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◇224 VS氷牙の前の前座
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マズいことになった。ギルドホームでアキラたちは頭を抱える。
しんみりとしたダークな空気が立ち込めている中、Nightは1人呑気にコーヒーを飲もうとしている。
「お前たち、そんな顔をして如何したんだ?」
「如何したもこうしたもないよ。せっかく頑張ったのに」
珍しくアキラが落胆している。
ここまで頑張ったのにしかも大量のポイントを逃すとは思わなかった。
「いいかアキラ。私たちは継ぎ接ぎだ。個々の力の強みを全体に活かす。この力は数が増えれば増えるほどバラバラの価値観を持つものの、それだけで強みになる。落ち込む必要はない。2人は戦闘スタイルが違うからな」
「そうは言っても……雷斬&ベルペアはかなり上位に入っているよ?」
「部活があって週4でしか参加できないのにね」
フェルノが余計なことを口にする。
クマデクマを倒したフェルノからしたら爽快感とは別に合わせられなかったアキラに批難するかもしれないが、フェルノはそんなことを気にしたりしない。
むしろ真逆だった。それはいつものアキラに似ている。
「まあいいじゃんかー。気にしない気にしない。それにアレは仕方ないよ」
「でも、ごめん」
「アキラらしくないよ。それにアキラとNightのおかげで私の攻め手に繋がったんだよ? だから気にしても仕方ない。はいはい、終わり終わり」
フェルノは無理やり話を終わらせた。
空気を断ち切り、どんよりムードを払い除ける。
「そうだね。私らしくないね。切り替え切り替え」
「流石はアキラだな。すぐに切り替える」
Nightはアキラの切り替えを褒めた。
するとフェルノは空気が変わったことを完全に確認してから、バンとテーブルを叩いた。
「そんなことよりもさ、ここから逆転する方法ってないのかなー?」
「うーん。もしかして、またクマデクマを倒すとか?」
「それは無理だな。アイツはお前が倒したんだ。ポイントは空気になった」
「マジですか?」
フェルノが表情を歪めた。
けれどNightは新しいモンスターの情報を投げてくれる。
「まあ待て。明日は12月だ。時期的にも丁度いいだろう」
「「丁度いい?」」
「ああ。12月にはイベントが多いからな。運営サイドからもクリスマスイベント開催が決まっている。そこでだ。あるモンスターを倒すしか、逆転方法はない」
「つまり雪に関するモンスターってこと?」
まさかクリスマスだからって、サンタさんのトナカイを倒せとかはないと思う。
いや、そんな悍ましいことを運営さんはやって来ないよね?
アキラはちょっぴり震えながらも、テーブルに置かれた紙切れを覗いた。
「もしかして、コレを倒すの?」
「絶対強いよ。このモンスター!」
「だろうな。今回最難関のラストバトルに用意されていると私は睨んでいる」
紙切れに書いてあったのはほぼ間違いなくサーベルタイガーだった。
けれど雪豹のように色は白く、何処か青い流線が体を張っている。
解像度の高いイラストに驚きつつも、強さを遺憾なく感じていた。
「このイラストは運営がSNS上で公開した画像だ。まさかとは思っていたが、コイツを倒すしかないとはな」
「でも何処にいるかもわからないんだよ?」
「それなら問題ない。今回のイベントは範囲が決まっている。そこでだ。私はリサーチをして、範囲上で雪山らしき場所はここしかないと判断した」
マップを起動させ、地図を拡大する。
白い部分に合わせると立体的に映し出す。
「ここが雪山?」
「結構遠そうだけど、反対側から行けば余裕そうだね」
「そうだな。この辺りには前に来たことがある」
満月山の少し先にあるようで、丁度裏手側の方だった。
通常通りに進むと時間がかかりそうで、他のプレイヤーに先を越されかねない。
しかし倒すにしても情報が無さ過ぎる。
このまま無策に突っ込むのは流石に論外だった。
「というわけだ。私たちがこれからすることは決まった、イベント最終日にコイツを倒す」
「待ってよ。最終日でいいの?」
「問題ない。どうせ私たち意外に倒せるやつらもいないんだ。それまでにまずは準備をするぞ。ある程度の防寒具は私が用意してやるが、お前たちも準備しておけ」
Nightはテキパキとアキラたちに指示を出す。
けれどアキラとフェルノは如何して最終日なのか気になってしまった。
「ねえNight。如何して最終日なの?」
「そうだよ。先を越されちゃうかもよー」
「それはない。そもそもアキラ、お前は他のプレイヤーから何と呼ばれているか知っているか?」
「えっ、確か〈対プレイヤー最強〉とか〈キメラ〉とか呼ばれているんだっけ?」
アキラは気恥ずかしい二つ名を貰っていた。
けれどフェルノたちも本気になったアキラと渡り合えるとは思っていない。
戦闘スタイルが如何とかではなく、アキラの精神力が高すぎるのだ。
「それともう一つ、継ぎ接ぎの絆はアキラの活躍もあってか、名前自体はそこまでだが一つ知られていることがある。何かわかるか?」
「わかんないよ。ヒントもないのに」
「答えは至極簡単だ。強敵に打ち勝つギルドだぞ」
