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◇378 ソウラの頼み事1
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その日もアキラはDeep Skyの営むアイテム屋さんにやって来た。
残念ながら、今日も店の前は空いている。
寂しいなと思いつつ、アキラは扉を開けた。
カランカラーン!
銀製のベルの音が聴こえた。
店の中に入ると、カウンターにはソウラが一人。
今日もグラスを拭いていて、更には瓶を棚に並べていた。
「こんにちは、ソウラさん」
「あっ、アキラ。今日も来てくれたのね」
「はい、今日も来ました。それで、今日は他に?」
「居ないわよ。私一人、ちょっと暇をしていたのね」
「それって丁度良かったってことですか?」
「ええ、二つの意味でね」
二つ? と、アキラは思ってしまった。
一体何と何が掛け合わされているのか。
一つは暇を持て余していたから、話し相手が欲しかった。と言うことだろう。
けれどもう一つは何か。ソウラの顔を見たアキラはズバリ言い当てる。
「もしかして、何か依頼ですか?」
アキラは恐る恐る訊いてみた。
するとソウラはグラスを置き、アキラに指を指すと、高らかに答える。
「そうなのよ!」
やっぱりだと思った。この顔色は頼みごとをしたい時だとアキラの目なら一発で見破れる。
メンタリスト並みのずば抜けた直観力、読解力を働かせた。
「今日は何ですか? この間は素材でしたけど、また素材ですか?」
「ええ。でも今回はピーコが欲しがっているものじゃないのよ」
「それじゃあマンティさん?」
「いいえ。もちろんけみーでもないから安心して」
「ってことはソウラさん。お店に置くものですか?」
「ちょっと惜しいかな」
惜しいの判定が難しかった。
とは言え、ソウラが欲しがるものと言えば素材。
多分、何か作るための調合素材が足りていないに違いない。
そこでアキラたちの出番。いつも素材の調達を任せている子たちが来たから、ソウラからしてみれば二つの意味で、丁度良かったの謎が解けた。
「えっと、ちなみに何を取って来るんですか?」
アキラはソウラに尋ねる。
するとパッと明るくなった表情で、まだ受けるとは一言も言っていないにもかかわらず、ソウラは話し始めた。
「アキラは知ってる? この時期にだけ採れる幻の蜂蜜」
「幻の蜂蜜ですか? いいえ、知らないです」
そう言えばそんな謳い文句をテレビなどでよく見かける。
アキラはその類かなと薄っすら思ったのだが、如何やらそうではないらしい。
名前を聴いて、確かに今しか採れないと思った。
「その蜂蜜の名前は、雪解け蜜」
「雪解け蜜? 確かに今しか採れそうにないですよね」
「そうなの。しかもとっても貴重だから、中々入手が困難なのね」
「入手困難? 理由ってあるんですか?」
「そうなの。そもそもね……」
ソウラはアキラに入手困難な理由を教えてくれた。
確かに聴いていると、入手が困難な理由も見えて来る。
だけど本当に見つかるのか、怪しくなってきた。
「えっと、そんなの採れるんですか?」
「採れるって噂よ」
「噂……Nightに訊いてみるしかないかな?」
この反応を見たソウラはにんまりする。
笑みを浮かべると、アキラは否定的に答えた。
「えっ、まだ受けるとは言ってませんよ?」
「受けてくれないの!?」
「如何してそんなに驚くんですか? 流石に貴重すぎるアイテムになって来ると、私たちでも見つけられるか如何か……そもそも、手伝ってくれるかな?」
アキラは顔を顰めてしまい、ソウラは少し悲しそうになる。
アキラは気を紛らわせるために、ソウラに声を掛けた。
「あ、あの。じゃあ保証はないですけど、行ってみますよ」
「本当?」
「代わりに何かとか? 貰えますか?」
「何か? うーん、今回の報酬何が良いのかしらね?」
いつもはお金だとか、アイテムを融通して貰っている。
けれど貴重なアイテムともなれば話は変わる。
それに見合ったものが欲しくなるのは人間の心理で、ソウラの表情から続きがありそうなので、期待もしてしまった。
「そうだ! それじゃあこれなんて如何かしら?」
「如何って……あー」
何だかアキラには必要なさそうなものだった。
だけど欲しい人は継ぎ接ぎには居る。
アキラはそう思ったので、ちょっと受ける気になる。
「分かりました。それじゃあ、今日じゃなくても良いですよね?」
「大丈夫よ。でもね、雪解け蜜は入手できる期間が決まっているから、できれば早めがいいわね」
「そうですか……明日にでも行ってみようかな?」
ボソッとアキラは呟いた。
するとソウラは手をパンと合わせて、嬉しそうに笑みを浮かべる。
全く人の扱いが上手いとアキラは思ったが、一つ問題なのは入手難易度だ。
「ちなみに入手難易度は?」
「それがね、かなり運が必要らしいの」
「運? ……あっ!」
「うふふ、それじゃあお願いするわね」
何だか良いように丸め込まれた気がする。
アキラは頭を押さえてしまったが、もうやるしかなくなった。
残念ながら、今日も店の前は空いている。
寂しいなと思いつつ、アキラは扉を開けた。
カランカラーン!
銀製のベルの音が聴こえた。
店の中に入ると、カウンターにはソウラが一人。
今日もグラスを拭いていて、更には瓶を棚に並べていた。
「こんにちは、ソウラさん」
「あっ、アキラ。今日も来てくれたのね」
「はい、今日も来ました。それで、今日は他に?」
「居ないわよ。私一人、ちょっと暇をしていたのね」
「それって丁度良かったってことですか?」
「ええ、二つの意味でね」
二つ? と、アキラは思ってしまった。
一体何と何が掛け合わされているのか。
一つは暇を持て余していたから、話し相手が欲しかった。と言うことだろう。
けれどもう一つは何か。ソウラの顔を見たアキラはズバリ言い当てる。
「もしかして、何か依頼ですか?」
アキラは恐る恐る訊いてみた。
するとソウラはグラスを置き、アキラに指を指すと、高らかに答える。
「そうなのよ!」
やっぱりだと思った。この顔色は頼みごとをしたい時だとアキラの目なら一発で見破れる。
メンタリスト並みのずば抜けた直観力、読解力を働かせた。
「今日は何ですか? この間は素材でしたけど、また素材ですか?」
「ええ。でも今回はピーコが欲しがっているものじゃないのよ」
「それじゃあマンティさん?」
「いいえ。もちろんけみーでもないから安心して」
「ってことはソウラさん。お店に置くものですか?」
「ちょっと惜しいかな」
惜しいの判定が難しかった。
とは言え、ソウラが欲しがるものと言えば素材。
多分、何か作るための調合素材が足りていないに違いない。
そこでアキラたちの出番。いつも素材の調達を任せている子たちが来たから、ソウラからしてみれば二つの意味で、丁度良かったの謎が解けた。
「えっと、ちなみに何を取って来るんですか?」
アキラはソウラに尋ねる。
するとパッと明るくなった表情で、まだ受けるとは一言も言っていないにもかかわらず、ソウラは話し始めた。
「アキラは知ってる? この時期にだけ採れる幻の蜂蜜」
「幻の蜂蜜ですか? いいえ、知らないです」
そう言えばそんな謳い文句をテレビなどでよく見かける。
アキラはその類かなと薄っすら思ったのだが、如何やらそうではないらしい。
名前を聴いて、確かに今しか採れないと思った。
「その蜂蜜の名前は、雪解け蜜」
「雪解け蜜? 確かに今しか採れそうにないですよね」
「そうなの。しかもとっても貴重だから、中々入手が困難なのね」
「入手困難? 理由ってあるんですか?」
「そうなの。そもそもね……」
ソウラはアキラに入手困難な理由を教えてくれた。
確かに聴いていると、入手が困難な理由も見えて来る。
だけど本当に見つかるのか、怪しくなってきた。
「えっと、そんなの採れるんですか?」
「採れるって噂よ」
「噂……Nightに訊いてみるしかないかな?」
この反応を見たソウラはにんまりする。
笑みを浮かべると、アキラは否定的に答えた。
「えっ、まだ受けるとは言ってませんよ?」
「受けてくれないの!?」
「如何してそんなに驚くんですか? 流石に貴重すぎるアイテムになって来ると、私たちでも見つけられるか如何か……そもそも、手伝ってくれるかな?」
アキラは顔を顰めてしまい、ソウラは少し悲しそうになる。
アキラは気を紛らわせるために、ソウラに声を掛けた。
「あ、あの。じゃあ保証はないですけど、行ってみますよ」
「本当?」
「代わりに何かとか? 貰えますか?」
「何か? うーん、今回の報酬何が良いのかしらね?」
いつもはお金だとか、アイテムを融通して貰っている。
けれど貴重なアイテムともなれば話は変わる。
それに見合ったものが欲しくなるのは人間の心理で、ソウラの表情から続きがありそうなので、期待もしてしまった。
「そうだ! それじゃあこれなんて如何かしら?」
「如何って……あー」
何だかアキラには必要なさそうなものだった。
だけど欲しい人は継ぎ接ぎには居る。
アキラはそう思ったので、ちょっと受ける気になる。
「分かりました。それじゃあ、今日じゃなくても良いですよね?」
「大丈夫よ。でもね、雪解け蜜は入手できる期間が決まっているから、できれば早めがいいわね」
「そうですか……明日にでも行ってみようかな?」
ボソッとアキラは呟いた。
するとソウラは手をパンと合わせて、嬉しそうに笑みを浮かべる。
全く人の扱いが上手いとアキラは思ったが、一つ問題なのは入手難易度だ。
「ちなみに入手難易度は?」
「それがね、かなり運が必要らしいの」
「運? ……あっ!」
「うふふ、それじゃあお願いするわね」
何だか良いように丸め込まれた気がする。
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