VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇423 真夜中の号令

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 真夜中午前零時前。
 課題を終え、明輝は眠ろうとしていた。
 大きな欠伸をしてからベッドに入ると、段々睡魔が襲ってきた。
 今日は気持ちよく眠れそうで、明日が学校と言うこともあってか、明輝は目を閉じた。
 そんな中、急にスマホが震え出した。ブルブルと揺れ出して、振動でベッドの上を這う。

「ん?」

 目を閉じて眠ろうとした明輝は薄っすらと目を開けた。
 スマホが振動で這っている? なんでだろう。
 誰かから電話かメッセージでも入ったのかな? 明輝はスマホを手繰り寄せると、画面が眩しく輝いた。

「うっ……えっと、誰から? 蒼伊から? なんだろう」

 明輝はROADを開くと、グループでメッセージが投下されていた。
 継ぎ接ぎの絆を開いてみると、蒼伊からメッセージが来ていた。
 なんだろうと本気で思い目を細めて読んだ。
 すると急ぎの要件だった。


蒼:全員集合だ。今すぐログインしろ!


 なんだろう。蒼伊がこんなメッセージを送って来るのはよっぽどだ。
 となればログインすればいい。
 明輝はVRドライブを取るため、腕を真後ろに伸ばして、棚から手元に手繰り寄せ装着した。

「ふはぁー……ログインログイン」

 明輝は早速ログインした。
 意識がGAMEの中に吸い込まれていく。
 視界が一瞬真っ暗闇になると、眩いオーロラの輝きを放ちながら、明輝はアキラとしてログインした。



 アキラは気が付くとギルドホームの中に居た。
 温かいリビングのいつもの桜色の席に座っている。
 薄っすらと目を開け、周りをキョロキョロ見回す。
 如何やらGAMEにログインすると、両腕を天井高く伸ばした。

「ふはぁー、こんばんは」

 アキラは挨拶を交わした。
 こんな時間にログインするなんて本当に久しぶりだ。
 そんな寝ぼけたままのアキラに挨拶が返された。

「ああ、こんばんは」
 
 慣れない口振りだった。誰だろうと思うこともない。
 顔を前に向けると、そこには今ログインした様子のNightがいた。
 腕を組んだまま椅子に座ったアキラのことを見下ろしていた。

「こんばんは、Night」
「そうだな。お前が一番だ」
「そうなの? えっと、みんなはまだログインしてないの?」
「そうだな。今メッセージを送ったところだ。もしかすると気が付いていない可能性もある」
「その可能性は濃厚だよね。それで、どうしてログインさせたの?」

 早速本題に入ろうとした。
 そんな折、ログインしてきたのはフェルノだった。
 夜更かしをしていたのかかなりキマッた状態で、テンションも高いようだ。

「こんばんは~。んで、どうしたのー?」

 フェルノは手を上げて挨拶を交わした。
 アキラとNightも合わせると、早速話題を持って行かれた。

「こんばんはフェルノ」
「ああ、こんばんは」
「ばんは~。それで、急にどうしたのー? なにかあったんだよねー?」
「もちろんあったに決まっているだろ。折り返しになると面倒だが仕方がないか」

 確かにまだ雷斬とベルの二人はログインできていない。
 もしもここで二人がやって来ないと二度手間になる。
 けれどその手間すらも惜しまず、Nightは説明に入った。
 
「こんな時間に呼んだのは一つしかない。急いで行くぞ」
「「急ぐって?」」
「分からないのか? だったらこれを見てみろ……」

 メニューバーを颯爽と開くと、ポチポチと操作をしてアキラとフェルノにも見えるようにした。
 それはこの世界の現在の気象状況を表すものだった。
 いわゆる衛星によるリアルタイム天気予報だった。

「これってこの世界の気温だよね? 地域ごとに出てるけど……あれ?」
「なにか分かったの、アキラー?」
「うん。ほらここを見て。とんでもない雪マークだよ」

 アキラが指を指したのは地図の中でもある一ヵ所。モミジヤの付近だった。
 雪だるまのマークに加えて、まるで吹雪いているみたいに雪が風に煽られている。
 もしかしたらここは吹雪なのでは? 容易に想像が付き、アキラは意識を切り替えて、パッと想像力が働いた。

「もしかしなくても、雪将軍ってことだよね!」
「そう言うことだ」
「どう言うこと……って、あっ!」

 フェルノも冴えていた。
 言いたいことを理解すると、三人は結論を出した。

「今日は吹雪。しかも時間はこっちもあっちも」
「真夜中だ。即ち条件は整った」
「条件が整ってってことはさー、行けるってことだよねー?」
「そう言うことだ。情報筋が確かで良かったな」

 確かな情報筋? つまりはNightが集めた訳じゃない。
 一体誰からと想像する間もなく、すぐに思い付く。

「もしかして妖帖の雅さん?」
「そう言うことだ。確かな情報を送ってくれて助かった」

 本当に助かった。もしもこのチャンスを逃したら次は無かった。
 アキラたちは繋がりを感じ取り安堵すると、雷斬とベルが来るのを待つのだった。
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