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◇222 鬼だけど熊3
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熊の皮を被った偽物と評したのには訳がある。
そこに顕現したのは巨大な鬼だった。
しかし困惑するアキラたちにNightは叱咤する。
ギョロリとクマデクマの目が動いてからだ。
「2人ともさっさと離れろ。死にたいのか!」
その瞬間2人の脳内に危険信号が発令した。
全身の毛が逆立ち、間髪入れずに体が後ろに跳んでいた。
クマデクマの熊手のような鋭い鉤
爪の付いた攻撃が振り下ろされたのた。
「「うわぁ!」」
ギィィィィィ!
剥き出しの地面を擦らせて摩擦を利用してNightのところまで戻る。
態勢を整えると、アキラは【甲蟲】と【灰爪】で武装し、フェルノも竜化して全身を固める。
Nightも十字架状の剣を構え、最悪に備えていた。
「ねえNightさん。あの熊さん、鬼に見えるんですけど気のせいですか?」
「確かに鬼のように見えるは、アイツは間違いなく熊だぞ」
「いやいや冗談きついよ。絶対鬼だって」
「クマデオニと言う鬼型の派生モンスターもいるが、アイツは間違いない。とにかくだ。今から私たちはあの暴れ熊を何とかして倒すしかない」
既に標的にされている。
逃げ切れるはずもないので、アキラたちは抗ってみることにした。
ここで死にたくない。そう思うのは全員同じで、いつも通り派手な戦いになりそうだ。
アキラとフェルノは呼吸を整え、クマデクマが攻撃する前に飛び出した。
「燃やし尽くすよ!」
「私が援護するね。【月跳】!」
フェルノが両腕から炎を放ち、空気を震わせた。
そこに合わせてアキラは【月跳】で加速的に接近する。
どれだけ大きく手分厚い皮膚をしているとはいえ、スピードだけならアキラたちが有利だ。
「私も援護してやるか。行けっ!」
Nightも中距離から支援に徹した。
ベルトに常に収まっている投げナイフを指で挟み、ワイヤーをくくって投げつける。
硬く分厚いクマデクマにはほとんど意味がないだろうが、最大の武器が奪えればそれでいい。
「グマァ!」
クマデクマは案の定、熊手のように発達した硬い爪でNightの投げた投げナイフを振り払う。
当然Nightは読んでいたので、ワイヤーを巧みに操ると、クマデクマの鉤爪を絡め取る。
「よし、これでお前の武器を一つ封じた。後は……」
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フェルノが炎を纏った拳でクマデクマを殴りつけた。
炎がクマデクマの体毛に伝わってジワジワと炙ろうとするものの、流石にそこまで甘くはない。
クマデクマはワイヤーを振り解き、フェルノと組み手を始めた。
お互いにパワーとパワーのぶつかり合いで、一進一退の攻防となった。
「このっ、私よりもパワーが強いよー!」
「だったら私は不意打ちするよ」
アキラは【月跳】で跳躍力を上げ、直下の蹴りを繰り出した。
フェルノが組み手をしてくれているおかげでクマデクマは逃げることができず頭に直撃する。
けれどHPを三分の一削るのが精一杯で、アキラは着地と同時に背中に蹴りを放とうとした。しかし途中で断念する。
「ちょっと待ってよ。背中から針が出てきたって!」
「アキラ、背後からの攻撃はお前のスタイルと合わないぞ」
Nightが気が付いていたので、すんでのところで踏み止まったアキラに警告する。
もう少し早く言って欲しいと思ったアキラだが、そんなことよりも先にアキラは意識を切り替えた。
けれど背後からの攻撃は効かない。
繰り出せば針によって串刺しになるとわかっているからだ。
となればやることは一つだけ。アキラは奥歯を噛んでもう一度【月跳】で高く跳んだ。
二度も同じ攻撃が効くかはわからないが、試してみることにしたのだ。
Nightもアキラが愚直にも同じことをしようとしていると読んだので、少しでも注意を退くことにした。
フェルノが組み手を始めたのと同時に、ワイヤーを使って足元の自由を奪う。
「これで逃げられない。やれ、アキラ!」
「もうやってるよ。でもありがとう」
アキラはもう一度直下で蹴りを繰り出した。
しかし今度はクマデクマもただではやられない。
何をするかと思いきや、フェルノを強引に押しのけ、地面に自慢の鉤爪を突き刺した。
すると地面から硬く鋭い針が飛び出る。
「ちょっと、そんなの聞いてないよ!」
アキラは体に回転を掛けて針にぶつからないようにする。
代わりに攻撃は当たらなかったが、最小限で攻撃を噛日することに成功する。
「いたた。ちょっと待ってよ。クマデクマってそんなこともできるの?」
「いや、私の知識にもない。もしかすると、このタイミングで進化したのか?」
「「進化?」」
不穏な言葉がNightの口から飛び出す。
クマデクマはNightが投げつけたワイヤー付きのナイフを完全に理解して放り投げると、拘束を解いて自由になる。
それだけではない。背中からは針が体毛と絡まって鋭い牙を剥き出しにしていた。
「もしかして自分の能力でイライラしているのかな?」
「おそらくそうらしいな。しかも厄介なのはあの針が体外にも出せるということだ。これはかなりしんどいぞ」
Nightも苦汁を舐め、しばし考える時間を必要とした。
逃げても針で追われる。だけど攻撃しなくても、圧倒的なパワーと針で襲われる。
完全にクマデクマのペースになっていて、アキラたちは窮地に陥っていた。
まさに鬼強い相手だと、アキラの意識が呼び起こされる。
そこに顕現したのは巨大な鬼だった。
しかし困惑するアキラたちにNightは叱咤する。
ギョロリとクマデクマの目が動いてからだ。
「2人ともさっさと離れろ。死にたいのか!」
その瞬間2人の脳内に危険信号が発令した。
全身の毛が逆立ち、間髪入れずに体が後ろに跳んでいた。
クマデクマの熊手のような鋭い鉤
爪の付いた攻撃が振り下ろされたのた。
「「うわぁ!」」
ギィィィィィ!
剥き出しの地面を擦らせて摩擦を利用してNightのところまで戻る。
態勢を整えると、アキラは【甲蟲】と【灰爪】で武装し、フェルノも竜化して全身を固める。
Nightも十字架状の剣を構え、最悪に備えていた。
「ねえNightさん。あの熊さん、鬼に見えるんですけど気のせいですか?」
「確かに鬼のように見えるは、アイツは間違いなく熊だぞ」
「いやいや冗談きついよ。絶対鬼だって」
「クマデオニと言う鬼型の派生モンスターもいるが、アイツは間違いない。とにかくだ。今から私たちはあの暴れ熊を何とかして倒すしかない」
既に標的にされている。
逃げ切れるはずもないので、アキラたちは抗ってみることにした。
ここで死にたくない。そう思うのは全員同じで、いつも通り派手な戦いになりそうだ。
アキラとフェルノは呼吸を整え、クマデクマが攻撃する前に飛び出した。
「燃やし尽くすよ!」
「私が援護するね。【月跳】!」
フェルノが両腕から炎を放ち、空気を震わせた。
そこに合わせてアキラは【月跳】で加速的に接近する。
どれだけ大きく手分厚い皮膚をしているとはいえ、スピードだけならアキラたちが有利だ。
「私も援護してやるか。行けっ!」
Nightも中距離から支援に徹した。
ベルトに常に収まっている投げナイフを指で挟み、ワイヤーをくくって投げつける。
硬く分厚いクマデクマにはほとんど意味がないだろうが、最大の武器が奪えればそれでいい。
「グマァ!」
クマデクマは案の定、熊手のように発達した硬い爪でNightの投げた投げナイフを振り払う。
当然Nightは読んでいたので、ワイヤーを巧みに操ると、クマデクマの鉤爪を絡め取る。
「よし、これでお前の武器を一つ封じた。後は……」
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フェルノが炎を纏った拳でクマデクマを殴りつけた。
炎がクマデクマの体毛に伝わってジワジワと炙ろうとするものの、流石にそこまで甘くはない。
クマデクマはワイヤーを振り解き、フェルノと組み手を始めた。
お互いにパワーとパワーのぶつかり合いで、一進一退の攻防となった。
「このっ、私よりもパワーが強いよー!」
「だったら私は不意打ちするよ」
アキラは【月跳】で跳躍力を上げ、直下の蹴りを繰り出した。
フェルノが組み手をしてくれているおかげでクマデクマは逃げることができず頭に直撃する。
けれどHPを三分の一削るのが精一杯で、アキラは着地と同時に背中に蹴りを放とうとした。しかし途中で断念する。
「ちょっと待ってよ。背中から針が出てきたって!」
「アキラ、背後からの攻撃はお前のスタイルと合わないぞ」
Nightが気が付いていたので、すんでのところで踏み止まったアキラに警告する。
もう少し早く言って欲しいと思ったアキラだが、そんなことよりも先にアキラは意識を切り替えた。
けれど背後からの攻撃は効かない。
繰り出せば針によって串刺しになるとわかっているからだ。
となればやることは一つだけ。アキラは奥歯を噛んでもう一度【月跳】で高く跳んだ。
二度も同じ攻撃が効くかはわからないが、試してみることにしたのだ。
Nightもアキラが愚直にも同じことをしようとしていると読んだので、少しでも注意を退くことにした。
フェルノが組み手を始めたのと同時に、ワイヤーを使って足元の自由を奪う。
「これで逃げられない。やれ、アキラ!」
「もうやってるよ。でもありがとう」
アキラはもう一度直下で蹴りを繰り出した。
しかし今度はクマデクマもただではやられない。
何をするかと思いきや、フェルノを強引に押しのけ、地面に自慢の鉤爪を突き刺した。
すると地面から硬く鋭い針が飛び出る。
「ちょっと、そんなの聞いてないよ!」
アキラは体に回転を掛けて針にぶつからないようにする。
代わりに攻撃は当たらなかったが、最小限で攻撃を噛日することに成功する。
「いたた。ちょっと待ってよ。クマデクマってそんなこともできるの?」
「いや、私の知識にもない。もしかすると、このタイミングで進化したのか?」
「「進化?」」
不穏な言葉がNightの口から飛び出す。
クマデクマはNightが投げつけたワイヤー付きのナイフを完全に理解して放り投げると、拘束を解いて自由になる。
それだけではない。背中からは針が体毛と絡まって鋭い牙を剥き出しにしていた。
「もしかして自分の能力でイライラしているのかな?」
「おそらくそうらしいな。しかも厄介なのはあの針が体外にも出せるということだ。これはかなりしんどいぞ」
Nightも苦汁を舐め、しばし考える時間を必要とした。
逃げても針で追われる。だけど攻撃しなくても、圧倒的なパワーと針で襲われる。
完全にクマデクマのペースになっていて、アキラたちは窮地に陥っていた。
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