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◇508 舐めてはいけないギルドだから
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アキラたちはギルドホームへと戻っていた。
途中事情をなにも知らない雷斬とベルを拾うと、断片的に話を交えて説明をした。
それだけで話が全て伝わる訳も無いが、“面倒なこと”になったのは伝わった。
「それじゃあ今後どうするかの対策だけど、なにかあるかな?」
「いきなり丸投げ? 残念だけど、分からないわね」
「そうだよね……」
ベルに一撃で跳ね返されてしまった。
困ってしまったアキラは視線をNightへと預ける。
覚悟は決まっているものの、具体的な対策など、何一つできていない現状だ。
ここはNightの知恵を借りようとしたが、相手が相手だけのこともあり、慎重にならざるを得なかった。
「聖レッドローズ騎士団は強いぞ。さっきも説明したが……」
「説明されてないけど?」
「そうですね。私たちは、具体的な敵方の全容も知らないのですが……」
ベルと雷斬は口を挟んだ。けれどこれは当然のことで、説明をする義務があった。
けれどNightは全容を改めて話すことはせず、二人のことを一度遮った。
「正直、私たちの質は奴らよりも上だ。だが、それはあくまでも幹部と互角かそれ以上と言うだけだな」
「あっ、無視してる」
「無視じゃない、一度遮っただけだ。後で説明するから待っていろ」
Night自身も相当脳のキャパシティを使っているようだ。
そのせいもあり、反応が少しだけ鈍くなっている。
同時に四つの思考ができるとはいえ、数的有利を取られている現状、下手な手立ては首を絞めるだけだと気が付いていた。
「ちなみにさー、数の有利を覆す方法は無いのー?」
フェルノは数的有利の効く作戦を訊ねた。
戦国の世を生きた昔の偉人たちは、戦いの中で不利な状況に陥ったことは幾度となく。
にもかかわらず、その逆境を覆し、逆に利用した上で大国に勝利した。
そんな例もある程なので、フェルノも似たようなものがきっとある筈と思ったのだ。
「数的不利、かつ圧倒的な実力差だとすれば、桶狭間の戦いは有名だな」
「「「あー、それねー」」」
Nightは有名な戦を引き合いに出してみた。
アキラたち全員は共感し、ポンと手を叩いた。
数的不利、かつ経験値不足、おまけに地位にも差がある状況は、圧倒的な人数差に加えて、東ブロック一位のギルド、どちらも今川家らしい。
「どんな状況でも番狂わせを起こすことはできる。だが、今回のイベント、それまで保つだろうか?」
「そこだよね。今回のイベント、第一フェイズ:防衛・第二フェイズ:制圧・第三フェイズ:乱戦。番狂わせを起こすには、第三フェイズまで行かないとダメで、一度でもそれまでに負けたら、今回のイベントには再参加できない。ちょっと厳しい仕様だよね? 人数の差もあるから、第三フェイズまで行けるかどうか……」
「その点なら大丈夫だ。私達は少数精鋭。お互いに目を配り合えば、第三フェイズまでは行ける。とは言え、五対百は正直厳しいんだがな……」
人数差を覆すことがいつだってできる。
けれどそれまでに疲弊してしまえば元も子もない。
相手も同じなのだが、それに伴う消耗が桁違いだった。
「回復ポーションを買い込んでおかないとダメだよね?」
「それも然りだな」
「然りと言うことは、Nightさんが本当に必要なものは別にあると言うことですね」
「そうだな。私が欲しいのはいざと言う時の保険になる人手だ」
「「「人手?」」」
Nightが欲しがっているものは、絶望的にアキラたちに足りない物だった。
少数精鋭。たった五人だけのギルドに人手がある訳もない。
あまりにも遠いものを要求され困り果てるが、ふと気が付いた。
「Nightが人手が欲しいのって、どうして?」
「どうしてもなにも、人数がいれば対処は可能だ。聖レッドローズ騎士団の幹部は全部で十二人。その内の五つは欠員が出ているから、実質ギルドマスターとサブギルドマスターを除けば、敵は七人に+二人になる。九人を相手取るのは厳しいからな。優秀な傭兵でもいれば話も変わるだけの話だ」
如何やらNightが見ているのは幹部だけらしい。
団員に関しては有象無象として捉えているようで、そちらを相手取るための人手。
その確保が狙いだったが、残念なことに伝手が無かった。
「誰かに頼めればな……」
「それじゃあ頼んでみようよ!」
アキラは項垂れるNightに声を掛けた。
誰かに頼めば済む話なら、頼ってみればいいだけだ。
答えはあまりにも簡単で、迷っていた気持ちが吹っ切れる。
「誰かにって誰にだ?」
「Deep Skyと妖帖の雅だよ。どっちも並外れた強さを持ったギルドだよ?」
「それは分かっているが、借りれるのか?」
「それは分からないけど、頑張って交渉してみよう。使える物はなんでも使う。でしょ?」
アキラは意識を切り替え、Nightっぽく話した。
熱く語り、Nightにアピールをしてみると、額に手を当てた。
呆れられてしまった。アキラは自信を欠けたが、ニヤリと笑みを浮かべるNightの顔が飛び込んだ。
「いいだろ。交渉、やってくればいい」
「いいの? いいんだよね!?」
「ああ。だが交渉の必要はない。アキラ、お前なら分かるだろ」
「うん。それじゃあ今から行ってくるね! 雷斬、ベル、二人は妖帖の雅をお願い。私はDeep Skyに行くから」
アキラは早速席を立つと、ギルドホームを出てDeep Skyの下へと向かった。
思い立ったが吉日。そんな言葉もある程で、アキラは凄く生き生きしていた。
その後ろ姿を見守ったNightたちは、「元気だな」と呟きつつも行動に起こし、昂る気持ちに感化されていた。
途中事情をなにも知らない雷斬とベルを拾うと、断片的に話を交えて説明をした。
それだけで話が全て伝わる訳も無いが、“面倒なこと”になったのは伝わった。
「それじゃあ今後どうするかの対策だけど、なにかあるかな?」
「いきなり丸投げ? 残念だけど、分からないわね」
「そうだよね……」
ベルに一撃で跳ね返されてしまった。
困ってしまったアキラは視線をNightへと預ける。
覚悟は決まっているものの、具体的な対策など、何一つできていない現状だ。
ここはNightの知恵を借りようとしたが、相手が相手だけのこともあり、慎重にならざるを得なかった。
「聖レッドローズ騎士団は強いぞ。さっきも説明したが……」
「説明されてないけど?」
「そうですね。私たちは、具体的な敵方の全容も知らないのですが……」
ベルと雷斬は口を挟んだ。けれどこれは当然のことで、説明をする義務があった。
けれどNightは全容を改めて話すことはせず、二人のことを一度遮った。
「正直、私たちの質は奴らよりも上だ。だが、それはあくまでも幹部と互角かそれ以上と言うだけだな」
「あっ、無視してる」
「無視じゃない、一度遮っただけだ。後で説明するから待っていろ」
Night自身も相当脳のキャパシティを使っているようだ。
そのせいもあり、反応が少しだけ鈍くなっている。
同時に四つの思考ができるとはいえ、数的有利を取られている現状、下手な手立ては首を絞めるだけだと気が付いていた。
「ちなみにさー、数の有利を覆す方法は無いのー?」
フェルノは数的有利の効く作戦を訊ねた。
戦国の世を生きた昔の偉人たちは、戦いの中で不利な状況に陥ったことは幾度となく。
にもかかわらず、その逆境を覆し、逆に利用した上で大国に勝利した。
そんな例もある程なので、フェルノも似たようなものがきっとある筈と思ったのだ。
「数的不利、かつ圧倒的な実力差だとすれば、桶狭間の戦いは有名だな」
「「「あー、それねー」」」
Nightは有名な戦を引き合いに出してみた。
アキラたち全員は共感し、ポンと手を叩いた。
数的不利、かつ経験値不足、おまけに地位にも差がある状況は、圧倒的な人数差に加えて、東ブロック一位のギルド、どちらも今川家らしい。
「どんな状況でも番狂わせを起こすことはできる。だが、今回のイベント、それまで保つだろうか?」
「そこだよね。今回のイベント、第一フェイズ:防衛・第二フェイズ:制圧・第三フェイズ:乱戦。番狂わせを起こすには、第三フェイズまで行かないとダメで、一度でもそれまでに負けたら、今回のイベントには再参加できない。ちょっと厳しい仕様だよね? 人数の差もあるから、第三フェイズまで行けるかどうか……」
「その点なら大丈夫だ。私達は少数精鋭。お互いに目を配り合えば、第三フェイズまでは行ける。とは言え、五対百は正直厳しいんだがな……」
人数差を覆すことがいつだってできる。
けれどそれまでに疲弊してしまえば元も子もない。
相手も同じなのだが、それに伴う消耗が桁違いだった。
「回復ポーションを買い込んでおかないとダメだよね?」
「それも然りだな」
「然りと言うことは、Nightさんが本当に必要なものは別にあると言うことですね」
「そうだな。私が欲しいのはいざと言う時の保険になる人手だ」
「「「人手?」」」
Nightが欲しがっているものは、絶望的にアキラたちに足りない物だった。
少数精鋭。たった五人だけのギルドに人手がある訳もない。
あまりにも遠いものを要求され困り果てるが、ふと気が付いた。
「Nightが人手が欲しいのって、どうして?」
「どうしてもなにも、人数がいれば対処は可能だ。聖レッドローズ騎士団の幹部は全部で十二人。その内の五つは欠員が出ているから、実質ギルドマスターとサブギルドマスターを除けば、敵は七人に+二人になる。九人を相手取るのは厳しいからな。優秀な傭兵でもいれば話も変わるだけの話だ」
如何やらNightが見ているのは幹部だけらしい。
団員に関しては有象無象として捉えているようで、そちらを相手取るための人手。
その確保が狙いだったが、残念なことに伝手が無かった。
「誰かに頼めればな……」
「それじゃあ頼んでみようよ!」
アキラは項垂れるNightに声を掛けた。
誰かに頼めば済む話なら、頼ってみればいいだけだ。
答えはあまりにも簡単で、迷っていた気持ちが吹っ切れる。
「誰かにって誰にだ?」
「Deep Skyと妖帖の雅だよ。どっちも並外れた強さを持ったギルドだよ?」
「それは分かっているが、借りれるのか?」
「それは分からないけど、頑張って交渉してみよう。使える物はなんでも使う。でしょ?」
アキラは意識を切り替え、Nightっぽく話した。
熱く語り、Nightにアピールをしてみると、額に手を当てた。
呆れられてしまった。アキラは自信を欠けたが、ニヤリと笑みを浮かべるNightの顔が飛び込んだ。
「いいだろ。交渉、やってくればいい」
「いいの? いいんだよね!?」
「ああ。だが交渉の必要はない。アキラ、お前なら分かるだろ」
「うん。それじゃあ今から行ってくるね! 雷斬、ベル、二人は妖帖の雅をお願い。私はDeep Skyに行くから」
アキラは早速席を立つと、ギルドホームを出てDeep Skyの下へと向かった。
思い立ったが吉日。そんな言葉もある程で、アキラは凄く生き生きしていた。
その後ろ姿を見守ったNightたちは、「元気だな」と呟きつつも行動に起こし、昂る気持ちに感化されていた。
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