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◇176 地下に落っこちました
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ポタポタ——
水滴が落ちる音が反響して聞こえた。
アキラたち3人はしばらくの間気を失っていた。
素敵が頬に当たったことで、アキラはいち早く目が覚めた。
「あれ? ここって……」
隣を見てみるとフェルノがうつ伏せで倒れていた。
竜の手が完全に解けているが、気を失っているだけのようだ。
それからNightの姿を探そうとしたが、足下で何かがグニョグニョと動いていた。
「……重い」
「あっ、ごめん。大丈夫、Night?」
「大丈夫なわけがないだろ。ああ、腰が痛い……」
どうやらNightの上にアキラが乗っかっていたらしい。
それにしてもどうして無事だったのか? あのネットが効いたのかな?
「でも無事でよかったよ」
「だから無事じゃないだろ。お前、2人分が1人の、こんな瘦せっぽちに落ちてきたらどうなるかわかるか!」
「い、痛いよね」
「当たり前だ。それにフェルノもさぼるな!」
「あれー、やっぱりバレてたー?」
「当たり前だ。お前は竜の爪で壁に食い込ませて減速していたからな。おかげでネットが間に合った。地味なクッションだがな」
確かに途中でスピードが落ちていた気がする。
どうにもフェルノとNightが頑張ってくれたらしい。
お互いに予想していなかったシナジーが働き、おかげで怪我をすることはなかった。
「全く。おかげでもってきたポーションをこんな早くに飲むことになった」
緑色御液体が入った瓶をインベントリから取り出す。
一気に飲み干すと渋い顔をしながら眉根を寄せるNightは口元からポーションを垂らしていた。
青臭さが残るニオイにツーンとし、アキラたちは少し離れる。今回のは強力なものだった。
「おい、なんで離れるんだ!」
「な、何となく?」
「何となくで離れるな」
「じゃあニオイがキツいから」
「仕方ないだろ。ハイ・ポーションなんだから」
「なんだから」の部分が可愛いなと思ったアキラは、Nightの話を半分近く聞いていなかった。
するとフェルノがキョロキョロし始めたので、何か気になるものでもあるのか、自分も周囲を確認しながら尋ねる。
「どうしたの、フェルノ? 何かあったの?」
「うーん。ここって地下だよね、遺跡の」
「まあそうだろうな。ここは古代遺跡の近く深くにある空洞と見て間違いない。強いていれば洞窟だろうか、水滴が落ちているのがその証拠だ」
フェルノは天井を指さして教えてくれた。
ポタポタとゆっくりと水滴が溜まって降って来ている。
どうやらここが地下であることは確実だ。
「あの穴から落ちてきたんだね。それにしても、まるでここに着くように設計されていたみたいだよ」
「そうだろうな。とは言え、本当に正解なのかはわからないぞ」
「どういうこと?」
アキラはNightの不穏な言葉に耳を傾けた。
Nightは続けた。この場所が侵入者を閉じ込めるための墓場ではないかと悟っていた。
「冷静に考えてみろ。この場所は謎を解かなければ来ることができない」
「それはそうだけど……」
「だからここのポジションは以下の2つしかない。1つは何かプレイヤーにとって利になるものがある。もしくはプレイヤーの取って利にならないものがある。このどちらかしかない」
「そんなー」
「じゃあ、ここに来た意味って?」
「それはこれから確かめる。とは言え、雷斬とベルは一体いつになったら来るんだ。ロープの長さも足りているんだ、アイツらならやって来られるだろ」
Nightは2人が遅いことを気がかりにしていた。
しかしフェルノは耳を澄ますまでもなく、何かがやって来る音を聞いていた。
アキラも一歩下がってからNightに教えてあげる。
「そこにいると危ないよ」
「はっ!?」
雷斬とベルが落ちてきた。いいや自分たちの意思で降って来た。
雷斬は【雷鳴】で青白い雷を纏い、ベルは【風読み】で風を味方にしていた。
そのため2人は変に減速などしなくても無事に着地し、Nightすら怪我させなかった。
「ふぅ。皆さん大丈夫ですか?」
「やっと来たね2人とも」
「すみません。一瞬迷ってしまいまして」
「そうよね。変にロープ掛かっているんだもの。もしも下にいたら危ないでしょ」
「Nightは下にいたけどね」
危うくNightがアキラたちよりも重たい2人に押し潰されるところだった。
もちろん武器が重たいという意味でだ。
「危うく死にかけた」
「それは失礼しました。謝罪します」
「そんなものはいい。そんなことより、どうしてアキラは私に教えなかった」
「教えたでしょ? 私ちゃんと教えたよ?」
「助けなかっただろ!」
「だって2人なら避けられるでしょ?」
「「はい」」
アキラの質問に雷斬とベルは普通に頷いた。
それを聞いたNightは眉根を寄せて質問する。
「お前たち、馬鹿にされているぞ」
「そうですか?」
「そんなことないわよ。本当のことだものね」
「そうですね、ベル」
どうやら2人はそれでいいらしい。
心配して損した気分になるがNightからしたら異常だった。
けれど無事に集合できたので、いよいよ調査が本格化される。ここから変える方法はわかっていないが、とりあえず奥を目指してみることにした。
水滴が落ちる音が反響して聞こえた。
アキラたち3人はしばらくの間気を失っていた。
素敵が頬に当たったことで、アキラはいち早く目が覚めた。
「あれ? ここって……」
隣を見てみるとフェルノがうつ伏せで倒れていた。
竜の手が完全に解けているが、気を失っているだけのようだ。
それからNightの姿を探そうとしたが、足下で何かがグニョグニョと動いていた。
「……重い」
「あっ、ごめん。大丈夫、Night?」
「大丈夫なわけがないだろ。ああ、腰が痛い……」
どうやらNightの上にアキラが乗っかっていたらしい。
それにしてもどうして無事だったのか? あのネットが効いたのかな?
「でも無事でよかったよ」
「だから無事じゃないだろ。お前、2人分が1人の、こんな瘦せっぽちに落ちてきたらどうなるかわかるか!」
「い、痛いよね」
「当たり前だ。それにフェルノもさぼるな!」
「あれー、やっぱりバレてたー?」
「当たり前だ。お前は竜の爪で壁に食い込ませて減速していたからな。おかげでネットが間に合った。地味なクッションだがな」
確かに途中でスピードが落ちていた気がする。
どうにもフェルノとNightが頑張ってくれたらしい。
お互いに予想していなかったシナジーが働き、おかげで怪我をすることはなかった。
「全く。おかげでもってきたポーションをこんな早くに飲むことになった」
緑色御液体が入った瓶をインベントリから取り出す。
一気に飲み干すと渋い顔をしながら眉根を寄せるNightは口元からポーションを垂らしていた。
青臭さが残るニオイにツーンとし、アキラたちは少し離れる。今回のは強力なものだった。
「おい、なんで離れるんだ!」
「な、何となく?」
「何となくで離れるな」
「じゃあニオイがキツいから」
「仕方ないだろ。ハイ・ポーションなんだから」
「なんだから」の部分が可愛いなと思ったアキラは、Nightの話を半分近く聞いていなかった。
するとフェルノがキョロキョロし始めたので、何か気になるものでもあるのか、自分も周囲を確認しながら尋ねる。
「どうしたの、フェルノ? 何かあったの?」
「うーん。ここって地下だよね、遺跡の」
「まあそうだろうな。ここは古代遺跡の近く深くにある空洞と見て間違いない。強いていれば洞窟だろうか、水滴が落ちているのがその証拠だ」
フェルノは天井を指さして教えてくれた。
ポタポタとゆっくりと水滴が溜まって降って来ている。
どうやらここが地下であることは確実だ。
「あの穴から落ちてきたんだね。それにしても、まるでここに着くように設計されていたみたいだよ」
「そうだろうな。とは言え、本当に正解なのかはわからないぞ」
「どういうこと?」
アキラはNightの不穏な言葉に耳を傾けた。
Nightは続けた。この場所が侵入者を閉じ込めるための墓場ではないかと悟っていた。
「冷静に考えてみろ。この場所は謎を解かなければ来ることができない」
「それはそうだけど……」
「だからここのポジションは以下の2つしかない。1つは何かプレイヤーにとって利になるものがある。もしくはプレイヤーの取って利にならないものがある。このどちらかしかない」
「そんなー」
「じゃあ、ここに来た意味って?」
「それはこれから確かめる。とは言え、雷斬とベルは一体いつになったら来るんだ。ロープの長さも足りているんだ、アイツらならやって来られるだろ」
Nightは2人が遅いことを気がかりにしていた。
しかしフェルノは耳を澄ますまでもなく、何かがやって来る音を聞いていた。
アキラも一歩下がってからNightに教えてあげる。
「そこにいると危ないよ」
「はっ!?」
雷斬とベルが落ちてきた。いいや自分たちの意思で降って来た。
雷斬は【雷鳴】で青白い雷を纏い、ベルは【風読み】で風を味方にしていた。
そのため2人は変に減速などしなくても無事に着地し、Nightすら怪我させなかった。
「ふぅ。皆さん大丈夫ですか?」
「やっと来たね2人とも」
「すみません。一瞬迷ってしまいまして」
「そうよね。変にロープ掛かっているんだもの。もしも下にいたら危ないでしょ」
「Nightは下にいたけどね」
危うくNightがアキラたちよりも重たい2人に押し潰されるところだった。
もちろん武器が重たいという意味でだ。
「危うく死にかけた」
「それは失礼しました。謝罪します」
「そんなものはいい。そんなことより、どうしてアキラは私に教えなかった」
「教えたでしょ? 私ちゃんと教えたよ?」
「助けなかっただろ!」
「だって2人なら避けられるでしょ?」
「「はい」」
アキラの質問に雷斬とベルは普通に頷いた。
それを聞いたNightは眉根を寄せて質問する。
「お前たち、馬鹿にされているぞ」
「そうですか?」
「そんなことないわよ。本当のことだものね」
「そうですね、ベル」
どうやら2人はそれでいいらしい。
心配して損した気分になるがNightからしたら異常だった。
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