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◇313 蒼伊のオッドアイ
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駅前に集合した継ぎ接ぎのメンバーは早速神社に行くことにしていた。
明輝が声を掛けようとしたのだが、話しがいきなりそれてしまった。
「それにしても蒼伊のその髪って地毛なのね?」
鈴来は気になっていたことを口走った。
確かに初見だともの凄く気になるところだが、蒼伊は面倒臭そうにしていた。
「だったら何だ」
いきなり空気が変わった。若干重たくなるものの、「そうなのね」と鈴来は満足していた。
しかしもう一つ気になることがあった。蒼伊の二つ目の身体的特徴の瞳の色だった。
「その眼はコンタクトなの?」
「……違うが」
「そ、それじゃあその眼の色って本当なの! とっても綺麗ね。ビックリしたわ」
「うるさい」
蒼伊は本気でウザったらしかった。
実際自分の身体的特徴でも、それが自分にとってあまり好ましく物で無いのなら、例え他人が褒め称えたとしても心労に繋がってしまうのだ。
現に蒼伊は自分の髪の色や瞳の色を多少なりとも気にしていた。
けれど明輝が最初に出会ったころとは、少しだけマイルドになっていた。
「あれ? 最初はコンタクトしてたのよ?」
「そうなんだ。私が初めて会った時、コンタクトして無かったよね?」
「……それはそうだが」
「もしかして明輝の影響でコンタクト外したの? 可愛いなぁー」
烈火は思いっきり蒼伊を煽っておもちゃにした。
すると蹴りが飛んできたのだが、烈火は身のこなしが軽いので簡単に躱してしまった。
シュン!
「おっとっと。危ないよ蒼伊。私じゃなかったら如何してたのさー?」
「烈火だから蹴ったんだ。それに知らない奴にはする気もない」
「当たり前だよー。まあ私だから許すんだけどさー」
烈火は調子に乗っていた。
蒼伊はあまり快くは思っていないみたいで、ムッとして頬を膨らませた。
「烈火も煽りすぎだよ。蒼伊も可愛いんだから良いでしょ?」
「何処がだ……というか、可愛いって何だ」
「可愛いは可愛いだよ。こんなモデルさんみたいな特徴他に無いよ?」
「私が、モデル? はぁー、夢見は大概にしろ」
蒼伊は頭を押さえてしまった。
本気で憐れまれてしまったらしく、何故か明輝の方が恥ずかしくなった。
「失礼ですが、私も蒼伊さんの姿には感嘆と致しました」
「斬禍もか……」
「すみません。ですが優れている特徴でもあると思いますよ。現に二色の眼と言うのは、それだけで自然界から現れた高価な宝石のようなものですよ」
例えがおしゃれで斬禍らしいフォローの仕方だった。
「確かに」と明輝も相槌を打つと、ギロッと鋭い威圧と視線が飛んできた。
「現にコンタクトレンズは外されているんですよね?」
「まあな」
「でしたら誇っても良いと思いますよ。気にしていても仕方ありませんから」
「自分の武器を最大限に使えってことか……はぁ、斬禍らしいと言えばらしいのか」
「そうですね。私自身はそこまで自らが優れているとは思いませんが、精進は怠っていませんので」
謙遜が過ぎた。だけどそれも斬禍らしかった。
鈴来はそんな斬禍の肩に手を置くと、「私は良いと思うけどね」と慰めていた。
「まあそれはさておいて、そろそろ行きましょうよ」
「そうだよ。歩きながら話そう」
鈴来は話を切り替えた。明輝も賛同して、とりあえず目的の龍星神社に行くことにした。
とは言え、斬禍以外は何処にあるのか知らなかった。
「それもそうですね。ここから少し遠いので、急ぎましょうか」
「遠いってどのくらい?」
「そうですね。あの山の上です」
斬禍は指を指した。
指先を目で追うと、確かに大きな山があった。
蒼伊の家の方とは反対側で、山登りが待っていた。
「えっと、確かあの山の名前って……」
「龍星山だな。今から二十年前にできた新しい山だ」
流石に蒼伊は知っていた。明輝たちも名前くらいは聞いたことがあったが、一度も言ったことはなかった。
とは言え御鷹市の外れにある観光地の一つとして、登山客には注目されていた。
だけどそれ以上でもそれ以下でもないのが、明輝たちの知っている山の情報だった。
「ここからだと大体歩いて三十分くらいかなー?」
「お前の足で考えるな。ざっと見ても四十五分は掛かるぞ」
烈火と蒼伊は早速距離を計算し始めた。
スマホの地図アプリで駅からの距離を測ってみると、結構歩くことになりそうだった。
往復でも一時間越えは如何足搔いても確定した。
「結構掛かるわね。タクシーでも使う?」
「いや、流石にそれは無しで行こうよ」
駅にはタクシーが当然停まっていた。
だけどそれだとお金も掛かりそうなのでパスすることにした。
とりあえず歩くことにして、神社が何処にあるのかは聞いておきたかった。
「えっと、あの山の麓に神社があるの?」
「いいえ」
斬禍はすぐさま否定した。
何だか嫌な予感がした明輝だったが、聞いてしまったら絶望することになると思い、流石に切り換える以外の選択肢を見つけることはできなかった。
「えーっと、それじゃあ行こっか」
「はぁー、仕方ないか」
蒼伊のくたびれた溜息が聞こえてきた。
明輝も溜息を吐きたかったけれど我慢して、全員でまずは龍星山の麓を目指すことにした。
明輝が声を掛けようとしたのだが、話しがいきなりそれてしまった。
「それにしても蒼伊のその髪って地毛なのね?」
鈴来は気になっていたことを口走った。
確かに初見だともの凄く気になるところだが、蒼伊は面倒臭そうにしていた。
「だったら何だ」
いきなり空気が変わった。若干重たくなるものの、「そうなのね」と鈴来は満足していた。
しかしもう一つ気になることがあった。蒼伊の二つ目の身体的特徴の瞳の色だった。
「その眼はコンタクトなの?」
「……違うが」
「そ、それじゃあその眼の色って本当なの! とっても綺麗ね。ビックリしたわ」
「うるさい」
蒼伊は本気でウザったらしかった。
実際自分の身体的特徴でも、それが自分にとってあまり好ましく物で無いのなら、例え他人が褒め称えたとしても心労に繋がってしまうのだ。
現に蒼伊は自分の髪の色や瞳の色を多少なりとも気にしていた。
けれど明輝が最初に出会ったころとは、少しだけマイルドになっていた。
「あれ? 最初はコンタクトしてたのよ?」
「そうなんだ。私が初めて会った時、コンタクトして無かったよね?」
「……それはそうだが」
「もしかして明輝の影響でコンタクト外したの? 可愛いなぁー」
烈火は思いっきり蒼伊を煽っておもちゃにした。
すると蹴りが飛んできたのだが、烈火は身のこなしが軽いので簡単に躱してしまった。
シュン!
「おっとっと。危ないよ蒼伊。私じゃなかったら如何してたのさー?」
「烈火だから蹴ったんだ。それに知らない奴にはする気もない」
「当たり前だよー。まあ私だから許すんだけどさー」
烈火は調子に乗っていた。
蒼伊はあまり快くは思っていないみたいで、ムッとして頬を膨らませた。
「烈火も煽りすぎだよ。蒼伊も可愛いんだから良いでしょ?」
「何処がだ……というか、可愛いって何だ」
「可愛いは可愛いだよ。こんなモデルさんみたいな特徴他に無いよ?」
「私が、モデル? はぁー、夢見は大概にしろ」
蒼伊は頭を押さえてしまった。
本気で憐れまれてしまったらしく、何故か明輝の方が恥ずかしくなった。
「失礼ですが、私も蒼伊さんの姿には感嘆と致しました」
「斬禍もか……」
「すみません。ですが優れている特徴でもあると思いますよ。現に二色の眼と言うのは、それだけで自然界から現れた高価な宝石のようなものですよ」
例えがおしゃれで斬禍らしいフォローの仕方だった。
「確かに」と明輝も相槌を打つと、ギロッと鋭い威圧と視線が飛んできた。
「現にコンタクトレンズは外されているんですよね?」
「まあな」
「でしたら誇っても良いと思いますよ。気にしていても仕方ありませんから」
「自分の武器を最大限に使えってことか……はぁ、斬禍らしいと言えばらしいのか」
「そうですね。私自身はそこまで自らが優れているとは思いませんが、精進は怠っていませんので」
謙遜が過ぎた。だけどそれも斬禍らしかった。
鈴来はそんな斬禍の肩に手を置くと、「私は良いと思うけどね」と慰めていた。
「まあそれはさておいて、そろそろ行きましょうよ」
「そうだよ。歩きながら話そう」
鈴来は話を切り替えた。明輝も賛同して、とりあえず目的の龍星神社に行くことにした。
とは言え、斬禍以外は何処にあるのか知らなかった。
「それもそうですね。ここから少し遠いので、急ぎましょうか」
「遠いってどのくらい?」
「そうですね。あの山の上です」
斬禍は指を指した。
指先を目で追うと、確かに大きな山があった。
蒼伊の家の方とは反対側で、山登りが待っていた。
「えっと、確かあの山の名前って……」
「龍星山だな。今から二十年前にできた新しい山だ」
流石に蒼伊は知っていた。明輝たちも名前くらいは聞いたことがあったが、一度も言ったことはなかった。
とは言え御鷹市の外れにある観光地の一つとして、登山客には注目されていた。
だけどそれ以上でもそれ以下でもないのが、明輝たちの知っている山の情報だった。
「ここからだと大体歩いて三十分くらいかなー?」
「お前の足で考えるな。ざっと見ても四十五分は掛かるぞ」
烈火と蒼伊は早速距離を計算し始めた。
スマホの地図アプリで駅からの距離を測ってみると、結構歩くことになりそうだった。
往復でも一時間越えは如何足搔いても確定した。
「結構掛かるわね。タクシーでも使う?」
「いや、流石にそれは無しで行こうよ」
駅にはタクシーが当然停まっていた。
だけどそれだとお金も掛かりそうなのでパスすることにした。
とりあえず歩くことにして、神社が何処にあるのかは聞いておきたかった。
「えっと、あの山の麓に神社があるの?」
「いいえ」
斬禍はすぐさま否定した。
何だか嫌な予感がした明輝だったが、聞いてしまったら絶望することになると思い、流石に切り換える以外の選択肢を見つけることはできなかった。
「えーっと、それじゃあ行こっか」
「はぁー、仕方ないか」
蒼伊のくたびれた溜息が聞こえてきた。
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