「「あー」」
2人も納得した。
Nightは得意になっていて、よっぽど気に入っているのだろう。
しんみりとしたダークな空気が立ち込めている中、Nightは1人呑気にコーヒーを飲もうとしている。
「お前たち、そんな顔をして如何したんだ?」
「如何したもこうしたもないよ。せっかく頑張ったのに」
珍しくアキラが落胆している。
ここまで頑張ったのにしかも大量のポイントを逃すとは思わなかった。
「いいかアキラ。私たちは継ぎ接ぎだ。個々の力の強みを全体に活かす。この力は数が増えれば増えるほどバラバラの価値観を持つものの、それだけで強みになる。落ち込む必要はない。2人は戦闘スタイルが違うからな」
「そうは言っても……雷斬&ベルペアはかなり上位に入っているよ?」
「部活があって週4でしか参加できないのにね」
フェルノが余計なことを口にする。
クマデクマを倒したフェルノからしたら爽快感とは別に合わせられなかったアキラに批難するかもしれないが、フェルノはそんなことを気にしたりしない。
むしろ真逆だった。それはいつものアキラに似ている。
「まあいいじゃんかー。気にしない気にしない。それにアレは仕方ないよ」
「でも、ごめん」
「アキラらしくないよ。それにアキラとNightのおかげで私の攻め手に繋がったんだよ? だから気にしても仕方ない。はいはい、終わり終わり」
フェルノは無理やり話を終わらせた。
空気を断ち切り、どんよりムードを払い除ける。
「そうだね。私らしくないね。切り替え切り替え」
「流石はアキラだな。すぐに切り替える」
Nightはアキラの切り替えを褒めた。
するとフェルノは空気が変わったことを完全に確認してから、バンとテーブルを叩いた。
「そんなことよりもさ、ここから逆転する方法ってないのかなー?」
「うーん。もしかして、またクマデクマを倒すとか?」
「それは無理だな。アイツはお前が倒したんだ。ポイントは空気になった」
「マジですか?」
フェルノが表情を歪めた。
けれどNightは新しいモンスターの情報を投げてくれる。
「まあ待て。明日は12月だ。時期的にも丁度いいだろう」
「「丁度いい?」」
「ああ。12月にはイベントが多いからな。運営サイドからもクリスマスイベント開催が決まっている。そこでだ。あるモンスターを倒すしか、逆転方法はない」
「つまり雪に関するモンスターってこと?」
まさかクリスマスだからって、サンタさんのトナカイを倒せとかはないと思う。
いや、そんな悍ましいことを運営さんはやって来ないよね?
アキラはちょっぴり震えながらも、テーブルに置かれた紙切れを覗いた。
「もしかして、コレを倒すの?」
「絶対強いよ。このモンスター!」
「だろうな。今回最難関のラストバトルに用意されていると私は睨んでいる」
紙切れに書いてあったのはほぼ間違いなくサーベルタイガーだった。
けれど雪豹のように色は白く、何処か青い流線が体を張っている。
解像度の高いイラストに驚きつつも、強さを遺憾なく感じていた。
「このイラストは運営がSNS上で公開した画像だ。まさかとは思っていたが、コイツを倒すしかないとはな」
「でも何処にいるかもわからないんだよ?」
「それなら問題ない。今回のイベントは範囲が決まっている。そこでだ。私はリサーチをして、範囲上で雪山らしき場所はここしかないと判断した」
マップを起動させ、地図を拡大する。
白い部分に合わせると立体的に映し出す。
「ここが雪山?」
「結構遠そうだけど、反対側から行けば余裕そうだね」
「そうだな。この辺りには前に来たことがある」
満月山の少し先にあるようで、丁度裏手側の方だった。
通常通りに進むと時間がかかりそうで、他のプレイヤーに先を越されかねない。
しかし倒すにしても情報が無さ過ぎる。
このまま無策に突っ込むのは流石に論外だった。
「というわけだ。私たちがこれからすることは決まった、イベント最終日にコイツを倒す」
「待ってよ。最終日でいいの?」
「問題ない。どうせ私たち意外に倒せるやつらもいないんだ。それまでにまずは準備をするぞ。ある程度の防寒具は私が用意してやるが、お前たちも準備しておけ」
Nightはテキパキとアキラたちに指示を出す。
けれどアキラとフェルノは如何して最終日なのか気になってしまった。
「ねえNight。如何して最終日なの?」
「そうだよ。先を越されちゃうかもよー」
「それはない。そもそもアキラ、お前は他のプレイヤーから何と呼ばれているか知っているか?」
「えっ、確か〈対プレイヤー最強〉とか〈キメラ〉とか呼ばれているんだっけ?」
アキラは気恥ずかしい二つ名を貰っていた。
けれどフェルノたちも本気になったアキラと渡り合えるとは思っていない。
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「それともう一つ、継ぎ接ぎの絆はアキラの活躍もあってか、名前自体はそこまでだが一つ知られていることがある。何かわかるか?」
「わかんないよ。ヒントもないのに」
「答えは至極簡単だ。強敵に打ち勝つギルドだぞ」
「「あー」」
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