234 / 559
◇234 謎のイベント報酬
しおりを挟む
イベントが終わり、いよいよ報酬が贈られる日。
アキラたちはいつも通りログインして遊んでいた。
まったりムードの中、ギルドホームでくだらない話に興じていた。
「それでさー、今週の回でついに新機体ができてたんだよね」
「新機体?」
「そうそう新機体。新しいメカも色々搭載されていて、敵小隊を全滅させてさー」
「へぇー」
アキラはフェルノが熱く語る中、ほとんど聞いていなかった。
何故なら自分が知らないアニメの話なので、全くついていけないのだ。
「新作キットは3ヶ月後に発売だけどさー、造形が楽しみなんだよねー」
「そうなんだ。へぇー」
早く解放されたい。アキラは珍しくそう思っていた。
けれど一向に話が終わる様子がなく、助けを求めようとした。
けれど雷斬たちは目を逸らしている。
こんな時Nightがいればと心の底から願った。
「それにしてもNight遅いね」
「そ、そうだね。もしかして今日は来ないのかな?」
「そんなわけがあるか、馬鹿が」
するとリビングの扉が開いた。
そこにいたのはNightで、ようやくフェルノの話から解放されると思い、ほっと胸を撫で下ろす。
「遅かったね、Night」
「いや、既にログインはしていた。それよりもだ。雷斬、ベル。2人とも報酬は如何なった?」
「「報酬?」」
アキラとフェルノは首を捻る。
一方の雷斬たちは心当たりがあるのか、メニューを開きメッセージボックスを確認する。
「ペアズ・ペアの報酬のことですね。まだ確認はしていませんが、届いているはずですよ」
「確か2人で確認しないとダメなのよね」
「そうだ。昭たちの方は如何だった?」
急に話が振られたので、アキラたちは困惑する。
メニューを急いで開き、メッセージをタップすると、新着メッセージが着ていることに近づいた。
しかもビックリマークの隣に箱のマークも付いている。
これは何か贈られた証拠だ。
「えーっと、中身は……『第1回ペアズ・ペアにご参加いただき誠にありがとうございました。難解なイベントではありましたが、予想以上の参加プレイヤーがおり弊社は驚きを隠せませんが、それと同時に今後もますます検討していくつもりです。今回、十分な成果を上げた方成果が振るわなかった方、またの機会がありましら是非ご参加いただけると幸いです。報酬としてGAME内通貨5万ジュエルと参加賞として記念メダルを想定いたします。また、上位5組のペアには超特殊アイテムを贈らせていただきます。是非Union名をモットーに今後ともよろしくお願いいたします』だってさ」
アキラがメッセージを全部読むと、いろいろ気になる点を見つけた。
どれから片付ければいいかはわからないが。とりあえずアキラたちのプレゼントマークは記念メダルということらしい。
「記念メダルだって。ちょっと嬉しいかもねー」
「うん。えーっと、第1回ペアズ・ペア参加記念メダル。どんな形なのかなーって、称号になるんだ!」
アキラは普通に驚いてしまった。
記念メダルを見ようと思いタップすると、手元に金色のメダルが現れ、称号を手に入れた。
称号名は、第1回ペアズ・ペア参加とシンプルだったが、何だか頑張った甲斐があったと思い嬉しくなる。
「結構作りが細かいね。彫りも深いし、大きさも手頃だよ」
肝心の大きさは500円玉程度だった。
それにもかかわらず、重厚感があってしっかり重かった。
「記念品にしてはよくできているな。それより肝心なものは雷斬たちの手に入れた報酬だ」
「少し待ってください。えーっと、コレですね」
雷斬がメッセージからプレゼントボックスを開き、中身のアイテムを取り出す。
するとインベントリから実際に取り出すと、不思議な道具が手に残った。
「コレは……」
「持ち手かな?」
雷斬が取り出したのは何かの持ち手のようだった。
付属パーツか何かだろうか?
アキラにはさっぱりだったが、フェルノとNightは異様な食いつきを見せた。
「コレって何かな? もしかして、プラモデルとかの余りパーツ?」
「いいや、何かに使うものだとは思うが……おそらく、武器じゃないか?」
「「「武器?」」」
アキラたちは首を捻った。
それもそのはず。持ち手だけでは何にも使えない。
ましてやこの世界では武器の需要は極端に少ない。
大抵のプレイヤーは種族スキルで戦えるうえに、武器で戦うこと自体が少数なのだ。
しかも持ち手ということはおそらく使われる武器も限定される。
持ち手の大きさ的に手でしっかり握ったり、腕に付けたりして使うもののため、Nightはすぐにピンときた。
「おそらく盾だな」
「盾って、あの盾?」
「そうだ。あの盾以外に何があるかは私は知らないが、これは盾の持ち手の部分だ。官人の盾の部分はないが……まさかな」
Nightはどこか心当たりがあるらしい。
けれど盾と聞いてアキラたちはポカンとしてしまう。
それもそのはず、アキラたちの中で盾を使う仲間はおらず、今の今まで盾をメイン武器にして使っているプレイヤーを見たことがない。つまるところ……
「完全にハズレ武器だな」
Nightははっきりと言いつけた。
まさか運営がこんなものを報酬として贈るとは誰も思っていなかっただろう。
きっと今頃SNSでは荒れているとNightは予想したのだが、実際は誰もこのイベントに期待していなかったので、そこまで湧いていないのが現実だった。
「一体何がしたかったんだろうね?」
「さあな。だが運営はこれで満足なんじゃないか?」
Nightは一文引っかかるところがあった。
腕組をしたまま視線がUnionの部分に止まっていた。
アキラたちはいつも通りログインして遊んでいた。
まったりムードの中、ギルドホームでくだらない話に興じていた。
「それでさー、今週の回でついに新機体ができてたんだよね」
「新機体?」
「そうそう新機体。新しいメカも色々搭載されていて、敵小隊を全滅させてさー」
「へぇー」
アキラはフェルノが熱く語る中、ほとんど聞いていなかった。
何故なら自分が知らないアニメの話なので、全くついていけないのだ。
「新作キットは3ヶ月後に発売だけどさー、造形が楽しみなんだよねー」
「そうなんだ。へぇー」
早く解放されたい。アキラは珍しくそう思っていた。
けれど一向に話が終わる様子がなく、助けを求めようとした。
けれど雷斬たちは目を逸らしている。
こんな時Nightがいればと心の底から願った。
「それにしてもNight遅いね」
「そ、そうだね。もしかして今日は来ないのかな?」
「そんなわけがあるか、馬鹿が」
するとリビングの扉が開いた。
そこにいたのはNightで、ようやくフェルノの話から解放されると思い、ほっと胸を撫で下ろす。
「遅かったね、Night」
「いや、既にログインはしていた。それよりもだ。雷斬、ベル。2人とも報酬は如何なった?」
「「報酬?」」
アキラとフェルノは首を捻る。
一方の雷斬たちは心当たりがあるのか、メニューを開きメッセージボックスを確認する。
「ペアズ・ペアの報酬のことですね。まだ確認はしていませんが、届いているはずですよ」
「確か2人で確認しないとダメなのよね」
「そうだ。昭たちの方は如何だった?」
急に話が振られたので、アキラたちは困惑する。
メニューを急いで開き、メッセージをタップすると、新着メッセージが着ていることに近づいた。
しかもビックリマークの隣に箱のマークも付いている。
これは何か贈られた証拠だ。
「えーっと、中身は……『第1回ペアズ・ペアにご参加いただき誠にありがとうございました。難解なイベントではありましたが、予想以上の参加プレイヤーがおり弊社は驚きを隠せませんが、それと同時に今後もますます検討していくつもりです。今回、十分な成果を上げた方成果が振るわなかった方、またの機会がありましら是非ご参加いただけると幸いです。報酬としてGAME内通貨5万ジュエルと参加賞として記念メダルを想定いたします。また、上位5組のペアには超特殊アイテムを贈らせていただきます。是非Union名をモットーに今後ともよろしくお願いいたします』だってさ」
アキラがメッセージを全部読むと、いろいろ気になる点を見つけた。
どれから片付ければいいかはわからないが。とりあえずアキラたちのプレゼントマークは記念メダルということらしい。
「記念メダルだって。ちょっと嬉しいかもねー」
「うん。えーっと、第1回ペアズ・ペア参加記念メダル。どんな形なのかなーって、称号になるんだ!」
アキラは普通に驚いてしまった。
記念メダルを見ようと思いタップすると、手元に金色のメダルが現れ、称号を手に入れた。
称号名は、第1回ペアズ・ペア参加とシンプルだったが、何だか頑張った甲斐があったと思い嬉しくなる。
「結構作りが細かいね。彫りも深いし、大きさも手頃だよ」
肝心の大きさは500円玉程度だった。
それにもかかわらず、重厚感があってしっかり重かった。
「記念品にしてはよくできているな。それより肝心なものは雷斬たちの手に入れた報酬だ」
「少し待ってください。えーっと、コレですね」
雷斬がメッセージからプレゼントボックスを開き、中身のアイテムを取り出す。
するとインベントリから実際に取り出すと、不思議な道具が手に残った。
「コレは……」
「持ち手かな?」
雷斬が取り出したのは何かの持ち手のようだった。
付属パーツか何かだろうか?
アキラにはさっぱりだったが、フェルノとNightは異様な食いつきを見せた。
「コレって何かな? もしかして、プラモデルとかの余りパーツ?」
「いいや、何かに使うものだとは思うが……おそらく、武器じゃないか?」
「「「武器?」」」
アキラたちは首を捻った。
それもそのはず。持ち手だけでは何にも使えない。
ましてやこの世界では武器の需要は極端に少ない。
大抵のプレイヤーは種族スキルで戦えるうえに、武器で戦うこと自体が少数なのだ。
しかも持ち手ということはおそらく使われる武器も限定される。
持ち手の大きさ的に手でしっかり握ったり、腕に付けたりして使うもののため、Nightはすぐにピンときた。
「おそらく盾だな」
「盾って、あの盾?」
「そうだ。あの盾以外に何があるかは私は知らないが、これは盾の持ち手の部分だ。官人の盾の部分はないが……まさかな」
Nightはどこか心当たりがあるらしい。
けれど盾と聞いてアキラたちはポカンとしてしまう。
それもそのはず、アキラたちの中で盾を使う仲間はおらず、今の今まで盾をメイン武器にして使っているプレイヤーを見たことがない。つまるところ……
「完全にハズレ武器だな」
Nightははっきりと言いつけた。
まさか運営がこんなものを報酬として贈るとは誰も思っていなかっただろう。
きっと今頃SNSでは荒れているとNightは予想したのだが、実際は誰もこのイベントに期待していなかったので、そこまで湧いていないのが現実だった。
「一体何がしたかったんだろうね?」
「さあな。だが運営はこれで満足なんじゃないか?」
Nightは一文引っかかるところがあった。
腕組をしたまま視線がUnionの部分に止まっていた。
0
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!
しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。
βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。
そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。
そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する!
※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。
※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください!
※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる