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◇365 雪合戦をほぼガチでやらされた結果
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明輝たちはそれぞれジャージの上にビブスを着ることになった。
赤と青と分かりやすい色合いになっている。
明輝と烈火も同じく赤色のビブスを着ることになった。
「何で本気で雪合戦をするんだろうね?」
「でも面白いから良くなーい?」
「それは良いんだけどね。だけど、相手は強そうだよ?」
明輝たち赤チームには白玄や黒牟、祭が居た。
しかし青チームには水泳部時期エースと呼ばれる及川麗奈を始め、友達の由里乃に風紀委員の三条美零。如何にもできそうな人たちばかりだった。
「加竜さん、水泳ではいい勝負でしたが、こちらでは私が勝ちますよ」
「うん。全力で楽しもう」
「全力で楽しむ……そうですね。まずは貴女を倒します」
「おお、ライバル意識。私は結構好きだよ、そう言うのー」
麗奈は烈火を挑発する。
しかし烈火は完全に挑発に乗ったは良いものの、そこからのペースは一切崩さない。
そんな姿を見届けると、準備も出来たので、船橋先生は笛を唇に当てる。
ちなみに今回のルールだと、雪玉を当てられた場合はアウト。場外に出る。
相手チームを全滅させるか、各陣営の中央ラインに設置されたフラッグを抜き取る。
このどっちかで勝利になる。
そんなシンプルなルールの下、何故か本格的になってしまった雪合戦が船橋先生の合図とともに開始されるのだった。
ピィィィィィィィィィィィィィィィ!
甲高い笛の音が空を切る。
流石に最初は様子見。そう思ったのも束の間。
烈火と麗奈が雪玉を作ると、同時に投げつけた。
「「そりゃぁ!」」
ほぼ同時だった。
然し若干烈火の方が早く、麗奈の雪玉を撃ち落とす。
とは言え互いに相殺され、完全に二人の先制パンチで事態が動く。
「やるねー」
「加竜さんも。ですが、こっちは一人では無いんですよ」
麗奈はそう答えると、後ろから伏兵が飛び出す。
美零と由里乃が雪玉をそれぞれ放り投げると、祭や他のクラスメイトを狙っていた。
「危ないよ。由里乃」
祭はスルリと躱してしまう。
他のクラスメイトは当たってしまったが、それでも隙を狙って、白玄と黒牟が雪玉を投げて二人を落とした。
流石のコンビネーションで、すぐさま反撃の目を生み出す。
「やるよ、黒牟!」
「うん」
二人はダンボールを盾にする。
それから雪玉を投げて牽制するが、流石に人数が減ったこともあり、相手チームも動きがない。
そんな中、烈火は麗奈と一対一の勝負をひたすらに繰り広げていた。
流石にその中には誰も入れない。なので暗黙の了解のように、誰も邪魔立てしていない。
「何でこっち攻撃して来ないんだろうねー」
「そうですね。こんなに隙があるのに……」
「そろそろ明輝辺りは気が付いているんじゃないかな?」
「うん。何で立花さんは攻撃して来ないのでしょうね?」
二人のピリピリとした熱いエネルギーが迸る。
二人の背中から語り掛けて来るものを明輝は当然気が付いていた。
しかしながらその中に入りこもうとは思わない。
だって誰も動かないから、余計な真似しちゃダメだった。
「如何しよう。私も攻撃した方が良いのかな?」
一応雪玉は作っていたし、的確かつ適度に投げて邪魔をしていた。
その隙を突いて祭が由里乃を撃破。
雪玉を失った祭の隙を隠すように、美零が投げる雪玉を雪玉をぶつけて払い落とす。
そのおかげで人数差は一瞬で生まれてしまい、五対二くらいになってしまった。
「ちょっと及川さん、そろそろ二人だけの勝負は止めて……」
「そうしたいけど、無理なんです」
「如何して?」
「私が加竜さんを止めないと、一掃されてしまいますよ」
麗奈の言うことは最もだった。
もしもここで麗奈がやられれば、烈火は容赦なく残った美零を落としに来る。
それはあまりにも確実で、その前に勝つための手段。唯一の方法はフラッグを取ることだった。
「だからね。三条さん、私の代わりにフラッグを取って来て」
「私が? 残ったメンバーを掻い潜って?」
「うん。お願いできませんか?」
「……あまりにも勝機が薄い気がしますけど……」
それでも美零はやることを決めていた。
それくらいしかできない。だからこそ頑張るのだ。
ここで音を上げるのは早すぎると、自分を鼓舞して、雪の上を駆け出す。
「もう、絶対無理でしょ!」
それでも美零は駆け出していた。
雪玉の集中砲火を何とか身を逸らして躱し、フラッグを目指す。
みんな空気を読んでいるのか、それとも思った以上にスピードがないせいか、全然雪玉が当たらずに、赤チームは困惑する。
「取った!」
美零はまさかフラッグを取って勝てるとは思わなかった。
指先が質感の良い金属棒に触れた瞬間、背中に雪玉が放物線を描いて当たる。
「えっ?」
「やった!」
目の前には明輝が居た。
しかしかなり離れていて、直接ストレートに投げた訳じゃない。
完全に隙を突かれた。背中に当たるように仕向けられるとは思わなかったのだ。
「う、嘘でしょ?」
「ふぅ。GAMEで慣れておいて良かったよ。うわぁ!」
「明輝、危ない!」
すると今度は最後の一人、麗奈が雪玉を投げた。
しかし明輝は素早く気が付き避けてしまい、青チームの活躍も空しく麗奈を烈火が仕留めた。
「ごめんねー」
「お、終わりですか」
麗奈に雪玉が当たる。
すると船橋先生がピィィィィィィィィィィ! と笛を吹き、「赤チームの勝利です」と宣言する。
「ふぅ。負けちゃったわね」
「ごめんね、麗奈ちゃん」
「いいわよ。でもまさか背中にドンピシャで当たるなんて」
「あはは、運良かったね」
明輝はその一言で片づけてしまった。
しかしただ運が良かったわけじゃない。明輝の方に運が傾いた。
何となく、そんな雰囲気があるのだが、誰も気が付きはしなかった。
とにかく楽しい雪合戦ができて、心底疲れたし、内側のボルテージにも火が点いた。
赤と青と分かりやすい色合いになっている。
明輝と烈火も同じく赤色のビブスを着ることになった。
「何で本気で雪合戦をするんだろうね?」
「でも面白いから良くなーい?」
「それは良いんだけどね。だけど、相手は強そうだよ?」
明輝たち赤チームには白玄や黒牟、祭が居た。
しかし青チームには水泳部時期エースと呼ばれる及川麗奈を始め、友達の由里乃に風紀委員の三条美零。如何にもできそうな人たちばかりだった。
「加竜さん、水泳ではいい勝負でしたが、こちらでは私が勝ちますよ」
「うん。全力で楽しもう」
「全力で楽しむ……そうですね。まずは貴女を倒します」
「おお、ライバル意識。私は結構好きだよ、そう言うのー」
麗奈は烈火を挑発する。
しかし烈火は完全に挑発に乗ったは良いものの、そこからのペースは一切崩さない。
そんな姿を見届けると、準備も出来たので、船橋先生は笛を唇に当てる。
ちなみに今回のルールだと、雪玉を当てられた場合はアウト。場外に出る。
相手チームを全滅させるか、各陣営の中央ラインに設置されたフラッグを抜き取る。
このどっちかで勝利になる。
そんなシンプルなルールの下、何故か本格的になってしまった雪合戦が船橋先生の合図とともに開始されるのだった。
ピィィィィィィィィィィィィィィィ!
甲高い笛の音が空を切る。
流石に最初は様子見。そう思ったのも束の間。
烈火と麗奈が雪玉を作ると、同時に投げつけた。
「「そりゃぁ!」」
ほぼ同時だった。
然し若干烈火の方が早く、麗奈の雪玉を撃ち落とす。
とは言え互いに相殺され、完全に二人の先制パンチで事態が動く。
「やるねー」
「加竜さんも。ですが、こっちは一人では無いんですよ」
麗奈はそう答えると、後ろから伏兵が飛び出す。
美零と由里乃が雪玉をそれぞれ放り投げると、祭や他のクラスメイトを狙っていた。
「危ないよ。由里乃」
祭はスルリと躱してしまう。
他のクラスメイトは当たってしまったが、それでも隙を狙って、白玄と黒牟が雪玉を投げて二人を落とした。
流石のコンビネーションで、すぐさま反撃の目を生み出す。
「やるよ、黒牟!」
「うん」
二人はダンボールを盾にする。
それから雪玉を投げて牽制するが、流石に人数が減ったこともあり、相手チームも動きがない。
そんな中、烈火は麗奈と一対一の勝負をひたすらに繰り広げていた。
流石にその中には誰も入れない。なので暗黙の了解のように、誰も邪魔立てしていない。
「何でこっち攻撃して来ないんだろうねー」
「そうですね。こんなに隙があるのに……」
「そろそろ明輝辺りは気が付いているんじゃないかな?」
「うん。何で立花さんは攻撃して来ないのでしょうね?」
二人のピリピリとした熱いエネルギーが迸る。
二人の背中から語り掛けて来るものを明輝は当然気が付いていた。
しかしながらその中に入りこもうとは思わない。
だって誰も動かないから、余計な真似しちゃダメだった。
「如何しよう。私も攻撃した方が良いのかな?」
一応雪玉は作っていたし、的確かつ適度に投げて邪魔をしていた。
その隙を突いて祭が由里乃を撃破。
雪玉を失った祭の隙を隠すように、美零が投げる雪玉を雪玉をぶつけて払い落とす。
そのおかげで人数差は一瞬で生まれてしまい、五対二くらいになってしまった。
「ちょっと及川さん、そろそろ二人だけの勝負は止めて……」
「そうしたいけど、無理なんです」
「如何して?」
「私が加竜さんを止めないと、一掃されてしまいますよ」
麗奈の言うことは最もだった。
もしもここで麗奈がやられれば、烈火は容赦なく残った美零を落としに来る。
それはあまりにも確実で、その前に勝つための手段。唯一の方法はフラッグを取ることだった。
「だからね。三条さん、私の代わりにフラッグを取って来て」
「私が? 残ったメンバーを掻い潜って?」
「うん。お願いできませんか?」
「……あまりにも勝機が薄い気がしますけど……」
それでも美零はやることを決めていた。
それくらいしかできない。だからこそ頑張るのだ。
ここで音を上げるのは早すぎると、自分を鼓舞して、雪の上を駆け出す。
「もう、絶対無理でしょ!」
それでも美零は駆け出していた。
雪玉の集中砲火を何とか身を逸らして躱し、フラッグを目指す。
みんな空気を読んでいるのか、それとも思った以上にスピードがないせいか、全然雪玉が当たらずに、赤チームは困惑する。
「取った!」
美零はまさかフラッグを取って勝てるとは思わなかった。
指先が質感の良い金属棒に触れた瞬間、背中に雪玉が放物線を描いて当たる。
「えっ?」
「やった!」
目の前には明輝が居た。
しかしかなり離れていて、直接ストレートに投げた訳じゃない。
完全に隙を突かれた。背中に当たるように仕向けられるとは思わなかったのだ。
「う、嘘でしょ?」
「ふぅ。GAMEで慣れておいて良かったよ。うわぁ!」
「明輝、危ない!」
すると今度は最後の一人、麗奈が雪玉を投げた。
しかし明輝は素早く気が付き避けてしまい、青チームの活躍も空しく麗奈を烈火が仕留めた。
「ごめんねー」
「お、終わりですか」
麗奈に雪玉が当たる。
すると船橋先生がピィィィィィィィィィィ! と笛を吹き、「赤チームの勝利です」と宣言する。
「ふぅ。負けちゃったわね」
「ごめんね、麗奈ちゃん」
「いいわよ。でもまさか背中にドンピシャで当たるなんて」
「あはは、運良かったね」
明輝はその一言で片づけてしまった。
しかしただ運が良かったわけじゃない。明輝の方に運が傾いた。
何となく、そんな雰囲気があるのだが、誰も気が付きはしなかった。
とにかく楽しい雪合戦ができて、心底疲れたし、内側のボルテージにも火が点いた。
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