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◇447 継ぎ接ぎ・妖帖VSツユヨミ1
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雪将軍は雷斬と天狐に任せることにした。
となればアキラたちがやることは決まっている。
雪将軍を除き、まだ倒さないとダメな敵が居た。
「それじゃあ私たちがやるべきことは……」
「おそらく、あちらに居る相手でしょうね」
クロユリの視線が一点を見つめる。
そこに居たのは幻術からようやく抜け出せた幻術士。
ツユヨミは頭を押さえつけながら、目元だけ怒りを露わにしていた。
「ヨクモヤッテクレマシタネ。コウカイサセテアゲマス」
ツユヨミは印を結んだ。
まるで忍者のようで、アキラたちは警戒する。
するとツユヨミの体に異変が起こった。アキラたちは目を丸くする。
「ソレデハシンデイタダキマスネ。マズハアナタカラデス」
ツユヨミは誰か一人を睨みつける。
一体誰に敵意を向けていたのかは分からないが、それでも分かることはあった。
目の前から突如として、ツユヨミは姿を消したのだ。
「き、消えた!?」
「消えたわけじゃない。幻術で姿を撹乱しただけだ」
ツユヨミはアキラたちの目の前から居なくなる。
けれどこれは消えたわけじゃない。
幻術を使って、周囲の景色に溶け込んだだけだ。
まるでカメレオン。アキラはありきたりな想像を働かせる。
しかし問題はそこではない。
ツユヨミが優先的に誰を狙って来るのかだ。恐らくは一番強い誰か。
となればクロユリか椿姫か、または厄介そうなNightに遠距離もできるベル。
【キメラハント】:【甲蟲】と【灰爪】を展開し武装する。
両腕に纏わせると、後は耳を澄ましてツユヨミの存在を察知する。
何処にいるのか。全員が息を飲むと、急に殺気が襲い掛かる。
「はっ、後ろ!」
「分かってるよ! ってか、なんで私なのー?」
アキラたちは一斉に振り返った。
するとツユヨミがフェルノ目掛けて短刀を突き付けていた。
けれどフェルノもただでやられる筋合いは無く、【吸炎竜化】で全身武装をすると、圧倒的なパワー&フィジカルで押し返す。
「クッ、コノヨロイハ……」
「鎧じゃないよ! これは私の鱗だよー!」
フェルノは押し返したツユヨミの顔を目掛けてパンチを繰り出す。
的確なストレートが襲い掛かると、ツユヨミは目を見開いた。
死の恐怖を感じ取り、フェルノはダメ押しとばかりに体も前に屈めた。
「そらぁ、これでも喰らって大人しくなれぇ!」
フェルノの拳が炸裂した。
ツユヨミは逃げることもできないで、フェルノのパンチを喰らう。
浴びせられた一撃は凄まじいダメージになるが、何故かHPの減りが少なかった。
「あれ?」
「ダメージが与えられてないわよ!」
フェルノはパンチを繰り出したはずなのに、ちゃんと当てたはずなのに、全くダメージらしいダメージが与えられていなかった。
不安に感じ首を捻ったが、何故か拳はそのまま勢い任せにツユヨミの体を透けてしまう。
「うわぁ、おっとっと!」
「フェルノさん!?」
フェルノは勢いを殺せなかった。
衝撃が全身に伝わり、そのまま庭先に転がりそうになる。
けれどそんなフェルノのことを椿姫は支えてくれた。
椿の蔦がフェルノのことを絡め取ると、そのまま勢い事殺してしまう。
「ううっ、助かったよー。ありがとー、椿ー」
「大丈夫ですか? パンチを繰り出した衝撃が、そのまま伝わってきましたよ」
「うーん。ダメージが通らなかったのかなー?」
フェルノは唇を尖らせて考えてみる。
自分の拳を確認すると、物体に触れたような感触はイマイチ無い。
つまり何も触れていない。ましてや触れたはいいものの、そこに存在感は無いのと同じで首を捻り続ける。
「フェルノ大丈夫!? 怪我とかしてない?」
「うん。大丈夫だけどさー、ツユヨミだっけ? あの人? 何処行ったのかなー?」
如何やらフェルノは大丈夫そうだ。しっかり椿姫のスキルに受け止められ、衝撃を殺された証拠だ。
けれどすぐさま意識はツユヨミに向いていた。
確かに一瞬にして姿を消したツユヨミ。さっきまで殺気があったはずなのに、瞬時に現れては消えてしまった。
アキラも姿を現す瞬間は見ていない。
けれど姿を現してから消えるまでの光景はしっかり目に焼き付いている。
フェルノの拳は届いた筈だ。届いた筈、だけど実際にはすり抜けてしまう。
攻撃は宙に消え、ツユヨミの姿もろとも後の祭りになった。
「難しいなー。如何やって攻略するのー?」
「それは私に言っているのか?」
「当り前だよー。こんな時こそ、Nightの灰色の脳細胞が冴え渡るんでしょー?」
「脳細胞は灰色ではないぞ。おまけに私は探偵でもない」
「そんなこと言わないでさー。ちゃんと考えてよー」
フェルノは考えることを完全に放棄していた。
代わりにその役目を全てNightに押し付ける。
くだらないとばかりに押し問答を跳ね除けるも、その間でNightは思考を巡らせていた。
「例えば、ツユヨミは名前の通り体を透過……つまり、フェルノの拳が捉えたのは、本物のツユヨミではないとしたら?」
「ちょっと待ちなさいよ。それじゃあツユヨミの幻術って……」
「ああ、おそらくは……」
Nightはベルに煽られ答えを明らかにしようとした。
けれどもう答えなんてとっくに出ていた。
だけどそんなNightのことを背後から狙う影があり、鋭い刃が雪に触れて煌びやかに存在感を露わにした。
となればアキラたちがやることは決まっている。
雪将軍を除き、まだ倒さないとダメな敵が居た。
「それじゃあ私たちがやるべきことは……」
「おそらく、あちらに居る相手でしょうね」
クロユリの視線が一点を見つめる。
そこに居たのは幻術からようやく抜け出せた幻術士。
ツユヨミは頭を押さえつけながら、目元だけ怒りを露わにしていた。
「ヨクモヤッテクレマシタネ。コウカイサセテアゲマス」
ツユヨミは印を結んだ。
まるで忍者のようで、アキラたちは警戒する。
するとツユヨミの体に異変が起こった。アキラたちは目を丸くする。
「ソレデハシンデイタダキマスネ。マズハアナタカラデス」
ツユヨミは誰か一人を睨みつける。
一体誰に敵意を向けていたのかは分からないが、それでも分かることはあった。
目の前から突如として、ツユヨミは姿を消したのだ。
「き、消えた!?」
「消えたわけじゃない。幻術で姿を撹乱しただけだ」
ツユヨミはアキラたちの目の前から居なくなる。
けれどこれは消えたわけじゃない。
幻術を使って、周囲の景色に溶け込んだだけだ。
まるでカメレオン。アキラはありきたりな想像を働かせる。
しかし問題はそこではない。
ツユヨミが優先的に誰を狙って来るのかだ。恐らくは一番強い誰か。
となればクロユリか椿姫か、または厄介そうなNightに遠距離もできるベル。
【キメラハント】:【甲蟲】と【灰爪】を展開し武装する。
両腕に纏わせると、後は耳を澄ましてツユヨミの存在を察知する。
何処にいるのか。全員が息を飲むと、急に殺気が襲い掛かる。
「はっ、後ろ!」
「分かってるよ! ってか、なんで私なのー?」
アキラたちは一斉に振り返った。
するとツユヨミがフェルノ目掛けて短刀を突き付けていた。
けれどフェルノもただでやられる筋合いは無く、【吸炎竜化】で全身武装をすると、圧倒的なパワー&フィジカルで押し返す。
「クッ、コノヨロイハ……」
「鎧じゃないよ! これは私の鱗だよー!」
フェルノは押し返したツユヨミの顔を目掛けてパンチを繰り出す。
的確なストレートが襲い掛かると、ツユヨミは目を見開いた。
死の恐怖を感じ取り、フェルノはダメ押しとばかりに体も前に屈めた。
「そらぁ、これでも喰らって大人しくなれぇ!」
フェルノの拳が炸裂した。
ツユヨミは逃げることもできないで、フェルノのパンチを喰らう。
浴びせられた一撃は凄まじいダメージになるが、何故かHPの減りが少なかった。
「あれ?」
「ダメージが与えられてないわよ!」
フェルノはパンチを繰り出したはずなのに、ちゃんと当てたはずなのに、全くダメージらしいダメージが与えられていなかった。
不安に感じ首を捻ったが、何故か拳はそのまま勢い任せにツユヨミの体を透けてしまう。
「うわぁ、おっとっと!」
「フェルノさん!?」
フェルノは勢いを殺せなかった。
衝撃が全身に伝わり、そのまま庭先に転がりそうになる。
けれどそんなフェルノのことを椿姫は支えてくれた。
椿の蔦がフェルノのことを絡め取ると、そのまま勢い事殺してしまう。
「ううっ、助かったよー。ありがとー、椿ー」
「大丈夫ですか? パンチを繰り出した衝撃が、そのまま伝わってきましたよ」
「うーん。ダメージが通らなかったのかなー?」
フェルノは唇を尖らせて考えてみる。
自分の拳を確認すると、物体に触れたような感触はイマイチ無い。
つまり何も触れていない。ましてや触れたはいいものの、そこに存在感は無いのと同じで首を捻り続ける。
「フェルノ大丈夫!? 怪我とかしてない?」
「うん。大丈夫だけどさー、ツユヨミだっけ? あの人? 何処行ったのかなー?」
如何やらフェルノは大丈夫そうだ。しっかり椿姫のスキルに受け止められ、衝撃を殺された証拠だ。
けれどすぐさま意識はツユヨミに向いていた。
確かに一瞬にして姿を消したツユヨミ。さっきまで殺気があったはずなのに、瞬時に現れては消えてしまった。
アキラも姿を現す瞬間は見ていない。
けれど姿を現してから消えるまでの光景はしっかり目に焼き付いている。
フェルノの拳は届いた筈だ。届いた筈、だけど実際にはすり抜けてしまう。
攻撃は宙に消え、ツユヨミの姿もろとも後の祭りになった。
「難しいなー。如何やって攻略するのー?」
「それは私に言っているのか?」
「当り前だよー。こんな時こそ、Nightの灰色の脳細胞が冴え渡るんでしょー?」
「脳細胞は灰色ではないぞ。おまけに私は探偵でもない」
「そんなこと言わないでさー。ちゃんと考えてよー」
フェルノは考えることを完全に放棄していた。
代わりにその役目を全てNightに押し付ける。
くだらないとばかりに押し問答を跳ね除けるも、その間でNightは思考を巡らせていた。
「例えば、ツユヨミは名前の通り体を透過……つまり、フェルノの拳が捉えたのは、本物のツユヨミではないとしたら?」
「ちょっと待ちなさいよ。それじゃあツユヨミの幻術って……」
「ああ、おそらくは……」
Nightはベルに煽られ答えを明らかにしようとした。
けれどもう答えなんてとっくに出ていた。
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