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◇233 頑張ってないのが正解
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「……それで、何でお前たちは隠れたんだ?」
「それは……ねえ」
「ねえじゃない。私が困っていたこと気付いていただろ」
「気づいてはいましたが……すみません」
「謝るな。謝られると、私が悪者に聞こえるだろ」
「「ごめんなさい」」
「だから謝るな。クソッ、何でこうも重たい空気ばっかり今日は体感せざるを得ないんだ」
Nightは頭を抱えて項垂れた。
雷斬とベルは話に巻き込まれ、何故か叱られている。
けれど2人はNightの威圧から逃れることができず、こうして椅子に座り長々と話を聞いていた。
そしてアキラとフェルノの2人は雷斬たちと入れ替わりで外に出たので今はいない。
「アキラさんたち、早く戻ってきてください……」
「無理よ、雷斬。諦めた方が良いわ」
ベルは達観していた。むしろ静観していた。
Nightの愚痴を散々聞き、2人もアキラたちを欲している。
「まあ、この話はいいとしてだ。お前たち、結果は如何だった?」
「結果? 結果って、アレのことよね」
「ペアズ・ペアの結果しかないだろ。お前たちの総合的な順位はまだ確定はしていないが、おそらく4位だ。一体何をしたんだ」
「何をしたとおっしゃられても、特に変わったことはしていませんよ。そうですよね、ベル」
「そうね。私たちはいつも通りにしただけよ」
雷斬とベルは本当にいつも通りだったらしい。
雷斬が敵を捕捉して全力で切り込み、追い詰められたところを弓術フォームになりいつも以上に集中したベルが仕留める。
ただそれだけの単調な作業をしただけのようだ。
「私たちの戦い方は何か特別なことをしてむやみやたらとモンスターと戦うようなことはしていないのよね」
「そうですね。目の前の敵を切る。ただそれだけの話です」
「……仕事人だな、お前たちは」
Nightは呆れてしまった。
けれどそれでいい。2人の持ち味をしっかりと活かしきれていて、らしい戦い方に納得した。
「それはそうと、アキラたちは如何して上位に食い込んでいないのか教えて欲しいわ」
「それは本人たちが一番傷付いていることに他ならない」
「傷付いているようには見えませんでしたが、確かにアキラさんとフェルノさんの戦い方はかなり対人に寄っていますね」
「そうだ。パワーとテクニックを併せ持つフェルノと、成長速度と対人戦ではめっぽう強いアキラ。2人ともモンスター相手よりも……」
「対人よね。でも2人とも私の薙刀フォームみたいに暴れたりしないわ」
ベルは自分と比べていた。
弓術フォームも薙刀フォームも個人的に使い分けているだけで、決して二重人格と言うわけではない。
極度の集中状態で静観している弓術フォーム、豪快に敵を葬り去る薙刀フォーム。
そのどちらもが、普段のソロを基本としているベルの性格を引き上げるための要素でしかないのだ。
「お前も随分丸くなったな」
「私は最初から丸いわ」
「そうじゃない。初めの冷静さが今では豪快に多少飲まれているだろ。本来のお前らしくな」
「うっ……このパーティーの在り方がわかって来ただけよ」
ただしツンデレにはなり切れない。
それがベルと言う人間で、雷斬はうっとり頬を緩めた。
「まあ、正解はいくつもある。ただ私が許せないのは、アレだけの強敵を倒してコイツしか手に入らなかったことだな」
Nightはインベントリからあるものを取り出した。
それはアイスシェードンのへし折れた長い氷の牙だった。
「それは何ですか?」
「綺麗な牙ね。武器にでも使うの?」
2人はNightに尋ねた。しかしNightはまだ使い道は決めていないので、答えに迷っている。
確かに欲しかった素材だが、コイツを何に使えばいいか。
【ライフ・オブ・メイク】とも相性が悪く、首を捻っている。
「うーん、氷の剣を作るか?」
「氷の剣なんて作ってもだれが使うのよ?」
「それは……雷斬。如何だ?」
「残念ですが、私は刀でしたら構いませんが、通常の剣ですと難しいですね」
刀と剣は違う。
片刃と両刃の違いそれだけ使い手を迷わせるのだ。
「それじゃあ今度ソウラたちの店に行ってみたら?」
「そうだな。今度会った時にでも……雷斬、ベル。2人は報酬をどうするつもりでいるんだ」
「「報酬?」」
2人は首を捻った。
今回のペアズ・ペアでは報酬としてGAME内通貨と特殊アイテムが贈られるらしい。
けれどまだ何かはわからないので、Nightは気になっていた。
「もし使わないのなら私にくれないか?」
「えっ、もちろん良いわよ。ねっ、雷斬」
「はい。私も構いません」
「そうか。助かる」
Nightは報酬のアイテムが何かはわかっていない。
けれど何かに使えるかもしれないと思い、期待しているのだ。
「しかし頑張らないが正解とはな」
「頑張ってはいけませんよ。頑張り過ぎは自分を殺す毒ですから」
「お前が言うと説得力があるな」
「そうですか?」
雷斬がきょとんとしている。
けれどベルは気が付いていた。雷斬が凄く努力していることを。
だからこそ、Nightと共に納得したのだろう。
「それは……ねえ」
「ねえじゃない。私が困っていたこと気付いていただろ」
「気づいてはいましたが……すみません」
「謝るな。謝られると、私が悪者に聞こえるだろ」
「「ごめんなさい」」
「だから謝るな。クソッ、何でこうも重たい空気ばっかり今日は体感せざるを得ないんだ」
Nightは頭を抱えて項垂れた。
雷斬とベルは話に巻き込まれ、何故か叱られている。
けれど2人はNightの威圧から逃れることができず、こうして椅子に座り長々と話を聞いていた。
そしてアキラとフェルノの2人は雷斬たちと入れ替わりで外に出たので今はいない。
「アキラさんたち、早く戻ってきてください……」
「無理よ、雷斬。諦めた方が良いわ」
ベルは達観していた。むしろ静観していた。
Nightの愚痴を散々聞き、2人もアキラたちを欲している。
「まあ、この話はいいとしてだ。お前たち、結果は如何だった?」
「結果? 結果って、アレのことよね」
「ペアズ・ペアの結果しかないだろ。お前たちの総合的な順位はまだ確定はしていないが、おそらく4位だ。一体何をしたんだ」
「何をしたとおっしゃられても、特に変わったことはしていませんよ。そうですよね、ベル」
「そうね。私たちはいつも通りにしただけよ」
雷斬とベルは本当にいつも通りだったらしい。
雷斬が敵を捕捉して全力で切り込み、追い詰められたところを弓術フォームになりいつも以上に集中したベルが仕留める。
ただそれだけの単調な作業をしただけのようだ。
「私たちの戦い方は何か特別なことをしてむやみやたらとモンスターと戦うようなことはしていないのよね」
「そうですね。目の前の敵を切る。ただそれだけの話です」
「……仕事人だな、お前たちは」
Nightは呆れてしまった。
けれどそれでいい。2人の持ち味をしっかりと活かしきれていて、らしい戦い方に納得した。
「それはそうと、アキラたちは如何して上位に食い込んでいないのか教えて欲しいわ」
「それは本人たちが一番傷付いていることに他ならない」
「傷付いているようには見えませんでしたが、確かにアキラさんとフェルノさんの戦い方はかなり対人に寄っていますね」
「そうだ。パワーとテクニックを併せ持つフェルノと、成長速度と対人戦ではめっぽう強いアキラ。2人ともモンスター相手よりも……」
「対人よね。でも2人とも私の薙刀フォームみたいに暴れたりしないわ」
ベルは自分と比べていた。
弓術フォームも薙刀フォームも個人的に使い分けているだけで、決して二重人格と言うわけではない。
極度の集中状態で静観している弓術フォーム、豪快に敵を葬り去る薙刀フォーム。
そのどちらもが、普段のソロを基本としているベルの性格を引き上げるための要素でしかないのだ。
「お前も随分丸くなったな」
「私は最初から丸いわ」
「そうじゃない。初めの冷静さが今では豪快に多少飲まれているだろ。本来のお前らしくな」
「うっ……このパーティーの在り方がわかって来ただけよ」
ただしツンデレにはなり切れない。
それがベルと言う人間で、雷斬はうっとり頬を緩めた。
「まあ、正解はいくつもある。ただ私が許せないのは、アレだけの強敵を倒してコイツしか手に入らなかったことだな」
Nightはインベントリからあるものを取り出した。
それはアイスシェードンのへし折れた長い氷の牙だった。
「それは何ですか?」
「綺麗な牙ね。武器にでも使うの?」
2人はNightに尋ねた。しかしNightはまだ使い道は決めていないので、答えに迷っている。
確かに欲しかった素材だが、コイツを何に使えばいいか。
【ライフ・オブ・メイク】とも相性が悪く、首を捻っている。
「うーん、氷の剣を作るか?」
「氷の剣なんて作ってもだれが使うのよ?」
「それは……雷斬。如何だ?」
「残念ですが、私は刀でしたら構いませんが、通常の剣ですと難しいですね」
刀と剣は違う。
片刃と両刃の違いそれだけ使い手を迷わせるのだ。
「それじゃあ今度ソウラたちの店に行ってみたら?」
「そうだな。今度会った時にでも……雷斬、ベル。2人は報酬をどうするつもりでいるんだ」
「「報酬?」」
2人は首を捻った。
今回のペアズ・ペアでは報酬としてGAME内通貨と特殊アイテムが贈られるらしい。
けれどまだ何かはわからないので、Nightは気になっていた。
「もし使わないのなら私にくれないか?」
「えっ、もちろん良いわよ。ねっ、雷斬」
「はい。私も構いません」
「そうか。助かる」
Nightは報酬のアイテムが何かはわかっていない。
けれど何かに使えるかもしれないと思い、期待しているのだ。
「しかし頑張らないが正解とはな」
「頑張ってはいけませんよ。頑張り過ぎは自分を殺す毒ですから」
「お前が言うと説得力があるな」
「そうですか?」
雷斬がきょとんとしている。
けれどベルは気が付いていた。雷斬が凄く努力していることを。
だからこそ、Nightと共に納得したのだろう。
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