229 / 599
◇229 VS氷牙5
しおりを挟む
Nightが【ライフ・オブ・メイク】で生み出した強固な盾によってアキラたちは間一髪守られた。
Nightが叫んだのとほぼ同タイミングで走ったからできたのだが、それでもアイスシェードンの剣の鎧はあまりにも強固であり恐れを抱かせるには十分だった。
「こ、怖いね。あんなの食らったら一発で終わりだよ」
「敗北必至だな。だが守れない攻撃じゃない」
「そうだよー。Nightの作ったたての方が強いんだもん。生身でしかも氷の刃で金属に勝つのは難しいよね」
フェルノが口にしたのは、そもそもの材質の話だった。
水分を凍らせた氷の剣をいくら纏おうが、時間を作ればNightの【ライフ・オブ・メイク】は答えてくれる。
HPのほとんどを消費し、吹けば消える体力を糧にした。
それがこの一枚だけの金属製の盾だ。今なら戦車だって止められる。そう確信していた。
「流石に2枚目は作れないぞ。もうポーションもない、おまけに【ライフ・オブ・メイク】で一回作った後はしばらく同程度のものは作れないからな」
「わかっているよ。だからここは切り替えて……倒す!」
アキラは【甲蟲】で両腕を覆った。
それから激しくかち合わせると、フェルノと一緒に左右から飛び出す。
十分以上のことをしてくれたNightのためにも絶対に負けらえない。
その想いも乗っかって、アキラとフェルノの拳が交じり合う。
まさにシンクロ。ほぼ同タイミングのストレートが炸裂した。
「まずは1本……次は2本」
「どれだけ氷の剣を纏っていても、溶かして壊せば問題なしってね!」
フェルノの炎が氷を着実に溶かしていた。
直接触れだけじゃない。常に出し続けている炎が全体的に氷を溶かしている。
そこにアキラのパンチが幾度となくヒットして、HPを削っていた。
いつもとは違う。一発ではなく、着実に削り取るスタイルだった。
「このまま一気に……」
「うんうん。アイスシェードンの動きも鈍くなってきたね。これならいけるかも」
フェルノの炎で剣の鎧は溶かされ、体当たりをして捨て身の一撃を食らわせようとスつと金属の盾に阻まれる。
怯んでいる間に横腹を殴られ、アイスシェードンのHPはもう残っていない。
「グルルガァ」
「でもまだ何か仕掛けてきてもおかしくないよね。ここは攻めて来た時に返り討ちにしよう」
「そうだね。氷はもう残ってないもんね」
アキラたちがやっているのは完全にヒット&アウェー作戦だった。
いつもの考えながら戦うスタイルが、超が付く程当たり前な基礎的な作戦を取っていた。
そのおかげか、アイスシェードンもまともに手を出せない。
つまり勝機は完全にアキラたちに傾いた。
「攻めてこないな。だったら残ったHPを削るだけだ」
Nightは投げナイフを使ってアイスシェードンを煽った。
足下に突き刺さり、苛立ちを募らせ続ける。
するとアイスシェードンは歯痒い思いをして喉を鳴らし、最後の力を振り絞り、もう一度氷の剣を纏う。
前脚後脚だけではなく、尻尾にまで氷を纏い槍状に変わる。
頭からもユニコーンのような氷柱を生み出して角を作っていた。
しなやかな身体が強固になり、全身武装で体当たりを繰り出そうとしている。
「金属の盾を破壊する気か? いいや、それはできない。アイツのパワーでも流石にそれは無理だ」
「それじゃあ何をする気なの?」
「考えられるのはこの盾を弾くだな。根元を折ってしまえば、この盾は簡単に吹き飛ぶぞ」
「それは聞いてないよ! じゃあ完璧じゃないってことだよね。如何しよう……何をしているのかな、フェルノ?」
何故か金属の盾から顔を出したフェルノはアイスシェードンの前に立った。
如何やら体当たりを直接受け止める気らしい。
ヒット&アウェーを続ければ楽に勝てるこの状況で、フェルノが前に出る必要はない。
「如何して隠れないの!」
「だって自滅じゃポイントは入らないでしょ? それにあの牙も欲しいって言ってたから、ここまで来たからには手に入れるでしょ?」
「そ、それはそうだけど……ううん、考えるのは止めだね。それじゃあやろう」
フェルノの意見を尊重することにした。
アキラは【灰爪】を煌かせ、最後の一撃に賭ける。
体当たりを繰り出したアイスシェードンも氷の剣でフェルノを襲うが、牙を掴んでへし折った。
「これだけ溶かしているんだよ? その氷も脅威じゃない!」
アイスシェードンの氷は確かに硬く鋭くて脅威だった。
けれどフェルノの前には無力で、最初に加えたダメージが蓄積されていて、牙も無事に手に入れることができた。
「行くよ、アキラ。これでトドメだ!」
「もちろん。せーのっ!」
アキラとフェルノは弱りに弱って既に気力も無くなったアイスシェードンにトドメの一撃を浴びせた。
先程までの威勢もなければ吠えることもしない。
残ったHPが削り切られてしまい、アイスシェードンは光の粒子に変わって消滅した。
「終わったな」
「そうだね。強敵だったよ」
全員の強引さが噛み合わなかったら倒せなかった。
けれど結果はアキラたちが勝利を捥ぎ取り、レベルも少し上がったようだ。
