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◇363 冬休みを開けの学校
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御鷹高校の冬休みが明けた。
明輝は未だに寒い一月の寒気に晒されながらも、コートを着込んで学校へと向かう。
「ううっ、寒いよ」
明輝はコートを着ていたが、それでも寒いのでギュッと手繰り寄せていた。
そんな中、背後からダッダッダッと勇ましく駆けて来る音が聞こえた。
誰だろうと振り返る必要すらない。
明輝は振り返る間もなく、「明輝―!」と呼ばれてしまったので、少しだけ立ち止まる。
すると背中に圧を感じた。いいや、誰かがぶつかって来た。
「おっはよー! いやぁ、今日も寒いねー」
「烈火は寒そうじゃないね」
「うん! だって雪が降っているんだよ? 楽しいでしょ」
明輝に抱きついたのは烈火だった。
背中から抱きつかれたので首だけ回して振り返る。
にこやかな烈火の表情があり、明輝は「あはは」と軽い笑みを浮かべる。
「そうだね。今日、雪降ってるから寒いんだよね」
「雪が降るから寒いって言うか、雪が降るくらい寒いんだよ? って、このくらいで嘆いてる暇ないけどさー」
今日の寒気は強敵だ。
そのせいで雪までパラパラ降って来ていて、普通に寒い。
御鷹は夏はそれなりに熱くて、冬もそれなりに寒い。
こうして雪が降るのは珍しくは全く無く、鼻をすすってしまった。
グスン!
「ううっ、ちょっとずつ寒さが厳しくなってる」
「それそろ冬将軍がやって来るてきなー?」
「あはは、もう来てるよ。それより烈火、手が赤くなってるけど、もしかして霜焼けしたの?」
明輝はチラリと烈火の右手が気になる。
手のひらが真っ赤になっている。しかもほんの一部だけだ。
「うん。さっき雪を丸めて一人で投げてたんだよー!」
「なに? 一人で雪合戦をしてたってこと?」
「まあねー。でも全然楽しくなかったなー」
「当たり前だよ。だって一人だもん」
「だよねー。まあそんなことは置いておくとして、学校に早く行こ。温まらないと、ヤバいでしょ?」
烈火は明輝の腕を掴んだ。
そのまま雪がちょっとだけ積もった通学路を走り、二人で学校へと向かった。
こうみると烈火の暴走に振り回されているように見えるけど、明輝もちゃんと付いて行けていたから良かった。
「んで着いたんだけど」
「学校の校庭は結構雪が積もっているね。やっぱり冬は体育も体育館でやるから雪をわざわざ掻いたりしないのかな?」
明輝の疑問はもっともだった。
このまま春まで待っていれば、自然と暖かくなり気温も上がるからわざわざ掻く必要もない。
しかしこんなに積もっているのに何も使わないのはもったいない。
別にダイブをするほどの量は積もっていないけど、烈火は遊びたくてウズウズしていた。
きっと楽しそうだから仕方がない。
「あっ、明輝ちゃんと烈火ちゃんだ。おはよう」
「ん? おはよう」
校門を少し過ぎた辺りで立っていると、クラスメイトから声を掛けられる明輝。
振り返って軽く挨拶をすると、「いつも一緒だね」と言われてしまった。
「そうだね。一緒にGAMEしたりするから」
「中学の時からの馴染みだからだよー。それより白玄と黒牟も一緒でしょ?」
「うん。私達も幼馴染みだからね」
「うん」
二人は即答した。
白玄は相変わらずハキハキトしていて元気一杯。
対して黒牟はコクコクと首を振る程度だ。
二人共性格も全然違うからこそ、仲が良いのかと思い、明輝と烈火の凸凹コンビ感も相まってクラスではそんな立ち位置だった。
「二人は休み中、何処か行って来たの?」
「うーん、ちょっとした小旅行かな?」
「うん。楽しかった」
二人はコクコクと首を縦に振りながら会話を盛り上げる。
ふと明輝は何処に行って来たのか気になる。
「何処に行ってきたの?」
「「札幌」」
「札幌? 何で、突然に」
「「ラーメン」」
二人共同時に喋ってハモッた。
本当に息の合った連携に呆気に取られる中、黒牟は白玄のコートの袖を引っ張った。
流石に寒くなって来たから校舎の中に入りたそうにしていると、明輝は完璧に読み切っていた。
「ねえみんな。そろそろ校舎に入ろうよ。ここじゃ寒いでしょ?」
明輝がそう言うと、「確かにねー」と烈火が合の手を入れる。
一月の寒空は体にも堪えるので、明輝たちは校舎へと移動する。
そのまま教室に行く流れになったのだが、その間に黒牟が明輝のコートの袖を軽く引っ張った。
「なに?」
「ありがとう」
「えっ? 何で感謝されたの?」
明輝は黒牟に感謝されたので意味が分からなかった。
だけど何か良いことをしたに違いない。
ここは意識を切り替えて、明輝は「なんてことないよ。友達でしょ?」と答えた。
すると黒牟は少し照れてしまったのか頬を赤らめて、白玄の隣へと移る。
「如何したの、黒牟?」
「何でもない。何でも、ない……」
二人共とっても可愛い友達だった。
明輝は烈火の隣へと行き、揃って教室へと向かうのでした。
明輝は未だに寒い一月の寒気に晒されながらも、コートを着込んで学校へと向かう。
「ううっ、寒いよ」
明輝はコートを着ていたが、それでも寒いのでギュッと手繰り寄せていた。
そんな中、背後からダッダッダッと勇ましく駆けて来る音が聞こえた。
誰だろうと振り返る必要すらない。
明輝は振り返る間もなく、「明輝―!」と呼ばれてしまったので、少しだけ立ち止まる。
すると背中に圧を感じた。いいや、誰かがぶつかって来た。
「おっはよー! いやぁ、今日も寒いねー」
「烈火は寒そうじゃないね」
「うん! だって雪が降っているんだよ? 楽しいでしょ」
明輝に抱きついたのは烈火だった。
背中から抱きつかれたので首だけ回して振り返る。
にこやかな烈火の表情があり、明輝は「あはは」と軽い笑みを浮かべる。
「そうだね。今日、雪降ってるから寒いんだよね」
「雪が降るから寒いって言うか、雪が降るくらい寒いんだよ? って、このくらいで嘆いてる暇ないけどさー」
今日の寒気は強敵だ。
そのせいで雪までパラパラ降って来ていて、普通に寒い。
御鷹は夏はそれなりに熱くて、冬もそれなりに寒い。
こうして雪が降るのは珍しくは全く無く、鼻をすすってしまった。
グスン!
