196 / 570
◇196 湯の華の化け物
しおりを挟む
そうこうしていると、アキラたちは頂上に到達した。
活火山だけあって、頂上に到達すると大きなカルデラが構えていた。
「うわぁ、落ちたらアウトだね」
「当たり前だ。例えファイアドレイクのお前でも耐えられないぞ」
「うっ。それは怖いなー」
フェルノが冷や汗をかいて、カルデラを覗いていたのを止めた。
上半身を引き戻し、アキラの隣にやって来る。
「やっぱり暑いね。流石火山」
「活火山って日本にもたくさんあるんだよね」
「そうだな。日本は火山大国だから、それだけ温泉も多い」
確かに富士山とか桜島は有名な火山だ。
アキラは何となく嫌な予感がしていた。
すると雷斬が不穏なことを口にした。
「何だか嫌な空気ですね」
「嫌な空気って何よ? 硫黄のせいでしょ?」
「それは違います。硫黄のようなニオイで表せるようなものではなく、例えるならそうですね……酸味の効いたスパイスのような」
「香辛料のニオイがするの?」
「いえ、そうではありませんが……何でしょうか、このニオイは。嫌な予感がして仕方ありません」
雷斬が不穏なことを言い出すので、アキラは怖くなった。
もしかしたらまた強敵を相手にすることになるのかな。
気を引き締め直して、アキラはスキルを使う準備をする。
「おっ、アキラもやる気だね」
「毎回私たちって先手取れないもんね」
「お前たち。最初から戦うことを前提に考えるな。念頭に置くならいいが……」
Nightもいつでも戦える準備をしていた。
背中の十字架状の剣が物語っている。
「とにかくもうすぐ湯口だ。おそらく間欠泉はそこにある」
「そもそもどうしてこの町の温泉が間欠泉だってわかったの?」
「それは簡単だ。この町のパンフレットを見てみろ」
Nightはそう言うと、アキラたちはパンフレットを取り出す。
すると小さな文字で間欠泉のことが書かれている。
隅々まで読んでいなかったアキラたちが悪い。
「それじゃあ間欠泉が詰まっているから温泉が出なくなったわけですね」
「まあ間欠泉が塞がれば、他の所から出るのは必然だな」
「つまり最悪町中で温泉が出るってことだよね? それって危なくない」
「今回の大元はそこにある。とは言えソレを詰まらせているとすれば……」
すると何か白いものが見えて来た。
地面から明らかに生えていて、アキラたちは一瞬立ち止まった。
「な、何アレ!」
「どうやら原因のようだな。行ってみるぞ。慎重にな」
ようやく目指していた湯口に辿り着けたと思い安堵していると、アキラたちが見つけたのは強大な白いキノコみたいな柱だった。
「何このキノコ」
「エノキがどうして生えているのかな?」
確かに完全にエノキダケだった。
とは言え一本の太いキノコのようで、見ようによってはエリンギのようにも見える。
このキノコが間欠泉を塞いでいて、先の傘から湯気がもくもく出ていた。
「何だこのモンスター。私も知らないぞ」
Nightも初見のモンスターらしい。
ネットサーフィンで攻略情報を探っているNightが知らないとなると、無闇に近づいて良いのか迷ってしまう。
するとベルが弓の狙いを定めて射貫いてみようとしたが、Nightがそれを制した。
「待てベル。このタイプは攻撃をしなければ襲っては来ない」
「だけど倒さないとダメでしょ? このまま間欠泉を塞がれたままだと危険じゃないの?」
「それはわかっている。とは言え、何か策を労する必要があるかもな」
Nightは考えを巡らせると、何か思いついたのか、アキラたちを下がらせた。
それからいつもの【ライフ・オブ・メイク】でアイテムを作っていた。
これで打開できるアイテムが出てくればいいんだけど。アキラは楽しみだった。
「今日は何を作るの?」
「炎だ。とは言え現実にはないものだからな。よし、これでいいな」
Nightが作ったのは黒い鉄球のようなものだった。
とは言え中には液体が入っていて。丸い穴が空いている。
「フェルノ、火をくべろ」
「火をこの中に入れたらいいの? 上手く入るかな?」
とは言いつつもフェルノは器用だから黒い鉄球の中に火を上手に入れた。
って、火を入れるってなに! アキラは自分が思っていたことに1人でツッコミを入れた。
「Nightさん、それはなんですか?」
「また変なものなんでしょ? しかもこの形、手榴弾?」
「そんなわけがないだろ。これはな……投げればわかる」
Nightは説明するよりも見せた方が早いと悟り、早速キノコの根元に向かって投げつけた。
アキラたちはまた爆発すると思い、しゃがみ込んだ。
しかしいつもと違う。爆発音が聞こえない。
「あ、あれ?」
「爆発しないね。もしかして手榴弾じゃなかったの?」
「当たり前だ。そう説明しただろ」
いいやアキラたちは信用できなかった。
いつものNightの戦法を考えて今回も同じようなものかと思ったんだ。
しかし爆発はやはりしておらず、黒い鉄球の中から気体が噴き出た。色が付いていて、灰色がかっていたがNightはようやく説明してくれた。
「アレは加熱性の酸性の水だ。フェルノの火を使って発生させた。安心しろ人体に影響ない」
アキラたちは呆気に取られる。
普通に紛らわしいからやめて欲しいと思った。
活火山だけあって、頂上に到達すると大きなカルデラが構えていた。
「うわぁ、落ちたらアウトだね」
「当たり前だ。例えファイアドレイクのお前でも耐えられないぞ」
「うっ。それは怖いなー」
フェルノが冷や汗をかいて、カルデラを覗いていたのを止めた。
上半身を引き戻し、アキラの隣にやって来る。
「やっぱり暑いね。流石火山」
「活火山って日本にもたくさんあるんだよね」
「そうだな。日本は火山大国だから、それだけ温泉も多い」
確かに富士山とか桜島は有名な火山だ。
アキラは何となく嫌な予感がしていた。
すると雷斬が不穏なことを口にした。
「何だか嫌な空気ですね」
「嫌な空気って何よ? 硫黄のせいでしょ?」
「それは違います。硫黄のようなニオイで表せるようなものではなく、例えるならそうですね……酸味の効いたスパイスのような」
「香辛料のニオイがするの?」
「いえ、そうではありませんが……何でしょうか、このニオイは。嫌な予感がして仕方ありません」
雷斬が不穏なことを言い出すので、アキラは怖くなった。
もしかしたらまた強敵を相手にすることになるのかな。
気を引き締め直して、アキラはスキルを使う準備をする。
「おっ、アキラもやる気だね」
「毎回私たちって先手取れないもんね」
「お前たち。最初から戦うことを前提に考えるな。念頭に置くならいいが……」
Nightもいつでも戦える準備をしていた。
背中の十字架状の剣が物語っている。
「とにかくもうすぐ湯口だ。おそらく間欠泉はそこにある」
「そもそもどうしてこの町の温泉が間欠泉だってわかったの?」
「それは簡単だ。この町のパンフレットを見てみろ」
Nightはそう言うと、アキラたちはパンフレットを取り出す。
すると小さな文字で間欠泉のことが書かれている。
隅々まで読んでいなかったアキラたちが悪い。
「それじゃあ間欠泉が詰まっているから温泉が出なくなったわけですね」
「まあ間欠泉が塞がれば、他の所から出るのは必然だな」
「つまり最悪町中で温泉が出るってことだよね? それって危なくない」
「今回の大元はそこにある。とは言えソレを詰まらせているとすれば……」
すると何か白いものが見えて来た。
地面から明らかに生えていて、アキラたちは一瞬立ち止まった。
「な、何アレ!」
「どうやら原因のようだな。行ってみるぞ。慎重にな」
ようやく目指していた湯口に辿り着けたと思い安堵していると、アキラたちが見つけたのは強大な白いキノコみたいな柱だった。
「何このキノコ」
「エノキがどうして生えているのかな?」
確かに完全にエノキダケだった。
とは言え一本の太いキノコのようで、見ようによってはエリンギのようにも見える。
このキノコが間欠泉を塞いでいて、先の傘から湯気がもくもく出ていた。
「何だこのモンスター。私も知らないぞ」
Nightも初見のモンスターらしい。
ネットサーフィンで攻略情報を探っているNightが知らないとなると、無闇に近づいて良いのか迷ってしまう。
するとベルが弓の狙いを定めて射貫いてみようとしたが、Nightがそれを制した。
「待てベル。このタイプは攻撃をしなければ襲っては来ない」
「だけど倒さないとダメでしょ? このまま間欠泉を塞がれたままだと危険じゃないの?」
「それはわかっている。とは言え、何か策を労する必要があるかもな」
Nightは考えを巡らせると、何か思いついたのか、アキラたちを下がらせた。
それからいつもの【ライフ・オブ・メイク】でアイテムを作っていた。
これで打開できるアイテムが出てくればいいんだけど。アキラは楽しみだった。
「今日は何を作るの?」
「炎だ。とは言え現実にはないものだからな。よし、これでいいな」
Nightが作ったのは黒い鉄球のようなものだった。
とは言え中には液体が入っていて。丸い穴が空いている。
「フェルノ、火をくべろ」
「火をこの中に入れたらいいの? 上手く入るかな?」
とは言いつつもフェルノは器用だから黒い鉄球の中に火を上手に入れた。
って、火を入れるってなに! アキラは自分が思っていたことに1人でツッコミを入れた。
「Nightさん、それはなんですか?」
「また変なものなんでしょ? しかもこの形、手榴弾?」
「そんなわけがないだろ。これはな……投げればわかる」
Nightは説明するよりも見せた方が早いと悟り、早速キノコの根元に向かって投げつけた。
アキラたちはまた爆発すると思い、しゃがみ込んだ。
しかしいつもと違う。爆発音が聞こえない。
「あ、あれ?」
「爆発しないね。もしかして手榴弾じゃなかったの?」
「当たり前だ。そう説明しただろ」
いいやアキラたちは信用できなかった。
いつものNightの戦法を考えて今回も同じようなものかと思ったんだ。
しかし爆発はやはりしておらず、黒い鉄球の中から気体が噴き出た。色が付いていて、灰色がかっていたがNightはようやく説明してくれた。
「アレは加熱性の酸性の水だ。フェルノの火を使って発生させた。安心しろ人体に影響ない」
アキラたちは呆気に取られる。
普通に紛らわしいからやめて欲しいと思った。
1
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる