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◇195 温泉の調査に行ってみよう!
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アキラたちは山を登っていた。
なんだか少し煙たくて、辺り一面が白い靄が出ている。
「ねえNight。この靄って……」
「おそらく湯気だな。この先に間欠泉があるんだ。きっとそこから出ている」
「それじゃあこの変なニオイは何?」
「硫黄だ。温泉があるということは=火山活動が活発と言う事実に繋がる。それとも地下深くの熱源によって地下水が暖められている可能性もあるが、実際問題ここは活火山だ」
「ううっ、緊張するよー」
アキラは少し気圧されてしまっていた。
それはここが活火山で、今でも噴煙が上がったりマグマが垂れ流れる可能性がある危険な場所だからだ。
そんな場所にアキラたちは来てしまった。
原因は当然クロユリさんの話術に踊らされてしまったからだ。
「本当馬鹿だな、お前たちは」
「「「うっ!」」」
グサリとNightを除いた4人に言葉が突き刺さった。
全然痛くない友達同士のスキンシップ程度のパンチを食らったみたいにダメージを受ける。
「ううっ、ごめんね。まさかこんなことになるなんて」
「少し考えればわかるだろ。温泉が出ないということは、その噴出口に行くということ。つまり間欠泉があるということだ」
「間欠泉だけで温泉があるとは言えませんよ?」
「そうでなくても、硫黄の流出具合や火山地帯が存在していることぐらいは予想が付く。結局私たちがハズレを引いたんだ」
「「「うっ!」」」
もう一回ダメージを食らった。
Nightは後ろのアキラたちに目もくれず、淡々と急斜面を登っている。
「これって私たちが悪いのかなー?」
「そうだよ、きっと。だってNightがこんなに熱弁するんだよ?」
「それはいつものことでしょ?」
「そうだけど。あっ、ほら! Nightって、人に使われるの嫌なタイプでしょ?」
「あっ、それあるかもねー。Nightっぽい」
「そうだよね。Nightっぽいよね!」
あきらとフェルノは勝手に盛り上がっていた。
しかし当然のことだけど本人の耳には聞こえている。
ここで特に何も言わないのは言っても無駄だからで、Nightは言わせておけばいいと割り切っていた。完全に大人の対応で、雷斬とベルは逆に怖かった。
大体半分くらい登ってきた。
それでもNightはまともに話してくれない。私たちが考えもせずの勝手な行動をとったからギルドとして危険な矢面に立たされているとNightはとっくに気が付いていて、それで怒っているとアキラは自覚していた。
「ねえ、Night」
「なんだ」
「ごめんね。私たちが勝手なことして」
「それはもういい。それにお前が言い出したら聞かないタイプだってことも知っている」
「うっ、否定できない」
「それからフェルノもな」
「あはは。やっぱりバレてたんだぁー。まあ私の性格的に引き下がるなんて選択しないもんねー。えへへ」
フェルノは笑っていた。
Nightはツッコミを入れて、フェルノに否定するチャンスを与えた。
「そんなこと当然は把握済みだ」
「やっぱりー! 褒めて褒めて!」
「褒めるか馬鹿が」
「あっ! そういう学歴マウント良くないんだよー」
「フェルノ。今のは愛らしい馬鹿って意味だよ」
「じゃあ褒められているんだね! ありがとうNight」
「ウザい」
うん、これは慣れてないとウザいよね。アキラも同情した。
雷斬とベルは3人の和やかなノリツッコみに心が安堵して癒されていた。
「何だかいい感じの雰囲気ね」
「そうですね。やはりNightさんはお優しい方です」
「ちなみにどうしてベルも折れたんだ。今日の雷斬のテンションが異常に高いのはこの際置いておくとして、お前まで折れるとは思わなかったぞ」
確かに今日のベルのテンションはクロユリと会った時には大人びた冷静なモードに入っていた。しかしいざ蓋を開けてみると、ベルはごり押しされて折れてしまった。
私たちのギルドに入ってくれないか誘った時もなかなかオッケーしてくれなかったに変だなと思い、アキラは腕組をして考えていた。
「あのクロユリって人、多分だけど相当な手練れよ」
ベルの指先が震えていた。これは武者震いと言うやつで、ベルがこんな風に体に変化が起きるのは珍しい。
だけど雷斬も弁護するようで、ベルの言い分に付け加えた。
「確かに私もそのように感じました。単純な力比べでしたら私やベルの方は上でしょうが、話術や人を惹きつける振る舞いを加味すればまともに相手をして良いものではありません」
「確かにあのタイプは面倒だ。だがもう少し上手くコネクションを続けてもよかったと思うが……」
「あっ、それなら大丈夫だよ」
アキラは3人の会話に割り込んだ。
Nightの目がギョロっとアキラを睨んでいたが、まるで動じずにアキラは思ったことを素直に口にする。これはアキラの意識の変化が生み出した祖語のようなものだ。
「クロユリさんは私たちのこと期待じゃないみたいだよ」
「その根拠はどこにあるんだ?」
「そんなの無いよ。でも私は人を見る目はあるんだ」
アキラは笑みを浮かべて自慢した。
Nightたちは子供っぽい振る舞いのアキラのことを嫌悪するでも邪険に扱うでもなく、「そうだな」と合いの手を打っていた。これもアキラの人を引き付ける力だろう。
なんだか少し煙たくて、辺り一面が白い靄が出ている。
「ねえNight。この靄って……」
「おそらく湯気だな。この先に間欠泉があるんだ。きっとそこから出ている」
「それじゃあこの変なニオイは何?」
「硫黄だ。温泉があるということは=火山活動が活発と言う事実に繋がる。それとも地下深くの熱源によって地下水が暖められている可能性もあるが、実際問題ここは活火山だ」
「ううっ、緊張するよー」
アキラは少し気圧されてしまっていた。
それはここが活火山で、今でも噴煙が上がったりマグマが垂れ流れる可能性がある危険な場所だからだ。
そんな場所にアキラたちは来てしまった。
原因は当然クロユリさんの話術に踊らされてしまったからだ。
「本当馬鹿だな、お前たちは」
「「「うっ!」」」
グサリとNightを除いた4人に言葉が突き刺さった。
全然痛くない友達同士のスキンシップ程度のパンチを食らったみたいにダメージを受ける。
「ううっ、ごめんね。まさかこんなことになるなんて」
「少し考えればわかるだろ。温泉が出ないということは、その噴出口に行くということ。つまり間欠泉があるということだ」
「間欠泉だけで温泉があるとは言えませんよ?」
「そうでなくても、硫黄の流出具合や火山地帯が存在していることぐらいは予想が付く。結局私たちがハズレを引いたんだ」
「「「うっ!」」」
もう一回ダメージを食らった。
Nightは後ろのアキラたちに目もくれず、淡々と急斜面を登っている。
「これって私たちが悪いのかなー?」
「そうだよ、きっと。だってNightがこんなに熱弁するんだよ?」
「それはいつものことでしょ?」
「そうだけど。あっ、ほら! Nightって、人に使われるの嫌なタイプでしょ?」
「あっ、それあるかもねー。Nightっぽい」
「そうだよね。Nightっぽいよね!」
あきらとフェルノは勝手に盛り上がっていた。
しかし当然のことだけど本人の耳には聞こえている。
ここで特に何も言わないのは言っても無駄だからで、Nightは言わせておけばいいと割り切っていた。完全に大人の対応で、雷斬とベルは逆に怖かった。
大体半分くらい登ってきた。
それでもNightはまともに話してくれない。私たちが考えもせずの勝手な行動をとったからギルドとして危険な矢面に立たされているとNightはとっくに気が付いていて、それで怒っているとアキラは自覚していた。
「ねえ、Night」
「なんだ」
「ごめんね。私たちが勝手なことして」
「それはもういい。それにお前が言い出したら聞かないタイプだってことも知っている」
「うっ、否定できない」
「それからフェルノもな」
「あはは。やっぱりバレてたんだぁー。まあ私の性格的に引き下がるなんて選択しないもんねー。えへへ」
フェルノは笑っていた。
Nightはツッコミを入れて、フェルノに否定するチャンスを与えた。
「そんなこと当然は把握済みだ」
「やっぱりー! 褒めて褒めて!」
「褒めるか馬鹿が」
「あっ! そういう学歴マウント良くないんだよー」
「フェルノ。今のは愛らしい馬鹿って意味だよ」
「じゃあ褒められているんだね! ありがとうNight」
「ウザい」
うん、これは慣れてないとウザいよね。アキラも同情した。
雷斬とベルは3人の和やかなノリツッコみに心が安堵して癒されていた。
「何だかいい感じの雰囲気ね」
「そうですね。やはりNightさんはお優しい方です」
「ちなみにどうしてベルも折れたんだ。今日の雷斬のテンションが異常に高いのはこの際置いておくとして、お前まで折れるとは思わなかったぞ」
確かに今日のベルのテンションはクロユリと会った時には大人びた冷静なモードに入っていた。しかしいざ蓋を開けてみると、ベルはごり押しされて折れてしまった。
私たちのギルドに入ってくれないか誘った時もなかなかオッケーしてくれなかったに変だなと思い、アキラは腕組をして考えていた。
「あのクロユリって人、多分だけど相当な手練れよ」
ベルの指先が震えていた。これは武者震いと言うやつで、ベルがこんな風に体に変化が起きるのは珍しい。
だけど雷斬も弁護するようで、ベルの言い分に付け加えた。
「確かに私もそのように感じました。単純な力比べでしたら私やベルの方は上でしょうが、話術や人を惹きつける振る舞いを加味すればまともに相手をして良いものではありません」
「確かにあのタイプは面倒だ。だがもう少し上手くコネクションを続けてもよかったと思うが……」
「あっ、それなら大丈夫だよ」
アキラは3人の会話に割り込んだ。
Nightの目がギョロっとアキラを睨んでいたが、まるで動じずにアキラは思ったことを素直に口にする。これはアキラの意識の変化が生み出した祖語のようなものだ。
「クロユリさんは私たちのこと期待じゃないみたいだよ」
「その根拠はどこにあるんだ?」
「そんなの無いよ。でも私は人を見る目はあるんだ」
アキラは笑みを浮かべて自慢した。
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