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◇157 まさかまさかの展開……なのかな!?
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アキラたちは困惑していた。
片方の扉は開いていたのに、もう片方は一切開かない。
正直嘘だと思ったが、珍しくNightが一番愕然としていた。どうにもこうにも予想に反している。
「どうなっているんだ。時間的には丁度いいぞ」
「時間的って、根拠があったの?」
「もちろんだ。四角の方は合っていただろう」
「まあ、確かに四角は合ってたけど。三角は違うのかな?」
「くそっ……」
本気で悔しがっているNightを見て、アキラたち一同は絶句してしまった。
この時間に来たことでも夜更かしをして次の日を犠牲にしてことでもない。Nightがここまで打ちのめされていることの方に驚きを抱かざるを得ない。
「ねえ、どうして三角も開くと思ったのか聞いてもいい?」
「言ってなかったか?」
「うーん、理由がわからないから。ねっ」
アキラはフェルノに話を振った。
するとコクコクと頷いてくれるので、おそらく聞いていない。
Nightは自分の根拠が崩されたので、本当は言いたくなさそうだ。けれど仕方ないとばかりに間違っていたことを披露する。
「仕方ないな。四角はアキラに話したな」
「うん。ぺガスス座でしょ?」
「そうだ。この四角で秋に合う星座となると代表格はやはりぺガスス座だ」
星に強いメンバーではない。
軽く話しを聞く程度にして、続きを聞いてみる。
「わかっていないのなら次だ。私はぺガスス座がこの位置に出てくる時間を合わせた。最近の衛星は数年前よりもかなり進化している。ほぼ正確に時間がわかる」
「凄いね。最近の衛星って通信速度も速いんでしょ!」
「特にこのゲームを運営している会社はな。そのおかげでほぼ体感で体が動く」
「ラグがないということですね」
「そうだ。うちにある衛星と全くではないが非常に酷似しているものでもある」
「そうなの?」
「私も出資しているからな」
いやいやいやいや話の筋がよくわからない。
アキラは付いて行けなくなったので一旦保留にすると、今回の落ち度に付いて聞いてみる。
「それで、今回は何がダメだったの?」
「それを言われると腹が立つが……私はこの三角形を夏や冬に見られるものとは違って、幻想の中のこじつけ三角形だと推測していた」
「幻想の?」
「こじつけ三角形って何?」
アキラたちの脳内にははてなマークが浮かんだ。完全に理解が追い付けない。
とは言えNightだけは理解しているようなので、ここは単純に聞いてみることにした。
「こじつけ三角形って何?」
「あくまでこじつけだ。ただ形状が似ていただけではあるが、北極星とくじら座南のうお座の一部の星を繋げた形が三角形に似ていたからだな」
「えーっと、そっか」
「わかっていないな。これがそうだ」
Nightは星座早見表を取り出して、どれのことか教えてくれる。
とりあえず星の位置や言いたいことは何となくわかったが、ぺガスス座が真ん中に来ている時点で違う気がする。
「だからこじつけなんだ」
「それじゃ暗号でも何でもないよ!」
「だから困っているんだろう。ヒントがこれしかないんだ」
もしかしたらバグもしくはプログラムの仕様上のミスだと思いたかった。
けれど何も変化はなく、頭を悩ませるNight。
そこで雷斬が気が付いたのは、位置の違いだけではなかった。
「あの皆さん、この星座の向き実際のものと異なっていませんか?」
「どういうこと、雷斬」
ベルが雷斬に質問した。
するとたどたどしかったが、雷斬が疑問を投げかける。
「いえ、確かにぺガスス座とこのこじつけた三角形の位置は完全に違います。ですがそれだけではなく、向き関係も異なっていませんか?」
「本当だ。言われてみれば北極星が北極にないよ?」
「それは確かに不自然な所だ。北極星は地軸のズレ以外では今のところ位置は変わらない。ましてや向きが変化する何て……」
「そうだよね。確かにおかしいねー」
この辺でようやく気が付いた。普通にやってもこの暗号は解けやしない。
となると何かヒントみたいなものが残っている。
暗号だけではなくシミや扉を隅々までチェックしていると、アキラは開かない扉を持ち上げてみようとした。
「よいしょっと……あれ?」
「どうしたの、アキラ? もしかして扉開かないの?」
「う、うん。この間は開いたよね?」
「ちょっと貸して。せーのっ! あ、開かない」
「だよね。開かなくなっているよね」
フェルノに代わってもらったが、扉は重く閉ざされている。
どれだけ力を加えて持ち上げようとしても逆に下ろそうとしても、全く動かずびくともしない。
腕の力が無くなったフェルノは厳しい顔をしていたが、不意に押したり引いたりして見ることにした。
「せーのっ!」
「やっぱりダメ?」
「ダメダメ。全然びくともしないよ。流石にそんなに簡単じゃないのかな?」
「うーん、じゃあさ……」
フェルノのパワーでもお手上げ状態らしい。
そこでアキラは気になったことがあるのでもう一回変わってもらった。
壁に描かれたシミを睨みつけ、壁をスライドさせてみる。
「えーっと、北極星らしきシミがこっちだから。こっち側に……わぁ!」
「どうしたアキラ! ……はっ?」
「あ、開いちゃったねー」
まさか引き戸になっているなんて誰も思わなかった。
アキラの体はスライドさせた動きのせいで倒れてしまった。
片方の扉は開いていたのに、もう片方は一切開かない。
正直嘘だと思ったが、珍しくNightが一番愕然としていた。どうにもこうにも予想に反している。
「どうなっているんだ。時間的には丁度いいぞ」
「時間的って、根拠があったの?」
「もちろんだ。四角の方は合っていただろう」
「まあ、確かに四角は合ってたけど。三角は違うのかな?」
「くそっ……」
本気で悔しがっているNightを見て、アキラたち一同は絶句してしまった。
この時間に来たことでも夜更かしをして次の日を犠牲にしてことでもない。Nightがここまで打ちのめされていることの方に驚きを抱かざるを得ない。
「ねえ、どうして三角も開くと思ったのか聞いてもいい?」
「言ってなかったか?」
「うーん、理由がわからないから。ねっ」
アキラはフェルノに話を振った。
するとコクコクと頷いてくれるので、おそらく聞いていない。
Nightは自分の根拠が崩されたので、本当は言いたくなさそうだ。けれど仕方ないとばかりに間違っていたことを披露する。
「仕方ないな。四角はアキラに話したな」
「うん。ぺガスス座でしょ?」
「そうだ。この四角で秋に合う星座となると代表格はやはりぺガスス座だ」
星に強いメンバーではない。
軽く話しを聞く程度にして、続きを聞いてみる。
「わかっていないのなら次だ。私はぺガスス座がこの位置に出てくる時間を合わせた。最近の衛星は数年前よりもかなり進化している。ほぼ正確に時間がわかる」
「凄いね。最近の衛星って通信速度も速いんでしょ!」
「特にこのゲームを運営している会社はな。そのおかげでほぼ体感で体が動く」
「ラグがないということですね」
「そうだ。うちにある衛星と全くではないが非常に酷似しているものでもある」
「そうなの?」
「私も出資しているからな」
いやいやいやいや話の筋がよくわからない。
アキラは付いて行けなくなったので一旦保留にすると、今回の落ち度に付いて聞いてみる。
「それで、今回は何がダメだったの?」
「それを言われると腹が立つが……私はこの三角形を夏や冬に見られるものとは違って、幻想の中のこじつけ三角形だと推測していた」
「幻想の?」
「こじつけ三角形って何?」
アキラたちの脳内にははてなマークが浮かんだ。完全に理解が追い付けない。
とは言えNightだけは理解しているようなので、ここは単純に聞いてみることにした。
「こじつけ三角形って何?」
「あくまでこじつけだ。ただ形状が似ていただけではあるが、北極星とくじら座南のうお座の一部の星を繋げた形が三角形に似ていたからだな」
「えーっと、そっか」
「わかっていないな。これがそうだ」
Nightは星座早見表を取り出して、どれのことか教えてくれる。
とりあえず星の位置や言いたいことは何となくわかったが、ぺガスス座が真ん中に来ている時点で違う気がする。
「だからこじつけなんだ」
「それじゃ暗号でも何でもないよ!」
「だから困っているんだろう。ヒントがこれしかないんだ」
もしかしたらバグもしくはプログラムの仕様上のミスだと思いたかった。
けれど何も変化はなく、頭を悩ませるNight。
そこで雷斬が気が付いたのは、位置の違いだけではなかった。
「あの皆さん、この星座の向き実際のものと異なっていませんか?」
「どういうこと、雷斬」
ベルが雷斬に質問した。
するとたどたどしかったが、雷斬が疑問を投げかける。
「いえ、確かにぺガスス座とこのこじつけた三角形の位置は完全に違います。ですがそれだけではなく、向き関係も異なっていませんか?」
「本当だ。言われてみれば北極星が北極にないよ?」
「それは確かに不自然な所だ。北極星は地軸のズレ以外では今のところ位置は変わらない。ましてや向きが変化する何て……」
「そうだよね。確かにおかしいねー」
この辺でようやく気が付いた。普通にやってもこの暗号は解けやしない。
となると何かヒントみたいなものが残っている。
暗号だけではなくシミや扉を隅々までチェックしていると、アキラは開かない扉を持ち上げてみようとした。
「よいしょっと……あれ?」
「どうしたの、アキラ? もしかして扉開かないの?」
「う、うん。この間は開いたよね?」
「ちょっと貸して。せーのっ! あ、開かない」
「だよね。開かなくなっているよね」
フェルノに代わってもらったが、扉は重く閉ざされている。
どれだけ力を加えて持ち上げようとしても逆に下ろそうとしても、全く動かずびくともしない。
腕の力が無くなったフェルノは厳しい顔をしていたが、不意に押したり引いたりして見ることにした。
「せーのっ!」
「やっぱりダメ?」
「ダメダメ。全然びくともしないよ。流石にそんなに簡単じゃないのかな?」
「うーん、じゃあさ……」
フェルノのパワーでもお手上げ状態らしい。
そこでアキラは気になったことがあるのでもう一回変わってもらった。
壁に描かれたシミを睨みつけ、壁をスライドさせてみる。
「えーっと、北極星らしきシミがこっちだから。こっち側に……わぁ!」
「どうしたアキラ! ……はっ?」
「あ、開いちゃったねー」
まさか引き戸になっているなんて誰も思わなかった。
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