「ううっ、ちょっとずつ寒さが厳しくなってる」
「それそろ冬将軍がやって来るてきなー?」
「あはは、もう来てるよ。それより烈火、手が赤くなってるけど、もしかして霜焼けしたの?」
明輝はチラリと烈火の右手が気になる。
手のひらが真っ赤になっている。しかもほんの一部だけだ。
「うん。さっき雪を丸めて一人で投げてたんだよー!」
「なに? 一人で雪合戦をしてたってこと?」
「まあねー。でも全然楽しくなかったなー」
「当たり前だよ。だって一人だもん」
「だよねー。まあそんなことは置いておくとして、学校に早く行こ。温まらないと、ヤバいでしょ?」
烈火は明輝の腕を掴んだ。
そのまま雪がちょっとだけ積もった通学路を走り、二人で学校へと向かった。
こうみると烈火の暴走に振り回されているように見えるけど、明輝もちゃんと付いて行けていたから良かった。
「んで着いたんだけど」
「学校の校庭は結構雪が積もっているね。やっぱり冬は体育も体育館でやるから雪をわざわざ掻いたりしないのかな?」
明輝の疑問はもっともだった。
このまま春まで待っていれば、自然と暖かくなり気温も上がるからわざわざ掻く必要もない。
しかしこんなに積もっているのに何も使わないのはもったいない。
別にダイブをするほどの量は積もっていないけど、烈火は遊びたくてウズウズしていた。
きっと楽しそうだから仕方がない。
「あっ、明輝ちゃんと烈火ちゃんだ。おはよう」
「ん? おはよう」
校門を少し過ぎた辺りで立っていると、クラスメイトから声を掛けられる明輝。
振り返って軽く挨拶をすると、「いつも一緒だね」と言われてしまった。
「そうだね。一緒にGAMEしたりするから」
「中学の時からの馴染みだからだよー。それより白玄と黒牟も一緒でしょ?」
「うん。私達も幼馴染みだからね」
「うん」
二人は即答した。
白玄は相変わらずハキハキトしていて元気一杯。
対して黒牟はコクコクと首を振る程度だ。
二人共性格も全然違うからこそ、仲が良いのかと思い、明輝と烈火の凸凹コンビ感も相まってクラスではそんな立ち位置だった。
「二人は休み中、何処か行って来たの?」
「うーん、ちょっとした小旅行かな?」
「うん。楽しかった」
二人はコクコクと首を縦に振りながら会話を盛り上げる。
ふと明輝は何処に行って来たのか気になる。
「何処に行ってきたの?」
「「札幌」」
「札幌? 何で、突然に」
「「ラーメン」」
二人共同時に喋ってハモッた。
本当に息の合った連携に呆気に取られる中、黒牟は白玄のコートの袖を引っ張った。
流石に寒くなって来たから校舎の中に入りたそうにしていると、明輝は完璧に読み切っていた。
「ねえみんな。そろそろ校舎に入ろうよ。ここじゃ寒いでしょ?」
明輝がそう言うと、「確かにねー」と烈火が合の手を入れる。
一月の寒空は体にも堪えるので、明輝たちは校舎へと移動する。
そのまま教室に行く流れになったのだが、その間に黒牟が明輝のコートの袖を軽く引っ張った。
「なに?」
「ありがとう」
「えっ? 何で感謝されたの?」
明輝は黒牟に感謝されたので意味が分からなかった。
だけど何か良いことをしたに違いない。
ここは意識を切り替えて、明輝は「なんてことないよ。友達でしょ?」と答えた。
すると黒牟は少し照れてしまったのか頬を赤らめて、白玄の隣へと移る。
「如何したの、黒牟?」
「何でもない。何でも、ない……」
二人共とっても可愛い友達だった。
明輝は烈火の隣へと行き、揃って教室へと向かうのでした。
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