私たちもイベントに全力を注ぐことはできない」
「うーん、丁度最終日が終了式だもんねー」
「皆さんも同じですか。やはり金曜日が正念場でしょうか?」
「そう言うことになる」
今回のイベント、半チャーハン・バトルズは、月・水・金に渡って開催される。
しかも一日を三分割。イベントは深夜まで行われる。
人地につき最大八時間。その時間の間にどれだけポイントを稼げるのかが勝敗を分けるのだが、まさか深夜を回る可能性まで存在していた。
「ってことは、Deep Skyも?」
「恐らくな」
「うーん、私たちも学生だもんね。時間はあるけど、思いっきりは無理かも」
「まず間違いなく無理だ。つまり短期決戦。時間との勝負になる」
時間との勝負となれば、継ぎ接ぎの絆は大いに不利。
何故なら人数差がエグいので、アキラたちは未だに危機的。
イベント上位に食い込むには、三日目まで生き残ることが最低ラインだと悟ると、それでも難しい修羅の道を行こうとしているのは確実だった。
「今のままで勝てるかな?」
「勝ちたいのか?」
「ブローズたちには勝ちたいよ。でも、そこまで行けるかな?」
「まあ条件は同じとは言えないからな。だが安心しろ」
「安心?」
「なにか当てがあるんでしょうか?」
「どっちでもいいけど、もう時間は無いのよ?」
「安心しろ。時間は必要ない……筈だ」
「「「筈?」」」
またまた嫌な予感がした。
それに加えてNightの顔色も悪い。
確実性が無いもののようで、アキラらたちは顔を見合わせる。
「ねぇ、Night。なにが当てなの?」
「これは私じゃない。クロユリたち、妖帖の雅が追加で人員を補充してくれるらしい。所謂助っ人と言うやつだな」
「「「助っ人!?」」」
「そう驚くな。まあ、私もどんな奴らかは知らないが、有能な戦闘系ギルドらしい。あまり知られてはいないようだが、クロユリたちとも交流があって、色んな厄介ごとを任せているらしい。まあ、他意外な奴らだ」
「「「それ、私たちも同類だよね?」」」
Nightはしかめっ面を浮かべた。
自分で墓穴を掘ったのだから仕方がない。
けれどアキラたちもどんなギルドが来るのか分からない。楽しみだけど不安が膨らむも、ここは一瞬意識を切り替えた。
「みんな、もうやれることはやったよ。後は楽しむしかないよ!」
「楽しむ前に作戦会議だ」
「えっ、作戦会議?」
「当り前だ。フェーズごとに入念な作戦を立てておくのは得策だろ」
「得策かもしれないけど、通用するかな?」
「そうよね。いつもNightしか分かってないわよね」
「それを言ったらお終いだ。だからこそ、作戦会議をすると提案している。異論はあるか?」
「「「ないよ」」」
「ないのか」
そもそも異論なんてものはない。
むしろNightはちゃんと考えてくれている。
例え伝わらなかったとしても、ある種の共通認識を持つこと。それこそがギルドとしての繋がりを深める気がした。
「それじゃあ今から帰って作戦会議する?」
「うーん、ちょっとパス」
「そうですね。流石に時間も時間ですから」
「だよね。分かってた」
もう時間も遅くなっている。
そろそろログアウトしようという運びになり、一度ギルドホームに戻ることになった。
「それじゃあまた明日ね」
「ああ。とりあえず、作戦を立てておくか」
ギルドホームまではポータルを踏んで一瞬。
それぞれがギルドホームをセーブ地点にした上でログアウトすると、アキラはふと椅子に座り、腰を下ろした。
「いよいよイベントだ。楽しみだけど、ちょっと怖いな」
『恐れなくていいですよ。いざとなれば私の力を』
「そうだよね。私はみんなと一緒だから、怖くないよね」
『私もいますよ』
「そうだね。リュー……ん?」
『はい、私は貴女と共に』
私は目を閉じていた。
しかしおかしなことに気が付いてパッと目を開けた。
頭を抱えると、不思議な声が聞こえたことにビックリする。
「さっきの声って、あれ? 今、リューって、私、あれ、またなにか忘れちゃったのかな?」
何だか怖くなってしまった。
最近は無かったのに、こういうこともしばしばある。
いつも私のことを励ましてくれる。何となくそんな気がすると、記憶の奥底から想像を呼び起こしてみた。
しかしきっと疲れているだけだ。アキラは首をブンブン振って考えないようにすると、ログアウトすることにした。
「私もログアウトしよう。考えるのは後にして」
意識を切り替え、考えを改める。
一瞬にしてログアウトすると、アキラは聴こえた声に名残惜しさを感じた。
リューと言う名前。何度も口にし、耳にした、そんな気がしてしまい、不思議な気持ちになってしまったが、今だけは忘れることにして、ギルドホームは人気を失った。
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