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◇271 猫に懐いてもらいました
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明輝は何かに飛び掛かられた。
方が急に重たくなりびっくりした。
「あ、あれ?」
「ニャー!」
明輝は肩に乗って来た生き物を抱きかかえた。
如何やら黒猫のようで、宝石のような青い綺麗な目をしていた。
「猫?」
「そうだねー。でもさ、急に明輝に飛び掛かって来たけど……」
敵意を持ってはいなかった。
むしろ懐いて貰えていた。
何か親近感が湧いたのだろうか?
明輝は首を捻ると、黒猫が「ニャー」と鳴いた。
「如何やら懐いて貰えたようですね」
「そうみたいですけど……如何して?」
「何言ってるのさ。明輝は現実でもGAMEでも動物に懐かれる体質でしょ?」
だからこそ【キメラハント】が使えた。
烈火は明輝に説明した。
「そうかも。でもこの猫って……」
じーっと明輝が見つめていると、廊下の向こうから聞き馴染みのある声が聞こえた。
「おーいサファイア! 何処に行ったー」
蒼伊の声が聞こえてきた。
口元に手を当てて珍しく叫んでいた。
するとサファイアと名付けられた黒猫は明輝の手から滑り落ちると、廊下を走って行った。
それから立ち止まり、足下をカリカリ掻いていた。
「サファイアこんなところに居たのか。それから明輝と烈火ようやく来たんだな。よがらもお疲れ様」
「お役に立てて何よりです」
よがらは嬉しそうだった。
蒼伊に褒められたことで全てに満足しているようだった。
「それよりも明輝と烈火。遅かったな」
「ちょっと色々あったね。それよりその猫は?」
「コイツか。私の飼っている猫だ。名前はサファイア」
蒼伊は飼い猫のサファイアを抱きかかえると頭を撫でた。
しかしすぐに下ろすと残念そうな顔をして、蒼伊に擦り寄っていた。
「ニャァー!」
「とは言えしつこいがな」
それは懐かれている証拠だった。
頭を撫でられている時や脇を持たれている時のサファイアは随分と大人しかった。
完全に体を預けていたのだ。
「懐いて貰っているんだよ」
「そうかも知れないが、流石に構っていられない」
蒼伊は足にしがみついてきたサファイアを放り投げた。
すると飼い猫のサファイアは柔軟な体を活かして見事に着地した。
それから再び蒼伊の下に戻って行った。
「しつこい」
蒼伊は唇を曲げた。
如何やら猫は嫌いではないようだが、そこまで懐かれ過ぎるのも困っていると見た。
だけどその仕草が可愛らしくて、ずっと見て居られた。
「こう言う動画あるよね」
「あるねー。一分くらいの短いやつ」
「そうそう。あれって結構人気あるよね」
「そうだねー。ずっと見ちゃうもんねー」
明輝と烈火がそんな会話を繰り広げていると、蒼伊がジッと睨んだ。
「おい! それ以上言うと怒るぞ」
「怒っても怖く無いもん」
「そうだよねー。いっつも怒っているか如何でもいいって澄ましているもんねー」
「お前たち……」
本当のことで言い返すことができなかった。
蒼伊は悔しかったが、溜息を吐いて呆れてしまった。
「まあいい」
「あっ、いつもの蒼伊だ!」
「そうだねー。いっつもこんな感じで切り上げるよねー」
家でも外でも素だった。
蒼伊が猫を被っていない素振りが見られて面白かった。
「とりあえず私の部屋に行くぞ」
「そう言えば蒼伊は一階に部屋があるんだね」
「そうだな。一階だけで全てが完結する」
「二階には行かないの?」
「わざわざ高いところに行く必要はない」
蒼伊は効率重視だった。
一階だけで全てが完結しきっているせいか、窓の外を見ると美しい庭が見られなかった。
「二階や三階に行きたいのなら好きにしろ。ほとんど私の作ったガラクタや客室しかないがな」
「そうなんですか?」
明輝はよがらに尋ねた。
すると「はい」と答えられてしまった。
「そうなんだ。それじゃあ行こっか」
「相変わらずの切り替えだな。まあいい」
蒼伊の後に続き、明輝と烈火は廊下を歩いた。
その足元を飼い猫のサファイアがトコトコと付いて回っていた。
可愛いと思いながら廊下を歩くと、不意に絵画が飾ってあったのを見かけた。
大きな屋敷だからあるとは思ったが、立派な額縁に入っているわけでもなく、妙に地味だった。
「蒼伊、この絵は何?」
「さあな。私が買ったものじゃない」
蒼伊は完全に興味を失っていた。
まるで風景であるかのようにスルーしていると、烈火が「触ってもいい?」と尋ねた。
「ああ。構わないぞ」
「ってことは安物なのかな? おお、油絵だ。にしても細かいね。しかもこの紙かなり古いよ?」
「十六世紀ごろのものですからね」
「「古っ!」」
ってことはかなり歴史的価値があるはずだ。
裸の女性が天使の手を取っている美しい絵だったが、明輝と烈火には流石に綺麗だけど高そうとしか思えなかった。
「ちなみにいくらくらいなの?」
「さあ? 十万くらいじゃないか?」
「十万円なわけないよね? 百万円くらい……」
「偽物の可能性もあると思うけど……」
明輝と烈火には案の定知識が無かった。
そこでよがらが答えを言った。
「本物ですよ。当時の価格帯として百五十五万ドル。日本円にして二億円ほどです」
「「へぇー、二億……二億!?」」
「そうか。まあ興味はないが、欲しいならやるぞ?」
「「貰えないって!」」
蒼伊の対応はかなり広かった。
しかし明輝と烈火は流石にドン引きしていた。
「律儀だな」
「そうですね」
蒼伊とよがらはそう言った。
お金持ちの考えることは明輝たちには計り知れなかった。
方が急に重たくなりびっくりした。
「あ、あれ?」
「ニャー!」
明輝は肩に乗って来た生き物を抱きかかえた。
如何やら黒猫のようで、宝石のような青い綺麗な目をしていた。
「猫?」
「そうだねー。でもさ、急に明輝に飛び掛かって来たけど……」
敵意を持ってはいなかった。
むしろ懐いて貰えていた。
何か親近感が湧いたのだろうか?
明輝は首を捻ると、黒猫が「ニャー」と鳴いた。
「如何やら懐いて貰えたようですね」
「そうみたいですけど……如何して?」
「何言ってるのさ。明輝は現実でもGAMEでも動物に懐かれる体質でしょ?」
だからこそ【キメラハント】が使えた。
烈火は明輝に説明した。
「そうかも。でもこの猫って……」
じーっと明輝が見つめていると、廊下の向こうから聞き馴染みのある声が聞こえた。
「おーいサファイア! 何処に行ったー」
蒼伊の声が聞こえてきた。
口元に手を当てて珍しく叫んでいた。
するとサファイアと名付けられた黒猫は明輝の手から滑り落ちると、廊下を走って行った。
それから立ち止まり、足下をカリカリ掻いていた。
「サファイアこんなところに居たのか。それから明輝と烈火ようやく来たんだな。よがらもお疲れ様」
「お役に立てて何よりです」
よがらは嬉しそうだった。
蒼伊に褒められたことで全てに満足しているようだった。
「それよりも明輝と烈火。遅かったな」
「ちょっと色々あったね。それよりその猫は?」
「コイツか。私の飼っている猫だ。名前はサファイア」
蒼伊は飼い猫のサファイアを抱きかかえると頭を撫でた。
しかしすぐに下ろすと残念そうな顔をして、蒼伊に擦り寄っていた。
「ニャァー!」
「とは言えしつこいがな」
それは懐かれている証拠だった。
頭を撫でられている時や脇を持たれている時のサファイアは随分と大人しかった。
完全に体を預けていたのだ。
「懐いて貰っているんだよ」
「そうかも知れないが、流石に構っていられない」
蒼伊は足にしがみついてきたサファイアを放り投げた。
すると飼い猫のサファイアは柔軟な体を活かして見事に着地した。
それから再び蒼伊の下に戻って行った。
「しつこい」
蒼伊は唇を曲げた。
如何やら猫は嫌いではないようだが、そこまで懐かれ過ぎるのも困っていると見た。
だけどその仕草が可愛らしくて、ずっと見て居られた。
「こう言う動画あるよね」
「あるねー。一分くらいの短いやつ」
「そうそう。あれって結構人気あるよね」
「そうだねー。ずっと見ちゃうもんねー」
明輝と烈火がそんな会話を繰り広げていると、蒼伊がジッと睨んだ。
「おい! それ以上言うと怒るぞ」
「怒っても怖く無いもん」
「そうだよねー。いっつも怒っているか如何でもいいって澄ましているもんねー」
「お前たち……」
本当のことで言い返すことができなかった。
蒼伊は悔しかったが、溜息を吐いて呆れてしまった。
「まあいい」
「あっ、いつもの蒼伊だ!」
「そうだねー。いっつもこんな感じで切り上げるよねー」
家でも外でも素だった。
蒼伊が猫を被っていない素振りが見られて面白かった。
「とりあえず私の部屋に行くぞ」
「そう言えば蒼伊は一階に部屋があるんだね」
「そうだな。一階だけで全てが完結する」
「二階には行かないの?」
「わざわざ高いところに行く必要はない」
蒼伊は効率重視だった。
一階だけで全てが完結しきっているせいか、窓の外を見ると美しい庭が見られなかった。
「二階や三階に行きたいのなら好きにしろ。ほとんど私の作ったガラクタや客室しかないがな」
「そうなんですか?」
明輝はよがらに尋ねた。
すると「はい」と答えられてしまった。
「そうなんだ。それじゃあ行こっか」
「相変わらずの切り替えだな。まあいい」
蒼伊の後に続き、明輝と烈火は廊下を歩いた。
その足元を飼い猫のサファイアがトコトコと付いて回っていた。
可愛いと思いながら廊下を歩くと、不意に絵画が飾ってあったのを見かけた。
大きな屋敷だからあるとは思ったが、立派な額縁に入っているわけでもなく、妙に地味だった。
「蒼伊、この絵は何?」
「さあな。私が買ったものじゃない」
蒼伊は完全に興味を失っていた。
まるで風景であるかのようにスルーしていると、烈火が「触ってもいい?」と尋ねた。
「ああ。構わないぞ」
「ってことは安物なのかな? おお、油絵だ。にしても細かいね。しかもこの紙かなり古いよ?」
「十六世紀ごろのものですからね」
「「古っ!」」
ってことはかなり歴史的価値があるはずだ。
裸の女性が天使の手を取っている美しい絵だったが、明輝と烈火には流石に綺麗だけど高そうとしか思えなかった。
「ちなみにいくらくらいなの?」
「さあ? 十万くらいじゃないか?」
「十万円なわけないよね? 百万円くらい……」
「偽物の可能性もあると思うけど……」
明輝と烈火には案の定知識が無かった。
そこでよがらが答えを言った。
「本物ですよ。当時の価格帯として百五十五万ドル。日本円にして二億円ほどです」
「「へぇー、二億……二億!?」」
「そうか。まあ興味はないが、欲しいならやるぞ?」
「「貰えないって!」」
蒼伊の対応はかなり広かった。
しかし明輝と烈火は流石にドン引きしていた。
「律儀だな」
「そうですね」
蒼伊とよがらはそう言った。
お金持ちの考えることは明輝たちには計り知れなかった。
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