220 / 599
◇220 鬼だけど熊1
しおりを挟む
ギルドホームではいつもの3人が集まっていた。
今日は紅茶をストレートで嗜むNightとココアを飲んでいるアキラとフェルノが早めに付けた暖房器具に当たっていた。
「この島って不思議だよね。南の島なのに、中央の火山の方って雪が降るんだって」
「そんなの良く知ってたね」
「この島を手に入れた時の報酬に書いてあったよ? 南の島だから、夏しかないと思ってたけどね」
アキラはココアを一口飲んだ。
美味しいとほっこりした表情になると、マグカップを握ってジッと固まる。
「まあ、南だろうが雪が降ることはある。それに南と言う字だけに囚われるなら、南極大陸は如何して氷の大地なんだ?」
「それはちょっと違うよね?」
「そうだよ。南の島だから面白いんだよ」
「ハワイだって雪は降る。それと同じだ」
Nightは特に興味もないので適当に話を流した。
それから話の種をNightが落とし、広げることになった。
「それはそうだが、お前たちのポイントはいくつだ?」
「えっとね、120ポイントだよ」
「120? かなり集めたな。……おっ!」
Nightはランキングを表示させた。
運営側が定期的に更新しているイベントのポイントの総数だった。
それによると、120ポイントはかなり上位で、それだけ子にベントに苦戦しているプレイヤーが多かったり参加人数が少なかったりする。
Nightはスクロールすると、115ポイント獲得している雷斬&ベルペアもかなり好調で、けみー&マンティペアはその中でも抜きんでていた。
「けみーたちは170ポイントか。明日で12月だが、これは強敵だな」
「嘘っ! そんなに稼いでいるんだ、けみーさんたち」
アキラとフェルノはランキングなんて一切見ていない。
そのせいで、けみーたちの順位が何と全体3位なことを今初めて知った。
「ここから優勝は厳しいかな?」
「そうだな。1位はギルドの人間らしいな。聖火の杯はこのGAMEでもトッププレイヤー集団だ」
全然知らない。
そもそも1位を目指してはいるけれど、他のギルドと張り合っている気はない。
完全に仲間内だけの関係で、イベントも楽しんでいた。
「とは言え、1位は225ポイント。優勝はできるな」
「「ここからできるの!」」
確かにコツコツやればできるかもしれないけど、流石に難しい。
アキラとフェルノは互いにお手上げだった。
「2人は気が付かないのか? ポイントの差はせいぜい100ポイントだ」
「その100ポイントが大変なんだよ! だってどれだけやっても、一回で得られるポイントは……」
「そこが肝だ。この1位のトッププレイヤーたちは決してバグを利用したり非道なことをしているわけではない。そんなことをすれば運営側やプレイヤー間で噂になっているはずだ。とは言えそうなっていないのは……」
「真っ当な手段で戦っている?」
Nightはコクリと首を縦に振った。
でも如何やって? まさか非人道的なことをバレないように?
「如何やっているかは知らないが、とにかく勝つための手段がある。そもそもこれは私の推測だが大きく分けで二つだ。一つは良い狩場を知っている。もしくは後半ポイントブーストだ」
「「ポイントブースト?」」
何だかそれっぽいワードが飛び出た。
アキラとフェルノは首を捻ったが食いつくと、Nightはインベントリから1枚の紙切れを取り出す。
テーブルにポイっと放り投げると、巨大な熊の絵が描いてあった。
まさか今からこれと戦うの? といつものパターンをアキラは読み切る。
如何やらそうらしく、Nightの目が据わっていた。
「この熊の名前はクマデクマ。時間帯によってモンスターから得られるポイントが増量している。今の時間帯はコイツだが……厄介なのは、いつものパターンだ」
「ってことは、やっぱりそういう展開だよね?」
「当たり前だ。それに私たちのギルドは何故かは知らないが強敵相手にやたら戦って勝ちを捥ぎ取る変な最強ギルドとして有名になっているんだぞ」
「うーん、喜びきれないね」
アキラは表情を歪めて、唇を曲げた。
するとフェルノは笑い出し、いつもの感じで話を流す。
「それで如何する? コイツを倒せば一気に逆転だ。多分な」
「「多分なの!?」」
ここまで難しい話をしていたのに、急にいつものテンションに戻って怖かった。
とは言えアキラとフェルノはもう決めている。
このモンスターを倒した方が面白そうだからだ。
「それに報酬がいいね」
「うん。高級ジビエ肉だって」
結局ご飯に釣られてしまう。
幸いギルドホームには投げが置いてある上に、リアルの満腹感は得られないけれど、こっちで美味しいものを食べたら幸福感がある。早速ご飯にありつくために、アキラたちは向かった。
「まあ、実際に腹が膨れるわけではないんだけどな」
これがコールドスリープではないのならとNightは考えてしまった。
だけど今の技術ならできそうだともちょっぴり思ってしまう。
今日は紅茶をストレートで嗜むNightとココアを飲んでいるアキラとフェルノが早めに付けた暖房器具に当たっていた。
「この島って不思議だよね。南の島なのに、中央の火山の方って雪が降るんだって」
「そんなの良く知ってたね」
「この島を手に入れた時の報酬に書いてあったよ? 南の島だから、夏しかないと思ってたけどね」
アキラはココアを一口飲んだ。
美味しいとほっこりした表情になると、マグカップを握ってジッと固まる。
「まあ、南だろうが雪が降ることはある。それに南と言う字だけに囚われるなら、南極大陸は如何して氷の大地なんだ?」
「それはちょっと違うよね?」
「そうだよ。南の島だから面白いんだよ」
「ハワイだって雪は降る。それと同じだ」
Nightは特に興味もないので適当に話を流した。
それから話の種をNightが落とし、広げることになった。
「それはそうだが、お前たちのポイントはいくつだ?」
「えっとね、120ポイントだよ」
「120? かなり集めたな。……おっ!」
Nightはランキングを表示させた。
運営側が定期的に更新しているイベントのポイントの総数だった。
それによると、120ポイントはかなり上位で、それだけ子にベントに苦戦しているプレイヤーが多かったり参加人数が少なかったりする。
Nightはスクロールすると、115ポイント獲得している雷斬&ベルペアもかなり好調で、けみー&マンティペアはその中でも抜きんでていた。
「けみーたちは170ポイントか。明日で12月だが、これは強敵だな」
「嘘っ! そんなに稼いでいるんだ、けみーさんたち」
アキラとフェルノはランキングなんて一切見ていない。
そのせいで、けみーたちの順位が何と全体3位なことを今初めて知った。
「ここから優勝は厳しいかな?」
「そうだな。1位はギルドの人間らしいな。聖火の杯はこのGAMEでもトッププレイヤー集団だ」
全然知らない。
そもそも1位を目指してはいるけれど、他のギルドと張り合っている気はない。
完全に仲間内だけの関係で、イベントも楽しんでいた。
「とは言え、1位は225ポイント。優勝はできるな」
「「ここからできるの!」」
確かにコツコツやればできるかもしれないけど、流石に難しい。
アキラとフェルノは互いにお手上げだった。
「2人は気が付かないのか? ポイントの差はせいぜい100ポイントだ」
「その100ポイントが大変なんだよ! だってどれだけやっても、一回で得られるポイントは……」
「そこが肝だ。この1位のトッププレイヤーたちは決してバグを利用したり非道なことをしているわけではない。そんなことをすれば運営側やプレイヤー間で噂になっているはずだ。とは言えそうなっていないのは……」
「真っ当な手段で戦っている?」
Nightはコクリと首を縦に振った。
でも如何やって? まさか非人道的なことをバレないように?
「如何やっているかは知らないが、とにかく勝つための手段がある。そもそもこれは私の推測だが大きく分けで二つだ。一つは良い狩場を知っている。もしくは後半ポイントブーストだ」
「「ポイントブースト?」」
何だかそれっぽいワードが飛び出た。
アキラとフェルノは首を捻ったが食いつくと、Nightはインベントリから1枚の紙切れを取り出す。
テーブルにポイっと放り投げると、巨大な熊の絵が描いてあった。
まさか今からこれと戦うの? といつものパターンをアキラは読み切る。
如何やらそうらしく、Nightの目が据わっていた。
「この熊の名前はクマデクマ。時間帯によってモンスターから得られるポイントが増量している。今の時間帯はコイツだが……厄介なのは、いつものパターンだ」
「ってことは、やっぱりそういう展開だよね?」
「当たり前だ。それに私たちのギルドは何故かは知らないが強敵相手にやたら戦って勝ちを捥ぎ取る変な最強ギルドとして有名になっているんだぞ」
「うーん、喜びきれないね」
アキラは表情を歪めて、唇を曲げた。
するとフェルノは笑い出し、いつもの感じで話を流す。
「それで如何する? コイツを倒せば一気に逆転だ。多分な」
「「多分なの!?」」
ここまで難しい話をしていたのに、急にいつものテンションに戻って怖かった。
とは言えアキラとフェルノはもう決めている。
このモンスターを倒した方が面白そうだからだ。
「それに報酬がいいね」
「うん。高級ジビエ肉だって」
結局ご飯に釣られてしまう。
幸いギルドホームには投げが置いてある上に、リアルの満腹感は得られないけれど、こっちで美味しいものを食べたら幸福感がある。早速ご飯にありつくために、アキラたちは向かった。
「まあ、実際に腹が膨れるわけではないんだけどな」
これがコールドスリープではないのならとNightは考えてしまった。
だけど今の技術ならできそうだともちょっぴり思ってしまう。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる