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◇332 久々にログインした
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アキラたちはそれぞれがGAMEにログインした。
最初にギルドホーム待機していたのはNightだった。
「あっ、おはようNight」
「アキラか。……おはよう」
珍しく返してくれた。アキラはちょっと嬉しくて、ポッっと顔が赤くなる。
恥ずかしそうに答えたNightの表情が可愛かったせいだけど、すぐさまフェルノもギルドホームにやって来た。
「おはよー」
「おはようフェルノ。今日も元気そうだね」
「うん、私はずっと元気だよー……おっ、Nightはまた本読んでるね」
「まあな……それより雷斬とベルはまだか?」
今日は集まる約束をしていた。
久々のログインと言うこともあるけれど、冬休み期間ということも相まって調整しやすかった。
「久々のログインだから二人ももう来ているって思ってたけど、やっぱり三が日明けも忙しいのかな?」
二人はここ数日大変だったことをBIRDで知っていた。
雷斬は親戚同士で餅つきをしたり羽子板なんかの昔ながらの遊びをしつつ、日本刀を本当に使って剣技を見せる場に呼ばれていたらしい。そのせいもあってここ数日は休みというよりも常に緊張が走っていた。
ベルも流鏑馬をしたそうだ。まさかベルが馬に乗れるなんて思ってもみなかったけど、どんな体勢であれ狙った相手を逃すベルじゃないのは知っていた。
そのおかげもあって大盛況な様子で、外国人の人から握手を求められたりしたそうだ。
「二人とも人気者だからね。きっと今頃……」
「浮かれてなんかいないわよ」
「本当に大変でした」
アキラはそんなこと思ってないけれど、突然背後から声がした。
そこに居たのはげんなりした表情を浮かべるベル。隣には苦笑いを浮かべている雷斬の姿があった。
二人ともアキラの話を聞いていたのか、ここ数日の大変さを身に染みて思い出した。
「慣れない格好までさせられて、私は大変だったわ」
「そうですか? とてもよく似合っていましたよ?」
「巫女装束をアレンジした衣装の雷斬に言われたくないわよ」
ベルは雷斬の格好を見て、同じだと思われたくなかった。
ムッとした表情を浮かべ白い歯をギラリと見せつけた。
しかしその裏では疲れが溜まっていてストレスを発散したいんだろうなと、アキラには一発で伝わった。
「はい、リラックスリラックス」
それを受けてフェルノに肘を入れた。
こっそり耳打ちをすると、フェルノは筋肉質な手でベルの肩を軽く揉む。
急すぎて驚いたのか、「ひやっ!」と可愛らしい声を上げたが、ベルはNightみたいな鋭い目をして「何するのよ!」と怒った。
「疲れているんでしょ? それなら無理しなくても良かったのにねー」
「無理してログインしているわけじゃないわ。ここじゃないとゆっくりできないのよ」
「そんなに家が大変なの?」
「そうじゃないけど……私が全力で愚痴を言っても聞いてくれるから助かるのよ」
それはつまるところ明輝たちに会いたかったことになる。
遠回しな発言に胸がキュンとなると、アキラはにこにこ笑顔になり、Nightも何か見透かしたみたいで「ふふっ」とほくそ笑んだ。それが気に食わないらしく、「なによ」と文句を吐いた。
「まあ、私の話はこれくらいにして、三人は何かなかったの?」
「「「なかったって?」」」
「行事的なことじゃなくてもいいから、何かしなかったの?」
何かしたと言えばプラモを買いに行ったくらいだ。
そこでアキラは珊瑚と友達になったり、限定のプラモを抽選で当てたり、リムジンに乗せて貰ったりと、雷斬やベルに比べたら大したこともない話だった。
けれど二人はその話を聞くと、「うわぁ」と引いていた。
「何だか大変だったわね」
「そうですね。人混みの中、Nightさんは大丈夫でしたか?」
「如何して私を心配するんだ」
「それは……まあ、そういう事だよ」
アキラは口をつぐんだ。理由は単純で、Nightが一番体力が無いのだ。
それを見越しての発言だったが、Nightは分かっていない……ふりをしながら明輝たちの会話を聞いていた。
「あっ、皆さん何か飲みませんか?」
「賛成。ちょっと疲れちゃったわ」
「ベルはここ最近毎日同じことを言っていますよね。ふふっ、コーヒーと紅茶で良いですね」
雷斬がティーカップを取りに行った。
棚には紅茶の茶葉やコーヒー豆の入った瓶が置いてあった。
雷斬はハンドミルを用意してコーヒー豆を磨り潰すと、それぞれのカップの中に飲み物を注いだ。
「ありがとう」
「ありがとー」
それぞれの目の前にカップが置かれた。
コースターの上に置かれたカップからは湯気が立ち込めていた。
カップの表面を触ってみるともの凄く熱くて、指先を素早く離した。
「ふー、落ち着くわ」
「ベル。黄昏てるね」
「うるさいわね。いいでしょ?」
「いいけど……何だか珍しいかも」
ベルは目がとろんとしていた。虚ろになっていて、アキラたちはじーっと見てしまった。
ティーカップを両手で抱えて本当にお疲れみたいで、誘ったのを後悔した。
「ベルは疲れているみたいですが、皆さん少しお話をしてもよろしいですか?」
「なによ唐突ね。疲れている痩せ我慢は要らないわよ」
ベルは雷斬を叱った。
たしかにやせ我慢しているのを明輝の目は見逃さなかった。
最初にギルドホーム待機していたのはNightだった。
「あっ、おはようNight」
「アキラか。……おはよう」
珍しく返してくれた。アキラはちょっと嬉しくて、ポッっと顔が赤くなる。
恥ずかしそうに答えたNightの表情が可愛かったせいだけど、すぐさまフェルノもギルドホームにやって来た。
「おはよー」
「おはようフェルノ。今日も元気そうだね」
「うん、私はずっと元気だよー……おっ、Nightはまた本読んでるね」
「まあな……それより雷斬とベルはまだか?」
今日は集まる約束をしていた。
久々のログインと言うこともあるけれど、冬休み期間ということも相まって調整しやすかった。
「久々のログインだから二人ももう来ているって思ってたけど、やっぱり三が日明けも忙しいのかな?」
二人はここ数日大変だったことをBIRDで知っていた。
雷斬は親戚同士で餅つきをしたり羽子板なんかの昔ながらの遊びをしつつ、日本刀を本当に使って剣技を見せる場に呼ばれていたらしい。そのせいもあってここ数日は休みというよりも常に緊張が走っていた。
ベルも流鏑馬をしたそうだ。まさかベルが馬に乗れるなんて思ってもみなかったけど、どんな体勢であれ狙った相手を逃すベルじゃないのは知っていた。
そのおかげもあって大盛況な様子で、外国人の人から握手を求められたりしたそうだ。
「二人とも人気者だからね。きっと今頃……」
「浮かれてなんかいないわよ」
「本当に大変でした」
アキラはそんなこと思ってないけれど、突然背後から声がした。
そこに居たのはげんなりした表情を浮かべるベル。隣には苦笑いを浮かべている雷斬の姿があった。
二人ともアキラの話を聞いていたのか、ここ数日の大変さを身に染みて思い出した。
「慣れない格好までさせられて、私は大変だったわ」
「そうですか? とてもよく似合っていましたよ?」
「巫女装束をアレンジした衣装の雷斬に言われたくないわよ」
ベルは雷斬の格好を見て、同じだと思われたくなかった。
ムッとした表情を浮かべ白い歯をギラリと見せつけた。
しかしその裏では疲れが溜まっていてストレスを発散したいんだろうなと、アキラには一発で伝わった。
「はい、リラックスリラックス」
それを受けてフェルノに肘を入れた。
こっそり耳打ちをすると、フェルノは筋肉質な手でベルの肩を軽く揉む。
急すぎて驚いたのか、「ひやっ!」と可愛らしい声を上げたが、ベルはNightみたいな鋭い目をして「何するのよ!」と怒った。
「疲れているんでしょ? それなら無理しなくても良かったのにねー」
「無理してログインしているわけじゃないわ。ここじゃないとゆっくりできないのよ」
「そんなに家が大変なの?」
「そうじゃないけど……私が全力で愚痴を言っても聞いてくれるから助かるのよ」
それはつまるところ明輝たちに会いたかったことになる。
遠回しな発言に胸がキュンとなると、アキラはにこにこ笑顔になり、Nightも何か見透かしたみたいで「ふふっ」とほくそ笑んだ。それが気に食わないらしく、「なによ」と文句を吐いた。
「まあ、私の話はこれくらいにして、三人は何かなかったの?」
「「「なかったって?」」」
「行事的なことじゃなくてもいいから、何かしなかったの?」
何かしたと言えばプラモを買いに行ったくらいだ。
そこでアキラは珊瑚と友達になったり、限定のプラモを抽選で当てたり、リムジンに乗せて貰ったりと、雷斬やベルに比べたら大したこともない話だった。
けれど二人はその話を聞くと、「うわぁ」と引いていた。
「何だか大変だったわね」
「そうですね。人混みの中、Nightさんは大丈夫でしたか?」
「如何して私を心配するんだ」
「それは……まあ、そういう事だよ」
アキラは口をつぐんだ。理由は単純で、Nightが一番体力が無いのだ。
それを見越しての発言だったが、Nightは分かっていない……ふりをしながら明輝たちの会話を聞いていた。
「あっ、皆さん何か飲みませんか?」
「賛成。ちょっと疲れちゃったわ」
「ベルはここ最近毎日同じことを言っていますよね。ふふっ、コーヒーと紅茶で良いですね」
雷斬がティーカップを取りに行った。
棚には紅茶の茶葉やコーヒー豆の入った瓶が置いてあった。
雷斬はハンドミルを用意してコーヒー豆を磨り潰すと、それぞれのカップの中に飲み物を注いだ。
「ありがとう」
「ありがとー」
それぞれの目の前にカップが置かれた。
コースターの上に置かれたカップからは湯気が立ち込めていた。
カップの表面を触ってみるともの凄く熱くて、指先を素早く離した。
「ふー、落ち着くわ」
「ベル。黄昏てるね」
「うるさいわね。いいでしょ?」
「いいけど……何だか珍しいかも」
ベルは目がとろんとしていた。虚ろになっていて、アキラたちはじーっと見てしまった。
ティーカップを両手で抱えて本当にお疲れみたいで、誘ったのを後悔した。
「ベルは疲れているみたいですが、皆さん少しお話をしてもよろしいですか?」
「なによ唐突ね。疲れている痩せ我慢は要らないわよ」
ベルは雷斬を叱った。
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