225 / 570
◇225 VS氷牙1
しおりを挟む
気が付けば12月3日。
いよいよ最終日だ。
アキラたち継ぎ接ぎの絆のメンバーの一部はまだイベントを駆け上がろうとしていた。
残念ながら1位までは流石に厳しそうで、2位にはけみー&マンティが、4位には雷斬&ベルが付けている。
二組とも凄いと思ったのは一瞬で、アキラとフェルノもまだ負けてないと気合十分だった。
「よし、それじゃあ行くぞ」
「「おー!」」
Nightの掛け声で満月山の裏手から目の前の雪山を見上げた。
アキラたちは声を合わせて統一感を出すと、早速雪山に足を踏み入れた。
雪山に入ると普通に寒かった。
Nightが用意してくれたコートやマフラー、厚底のブーツを履き全身を寒さから守ってくれている。
山の天気は変わりやすいとは言うけれど、空模様はまだ青空。
今のうちに全力で目的地に辿り着かないと大変なことになる。
「それにしても寒いね」
「寒い言うな。余計寒くなる」
「だって寒いんだもん。フェルノは温かそうでいいよね」
「いいでしょー。こういう時にファイアドレイクって有りだよねー」
アキラとNightはいくら防寒着を着込んでいるとはいえ、雪山何て来たことがなく、普通に寒い思いをしていた。
これで天候が悪化したら体中の感覚が無くなって、まともに歩けなくなるだろう。
それがわかっていたので、足早になっていたが、悠々としているフェルノは全身をスキルで温めていた。
「【炎熱竜化】……こういう時は羨ましく思うな」
「いいでしょーいいでしょー」
「ねえNight。カイロとか出せないの?」
「出して如何するんだ」
「使うに決まっているでしょ? それ以外に使い道ないよ」
「馬鹿か。お前はカイロを知らなすぎる」
何故か一蹴されてしまった。
アキラは食い下がれないほど寒かったので、Nightに聞き返す。
「如何して使えないの?」
「カイロは寒すぎると発熱しないんだ。中の鉄が酸素と酸化しても熱を生み出し難い」
そう言えば前にテレビでそんなこと言っていた気がする。
Nightに言われて思い出してしまったが、これで寒すぎる現状を変えることができない。
「ううっ。寒い」
「だから寒い言うな」
「もう、暑くても寒くても人間って機嫌悪くなるよねー。えいっ!」
フェルノがアキラとNightを抱き寄せた。
手は手袋なども特に付けず、竜化している。
分厚い皮膚に覆われていて、とてつもない熱を生み出していて、触れたアキラとNightは温かいを通り越して普通に熱かった。
「フェルノありがとう」
「どういたしましてー。それよりさー、目的地って何処なのー?」
「目的地は洞窟らしい。数日前に敗北したペアが居たそうだ」
Nightは情報を集めていた。
どうやらあのサーベルタイガーに挑んだ猛者がいたらしく、呆気なくやられたらしい。
個の雪山をくまなく探して見つけた洞窟の中にひっそりと暮らしていたらしく、入るや否や圧倒的な力で叩きのめされて強モン認定されたのだ。
あくまでもネット民の意見だけど、その情報が出回るとたくさんのプレイヤーが挑み敗北したので、倒せない認定も加わっている。
「えー! そんなモンスターと戦うの!」
「当たり前だ。私たち以外で倒せるやつがいるとは思えない」
「それは凄い自信だねー。でも燃えてきた」
「ああ。このサーベルタイガーの牙は使えるからな。是非とも欲しい」
Nightが燃えている理由は副産物狙いだった。
フェルノとアキラとの間に目的の違う温度差を感じたけれど、とにかく牙を折ることは最優先となった。
「止まれ。この辺りのはずだ」
Nightが「止まれ」と指示したのはなだらかな斜面だった。
真っ白な雪が降り積もっていて、これだけで絶景だった。
「確かこの辺りに洞窟が……ここだな」
「ここだなって見つけるの速すぎない? って、ここしかないね」
あまりの速さにアキラはツッコミを入れたが、洞窟の場所はすぐにわかった。
雪山の壁面に窪みがあり、入り口の天井には氷柱が幾つもできていた。
「危ないね。この氷柱が落ちてきたらきっとただじゃすまないよ」
「だろうな。だが、これだけ硬いんだ。そう簡単に落ちてはこない」
「よっと……本当だ。折ってみたけど、結構危ないよ」
軽くジャンプしたフェルノが氷柱の一部を折ると、コンコンと指で弾いた。
甲高い音が鳴る一方で鋭く尖っている。
これからこの氷柱よりも鋭い牙を持つモンスターと戦うのかと思うと、アキラは心臓が痛くなった。貫かれないように注意しないといけないなと、自分を鼓舞して胸を叩いた。
「ぐはっ!」
「何馬鹿やっているんだ。とにかく行くぞ」
思いっきり叩いたせいで普通に痛かった。
Nightにツッコまれてしまい、何だか恥ずかしかった。
いよいよ最終日だ。
アキラたち継ぎ接ぎの絆のメンバーの一部はまだイベントを駆け上がろうとしていた。
残念ながら1位までは流石に厳しそうで、2位にはけみー&マンティが、4位には雷斬&ベルが付けている。
二組とも凄いと思ったのは一瞬で、アキラとフェルノもまだ負けてないと気合十分だった。
「よし、それじゃあ行くぞ」
「「おー!」」
Nightの掛け声で満月山の裏手から目の前の雪山を見上げた。
アキラたちは声を合わせて統一感を出すと、早速雪山に足を踏み入れた。
雪山に入ると普通に寒かった。
Nightが用意してくれたコートやマフラー、厚底のブーツを履き全身を寒さから守ってくれている。
山の天気は変わりやすいとは言うけれど、空模様はまだ青空。
今のうちに全力で目的地に辿り着かないと大変なことになる。
「それにしても寒いね」
「寒い言うな。余計寒くなる」
「だって寒いんだもん。フェルノは温かそうでいいよね」
「いいでしょー。こういう時にファイアドレイクって有りだよねー」
アキラとNightはいくら防寒着を着込んでいるとはいえ、雪山何て来たことがなく、普通に寒い思いをしていた。
これで天候が悪化したら体中の感覚が無くなって、まともに歩けなくなるだろう。
それがわかっていたので、足早になっていたが、悠々としているフェルノは全身をスキルで温めていた。
「【炎熱竜化】……こういう時は羨ましく思うな」
「いいでしょーいいでしょー」
「ねえNight。カイロとか出せないの?」
「出して如何するんだ」
「使うに決まっているでしょ? それ以外に使い道ないよ」
「馬鹿か。お前はカイロを知らなすぎる」
何故か一蹴されてしまった。
アキラは食い下がれないほど寒かったので、Nightに聞き返す。
「如何して使えないの?」
「カイロは寒すぎると発熱しないんだ。中の鉄が酸素と酸化しても熱を生み出し難い」
そう言えば前にテレビでそんなこと言っていた気がする。
Nightに言われて思い出してしまったが、これで寒すぎる現状を変えることができない。
「ううっ。寒い」
「だから寒い言うな」
「もう、暑くても寒くても人間って機嫌悪くなるよねー。えいっ!」
フェルノがアキラとNightを抱き寄せた。
手は手袋なども特に付けず、竜化している。
分厚い皮膚に覆われていて、とてつもない熱を生み出していて、触れたアキラとNightは温かいを通り越して普通に熱かった。
「フェルノありがとう」
「どういたしましてー。それよりさー、目的地って何処なのー?」
「目的地は洞窟らしい。数日前に敗北したペアが居たそうだ」
Nightは情報を集めていた。
どうやらあのサーベルタイガーに挑んだ猛者がいたらしく、呆気なくやられたらしい。
個の雪山をくまなく探して見つけた洞窟の中にひっそりと暮らしていたらしく、入るや否や圧倒的な力で叩きのめされて強モン認定されたのだ。
あくまでもネット民の意見だけど、その情報が出回るとたくさんのプレイヤーが挑み敗北したので、倒せない認定も加わっている。
「えー! そんなモンスターと戦うの!」
「当たり前だ。私たち以外で倒せるやつがいるとは思えない」
「それは凄い自信だねー。でも燃えてきた」
「ああ。このサーベルタイガーの牙は使えるからな。是非とも欲しい」
Nightが燃えている理由は副産物狙いだった。
フェルノとアキラとの間に目的の違う温度差を感じたけれど、とにかく牙を折ることは最優先となった。
「止まれ。この辺りのはずだ」
Nightが「止まれ」と指示したのはなだらかな斜面だった。
真っ白な雪が降り積もっていて、これだけで絶景だった。
「確かこの辺りに洞窟が……ここだな」
「ここだなって見つけるの速すぎない? って、ここしかないね」
あまりの速さにアキラはツッコミを入れたが、洞窟の場所はすぐにわかった。
雪山の壁面に窪みがあり、入り口の天井には氷柱が幾つもできていた。
「危ないね。この氷柱が落ちてきたらきっとただじゃすまないよ」
「だろうな。だが、これだけ硬いんだ。そう簡単に落ちてはこない」
「よっと……本当だ。折ってみたけど、結構危ないよ」
軽くジャンプしたフェルノが氷柱の一部を折ると、コンコンと指で弾いた。
甲高い音が鳴る一方で鋭く尖っている。
これからこの氷柱よりも鋭い牙を持つモンスターと戦うのかと思うと、アキラは心臓が痛くなった。貫かれないように注意しないといけないなと、自分を鼓舞して胸を叩いた。
「ぐはっ!」
「何馬鹿やっているんだ。とにかく行くぞ」
思いっきり叩いたせいで普通に痛かった。
Nightにツッコまれてしまい、何だか恥ずかしかった。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる