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◇380 透氷花の群生地
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あれからまさか一時間も経っているなんて。
信じたくはなかったが、何も成果は得られなかった。
流石に焦りの色も見える。別に絶対に見つけないといけないとかではないのだが、ここまでやって見つからないのは辛い。
アキラだけではなく、フェルノや雷斬も多少時間を気にし始めていた。
「何も見つかりませんね」
口火を切ったのは雷斬。珍しいと言えば珍しいのだが、くすぶった空気感を断ち切るための行為だ。
それを全て理解した上で、アキラはポツリ呟く。
「そうだね。なかなか見つからないね」
「うーん、ねえアキラ。本当にこの時期のこの森林なのー?」
「確かそのはずだよ。Nightが居ないから、即座に調べられる人は居ないけど……」
正直情報をかき集めて、その中から真偽を図るのはNightが一番上手い。
なのでアキラたちが幾らネットの海を潜ったと知れも、そこから決定的な真実を掴めるとは限らない。それを考えれば、Nightの持つ普段からの情報リサーチとそこから情報を選び取るアンサー能力に助けられていたことが窺えた。
今までの時間の倍掛かっていて、額を流れる汗を拭き取った。
「冬なのに汗が凄い……」
アキラは拭き取った自分の汗を見て絶句する。
それだけ頑張っている証拠だと解釈した。
もう少し頑張ってみようと、心の表面で自分を鼓舞すると、更に草木を掻き分ける。
「えーっと。確かこっちはまだ行ってないのかな?」
アキラは草むらを掻き分けると、少し広い所に出た。
キョロキョロと視線を移動させると、広い空間に何か生えている。
目を良く凝らしてみた。如何やら花のようでとても綺麗だが、あまりにも花弁が白いのか、地面を一面覆う雪によって不思議とぼやけてしまう。
「ううっ、良く見えないな」
アキラは近づいてみることにした。
それまでの間にモンスターに襲われることもなければ、肝心の蜂を見つけつことはできなかった。
「結局見つからなかったけど……ん?」
アキラは膝を曲げて咲いている花を観察する。
すると花弁が透明だった。あまりに独特過ぎてつい声を失ってしまい、息を飲んでしまった。
「凄いこの花。花弁が透明だ!」
こんな花、GAMEの中でしかそうないのでは? と、Nightが居たら絶対にツッコまれそうなことを内心思ってしまった。
しかし綺麗な花で、触ってみようと手を伸ばした。
花弁は冷たい。まるで氷のようで滑らか。花粉が手に付くでもなく、触れた瞬間にパリーンと弾けて消えてしまった。
「えっ!? ちょっと待ってよ。触っただけだよ?」
少し触っただけなのに花弁が簡単に砕けて消えてしまった。
アキラに悪気は毛頭なかった。
だけど花弁が氷の様に砕け散り、茎だけが残ってしまった花を名残惜しく思ってしまった。酷く申し訳ない気持ちで心が一杯になる。
「如何しよう。ごめんね」
とりあえず謝ることしかできない。
アキラは不思議な花を見つけてしまい立ち尽くしていると、背後から声が聞こえた。
フェルノと雷斬もアキラを捜してやって来た。
「アキラー、何しているのー?」
「フェルノ、雷斬。実はね、ここに花が咲いていて」
「「花?」」
フェルノと雷斬は視線を下に向けた。
確かにたくさんの花が咲いていて、珍しいことに花弁は透明。
フェルノと雷斬も膝を折ると、花弁に触れようとする。
「透明だねー」
「確かにこういった特徴を持つ花は現実にもあるそうですよね」
「あっ、ダメ!」
「「はい?」」
二人の指が花弁に触れてしまった。
すると案の定透明な花弁は弾けてしまった。
氷の様に砕けてしまい、二人はびっくりして目を丸くする。
「く、砕けた!?」
「弾けてしまいましたね。何だか申し訳ない気分になってしまいます」
二人も思う所ができてしまった。
それにしてもこの花は何なのか。こんなに簡単に花弁が弾けてしまうなんて、あまりにも命が儚すぎる。
茎だけが取り残され花弁を失った花がピンと伸びていた。
アキラ達はこの花のことを知りたくて、慣れない手つきでキーを叩きネットで検索する。
「えーっと、この花の名前は」
「これではないでしょうか?」
雷斬は早速調べてくれた。
ディスプレイを広げると、アキラたちにも見えるようにする。
そこには先程触れてしまい砕けた花のことが書かれている。
「えーっと何々、透氷花? ガラスの様に透明度が高い四枚の氷の花弁を持ち、少しの加重でも砕けてしまうとても繊細な花。その蜜はとても甘く希少価値が高い上に、回復効果も期待されている。ただし冬場の一部の地帯でしか生えないこと、砕けてしまう花弁のため、入手難易度はかなり高いとされている。かー、凄いね。結構珍しい花みたいだよ」
フェルノは説明を読んで納得していた。
口をポカンと開けたまま、この花の希少性をしみじみ感じる。
「確かに凄いよね。まさかこんな花を見つけられるなんて。あれ、ここに元ネタって……」
気になるURLを見つけた。タッチしてみるとさらに解説が描かれたサイトに飛ぶ。
モチーフとなっているのはおそらくサンカヨウらしい。
そう言われてもサッパリなのだが、別名がスケルトンフラワーと言うらしい。
何だかとてもしっくり来た。
「私たち、かなりラッキーみたいだよ」
「ですが如何しましょうか?」
「如何するって?」
「透氷花は見つかりましたが、肝心の蜂が見つからないので」
「「あっ」」
一気に現実に引き戻された。
今欲しいのは花では蜂なのだ。
信じたくはなかったが、何も成果は得られなかった。
流石に焦りの色も見える。別に絶対に見つけないといけないとかではないのだが、ここまでやって見つからないのは辛い。
アキラだけではなく、フェルノや雷斬も多少時間を気にし始めていた。
「何も見つかりませんね」
口火を切ったのは雷斬。珍しいと言えば珍しいのだが、くすぶった空気感を断ち切るための行為だ。
それを全て理解した上で、アキラはポツリ呟く。
「そうだね。なかなか見つからないね」
「うーん、ねえアキラ。本当にこの時期のこの森林なのー?」
「確かそのはずだよ。Nightが居ないから、即座に調べられる人は居ないけど……」
正直情報をかき集めて、その中から真偽を図るのはNightが一番上手い。
なのでアキラたちが幾らネットの海を潜ったと知れも、そこから決定的な真実を掴めるとは限らない。それを考えれば、Nightの持つ普段からの情報リサーチとそこから情報を選び取るアンサー能力に助けられていたことが窺えた。
今までの時間の倍掛かっていて、額を流れる汗を拭き取った。
「冬なのに汗が凄い……」
アキラは拭き取った自分の汗を見て絶句する。
それだけ頑張っている証拠だと解釈した。
もう少し頑張ってみようと、心の表面で自分を鼓舞すると、更に草木を掻き分ける。
「えーっと。確かこっちはまだ行ってないのかな?」
アキラは草むらを掻き分けると、少し広い所に出た。
キョロキョロと視線を移動させると、広い空間に何か生えている。
目を良く凝らしてみた。如何やら花のようでとても綺麗だが、あまりにも花弁が白いのか、地面を一面覆う雪によって不思議とぼやけてしまう。
「ううっ、良く見えないな」
アキラは近づいてみることにした。
それまでの間にモンスターに襲われることもなければ、肝心の蜂を見つけつことはできなかった。
「結局見つからなかったけど……ん?」
アキラは膝を曲げて咲いている花を観察する。
すると花弁が透明だった。あまりに独特過ぎてつい声を失ってしまい、息を飲んでしまった。
「凄いこの花。花弁が透明だ!」
こんな花、GAMEの中でしかそうないのでは? と、Nightが居たら絶対にツッコまれそうなことを内心思ってしまった。
しかし綺麗な花で、触ってみようと手を伸ばした。
花弁は冷たい。まるで氷のようで滑らか。花粉が手に付くでもなく、触れた瞬間にパリーンと弾けて消えてしまった。
「えっ!? ちょっと待ってよ。触っただけだよ?」
少し触っただけなのに花弁が簡単に砕けて消えてしまった。
アキラに悪気は毛頭なかった。
だけど花弁が氷の様に砕け散り、茎だけが残ってしまった花を名残惜しく思ってしまった。酷く申し訳ない気持ちで心が一杯になる。
「如何しよう。ごめんね」
とりあえず謝ることしかできない。
アキラは不思議な花を見つけてしまい立ち尽くしていると、背後から声が聞こえた。
フェルノと雷斬もアキラを捜してやって来た。
「アキラー、何しているのー?」
「フェルノ、雷斬。実はね、ここに花が咲いていて」
「「花?」」
フェルノと雷斬は視線を下に向けた。
確かにたくさんの花が咲いていて、珍しいことに花弁は透明。
フェルノと雷斬も膝を折ると、花弁に触れようとする。
「透明だねー」
「確かにこういった特徴を持つ花は現実にもあるそうですよね」
「あっ、ダメ!」
「「はい?」」
二人の指が花弁に触れてしまった。
すると案の定透明な花弁は弾けてしまった。
氷の様に砕けてしまい、二人はびっくりして目を丸くする。
「く、砕けた!?」
「弾けてしまいましたね。何だか申し訳ない気分になってしまいます」
二人も思う所ができてしまった。
それにしてもこの花は何なのか。こんなに簡単に花弁が弾けてしまうなんて、あまりにも命が儚すぎる。
茎だけが取り残され花弁を失った花がピンと伸びていた。
アキラ達はこの花のことを知りたくて、慣れない手つきでキーを叩きネットで検索する。
「えーっと、この花の名前は」
「これではないでしょうか?」
雷斬は早速調べてくれた。
ディスプレイを広げると、アキラたちにも見えるようにする。
そこには先程触れてしまい砕けた花のことが書かれている。
「えーっと何々、透氷花? ガラスの様に透明度が高い四枚の氷の花弁を持ち、少しの加重でも砕けてしまうとても繊細な花。その蜜はとても甘く希少価値が高い上に、回復効果も期待されている。ただし冬場の一部の地帯でしか生えないこと、砕けてしまう花弁のため、入手難易度はかなり高いとされている。かー、凄いね。結構珍しい花みたいだよ」
フェルノは説明を読んで納得していた。
口をポカンと開けたまま、この花の希少性をしみじみ感じる。
「確かに凄いよね。まさかこんな花を見つけられるなんて。あれ、ここに元ネタって……」
気になるURLを見つけた。タッチしてみるとさらに解説が描かれたサイトに飛ぶ。
モチーフとなっているのはおそらくサンカヨウらしい。
そう言われてもサッパリなのだが、別名がスケルトンフラワーと言うらしい。
何だかとてもしっくり来た。
「私たち、かなりラッキーみたいだよ」
「ですが如何しましょうか?」
「如何するって?」
「透氷花は見つかりましたが、肝心の蜂が見つからないので」
「「あっ」」
一気に現実に引き戻された。
今欲しいのは花では蜂なのだ。
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