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◇395【キメラハント】VS【AS】2
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ここからは本気の戦いになった。
先程よりも明らかにヒートアップしている。
全身からみなぎる闘志がぶつかり合い、スキルの応酬を始めた。
「【AS】!」
けみーはすかさず【AS】を発動した。
一瞬にして脳内にポイント設定すると、A地点B地点C地点へと体が飛んで行く。
「うっ……もう移動するんですか!」
「当然だよ。はぁぁぁぁぁっ!」
まずはA地点。アキラの真横だ。
両腕のブレードを移動間際に突き付けて、あわよくば切り裂こうとした。
しかしアキラも読んでいた。
瞬時に視界の端に捉えると、【キメラハント】:【甲蟲】でガードした。
カキーン!
金属がぶつかり合う音が響いた。
お互いにダメージは0で、まだまだ勝負はここからだ。
今度はアキラが反撃をする番。地面を蹴ると、【灰爪】も発動しいつもの黄金パターンを形成する。
「貫きますよ!」
「分かっているよ。でも、僕には効かないから」
けみーが今度はB地点に移動した。
一瞬にして移動すると、落ちていた小石を拾い上げて牽制目的で投げつけた。
アキラはこれもダメージ判定に入るかもと思い、両腕を前に出してガードしたが、視界からは絶対に外さない。
「動かないんですね。とは言え、【AS】相手にスピードで適う訳ないから……だったら!」
アキラは【月跳】を発動し、空高く飛び上がる。
しかしこれは悪手だ。
お互いにそれを理解したい上で、相手の戦略の先を読む。
「なるほどね。だけど空中だと、僕の方が強いよ!」
けみーはアキラの空中戦を読んでいた。
地上戦になれば、けみーが躱したところでアキラは方向転換して攻撃に転じる。
【AS】で逃げられないよう、視界を遮る寸法だ。そうなれば単純に手数勝負になるが、スキル差で押される可能性を考慮した。
結果、けみーはアキラの望む空中戦を敢行する。
空中戦ならば、まだ【AS】が使えるからだ。
「【AS】……目的地はA地点B地点C地点……それからD地点、E地点……!」
けみーは空中に投げ出された。
しかし体勢を不安定ながらも整えると、瞬時に地点を変えながらアキラにトリッキーな空中殺法を見せつけた。
「僕のブレードはアキラのスキルの外側からの攻撃だよ」
「分かってます。だから私も……こうするんです!」
アキラは繰り出された双剣に対抗した。
右手の剣は【甲蟲】でガードする。対して左の剣に対しては、同じく剣で対抗した。
「アキラが剣を使った!?」
「私はスキルだけに固執しない人ですよ? けみーさんの裏をかいたんです」
「その剣は見せかけじゃなかったんだね」
完全にアキラはけみーの裏をかくことができた。
けれど剣を懐に叩き込もうとしたところで、けみーが目の前から消えた。
【AS】の残りの地点に緊急回避すると、そのまま落下していく。
追いかける手段の無いアキラも足から地面に落ちていくと、お互いに体を捻ったりしながら受け身を取った。
「「ぐはっ!」」
お互いにダメージを受けてしまった。
地面に叩き付けられてしまったせいで、反動を喰らったらしい。
すると決闘が終了してしまった。如何やら引き分けらしく、一番丸い形で収まった。
「あはは……引き分けですね」
「そうだね。だけどやっぱり僕の見込み通りだよ」
「見込みですか? お眼鏡にかなったんですか?」
正直不安だった。これで良かったのか、つくづく思う。
どちらかが勝つか負けるか。それが決闘だ。
にもかかわらず同時にダメージを負って引き分けるなんて、あまりにもつまらない幕引きだ。きっと望んでいた結果とは違うと、アキラは頬をポリポリ掻く。
そんなアキラの心境を察するように「そうだね」と前置きをしてからけみーは口を開いた。
「確かに、僕は勝つ気持ちでやっていた」
「そうですよね。私もです」
「けれど力が拮抗し合っているということは、まだまだ伸びしろがある証拠だよ。勝ちに固執して何かを忘れるわけでも疎かにするのでもなく、負けて絶望し諦めるのとも違う。良い結果と言えば一重にいい結果なのではないかな?」
けみーは上手くまとめに入っていた。
確かに考え方の差だと、アキラも理解していた。
別に引き分けならそれでもいい。次に勝てばいいんだからと開き直り、脳内で意識を切り替えていた。あまりの早さに異常とすら思えるが、それがアキラの良い所だった。
「だけどこれで約束は守られましたよね」
「そうだね。だけどまた戦ってみたいよ」
「あはは……その時はその時です。でも敵に回ったりはしないでくださいね」
「分かっているよ。だけど、もう少ししたら戦闘にが始まるかもしれないね」
「はい?」
「何となくの勘だよ。ここまでのイベント周期とパターン的にね」
なにやら不穏なことを口にしていた。
もしかしたらこのままの勢いで対人戦イベントが始まるのではないか。
あまりにも準備不足。だけど負ける気はない。それだけは確かにあるのだが、できればやりたくはなかった。
けれど考えるのはその時だ。アキラは「そうですね」と変な相槌を交えると、決闘の有意義を感じ取った。
先程よりも明らかにヒートアップしている。
全身からみなぎる闘志がぶつかり合い、スキルの応酬を始めた。
「【AS】!」
けみーはすかさず【AS】を発動した。
一瞬にして脳内にポイント設定すると、A地点B地点C地点へと体が飛んで行く。
「うっ……もう移動するんですか!」
「当然だよ。はぁぁぁぁぁっ!」
まずはA地点。アキラの真横だ。
両腕のブレードを移動間際に突き付けて、あわよくば切り裂こうとした。
しかしアキラも読んでいた。
瞬時に視界の端に捉えると、【キメラハント】:【甲蟲】でガードした。
カキーン!
金属がぶつかり合う音が響いた。
お互いにダメージは0で、まだまだ勝負はここからだ。
今度はアキラが反撃をする番。地面を蹴ると、【灰爪】も発動しいつもの黄金パターンを形成する。
「貫きますよ!」
「分かっているよ。でも、僕には効かないから」
けみーが今度はB地点に移動した。
一瞬にして移動すると、落ちていた小石を拾い上げて牽制目的で投げつけた。
アキラはこれもダメージ判定に入るかもと思い、両腕を前に出してガードしたが、視界からは絶対に外さない。
「動かないんですね。とは言え、【AS】相手にスピードで適う訳ないから……だったら!」
アキラは【月跳】を発動し、空高く飛び上がる。
しかしこれは悪手だ。
お互いにそれを理解したい上で、相手の戦略の先を読む。
「なるほどね。だけど空中だと、僕の方が強いよ!」
けみーはアキラの空中戦を読んでいた。
地上戦になれば、けみーが躱したところでアキラは方向転換して攻撃に転じる。
【AS】で逃げられないよう、視界を遮る寸法だ。そうなれば単純に手数勝負になるが、スキル差で押される可能性を考慮した。
結果、けみーはアキラの望む空中戦を敢行する。
空中戦ならば、まだ【AS】が使えるからだ。
「【AS】……目的地はA地点B地点C地点……それからD地点、E地点……!」
けみーは空中に投げ出された。
しかし体勢を不安定ながらも整えると、瞬時に地点を変えながらアキラにトリッキーな空中殺法を見せつけた。
「僕のブレードはアキラのスキルの外側からの攻撃だよ」
「分かってます。だから私も……こうするんです!」
アキラは繰り出された双剣に対抗した。
右手の剣は【甲蟲】でガードする。対して左の剣に対しては、同じく剣で対抗した。
「アキラが剣を使った!?」
「私はスキルだけに固執しない人ですよ? けみーさんの裏をかいたんです」
「その剣は見せかけじゃなかったんだね」
完全にアキラはけみーの裏をかくことができた。
けれど剣を懐に叩き込もうとしたところで、けみーが目の前から消えた。
【AS】の残りの地点に緊急回避すると、そのまま落下していく。
追いかける手段の無いアキラも足から地面に落ちていくと、お互いに体を捻ったりしながら受け身を取った。
「「ぐはっ!」」
お互いにダメージを受けてしまった。
地面に叩き付けられてしまったせいで、反動を喰らったらしい。
すると決闘が終了してしまった。如何やら引き分けらしく、一番丸い形で収まった。
「あはは……引き分けですね」
「そうだね。だけどやっぱり僕の見込み通りだよ」
「見込みですか? お眼鏡にかなったんですか?」
正直不安だった。これで良かったのか、つくづく思う。
どちらかが勝つか負けるか。それが決闘だ。
にもかかわらず同時にダメージを負って引き分けるなんて、あまりにもつまらない幕引きだ。きっと望んでいた結果とは違うと、アキラは頬をポリポリ掻く。
そんなアキラの心境を察するように「そうだね」と前置きをしてからけみーは口を開いた。
「確かに、僕は勝つ気持ちでやっていた」
「そうですよね。私もです」
「けれど力が拮抗し合っているということは、まだまだ伸びしろがある証拠だよ。勝ちに固執して何かを忘れるわけでも疎かにするのでもなく、負けて絶望し諦めるのとも違う。良い結果と言えば一重にいい結果なのではないかな?」
けみーは上手くまとめに入っていた。
確かに考え方の差だと、アキラも理解していた。
別に引き分けならそれでもいい。次に勝てばいいんだからと開き直り、脳内で意識を切り替えていた。あまりの早さに異常とすら思えるが、それがアキラの良い所だった。
「だけどこれで約束は守られましたよね」
「そうだね。だけどまた戦ってみたいよ」
「あはは……その時はその時です。でも敵に回ったりはしないでくださいね」
「分かっているよ。だけど、もう少ししたら戦闘にが始まるかもしれないね」
「はい?」
「何となくの勘だよ。ここまでのイベント周期とパターン的にね」
なにやら不穏なことを口にしていた。
もしかしたらこのままの勢いで対人戦イベントが始まるのではないか。
あまりにも準備不足。だけど負ける気はない。それだけは確かにあるのだが、できればやりたくはなかった。
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