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◇351 龍が勝てない少女
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アクアドラゴンは目を疑った。
驚愕したと言っても良いが、一体何故こんな真似ができるのか分からない。
しかし目の前でそれは起こっていた。
アクアドラゴンの本気の一撃。ウォーターブレードがアキラの手によって受け止められていた。
「コレは一体……しかも、真剣白刃取りで」
「ふぅ。上手く行ったね。それじゃあ!」
シュン!
ウォーターブレードをアキラはへし折った。
水流の刃なので金属の音は全くしないが、一瞬塞き止めた程度で水流は断裂され、簡単に消えてしまう。
その光景に困惑を隠せないアクアドラゴンは一瞬たじろいだ。
しかし体をのけ反らせてしまったことに、アクアドラゴンは墓穴を掘ったと考える。
自分からこの動きをするということは、そこが隙となり、詰め寄られてしまう。
(やられる!)
アクアドラゴンはそう感じた。
案の定、アキラもその隙を逃すはずはなく、上半身を前屈みにして、膝を落とす。
一瞬で詰め寄る構えを見せたものの、何故かアキラは攻撃をしなかった。
「な、何故攻撃をして来ないのです。私を舐めているのですか?」
アクアドラゴンは精一杯の威勢を放った。
しかしながら、アキラはまるで攻撃する意思を見せなかった。
「舐めてなんかないよ。それに私、最初っから攻撃する気無いからね?」
アキラは嘘を付くわけでもなく、正直に答える。
アクアドラゴンは嘘を言っているのではと一瞬悩む。
しかしアキラの顔色を窺う限りでは、全く嘘偽りがないことを実感し、余計に怪しんだ。
「攻撃をする気が無い? 無血開城を狙っているとでも?」
「無血開城? 凄いね、アクアドラゴンって頭良いんだ!」
まさかそんな言葉を使って来るとは思わなかった。
一瞬意味を忘れてしまったアキラだったが、状況から思い出す。
本当にこの世界のNPC達は日々成長しているんだなと実感した。
「でも本当に攻撃をする気何て無いんだよ?」
「貴女は私を舐めていますね。攻撃せずに、如何やって私から龍の髭を奪うつもりですか?」
「えっと、やっぱりまだ勘違いしているんだよね?」
「何がですか」
アキラはアクアドラゴンに説明しようとする。
しかし全く話を聞く姿勢をみせてくれないので、アキラは困ってしまった。
「うーん、せめて話を聞いてくれたら……」
「話を聞く余地などありませんよ。私は、私は水神池の守り神として、ここで貴女を排除しなければならないのです! 貴女のような龍と心を通わせるような……あれ?」
アクアドラゴンは一瞬自分で言っていることを理解できず苦しむ。
挙動がおかしくなり、固まってしまった。
何で自分は龍と心を通わせ、それでも尚奢り高ぶることなく昂ることが無いのかと、目の前のアキラを不思議に思った。
「如何して……如何して私が人間などに……」
「アクアドラゴン?」
アキラはアクアドラゴンが明らかにおかしいので、声を掛けてみた。
するとアクアドラゴンは自分の感情の変化について行けず、最後の力を振り絞って頭を振り上げた。ヘッドバットを決めるようだ。
「おかしい。こんなのはあり得ない。こんなのは私ではない。私は、私は……うわぁ!」
アキラ目掛けてヘッドバットを叩き込む。
だけどアキラは全く動く気配はない。
その場で立ち止まったまま、アクアドラゴンの振り下ろされた頭を軽く抑えた。
もちろん力任せではなく、アクアドラゴンの額を優しく撫でていた。
「大丈夫だよ。私は攻撃なんてしないから」
アクアドラゴンは突然のことに理解が追い付かない。
突然撫でられたことに困惑し、動けなくなってしまった。
「な、何をするのです!?」
「何って、撫でてるだけだよ?」
アキラはアクアドラゴンを撫でていた。
最初から攻撃をする意思などはなく、流れでこうなっていた。
「私はね、最初っからこうするつもりだったんだよ? 本当は話し合いが良かったけどね」
「私と話し合い? ふん、馬鹿なことを考えますね」
「馬鹿なことかな?」
現時点で出来ているのに、出来ないわけが無い。
アキラは首を捻ってしまったが、アクアドラゴンに優しく語り掛ける。
「私はね、龍と争う気何て最初っから無いんだよ?」
「争う気が無い?」
「うん。アクアドラゴンは頭良いし、会話できるし、無駄なことをしなくてもいいでしょ?」
アキラはそう思っていた。
アクアドラゴン相手に戦って勝とうなんて気は最初からない。
もちろん戦ってもいいけれど、勝てる保証はない。とは言え、アキラは勝ちに行くけれど。
しかし今回は違った。
アクアドラゴンとこうして分かり合おうとしている。
その意思を感じ取ったのか、アクアドラゴンもやや大人しい。
「だから私は戦わないよ」
「ふざけていますね」
しかしアクアドラゴンはアキラの持つ精神力に触れた。
全身を包み込みみたいにアクアドラゴンの荒んだ気持ちを引き戻し、アキラの意思に包み込もうとする。
(私を引き付ける何か……これは一体)
しかしながら、考えている時点でアクアドラゴンに反撃の意思はない。
アキラの穏やかさと精神力に触れた後、アクアドラゴンは考えるのを止める。
「……勝てないですね」
「えっ?」
アキラは首を捻る。
アクアドラゴンはゆっくり目を閉じて、自分から負けを認めた。
驚愕したと言っても良いが、一体何故こんな真似ができるのか分からない。
しかし目の前でそれは起こっていた。
アクアドラゴンの本気の一撃。ウォーターブレードがアキラの手によって受け止められていた。
「コレは一体……しかも、真剣白刃取りで」
「ふぅ。上手く行ったね。それじゃあ!」
シュン!
ウォーターブレードをアキラはへし折った。
水流の刃なので金属の音は全くしないが、一瞬塞き止めた程度で水流は断裂され、簡単に消えてしまう。
その光景に困惑を隠せないアクアドラゴンは一瞬たじろいだ。
しかし体をのけ反らせてしまったことに、アクアドラゴンは墓穴を掘ったと考える。
自分からこの動きをするということは、そこが隙となり、詰め寄られてしまう。
(やられる!)
アクアドラゴンはそう感じた。
案の定、アキラもその隙を逃すはずはなく、上半身を前屈みにして、膝を落とす。
一瞬で詰め寄る構えを見せたものの、何故かアキラは攻撃をしなかった。
「な、何故攻撃をして来ないのです。私を舐めているのですか?」
アクアドラゴンは精一杯の威勢を放った。
しかしながら、アキラはまるで攻撃する意思を見せなかった。
「舐めてなんかないよ。それに私、最初っから攻撃する気無いからね?」
アキラは嘘を付くわけでもなく、正直に答える。
アクアドラゴンは嘘を言っているのではと一瞬悩む。
しかしアキラの顔色を窺う限りでは、全く嘘偽りがないことを実感し、余計に怪しんだ。
「攻撃をする気が無い? 無血開城を狙っているとでも?」
「無血開城? 凄いね、アクアドラゴンって頭良いんだ!」
まさかそんな言葉を使って来るとは思わなかった。
一瞬意味を忘れてしまったアキラだったが、状況から思い出す。
本当にこの世界のNPC達は日々成長しているんだなと実感した。
「でも本当に攻撃をする気何て無いんだよ?」
「貴女は私を舐めていますね。攻撃せずに、如何やって私から龍の髭を奪うつもりですか?」
「えっと、やっぱりまだ勘違いしているんだよね?」
「何がですか」
アキラはアクアドラゴンに説明しようとする。
しかし全く話を聞く姿勢をみせてくれないので、アキラは困ってしまった。
「うーん、せめて話を聞いてくれたら……」
「話を聞く余地などありませんよ。私は、私は水神池の守り神として、ここで貴女を排除しなければならないのです! 貴女のような龍と心を通わせるような……あれ?」
アクアドラゴンは一瞬自分で言っていることを理解できず苦しむ。
挙動がおかしくなり、固まってしまった。
何で自分は龍と心を通わせ、それでも尚奢り高ぶることなく昂ることが無いのかと、目の前のアキラを不思議に思った。
「如何して……如何して私が人間などに……」
「アクアドラゴン?」
アキラはアクアドラゴンが明らかにおかしいので、声を掛けてみた。
するとアクアドラゴンは自分の感情の変化について行けず、最後の力を振り絞って頭を振り上げた。ヘッドバットを決めるようだ。
「おかしい。こんなのはあり得ない。こんなのは私ではない。私は、私は……うわぁ!」
アキラ目掛けてヘッドバットを叩き込む。
だけどアキラは全く動く気配はない。
その場で立ち止まったまま、アクアドラゴンの振り下ろされた頭を軽く抑えた。
もちろん力任せではなく、アクアドラゴンの額を優しく撫でていた。
「大丈夫だよ。私は攻撃なんてしないから」
アクアドラゴンは突然のことに理解が追い付かない。
突然撫でられたことに困惑し、動けなくなってしまった。
「な、何をするのです!?」
「何って、撫でてるだけだよ?」
アキラはアクアドラゴンを撫でていた。
最初から攻撃をする意思などはなく、流れでこうなっていた。
「私はね、最初っからこうするつもりだったんだよ? 本当は話し合いが良かったけどね」
「私と話し合い? ふん、馬鹿なことを考えますね」
「馬鹿なことかな?」
現時点で出来ているのに、出来ないわけが無い。
アキラは首を捻ってしまったが、アクアドラゴンに優しく語り掛ける。
「私はね、龍と争う気何て最初っから無いんだよ?」
「争う気が無い?」
「うん。アクアドラゴンは頭良いし、会話できるし、無駄なことをしなくてもいいでしょ?」
アキラはそう思っていた。
アクアドラゴン相手に戦って勝とうなんて気は最初からない。
もちろん戦ってもいいけれど、勝てる保証はない。とは言え、アキラは勝ちに行くけれど。
しかし今回は違った。
アクアドラゴンとこうして分かり合おうとしている。
その意思を感じ取ったのか、アクアドラゴンもやや大人しい。
「だから私は戦わないよ」
「ふざけていますね」
しかしアクアドラゴンはアキラの持つ精神力に触れた。
全身を包み込みみたいにアクアドラゴンの荒んだ気持ちを引き戻し、アキラの意思に包み込もうとする。
(私を引き付ける何か……これは一体)
しかしながら、考えている時点でアクアドラゴンに反撃の意思はない。
アキラの穏やかさと精神力に触れた後、アクアドラゴンは考えるのを止める。
「……勝てないですね」
「えっ?」
アキラは首を捻る。
アクアドラゴンはゆっくり目を閉じて、自分から負けを認めた。
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