214 / 559
◇214 ソウラの仲間たち
しおりを挟む
「って、ことがあったんです」
アキラはカウンター越しにソウラと話し込んでいた。
グラスを磨きながら、アキラの話を聞くソウラも笑みを浮かべる。
「そんなことがあったのね。それにしても、考えたこともなかったな」
「そうですよね。やっぱり考えすぎですよね」
アキラは同意を求める。
Nightは色々と細かく考えすぎている。
GAMEは楽しく遊ぶもので、余計なことに神経を使っちゃダメだ。
「でも面白いと思うけどね。私は」
「そうですか? 少し神経質になり過ぎている気がして……」
「そんな神経質すぎるくらい慎重なのも悪いことじゃないでしょ?」
「Nightの持ち味ですもんね。でも、そんな変なことはあるんでしょうか?」
アキラはふと尋ねてみる。
しかしソウラにはわかるはずもなく、「さあ?」と首を捻る。
「でも新イベントね。私やピーコは参加しないけど、マンティは参加するみたいね」
「そうなんですか!? それは負けられませんね」
Deep Skyの人たちがイベントに参加するなんて、初めて聞いた。
だけどソウラとピーコが参加しないのなら、だれがマンティとペアを組むのか、アキラは非常に気になった。
そこで何の気なしに尋ねると、ソウラはグラスを拭く手を早め笑みを浮かべる。
「ふふっ。そうね」
「あのソウラさん。なんで笑っているんですか? ちょっと怖いです」
アキラは正直に答えた。
機嫌を悪くするでもなく、むしろ聞いてくれるのを待っていたようで、まんまと話の罠に捕らえられてしまったらしい。
「ついにあの子が参加するのよ。今までまともに参加で来てなかったのに」
「えっと、そう言えば前にもう1人いるって言ってましたよね?」
ふと初めてぐらいの時にこの店に来て聞かされた。
確かにDeep Skyにはもう1人メンバーがいる。
もちろん名前しか聞いたことはない人で、どんな人で性別も見た目もわからない。
「確かけみーさんでしたっけ?」
「そうよけみー。よく覚えていたわね、アキラ」
「ま、まあ名前だけですから、何となくレベルですけど……顔近い」
ソウラの顔がぐっと近づいていた。
アキラは顔を背けて距離を取ると、若干わからない興奮を抱いたソウラが楽しそうに話し出す。
「けみーはね、ずっと大学で作品作りをしていたのよ」
「作品ですか? もしかしてピーコさんと同じ……」
「ううん。けみーの得意分野がプログラミングなの。ほとんど独学でGAMEを作っていたからね。夜はバーでバイトもしてたみたいだから、やっとあの子の軽快な戦闘が見られると思うと楽しみなのよね」
どうして楽しみなのかは正直蚊帳の外で、アキラはky日を捻り頭にはてなを浮かべるだけだった。
けれどここまでソウラが興奮しているということは、何でもできるオールラウンダーだと推測した。
これは強力なライバルの登場だ。
「けみーさん。どんな人かはわかりませんけど、早く会ってみたいです」
「うーん。それじゃあ初日に会えると思うわ」
「えっ、初日に会えるんですか?」
「うん。今回は初日からギアを上げていくみたい。鈍ってた体を叩き起こすそうよ」
その発想が出て来るのは男だけだ。
アキラは話の口ぶりから察し、もしかしたらとソウラの顔を覗き込む。
頬は別に赤くない。
楽しみにしているとは言っても、カップルのような初々しさもない。
会わない時間が2人を強くするみたいな展開もなさそうだった。
「あの、ケミーさんって男の人……」
アキラが気になっていたので聞いてみようとした。
その瞬間、余計なことを聞かせないようにお店の扉が開いた。
ベルがカランコロンと鳴り、アキラの視線が移動する。
「やっほー、ソウラ。今日もいるーって、アキラ!」
「こんにちは、マンティさん」
そこにいたのはマンティだった。
子供のようにはしゃいで登場したマンティに目を奪われてしまう。
「やっほー、アキラ。元気してた?」
「はい、元気でしたよ。そう言えばマンティさん。今度のイベントに参加するって本当ですか?」
「モチのロンだよ。私も暴れまくりたいんだよねー」
1人でシャドーボクシングを始めた。
小さい体からは想像もできない体力が潜んでいて、アキラは手強そうだと思う。
「それじゃあペアの相手って……」
「そうそう、けみーだよ。アキラは会ったことある?」
「無いです。どんな人か、今から楽しみなんです」
これは相棒からどんな人か直接聞けそうなので、参考にしようと思った。
しかしマンティの説明はあまりにざっくりとしていてよくわからない。
「それじゃあ楽しみにしててよ。けみーって、凄い動けるんだよ」
「やっぱり動ける人なんだ」
「うん。ソウラも知っているよね?」
「もちろんよ。けみーの運動神経を舐めてたら痛い目を見るわ。これは忠告ね、アキラ」
「は、はい?」
何故か忠告されてしまった。
その瞬間、頭の中ではイメージが決まる。
筋肉質の凄い男の人。
何となくそんな気がして、全身が震えた。これが鳥肌なのかと、今から楽しみに思うよう、意識を切り替えるアキラだった。
アキラはカウンター越しにソウラと話し込んでいた。
グラスを磨きながら、アキラの話を聞くソウラも笑みを浮かべる。
「そんなことがあったのね。それにしても、考えたこともなかったな」
「そうですよね。やっぱり考えすぎですよね」
アキラは同意を求める。
Nightは色々と細かく考えすぎている。
GAMEは楽しく遊ぶもので、余計なことに神経を使っちゃダメだ。
「でも面白いと思うけどね。私は」
「そうですか? 少し神経質になり過ぎている気がして……」
「そんな神経質すぎるくらい慎重なのも悪いことじゃないでしょ?」
「Nightの持ち味ですもんね。でも、そんな変なことはあるんでしょうか?」
アキラはふと尋ねてみる。
しかしソウラにはわかるはずもなく、「さあ?」と首を捻る。
「でも新イベントね。私やピーコは参加しないけど、マンティは参加するみたいね」
「そうなんですか!? それは負けられませんね」
Deep Skyの人たちがイベントに参加するなんて、初めて聞いた。
だけどソウラとピーコが参加しないのなら、だれがマンティとペアを組むのか、アキラは非常に気になった。
そこで何の気なしに尋ねると、ソウラはグラスを拭く手を早め笑みを浮かべる。
「ふふっ。そうね」
「あのソウラさん。なんで笑っているんですか? ちょっと怖いです」
アキラは正直に答えた。
機嫌を悪くするでもなく、むしろ聞いてくれるのを待っていたようで、まんまと話の罠に捕らえられてしまったらしい。
「ついにあの子が参加するのよ。今までまともに参加で来てなかったのに」
「えっと、そう言えば前にもう1人いるって言ってましたよね?」
ふと初めてぐらいの時にこの店に来て聞かされた。
確かにDeep Skyにはもう1人メンバーがいる。
もちろん名前しか聞いたことはない人で、どんな人で性別も見た目もわからない。
「確かけみーさんでしたっけ?」
「そうよけみー。よく覚えていたわね、アキラ」
「ま、まあ名前だけですから、何となくレベルですけど……顔近い」
ソウラの顔がぐっと近づいていた。
アキラは顔を背けて距離を取ると、若干わからない興奮を抱いたソウラが楽しそうに話し出す。
「けみーはね、ずっと大学で作品作りをしていたのよ」
「作品ですか? もしかしてピーコさんと同じ……」
「ううん。けみーの得意分野がプログラミングなの。ほとんど独学でGAMEを作っていたからね。夜はバーでバイトもしてたみたいだから、やっとあの子の軽快な戦闘が見られると思うと楽しみなのよね」
どうして楽しみなのかは正直蚊帳の外で、アキラはky日を捻り頭にはてなを浮かべるだけだった。
けれどここまでソウラが興奮しているということは、何でもできるオールラウンダーだと推測した。
これは強力なライバルの登場だ。
「けみーさん。どんな人かはわかりませんけど、早く会ってみたいです」
「うーん。それじゃあ初日に会えると思うわ」
「えっ、初日に会えるんですか?」
「うん。今回は初日からギアを上げていくみたい。鈍ってた体を叩き起こすそうよ」
その発想が出て来るのは男だけだ。
アキラは話の口ぶりから察し、もしかしたらとソウラの顔を覗き込む。
頬は別に赤くない。
楽しみにしているとは言っても、カップルのような初々しさもない。
会わない時間が2人を強くするみたいな展開もなさそうだった。
「あの、ケミーさんって男の人……」
アキラが気になっていたので聞いてみようとした。
その瞬間、余計なことを聞かせないようにお店の扉が開いた。
ベルがカランコロンと鳴り、アキラの視線が移動する。
「やっほー、ソウラ。今日もいるーって、アキラ!」
「こんにちは、マンティさん」
そこにいたのはマンティだった。
子供のようにはしゃいで登場したマンティに目を奪われてしまう。
「やっほー、アキラ。元気してた?」
「はい、元気でしたよ。そう言えばマンティさん。今度のイベントに参加するって本当ですか?」
「モチのロンだよ。私も暴れまくりたいんだよねー」
1人でシャドーボクシングを始めた。
小さい体からは想像もできない体力が潜んでいて、アキラは手強そうだと思う。
「それじゃあペアの相手って……」
「そうそう、けみーだよ。アキラは会ったことある?」
「無いです。どんな人か、今から楽しみなんです」
これは相棒からどんな人か直接聞けそうなので、参考にしようと思った。
しかしマンティの説明はあまりにざっくりとしていてよくわからない。
「それじゃあ楽しみにしててよ。けみーって、凄い動けるんだよ」
「やっぱり動ける人なんだ」
「うん。ソウラも知っているよね?」
「もちろんよ。けみーの運動神経を舐めてたら痛い目を見るわ。これは忠告ね、アキラ」
「は、はい?」
何故か忠告されてしまった。
その瞬間、頭の中ではイメージが決まる。
筋肉質の凄い男の人。
何となくそんな気がして、全身が震えた。これが鳥肌なのかと、今から楽しみに思うよう、意識を切り替えるアキラだった。
0
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!
しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。
βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。
そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。
そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する!
※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。
※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください!
※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)
神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる