362 / 570
◇360 「嘘とは言っていない」
しおりを挟む
クロユリは龍の噂を耳にしたことがあった。
しかし話しの矛先をNightへと振り上げ、Nightもまた否定するわけでもなく、「そうだな」と答える始末。
流石に状況が一転しすぎて、アキラはNightに尋ねる。
「Night、如何言うこと!」
「如何言うこととは?」
「水神池の龍の噂。クロユリさんが言っていた話を知ってたの?」
「まあな」
「まあな……って。はい?」
Nightは何事もなかったかのように自分の姿勢を崩さない。
用意されていた緑茶の入った湯飲みを両手で持ち、丁寧に音も立てずに飲んでいた。
「Nightさん。余裕そうなところ悪いですが、知っていたのは本当ですか?」
「何度も言わせるな。私は知っていた」
「何で教えてくれなかったのー?」
「聞かれなかったからだ」
「意地悪ね。そう言う大事な情報は先に言っておいてよ!」
「何故だ? 今回のイベントには不必要な情報だった。情報は多くあればいいわけじゃない。無駄な情報、選択の余地を間違えれば悲惨な目に遭うのは確実だ」
何だか哲学的かつ戦略的な難しいマネジメントを話し始める。
とは言えNightの言うことも一理ある。
だからこそ、アキラたちは強く出られなかった。現にそのおかげで目的を絞って行動できた。
「私が仮に龍の噂何て話したら如何なる?」
「えっと、集中力が欠かれる?」
「目に見えているだろ。特にフェルノ」
「うーん、そっちの方が楽しそうだよねー。あはは」
「笑う話でもない」
Nightの言うことに納得してしまう。
反論できることがあるなら、一つくらいしかない。
「それでも何で私がアクアドラゴンから貰って話した時、信じてくれなかったの?」
「私が知っているのはあくまでも龍が棲んでいるという噂だ。それに微かにだがお前たちも知っていただろ。龍でなくても、何か居る。そんな気がしていたんじゃないのか?」
深層心理に語り掛けられてしまう。
確かに神様が住んでいる気はした。
しかしまさかアクアドラゴン=龍神様が住んでいるとは思いもしなかった。
だけどまだ話は終わっていない。アキラが言いたいのは、何で疑われたのかだ。
「それじゃあ何であしらわれたの?」
「言っただろ。私は居ないとは言っていない。嘘とも言っていない。判らないのものを疑うのは当然の話だ」
「うわぁ、利己的」
「それが私だ。ともかくだ。アクアドラゴンの正体が、噂に聞く龍だと仮定して、お前はよくも会って来たな」
「えっ、会って来たんですか!?」
クロユリは反応した。突飛すぎる内容にようやく飲み込みが行かなくなる。
とは言えクロユリは頭が回る。
アキラの言葉の本気度からして、如何やら間違いではなさそうだと判断した。
「そうですね。アクアドラゴン……龍の髭……それが本物だとすれば、とてつもない力を秘めているかもしれませんね」
「そうですか?」
「はい。水神池。あの場所には昔から何か居ると云われています。それこそこの世界の設定の話にはなりますが、NPCたちも好んでは近づかない、神聖な場所だと伝わっていますよ」
ここに来て設定の話を持ち出した。
そこまで行くと非日常感が無くなってしまうが、それでもメタ的な推理をすれば、運営側が隠しとして用意している説はある。
それに何よりアキラには一番伝わっていた。
他のAIとは明らかに違う。自信で成長し、その具合も著しく高い。
あまりのも流暢に話し、考え、行動する。姿が龍でなければ人間だとしてもっし使えないくらいに賢くて自分を持っていた。
何だかこのGAMEの持つ特異性と言うのか優位性と言うべきか、他のGAMEとは一線を画していた。
「やっぱり面白い」
アキラはふと呟く。
龍の髭云々ではなく、このGAMEが面白く感じた。
「とは言え、龍が実在していたというの驚きですね。せっかく手に入れたのですから、飾ってみては如何ですか?」
「飾ってみるんですか?」
「実際、イベントで入手できる龍の髭は一種のお守りですよ。家に飾って、祀って置くことで、家宝を守ってくれるんです」
「なるほど。そう言えばそうでしたよね」
何だか締めに入ろうとしていた。
しかも完全にクロユリのペースに引き込まれていて、アキラたちは反論することも忘れ、うんうんと首を縦に振り続ける人形状態だった。
「ちなみにクロユリも飾っているのか?」
「勿論ですよ。飾った際に、不思議な感覚がしますけどね」
「「「不思議な感覚?」」」
ここに来ての新情報を前に、アキラたちは前のめりになる。
一体何が起きるのか、ちょっぴり怖いけど、面白そうでもあった。
何故なら運営側が用意したイベント。その報酬なので、下手なバグは起こらないと信じてもいい。
「不思議な感覚って何ですか?」
「それは実際に自分達で確かめてみてはいかがですか? これも一つの報酬ですよ」
クロユリはとっても良いことを言った。
アキラたちもこの数日の苦労が込み上げてくると、その報酬が気になる。
何か面白いものだと良いので、早速クロユリに感謝して、ギルドホームへと戻ることんした。
しかし話しの矛先をNightへと振り上げ、Nightもまた否定するわけでもなく、「そうだな」と答える始末。
流石に状況が一転しすぎて、アキラはNightに尋ねる。
「Night、如何言うこと!」
「如何言うこととは?」
「水神池の龍の噂。クロユリさんが言っていた話を知ってたの?」
「まあな」
「まあな……って。はい?」
Nightは何事もなかったかのように自分の姿勢を崩さない。
用意されていた緑茶の入った湯飲みを両手で持ち、丁寧に音も立てずに飲んでいた。
「Nightさん。余裕そうなところ悪いですが、知っていたのは本当ですか?」
「何度も言わせるな。私は知っていた」
「何で教えてくれなかったのー?」
「聞かれなかったからだ」
「意地悪ね。そう言う大事な情報は先に言っておいてよ!」
「何故だ? 今回のイベントには不必要な情報だった。情報は多くあればいいわけじゃない。無駄な情報、選択の余地を間違えれば悲惨な目に遭うのは確実だ」
何だか哲学的かつ戦略的な難しいマネジメントを話し始める。
とは言えNightの言うことも一理ある。
だからこそ、アキラたちは強く出られなかった。現にそのおかげで目的を絞って行動できた。
「私が仮に龍の噂何て話したら如何なる?」
「えっと、集中力が欠かれる?」
「目に見えているだろ。特にフェルノ」
「うーん、そっちの方が楽しそうだよねー。あはは」
「笑う話でもない」
Nightの言うことに納得してしまう。
反論できることがあるなら、一つくらいしかない。
「それでも何で私がアクアドラゴンから貰って話した時、信じてくれなかったの?」
「私が知っているのはあくまでも龍が棲んでいるという噂だ。それに微かにだがお前たちも知っていただろ。龍でなくても、何か居る。そんな気がしていたんじゃないのか?」
深層心理に語り掛けられてしまう。
確かに神様が住んでいる気はした。
しかしまさかアクアドラゴン=龍神様が住んでいるとは思いもしなかった。
だけどまだ話は終わっていない。アキラが言いたいのは、何で疑われたのかだ。
「それじゃあ何であしらわれたの?」
「言っただろ。私は居ないとは言っていない。嘘とも言っていない。判らないのものを疑うのは当然の話だ」
「うわぁ、利己的」
「それが私だ。ともかくだ。アクアドラゴンの正体が、噂に聞く龍だと仮定して、お前はよくも会って来たな」
「えっ、会って来たんですか!?」
クロユリは反応した。突飛すぎる内容にようやく飲み込みが行かなくなる。
とは言えクロユリは頭が回る。
アキラの言葉の本気度からして、如何やら間違いではなさそうだと判断した。
「そうですね。アクアドラゴン……龍の髭……それが本物だとすれば、とてつもない力を秘めているかもしれませんね」
「そうですか?」
「はい。水神池。あの場所には昔から何か居ると云われています。それこそこの世界の設定の話にはなりますが、NPCたちも好んでは近づかない、神聖な場所だと伝わっていますよ」
ここに来て設定の話を持ち出した。
そこまで行くと非日常感が無くなってしまうが、それでもメタ的な推理をすれば、運営側が隠しとして用意している説はある。
それに何よりアキラには一番伝わっていた。
他のAIとは明らかに違う。自信で成長し、その具合も著しく高い。
あまりのも流暢に話し、考え、行動する。姿が龍でなければ人間だとしてもっし使えないくらいに賢くて自分を持っていた。
何だかこのGAMEの持つ特異性と言うのか優位性と言うべきか、他のGAMEとは一線を画していた。
「やっぱり面白い」
アキラはふと呟く。
龍の髭云々ではなく、このGAMEが面白く感じた。
「とは言え、龍が実在していたというの驚きですね。せっかく手に入れたのですから、飾ってみては如何ですか?」
「飾ってみるんですか?」
「実際、イベントで入手できる龍の髭は一種のお守りですよ。家に飾って、祀って置くことで、家宝を守ってくれるんです」
「なるほど。そう言えばそうでしたよね」
何だか締めに入ろうとしていた。
しかも完全にクロユリのペースに引き込まれていて、アキラたちは反論することも忘れ、うんうんと首を縦に振り続ける人形状態だった。
「ちなみにクロユリも飾っているのか?」
「勿論ですよ。飾った際に、不思議な感覚がしますけどね」
「「「不思議な感覚?」」」
ここに来ての新情報を前に、アキラたちは前のめりになる。
一体何が起きるのか、ちょっぴり怖いけど、面白そうでもあった。
何故なら運営側が用意したイベント。その報酬なので、下手なバグは起こらないと信じてもいい。
「不思議な感覚って何ですか?」
「それは実際に自分達で確かめてみてはいかがですか? これも一つの報酬ですよ」
クロユリはとっても良いことを言った。
アキラたちもこの数日の苦労が込み上げてくると、その報酬が気になる。
何か面白いものだと良いので、早速クロユリに感謝して、ギルドホームへと戻ることんした。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる