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◇215 黒猫のけみー
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いよいよイベント開始日。
果たしてどれだけのプレイヤーが参加しているのか。
アキラはライバルがどのくらいいるか気になったものの、やることはいつもと変わらない。
「それじゃあみんな、今日もいつ通りに。それで、こなせそうだったらイベントノルマをクリアしていこう。ってことで、頑張ろう!」
「「「おー!」」」
「これは何だ?」
Nightは首を捻った。
何故か円陣を組んでいて、参加していないはずのNightまで巻き込まれたんだ。
円陣を組もうと言い出したのはフェルノで、人前で恥ずかしいとNightは思う。
同じことを思っているのはアキラとベルの2人だけで、フェルノと雷斬はいつも通り乗り気だった。
「ちょっと恥ずかしいね」
「そうね。流石に人前はちょっと……」
アキラたちが今いる森には他にもプレイヤーがいる。
これが全員イベント参加者かどうかはわからないけれど、いつにも増して目立っている。
何故なら、この間のアキラの1対3が効いているらしく、眼差しがきつい。
「め、目立っているね」
「当然だ。何せこっちには退陣最強の称号を欲しいままにするお前がいるんだぞ」
あれ以来、継ぎ接ぎのアキラには挑んではいけないと定説ができていた。
如何してかは本人だけがわかっていない模様で、フェルノや雷斬ぐらいしかスパーキングに付き合ってくれない。
「それはいいんだけど、ソウラさん達は何処に……」
「ここに来れば会えるんだよね? 戦ってみたいなー。何つって」
フェルノが頭の上で腕を組み笑っていた。
如何してこんな人の多い森にやって来たかはソウラにけみーとマンティがいると聞いていたからだ。
どのみちアキラしか会ったことがないので、まずはマンティを捜す。
「うーん、マンティさんは……あっ、マンティさん!」
アキラは目を凝らすと一際小さい少女を見つけた。
その姿はマンティだ。
声をかけられたマンティもアキラの姿を見て気が付き、走って近寄る。
笑みを浮かべていてフェルノのような負けん気が伝わってくる。
「おはようアキラ。今日は早いね」
「マンティさんも早いですね。えっと、紹介します。私のギルメンです」
アキラは早速仲間たちを紹介した。
軽い自己紹介を交わすとマンティもニヤニヤしながら自己紹介を開始する。
「どうもー、私はマンティ。一応年齢的にはみんなの先輩だから、マンティさんだとかマンティ先輩とか呼んでくれてもいいからね」
「そうか。ならマンティ」
「おっ、君が噂のNightだね。聞いてた通り直球だ!」
マンティは何故か嬉しそうだった。
小柄で華奢な地形からは想像もできない力強さを感じる。
「そんな話はどうでもいい。お前たちのギルマスは何処にいる」
「ギルマス? あぁ、けみーね。それが捜しているんだけど見つからないんだよね」
キョロキョロと辺りを見回すマンティ。
如何やら合流できていないようで、マンティがこの調子だと会えるような気がしない。
「ちなみに何の種族ですか?」
「けみーはね。黒い猫だよ。ケットシーって言ってた」
「ケットシーか。それだけならヒントにならない。せめてもう少し」
「後は黒髪で、目つきが悪くて、筋肉質で、真っ黒な服と黒い長靴を履いていて……」
いやいや情報が急に溢れ返って来た。
Nightはメモも取らずに頭の中でまとめると、「よしわかった」と口のする。
アキラたちはまるでわかっていないけど、捜せばきっと見つかると思った。
「えーっと、ん?」
「如何したのアキラ? って、アレがそうだよね?」
辺りを見回すと、今の特徴にズバリ当てはまる人がいた。
黒髪に鋭い目つき、黒いコートを着ている黒い長靴のようなブーツの人。
男なのか女なのかわからないけれど、多分あの人だ。
「ちょっと聞いて来るね」
「おいお前ら何処に行くんだ」
アキラとフェルノは走り出した。
「あの、もしかしてけみーさんですか?」
アキラは早速尋ねた。
黒い髪の人はアキラたちをチラッと見ると、端的に賛成した。
「そうだけど。僕に何か用?」
「私たち、ソウラさんからけみーさんの噂を聞いていたんです。だからどんな人なのかなって」
「ソウラから? ……あっ! ってことは、君たちが継ぎ接ぎの人たちだね」
「「はい!」」
けみーはソウラからある程度のことを聞いていたのですんなり呑み込めた。
それから軽い自己紹介を混ぜる。
「それじゃあ自己紹介をしておこうか。僕はけみー。Deep Skyのギルドマスターで、種族はケットシー。今後とも仲良くしていこうよ」
「私はアキラです。こっちはフェルノ。ソウラさんにはまあ色々と……」
「大変だよねー」
アキラとフェルノはソウラの話題になると目を逸らした。
その姿を見たけミーは納得したのか、頭を下げる。
「すまない。でも悪気があるわけじゃないんだ。本当は僕がもっと頻繁にログインしていれば」
「謝らないでください。私たちも楽しんでいましたから」
「そう言ってくれると嬉しいよ。今後とも手を貸してくれたら僕からしてもありがたいな」
「まあ、そうですね」
何故かはっきりとは答えられなかった。
けれどそれで満足したのかけみーは笑みを浮かべる。
するとその様子を見ていたマンティたちが近づいてきた。
「あっ、けみーだ。おーい!」
「ん? 捜してたよマンティ」
「それはこっちの台詞だよ。でも見つかってよかった」
2人は合流を果たせたらしい。
けみーとマンティはアキラたちに向き直ると、急に宣言した。
「僕は久々のログインだけど、負けないよ」
「やっぱりやるからには勝たないとね!」
宣戦布告をされてしまった。
アキラたちもここが負けじと応戦する。
「私たちもやるからには頑張りよ」
「そうね。やるからには勝ちたいのね」
「そうこなくっちゃねー」
最初と目的が少しずれていた。
けれどNightには二組の会話があまり入ってこなかった。
だって参加しないのだから。
果たしてどれだけのプレイヤーが参加しているのか。
アキラはライバルがどのくらいいるか気になったものの、やることはいつもと変わらない。
「それじゃあみんな、今日もいつ通りに。それで、こなせそうだったらイベントノルマをクリアしていこう。ってことで、頑張ろう!」
「「「おー!」」」
「これは何だ?」
Nightは首を捻った。
何故か円陣を組んでいて、参加していないはずのNightまで巻き込まれたんだ。
円陣を組もうと言い出したのはフェルノで、人前で恥ずかしいとNightは思う。
同じことを思っているのはアキラとベルの2人だけで、フェルノと雷斬はいつも通り乗り気だった。
「ちょっと恥ずかしいね」
「そうね。流石に人前はちょっと……」
アキラたちが今いる森には他にもプレイヤーがいる。
これが全員イベント参加者かどうかはわからないけれど、いつにも増して目立っている。
何故なら、この間のアキラの1対3が効いているらしく、眼差しがきつい。
「め、目立っているね」
「当然だ。何せこっちには退陣最強の称号を欲しいままにするお前がいるんだぞ」
あれ以来、継ぎ接ぎのアキラには挑んではいけないと定説ができていた。
如何してかは本人だけがわかっていない模様で、フェルノや雷斬ぐらいしかスパーキングに付き合ってくれない。
「それはいいんだけど、ソウラさん達は何処に……」
「ここに来れば会えるんだよね? 戦ってみたいなー。何つって」
フェルノが頭の上で腕を組み笑っていた。
如何してこんな人の多い森にやって来たかはソウラにけみーとマンティがいると聞いていたからだ。
どのみちアキラしか会ったことがないので、まずはマンティを捜す。
「うーん、マンティさんは……あっ、マンティさん!」
アキラは目を凝らすと一際小さい少女を見つけた。
その姿はマンティだ。
声をかけられたマンティもアキラの姿を見て気が付き、走って近寄る。
笑みを浮かべていてフェルノのような負けん気が伝わってくる。
「おはようアキラ。今日は早いね」
「マンティさんも早いですね。えっと、紹介します。私のギルメンです」
アキラは早速仲間たちを紹介した。
軽い自己紹介を交わすとマンティもニヤニヤしながら自己紹介を開始する。
「どうもー、私はマンティ。一応年齢的にはみんなの先輩だから、マンティさんだとかマンティ先輩とか呼んでくれてもいいからね」
「そうか。ならマンティ」
「おっ、君が噂のNightだね。聞いてた通り直球だ!」
マンティは何故か嬉しそうだった。
小柄で華奢な地形からは想像もできない力強さを感じる。
「そんな話はどうでもいい。お前たちのギルマスは何処にいる」
「ギルマス? あぁ、けみーね。それが捜しているんだけど見つからないんだよね」
キョロキョロと辺りを見回すマンティ。
如何やら合流できていないようで、マンティがこの調子だと会えるような気がしない。
「ちなみに何の種族ですか?」
「けみーはね。黒い猫だよ。ケットシーって言ってた」
「ケットシーか。それだけならヒントにならない。せめてもう少し」
「後は黒髪で、目つきが悪くて、筋肉質で、真っ黒な服と黒い長靴を履いていて……」
いやいや情報が急に溢れ返って来た。
Nightはメモも取らずに頭の中でまとめると、「よしわかった」と口のする。
アキラたちはまるでわかっていないけど、捜せばきっと見つかると思った。
「えーっと、ん?」
「如何したのアキラ? って、アレがそうだよね?」
辺りを見回すと、今の特徴にズバリ当てはまる人がいた。
黒髪に鋭い目つき、黒いコートを着ている黒い長靴のようなブーツの人。
男なのか女なのかわからないけれど、多分あの人だ。
「ちょっと聞いて来るね」
「おいお前ら何処に行くんだ」
アキラとフェルノは走り出した。
「あの、もしかしてけみーさんですか?」
アキラは早速尋ねた。
黒い髪の人はアキラたちをチラッと見ると、端的に賛成した。
「そうだけど。僕に何か用?」
「私たち、ソウラさんからけみーさんの噂を聞いていたんです。だからどんな人なのかなって」
「ソウラから? ……あっ! ってことは、君たちが継ぎ接ぎの人たちだね」
「「はい!」」
けみーはソウラからある程度のことを聞いていたのですんなり呑み込めた。
それから軽い自己紹介を混ぜる。
「それじゃあ自己紹介をしておこうか。僕はけみー。Deep Skyのギルドマスターで、種族はケットシー。今後とも仲良くしていこうよ」
「私はアキラです。こっちはフェルノ。ソウラさんにはまあ色々と……」
「大変だよねー」
アキラとフェルノはソウラの話題になると目を逸らした。
その姿を見たけミーは納得したのか、頭を下げる。
「すまない。でも悪気があるわけじゃないんだ。本当は僕がもっと頻繁にログインしていれば」
「謝らないでください。私たちも楽しんでいましたから」
「そう言ってくれると嬉しいよ。今後とも手を貸してくれたら僕からしてもありがたいな」
「まあ、そうですね」
何故かはっきりとは答えられなかった。
けれどそれで満足したのかけみーは笑みを浮かべる。
するとその様子を見ていたマンティたちが近づいてきた。
「あっ、けみーだ。おーい!」
「ん? 捜してたよマンティ」
「それはこっちの台詞だよ。でも見つかってよかった」
2人は合流を果たせたらしい。
けみーとマンティはアキラたちに向き直ると、急に宣言した。
「僕は久々のログインだけど、負けないよ」
「やっぱりやるからには勝たないとね!」
宣戦布告をされてしまった。
アキラたちもここが負けじと応戦する。
「私たちもやるからには頑張りよ」
「そうね。やるからには勝ちたいのね」
「そうこなくっちゃねー」
最初と目的が少しずれていた。
けれどNightには二組の会話があまり入ってこなかった。
だって参加しないのだから。
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