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◇521 試されていた→合格
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アキラたちは温泉を出ると、全身から湯気が出ていた。
けれど火傷が嘘みたいに無くなっていた。
HPも全回復すると、体がいつもより軽く感じた。
「うーん、気持ちいいー」
「そうだね、体がポカポカする」
アロエロレの効果もあり、全身がリフレッシュしていた。
アキラたちは満足感に浸ると、クロユリが話しかける。
「それでは皆さん、私たちはこの辺りで」
「ほな」
「ちょっと待て」
先にモミジヤに帰ろうとするクロユリたちを、Nightは引き留めた。
クリユリは首を捻るが、Nightは詰め寄る。
「私たちの調査は中途半端に終わったが、どうなるんだ?」
「ああ、構いませんよ。結果は求めていませんので」
「やっぱりか」
「「「ん?」」」
何やら高次元の話をしていた。
正直クロユリの話だけだと、私たちのしたことは無駄みたいになってしまう。
けれどNightは想定内だったようで、アキラたちはポカンとする。
「Night、結果は求めてないって言われたよ?」
「そのままの意味だ」
「そのままの意味ってー?」
「そのままはそのままだ。クロユリの提示した条件は、鼻っから意味は無い。前提条件、クロユリの求めていたものは、信頼だ」
「「「信頼!」」」
このGAMEで一番大事にしないといけないものだった。
Nightの口から出たことに驚きつつも、クロユリの顔を天狐は見る。
「試したってこと?」
「ええ、必要は無いと思っていましたがね」
「おもんないことするなぁ」
「そう言わないくださいね。これも大事なことですから」
クロユリは天狐を宥めつつ、裏腹になっているものを引き出す。
世の中の真っ黒な部分が微かに露出すると、天狐は悍ましく思った。
クロユリの上手さに達観するも、ベルは納得ができない。
「試すって言われても、こっちは痛い目を見たのよ?」
「ですが、皆さんは無事に退くことを覚えましたよね」
「なんかムカつく言い方ね」
「ベル、少し落ち着きましょうか」
興奮気味なベルを雷斬は宥める。
けれど疑心と言うものはやはり沸く。
“信頼”。便利な言葉だが、使い続ければ毒となる。
「私たちを試したことで、お眼鏡には適いましたか?」
「ええ、充分以上には」
「では、協力はしていただけるんですね?」
「もちろん。天狐を貸します」
「「ええっ!?」」
「冗談ですよ」
あまり面白くない冗談だった。とは言え、冗談だとは気が付いていた。
驚いたのは真面目な雷斬と突然ボケを振られた天孤だけ。
何も言い返せずツッコまれなくなると、白けた空気が広がった。
「クロユリ、うちで遊んだ?」
「可愛かったですよ」
「むぅ。少し複雑な気分やけど、まあええわ」
「いいんだ」
白けた雰囲気がいつもの空気に戻って来る。
アキラが天狐のボケにツッコミを入れると、天狐はピースサインを送る。
「ナイス」と言われた気がしたが、あまり嬉しくは無く、コホンと咳払いをしたNightが話を戻す。
「それじゃあイベント当日は頼んだぞ」
「ええ。とは言え、私たちはギルド的にも表立ってイベントに参加することは珍しいかもしれませんよ」
「計算の内だ。天狐くらいは出て欲しいが」
「考えておきましょうね、天狐」
「うちは出てもええけどな」
如何やらまとめに入っているらしい。
空気で察すると、アキラたちはその場を離れる。
後はNightに任せるのが良さそうだったので、託すことにした。まあ、大丈夫だろうと、高を括るだけだ。
「なんだかいい感じにまとまりそうだね」
「そうだねー」
「ですが一つ疑問が」
「ああ、それね。私も思ってたわ」
「「ん?」」
良い雰囲気でまとまりを見せる中、雷斬とベルはふと疑問を感じた。
アキラとフェルノ全くピンと来ない。
首を捻ると、ベルは呆れた様子だ。
「フェルノはともかく、アキラは気が付いて欲しいわね」
「ええっ?」
「それ酷くなーい?」
「単純な話よ。どうして、槍の持ち主は、あのタイミングで助けてくれたのかしらね。考えてみて、もう少し早くても良くない?」
確かにベルの疑問は最もだった。
あんなピンチな状況で助けられても仕方がない……とはいえず、助けて貰った事実はそのままだ。
「でも助かったんだよ?」
「それは結果論よ」
「助けて貰ったのだって同じでしょ?」
「それはそうだけど……ねぇ?」
「はい、私も些か疑問があります」
「雷斬が!? 珍しい」
如何やら雷斬も何やら疑っているらしい。
一体何を疑っているのか。
もしかすると雷斬の疑問はアキラたちには分からないものかもしれない。
「ほら、言ってやりなさい」
「アキラさん、ベル、槍の装飾は覚えていますか?」
「えっ、槍の装飾? うーん、ビームを弾いてたし、見えなかったけど……」
「同じくよ。それを聞いてどうするつもり?」
「いえ、もしかしたらと思ったまでです。恐らく、私の気のせいの筈です」
「「「全然分かんない」」」
本当にお手上げレベルの疑問で、アキラたちには伝わらない。
ポカンと頭の上にはてなが浮かぶと、雷斬は申し訳なさそうにする。
「すみません、皆さん。今の話は忘れてください」
「忘れてって言われてもね……」
「難しい話よ、全く」
「すみません」
アキラとベルは考えてしまった。
記憶の底に呼び掛けて思い出そうとするも何も出ない。
ギラリと光る装飾。特徴的だった上に、丁寧に磨かれた金装飾だったとは思うのだが、それ以上のことは出ず。アキラとベルは渋い顔になるのだった。
けれど火傷が嘘みたいに無くなっていた。
HPも全回復すると、体がいつもより軽く感じた。
「うーん、気持ちいいー」
「そうだね、体がポカポカする」
アロエロレの効果もあり、全身がリフレッシュしていた。
アキラたちは満足感に浸ると、クロユリが話しかける。
「それでは皆さん、私たちはこの辺りで」
「ほな」
「ちょっと待て」
先にモミジヤに帰ろうとするクロユリたちを、Nightは引き留めた。
クリユリは首を捻るが、Nightは詰め寄る。
「私たちの調査は中途半端に終わったが、どうなるんだ?」
「ああ、構いませんよ。結果は求めていませんので」
「やっぱりか」
「「「ん?」」」
何やら高次元の話をしていた。
正直クロユリの話だけだと、私たちのしたことは無駄みたいになってしまう。
けれどNightは想定内だったようで、アキラたちはポカンとする。
「Night、結果は求めてないって言われたよ?」
「そのままの意味だ」
「そのままの意味ってー?」
「そのままはそのままだ。クロユリの提示した条件は、鼻っから意味は無い。前提条件、クロユリの求めていたものは、信頼だ」
「「「信頼!」」」
このGAMEで一番大事にしないといけないものだった。
Nightの口から出たことに驚きつつも、クロユリの顔を天狐は見る。
「試したってこと?」
「ええ、必要は無いと思っていましたがね」
「おもんないことするなぁ」
「そう言わないくださいね。これも大事なことですから」
クロユリは天狐を宥めつつ、裏腹になっているものを引き出す。
世の中の真っ黒な部分が微かに露出すると、天狐は悍ましく思った。
クロユリの上手さに達観するも、ベルは納得ができない。
「試すって言われても、こっちは痛い目を見たのよ?」
「ですが、皆さんは無事に退くことを覚えましたよね」
「なんかムカつく言い方ね」
「ベル、少し落ち着きましょうか」
興奮気味なベルを雷斬は宥める。
けれど疑心と言うものはやはり沸く。
“信頼”。便利な言葉だが、使い続ければ毒となる。
「私たちを試したことで、お眼鏡には適いましたか?」
「ええ、充分以上には」
「では、協力はしていただけるんですね?」
「もちろん。天狐を貸します」
「「ええっ!?」」
「冗談ですよ」
あまり面白くない冗談だった。とは言え、冗談だとは気が付いていた。
驚いたのは真面目な雷斬と突然ボケを振られた天孤だけ。
何も言い返せずツッコまれなくなると、白けた空気が広がった。
「クロユリ、うちで遊んだ?」
「可愛かったですよ」
「むぅ。少し複雑な気分やけど、まあええわ」
「いいんだ」
白けた雰囲気がいつもの空気に戻って来る。
アキラが天狐のボケにツッコミを入れると、天狐はピースサインを送る。
「ナイス」と言われた気がしたが、あまり嬉しくは無く、コホンと咳払いをしたNightが話を戻す。
「それじゃあイベント当日は頼んだぞ」
「ええ。とは言え、私たちはギルド的にも表立ってイベントに参加することは珍しいかもしれませんよ」
「計算の内だ。天狐くらいは出て欲しいが」
「考えておきましょうね、天狐」
「うちは出てもええけどな」
如何やらまとめに入っているらしい。
空気で察すると、アキラたちはその場を離れる。
後はNightに任せるのが良さそうだったので、託すことにした。まあ、大丈夫だろうと、高を括るだけだ。
「なんだかいい感じにまとまりそうだね」
「そうだねー」
「ですが一つ疑問が」
「ああ、それね。私も思ってたわ」
「「ん?」」
良い雰囲気でまとまりを見せる中、雷斬とベルはふと疑問を感じた。
アキラとフェルノ全くピンと来ない。
首を捻ると、ベルは呆れた様子だ。
「フェルノはともかく、アキラは気が付いて欲しいわね」
「ええっ?」
「それ酷くなーい?」
「単純な話よ。どうして、槍の持ち主は、あのタイミングで助けてくれたのかしらね。考えてみて、もう少し早くても良くない?」
確かにベルの疑問は最もだった。
あんなピンチな状況で助けられても仕方がない……とはいえず、助けて貰った事実はそのままだ。
「でも助かったんだよ?」
「それは結果論よ」
「助けて貰ったのだって同じでしょ?」
「それはそうだけど……ねぇ?」
「はい、私も些か疑問があります」
「雷斬が!? 珍しい」
如何やら雷斬も何やら疑っているらしい。
一体何を疑っているのか。
もしかすると雷斬の疑問はアキラたちには分からないものかもしれない。
「ほら、言ってやりなさい」
「アキラさん、ベル、槍の装飾は覚えていますか?」
「えっ、槍の装飾? うーん、ビームを弾いてたし、見えなかったけど……」
「同じくよ。それを聞いてどうするつもり?」
「いえ、もしかしたらと思ったまでです。恐らく、私の気のせいの筈です」
「「「全然分かんない」」」
本当にお手上げレベルの疑問で、アキラたちには伝わらない。
ポカンと頭の上にはてなが浮かぶと、雷斬は申し訳なさそうにする。
「すみません、皆さん。今の話は忘れてください」
「忘れてって言われてもね……」
「難しい話よ、全く」
「すみません」
アキラとベルは考えてしまった。
記憶の底に呼び掛けて思い出そうとするも何も出ない。
ギラリと光る装飾。特徴的だった上に、丁寧に磨かれた金装飾だったとは思うのだが、それ以上のことは出ず。アキラとベルは渋い顔になるのだった。
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