VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇220 鬼だけど熊1

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 ギルドホームではいつもの3人が集まっていた。
 今日は紅茶をストレートで嗜むNightとココアを飲んでいるアキラとフェルノが早めに付けた暖房器具に当たっていた。

「この島って不思議だよね。南の島なのに、中央の火山の方って雪が降るんだって」
「そんなの良く知ってたね」
「この島を手に入れた時の報酬に書いてあったよ? 南の島だから、夏しかないと思ってたけどね」

 アキラはココアを一口飲んだ。
 美味しいとほっこりした表情になると、マグカップを握ってジッと固まる。

「まあ、南だろうが雪が降ることはある。それに南と言う字だけに囚われるなら、南極大陸は如何して氷の大地なんだ?」
「それはちょっと違うよね?」
「そうだよ。南の島だから面白いんだよ」
「ハワイだって雪は降る。それと同じだ」

 Nightは特に興味もないので適当に話を流した。
 それから話の種をNightが落とし、広げることになった。

「それはそうだが、お前たちのポイントはいくつだ?」
「えっとね、120ポイントだよ」
「120? かなり集めたな。……おっ!」

 Nightはランキングを表示させた。
 運営側が定期的に更新しているイベントのポイントの総数だった。
 それによると、120ポイントはかなり上位で、それだけ子にベントに苦戦しているプレイヤーが多かったり参加人数が少なかったりする。

 Nightはスクロールすると、115ポイント獲得している雷斬&ベルペアもかなり好調で、けみー&マンティペアはその中でも抜きんでていた。

「けみーたちは170ポイントか。明日で12月だが、これは強敵だな」
「嘘っ! そんなに稼いでいるんだ、けみーさんたち」

 アキラとフェルノはランキングなんて一切見ていない。
 そのせいで、けみーたちの順位が何と全体3位なことを今初めて知った。

「ここから優勝は厳しいかな?」
「そうだな。1位はギルドの人間らしいな。聖火の杯はこのGAMEでもトッププレイヤー集団だ」

 全然知らない。
 そもそも1位を目指してはいるけれど、他のギルドと張り合っている気はない。
 完全に仲間内だけの関係で、イベントも楽しんでいた。

「とは言え、1位は225ポイント。優勝はできるな」
「「ここからできるの!」」

 確かにコツコツやればできるかもしれないけど、流石に難しい。
 アキラとフェルノは互いにお手上げだった。

「2人は気が付かないのか? ポイントの差はせいぜい100ポイントだ」
「その100ポイントが大変なんだよ! だってどれだけやっても、一回で得られるポイントは……」
「そこが肝だ。この1位のトッププレイヤーたちは決してバグを利用したり非道なことをしているわけではない。そんなことをすれば運営側やプレイヤー間で噂になっているはずだ。とは言えそうなっていないのは……」
「真っ当な手段で戦っている?」

 Nightはコクリと首を縦に振った。
 でも如何やって? まさか非人道的なことをバレないように?

「如何やっているかは知らないが、とにかく勝つための手段がある。そもそもこれは私の推測だが大きく分けで二つだ。一つは良い狩場を知っている。もしくは後半ポイントブーストだ」
「「ポイントブースト?」」

 何だかそれっぽいワードが飛び出た。
 アキラとフェルノは首を捻ったが食いつくと、Nightはインベントリから1枚の紙切れを取り出す。

 テーブルにポイっと放り投げると、巨大な熊の絵が描いてあった。
 まさか今からこれと戦うの? といつものパターンをアキラは読み切る。
 如何やらそうらしく、Nightの目が据わっていた。

「この熊の名前はクマデクマ。時間帯によってモンスターから得られるポイントが増量している。今の時間帯はコイツだが……厄介なのは、いつものパターンだ」
「ってことは、やっぱりそういう展開だよね?」
「当たり前だ。それに私たちのギルドは何故かは知らないが強敵相手にやたら戦って勝ちを捥ぎ取る変な最強ギルドとして有名になっているんだぞ」
「うーん、喜びきれないね」

 アキラは表情を歪めて、唇を曲げた。
 するとフェルノは笑い出し、いつもの感じで話を流す。

「それで如何する? コイツを倒せば一気に逆転だ。多分な」
「「多分なの!?」」

 ここまで難しい話をしていたのに、急にいつものテンションに戻って怖かった。
 とは言えアキラとフェルノはもう決めている。
 このモンスターを倒した方が面白そうだからだ。

「それに報酬がいいね」
「うん。高級ジビエ肉だって」

 結局ご飯に釣られてしまう。
 幸いギルドホームには投げが置いてある上に、リアルの満腹感は得られないけれど、こっちで美味しいものを食べたら幸福感がある。早速ご飯にありつくために、アキラたちは向かった。

「まあ、実際に腹が膨れるわけではないんだけどな」

 これがコールドスリープではないのならとNightは考えてしまった。
 だけど今の技術ならできそうだともちょっぴり思ってしまう。
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