Nightが叫んだのとほぼ同タイミングで走ったからできたのだが、それでもアイスシェードンの剣の鎧はあまりにも強固であり恐れを抱かせるには十分だった。
「こ、怖いね。あんなの食らったら一発で終わりだよ」
「敗北必至だな。だが守れない攻撃じゃない」
「そうだよー。Nightの作ったたての方が強いんだもん。生身でしかも氷の刃で金属に勝つのは難しいよね」
フェルノが口にしたのは、そもそもの材質の話だった。
水分を凍らせた氷の剣をいくら纏おうが、時間を作ればNightの【ライフ・オブ・メイク】は答えてくれる。
HPのほとんどを消費し、吹けば消える体力を糧にした。
それがこの一枚だけの金属製の盾だ。今なら戦車だって止められる。そう確信していた。
「流石に2枚目は作れないぞ。もうポーションもない、おまけに【ライフ・オブ・メイク】で一回作った後はしばらく同程度のものは作れないからな」
「わかっているよ。だからここは切り替えて……倒す!」
アキラは【甲蟲】で両腕を覆った。
それから激しくかち合わせると、フェルノと一緒に左右から飛び出す。
十分以上のことをしてくれたNightのためにも絶対に負けらえない。
その想いも乗っかって、アキラとフェルノの拳が交じり合う。
まさにシンクロ。ほぼ同タイミングのストレートが炸裂した。
「まずは1本……次は2本」
「どれだけ氷の剣を纏っていても、溶かして壊せば問題なしってね!」
フェルノの炎が氷を着実に溶かしていた。
直接触れだけじゃない。常に出し続けている炎が全体的に氷を溶かしている。
そこにアキラのパンチが幾度となくヒットして、HPを削っていた。
いつもとは違う。一発ではなく、着実に削り取るスタイルだった。
「このまま一気に……」
「うんうん。アイスシェードンの動きも鈍くなってきたね。これならいけるかも」
フェルノの炎で剣の鎧は溶かされ、体当たりをして捨て身の一撃を食らわせようとスつと金属の盾に阻まれる。
怯んでいる間に横腹を殴られ、アイスシェードンのHPはもう残っていない。
「グルルガァ」
「でもまだ何か仕掛けてきてもおかしくないよね。ここは攻めて来た時に返り討ちにしよう」
「そうだね。氷はもう残ってないもんね」
アキラたちがやっているのは完全にヒット&アウェー作戦だった。
いつもの考えながら戦うスタイルが、超が付く程当たり前な基礎的な作戦を取っていた。
そのおかげか、アイスシェードンもまともに手を出せない。
つまり勝機は完全にアキラたちに傾いた。
「攻めてこないな。だったら残ったHPを削るだけだ」
Nightは投げナイフを使ってアイスシェードンを煽った。
足下に突き刺さり、苛立ちを募らせ続ける。
するとアイスシェードンは歯痒い思いをして喉を鳴らし、最後の力を振り絞り、もう一度氷の剣を纏う。
前脚後脚だけではなく、尻尾にまで氷を纏い槍状に変わる。
頭からもユニコーンのような氷柱を生み出して角を作っていた。
しなやかな身体が強固になり、全身武装で体当たりを繰り出そうとしている。
「金属の盾を破壊する気か? いいや、それはできない。アイツのパワーでも流石にそれは無理だ」
「それじゃあ何をする気なの?」
「考えられるのはこの盾を弾くだな。根元を折ってしまえば、この盾は簡単に吹き飛ぶぞ」
「それは聞いてないよ! じゃあ完璧じゃないってことだよね。如何しよう……何をしているのかな、フェルノ?」
何故か金属の盾から顔を出したフェルノはアイスシェードンの前に立った。
如何やら体当たりを直接受け止める気らしい。
ヒット&アウェーを続ければ楽に勝てるこの状況で、フェルノが前に出る必要はない。
「如何して隠れないの!」
「だって自滅じゃポイントは入らないでしょ? それにあの牙も欲しいって言ってたから、ここまで来たからには手に入れるでしょ?」
「そ、それはそうだけど……ううん、考えるのは止めだね。それじゃあやろう」
フェルノの意見を尊重することにした。
アキラは【灰爪】を煌かせ、最後の一撃に賭ける。
体当たりを繰り出したアイスシェードンも氷の剣でフェルノを襲うが、牙を掴んでへし折った。
「これだけ溶かしているんだよ? その氷も脅威じゃない!」
アイスシェードンの氷は確かに硬く鋭くて脅威だった。
けれどフェルノの前には無力で、最初に加えたダメージが蓄積されていて、牙も無事に手に入れることができた。
「行くよ、アキラ。これでトドメだ!」
「もちろん。せーのっ!」
アキラとフェルノは弱りに弱って既に気力も無くなったアイスシェードンにトドメの一撃を浴びせた。
先程までの威勢もなければ吠えることもしない。
残ったHPが削り切られてしまい、アイスシェードンは光の粒子に変わって消滅した。
「終わったな」
「そうだね。強敵だったよ」
全員の強引さが噛み合わなかったら倒せなかった。
けれど結果はアキラたちが勝利を捥ぎ取り、レベルも少し上がったようだ。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる