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◇231 残念ながら敵は強し
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「はぁー」
「あーあ」
「うーん。仕方ないことだが、はぁー」
大きな溜息がギルドホームの中を覆った。
それぞれが三者三様で違う溜息を吐いてはいるが、全員悔しい思いをしていた。
ギルドホームの中がどんよりとした陰気な空気で覆われる。
暖炉でパチパチと燃える薪と火に引火するんじゃないかと心配になるほど、珍しくブルーな様子だった。
その原因は1日だけ遡る。
アキラたちはまだ氷の洞窟の中にいた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
氷の洞窟の中でアキラたちは探索をしていた。
もちろん強敵でありこの洞窟の主であるアイスシェードンはもういない。
とは言え時間さえ経過すればモンスターは再度リスポーンしてしまう。
アキラたちが洞窟を出てしばらく経たなければ最悪リスポーンはしないので、それほど急ぐことでもなかった。
けれどアキラたちが勝利の余韻に浸っている暇はない。
急いでドロップしたアイテムを確認し、落ちているアイテムは全力で拾う。
「えーっと、あっ見つけたよ! 氷の欠片」
「こっちにも転がってるねー。しかもゴロゴロ落ちてる。やっぱり体当たりしてくれたことが大きいのかなー?」
「それはかなり大きいな。どうやら成果は上々ならしい」
アキラたちは腰を低くして、氷の床に這いつくばっていた。
理由は氷の欠片と呼ばれるアイテムを採取するためで、この洞窟に来た理由の1つだった。
ちなみにアキラとフェルノは何故このアイテムを集めさせられているのかはわかっていない。
Nightは来る前に言いだしたことなので、きっと役に立つんだろうとあやふやな理由だけで全力で採取を続けている。
「それでNight。このアイテムは何に使うの?」
「氷の欠片は保冷性能がかなり高い。いわば天然の冷却材(固形)だ」
「保冷性能? そんなの【ライフ・オブ・メイク】で作ればいいんじゃ」
「私のスキルは体力をすり減らす。そんなスキルを連続で使用したり、くだらないことにまで避けると思うなよ」
「でもたまに使っているでしょ?」
「1回作ったものは慣れるんだ。とは言え複雑なものは難しいな」
Nightは説明してくれた。
つまり氷の欠片は冷却保存用に使うらしい。
それならこんなに集める必要はあったのか。
アキラとフェルノは必死になって集めていた氷の欠片が60キロは入る大きめの袋一杯になっていたことに気が付いた。
如何やらこれだけあれば十分らしく、口の紐を結びインベントリの中に放り込む。
これで目的達成と思われたが、まだ残っていることがある。
ようやく確認できるので、アキラとフェルノはわくわくしていた。
「それで如何だったのかな?」
「あれだけの強敵にポイントアップチャンスよー。きっと良い線行っているって。1位は流石に厳しいかもだけどさー、けみーとマンティのペアぐらいは抜かせているんじゃないのー?」
アキラとフェルノはアイスシェードンがどれだけのポイントをくれたのか知らない。
だから今から確認するのを楽しみにしていた。
まずはアイスシェードンを無事に倒してポイントが入ったかどうかだ。
この間のクマデクマは倒したのに倒した判定が入っていなかった。
そのせいで悔しい思いをしたことを2人は覚えている。
苦労したにもかかわらず、何の成果も得られずましてやドロップしたアイテムも貧弱でスキルすら獲得できなかった。
そんな悔しくて苦い思いから解放されたくて、らしくもなく恐る恐る確認する。
「早くしろ」
Nightが痺れを切らした。
結果をあらかじめ知っている身からすればただの時間稼ぎに見えるらしい。
「えーっと、アイスシェードン討伐完了。獲得ポイントは15ポイント。に加えてポイントアップボーナスで+30ポイント。合計で45ポイントだって!」
「ってことはつまり?」
アキラとフェルノは顔を見合わせた。
今回はちゃんとポイントが獲得できている。それだけで苦労した甲斐があったとお互いを称賛した。
クマデクマを倒した時もこれだけ手に入っていたのか。
それを思い出せば一瞬で青ざめるところを、2人は意識を完全に切り替えてしまっているので全く気にならない。
「イェーイ!」と高らかに拳を上げ、これが往年の横スクロールアクションゲームなら今にも真上にブロックを叩いて星が出ていることだろう。
それだけ喜んでいる2人に水を差すようでNightは忍びなかったが、一応教えておこうと思い咳ばらいを1つ。
「あー、こほん。ポイントをいつも以上に手に入れることができたのは良かったが……残念ながらそれは意味がない」
「「嘘っ!?」」
Nightからの衝撃発言に、2人は固まってしまう。
しかし何故意味がないのかわからなくて困惑強いると、「メニューを表示しろ」とNightは伝えた。
アキラとフェルノは訳が分からなかったが、何処かにヒントらしきものが隠れて居るのでは? と思ったので、目を凝らしてヒントを探す。
ポイント獲得画面、ステータスバー、リアル時間。
あらゆるところを汲まなく探してもなかなか見つからない。
いつもの2人なら既に見つけているだろうが、今回は馳せる気持ちが強すぎて見失っているらしい。
Nightは見ていられなかったので、正解を教えてあげることにした。
「時間だ」
「時間? ……あっ」
アキラの顔色が青ざめる。
フェルノも視線を落とすとリアルタイムが表示されていて、隣には日にちも載っている。
12月4日AM.0:34
1日過ぎていた。つまりポイントは——
「無効ってこと?」
「そうだ」
「でも判定では獲得って……」
「それはアレだ……ポイントだけ表示されて実際計測には関係内的なアレだ」
Nightは忍びなかった。むしろ悔しかった。
これだけやったのにまさかこんな結末を迎えるとは思っていなかった。
それにNightはランキングを見て気が付いていた。
アキラたちは気が付いていないが、アイスシェードンを狩りに倒してポイントを全部手に入れていたとしても上位入賞は無理だった。
何故ならギルド、聖火の杯を筆頭にけみー&マンティペア。それから雷斬&ベルペアが入っているからだ。
「まあ……はぁー」
喜びきれない。
Nightは大きな溜息を吐き、アキラとフェルノも崩れてしまった。
「あーあ」
「うーん。仕方ないことだが、はぁー」
大きな溜息がギルドホームの中を覆った。
それぞれが三者三様で違う溜息を吐いてはいるが、全員悔しい思いをしていた。
ギルドホームの中がどんよりとした陰気な空気で覆われる。
暖炉でパチパチと燃える薪と火に引火するんじゃないかと心配になるほど、珍しくブルーな様子だった。
その原因は1日だけ遡る。
アキラたちはまだ氷の洞窟の中にいた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
氷の洞窟の中でアキラたちは探索をしていた。
もちろん強敵でありこの洞窟の主であるアイスシェードンはもういない。
とは言え時間さえ経過すればモンスターは再度リスポーンしてしまう。
アキラたちが洞窟を出てしばらく経たなければ最悪リスポーンはしないので、それほど急ぐことでもなかった。
けれどアキラたちが勝利の余韻に浸っている暇はない。
急いでドロップしたアイテムを確認し、落ちているアイテムは全力で拾う。
「えーっと、あっ見つけたよ! 氷の欠片」
「こっちにも転がってるねー。しかもゴロゴロ落ちてる。やっぱり体当たりしてくれたことが大きいのかなー?」
「それはかなり大きいな。どうやら成果は上々ならしい」
アキラたちは腰を低くして、氷の床に這いつくばっていた。
理由は氷の欠片と呼ばれるアイテムを採取するためで、この洞窟に来た理由の1つだった。
ちなみにアキラとフェルノは何故このアイテムを集めさせられているのかはわかっていない。
Nightは来る前に言いだしたことなので、きっと役に立つんだろうとあやふやな理由だけで全力で採取を続けている。
「それでNight。このアイテムは何に使うの?」
「氷の欠片は保冷性能がかなり高い。いわば天然の冷却材(固形)だ」
「保冷性能? そんなの【ライフ・オブ・メイク】で作ればいいんじゃ」
「私のスキルは体力をすり減らす。そんなスキルを連続で使用したり、くだらないことにまで避けると思うなよ」
「でもたまに使っているでしょ?」
「1回作ったものは慣れるんだ。とは言え複雑なものは難しいな」
Nightは説明してくれた。
つまり氷の欠片は冷却保存用に使うらしい。
それならこんなに集める必要はあったのか。
アキラとフェルノは必死になって集めていた氷の欠片が60キロは入る大きめの袋一杯になっていたことに気が付いた。
如何やらこれだけあれば十分らしく、口の紐を結びインベントリの中に放り込む。
これで目的達成と思われたが、まだ残っていることがある。
ようやく確認できるので、アキラとフェルノはわくわくしていた。
「それで如何だったのかな?」
「あれだけの強敵にポイントアップチャンスよー。きっと良い線行っているって。1位は流石に厳しいかもだけどさー、けみーとマンティのペアぐらいは抜かせているんじゃないのー?」
アキラとフェルノはアイスシェードンがどれだけのポイントをくれたのか知らない。
だから今から確認するのを楽しみにしていた。
まずはアイスシェードンを無事に倒してポイントが入ったかどうかだ。
この間のクマデクマは倒したのに倒した判定が入っていなかった。
そのせいで悔しい思いをしたことを2人は覚えている。
苦労したにもかかわらず、何の成果も得られずましてやドロップしたアイテムも貧弱でスキルすら獲得できなかった。
そんな悔しくて苦い思いから解放されたくて、らしくもなく恐る恐る確認する。
「早くしろ」
Nightが痺れを切らした。
結果をあらかじめ知っている身からすればただの時間稼ぎに見えるらしい。
「えーっと、アイスシェードン討伐完了。獲得ポイントは15ポイント。に加えてポイントアップボーナスで+30ポイント。合計で45ポイントだって!」
「ってことはつまり?」
アキラとフェルノは顔を見合わせた。
今回はちゃんとポイントが獲得できている。それだけで苦労した甲斐があったとお互いを称賛した。
クマデクマを倒した時もこれだけ手に入っていたのか。
それを思い出せば一瞬で青ざめるところを、2人は意識を完全に切り替えてしまっているので全く気にならない。
「イェーイ!」と高らかに拳を上げ、これが往年の横スクロールアクションゲームなら今にも真上にブロックを叩いて星が出ていることだろう。
それだけ喜んでいる2人に水を差すようでNightは忍びなかったが、一応教えておこうと思い咳ばらいを1つ。
「あー、こほん。ポイントをいつも以上に手に入れることができたのは良かったが……残念ながらそれは意味がない」
「「嘘っ!?」」
Nightからの衝撃発言に、2人は固まってしまう。
しかし何故意味がないのかわからなくて困惑強いると、「メニューを表示しろ」とNightは伝えた。
アキラとフェルノは訳が分からなかったが、何処かにヒントらしきものが隠れて居るのでは? と思ったので、目を凝らしてヒントを探す。
ポイント獲得画面、ステータスバー、リアル時間。
あらゆるところを汲まなく探してもなかなか見つからない。
いつもの2人なら既に見つけているだろうが、今回は馳せる気持ちが強すぎて見失っているらしい。
Nightは見ていられなかったので、正解を教えてあげることにした。
「時間だ」
「時間? ……あっ」
アキラの顔色が青ざめる。
フェルノも視線を落とすとリアルタイムが表示されていて、隣には日にちも載っている。
12月4日AM.0:34
1日過ぎていた。つまりポイントは——
「無効ってこと?」
「そうだ」
「でも判定では獲得って……」
「それはアレだ……ポイントだけ表示されて実際計測には関係内的なアレだ」
Nightは忍びなかった。むしろ悔しかった。
これだけやったのにまさかこんな結末を迎えるとは思っていなかった。
それにNightはランキングを見て気が付いていた。
アキラたちは気が付いていないが、アイスシェードンを狩りに倒してポイントを全部手に入れていたとしても上位入賞は無理だった。
何故ならギルド、聖火の杯を筆頭にけみー&マンティペア。それから雷斬&ベルペアが入っているからだ。
「まあ……はぁー」
喜びきれない。
Nightは大きな溜息を吐き、アキラとフェルノも崩れてしまった。
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