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◇132 満月メダル
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気が付けば朝になっていた。
満月が朝日に変わり、アキラ達は満月山を下山することにした。
終わってみれば意外に呆気なく、心の中が空虚になる瞬間に苛まれていた。
「でも変な感じだったね」
「そうだねー。スッとしたと思えば急にフゥーと抜けたよね」
「達成感だな。このゲームはある実験のために売り出されたものという噂があるらしいが、その影響かもしれないな」
「体に悪影響があるのでしょうか?」
「それはないはずだ。多分な……」
Nightの言うことを誰も真に受けていなかった。
すぐに忘れてしまうのも時間の問題で、満月山にはどんよりとした空気はもう漂ってはいない。
「それで村に戻るんだよね」
「そうだな。このまま変化があるかどうか調べてみるか」
あの白ウサギを倒したことでどう変わったのかわからない。
実際に見てみない限り、確証が取れない仕様だ。
ポップアップしてくれれば一発だろうが、そんな手間も楽しかった。
村に戻ってくると朝日が昇っていた。
月の光は既になく陽光が満ちている。
アキラ達は篝火が灯っていない村の門をくぐると、やはり村の人達がいないので愕然と肩を落とした。
「やっぱりダメだったのかな?」
「そんなことはないだろう。とりあえず村長の家に行ってみるぞ」
「そうですね。皆さん村長さんの屋敷に居られるはずです」
村の畑にも家々にも人の気配はない。
そこで急遽村長の屋敷に足を運ぶことになった。
もしもこれでもダメならお手上げだ。ドキドキ胸が苦しくなる中、村長の家の前にいたのは小雪だった。
「小雪さん!」
小雪は竹箒を使い枯葉が溜まった軒先を掃除していた。
頭の上にウサギの耳がない。どうやらウサギ病は完治したらしい。
ホッとしたアキラは胸を撫で下ろし、小雪は掃除を止めて話しかけてくれた。
「皆さん!」
「小雪さん、耳はもう生えていないんですね」
「おかげ様です。皆さんが頑張ってくださったんですね。村の人達も皆ウサギ病から解放されました」
村長の家の中からたくさんの人が出てきた。
本当に村人が全員いたことに驚いたが、村長の頭にもウサギの耳が生えていないのでアキラ達はホッとした。
「おや、貴女方は」
「村長、満月ウサギを倒してくださった方々です」
「そうですかそうですか。ご苦労様でした」
何だかあっさりとしている。
しかし喜んでもらいたいからやったわけじゃない。村の人達が皆無事でよかったので満足だ。
「そうだ皆さん、これをいただいてはくれませんか?」
村長は服の内側から箱を取り出した。
漆塗りの光沢のある黒い箱だ。手渡された雷斬は低調に受け取ると中身を確認するよう促される。
箱の上蓋を固定する赤い紐を解き中身を確認すると、赤いクッション素材に包まれた金色のメダルが1枚入っている。
箱にも負けない光沢とウサギと雲の装飾が彫られている。見れば見るほど美しい。
「あの、こんな素晴らしい代物を受け取っても構わないのでしょうか?」
「ええ是非受け取ってください。そのメダルは我が村の宝。満月山から掘り出された金を使い当時芸の細かい男が作ったものです」
「村の宝! そのようなもの尚更受け取れません」
雷斬は箱に戻すと、村長に返そうとした。
しかし返却を断られてしまい、困惑している。
それだけのことをしたのだろう。因縁のある満月山にすくうモンスターを討伐したからこそ受け取って欲しいのだ。
そのことを真意に受けた雷斬は村長に頭を下げる。
「ありがとうございます。大事にさせていただきます」
「はい、それは一番いいことです」
「また村に立ち寄ることがございましたら、その時は村の名産のお餅をごちそういたします」
「お月見団子ですか!」
「はい、お月見の時期ではありませんが」
村の人達皆からも感謝されたアキラ達は、陽が完全に昇りきる前に村を出ることにした。
金色のメダルは雷斬が持つことになり、アキラ達はそれぞれがログアウトする。
もう眠気で限界だった。
満月が朝日に変わり、アキラ達は満月山を下山することにした。
終わってみれば意外に呆気なく、心の中が空虚になる瞬間に苛まれていた。
「でも変な感じだったね」
「そうだねー。スッとしたと思えば急にフゥーと抜けたよね」
「達成感だな。このゲームはある実験のために売り出されたものという噂があるらしいが、その影響かもしれないな」
「体に悪影響があるのでしょうか?」
「それはないはずだ。多分な……」
Nightの言うことを誰も真に受けていなかった。
すぐに忘れてしまうのも時間の問題で、満月山にはどんよりとした空気はもう漂ってはいない。
「それで村に戻るんだよね」
「そうだな。このまま変化があるかどうか調べてみるか」
あの白ウサギを倒したことでどう変わったのかわからない。
実際に見てみない限り、確証が取れない仕様だ。
ポップアップしてくれれば一発だろうが、そんな手間も楽しかった。
村に戻ってくると朝日が昇っていた。
月の光は既になく陽光が満ちている。
アキラ達は篝火が灯っていない村の門をくぐると、やはり村の人達がいないので愕然と肩を落とした。
「やっぱりダメだったのかな?」
「そんなことはないだろう。とりあえず村長の家に行ってみるぞ」
「そうですね。皆さん村長さんの屋敷に居られるはずです」
村の畑にも家々にも人の気配はない。
そこで急遽村長の屋敷に足を運ぶことになった。
もしもこれでもダメならお手上げだ。ドキドキ胸が苦しくなる中、村長の家の前にいたのは小雪だった。
「小雪さん!」
小雪は竹箒を使い枯葉が溜まった軒先を掃除していた。
頭の上にウサギの耳がない。どうやらウサギ病は完治したらしい。
ホッとしたアキラは胸を撫で下ろし、小雪は掃除を止めて話しかけてくれた。
「皆さん!」
「小雪さん、耳はもう生えていないんですね」
「おかげ様です。皆さんが頑張ってくださったんですね。村の人達も皆ウサギ病から解放されました」
村長の家の中からたくさんの人が出てきた。
本当に村人が全員いたことに驚いたが、村長の頭にもウサギの耳が生えていないのでアキラ達はホッとした。
「おや、貴女方は」
「村長、満月ウサギを倒してくださった方々です」
「そうですかそうですか。ご苦労様でした」
何だかあっさりとしている。
しかし喜んでもらいたいからやったわけじゃない。村の人達が皆無事でよかったので満足だ。
「そうだ皆さん、これをいただいてはくれませんか?」
村長は服の内側から箱を取り出した。
漆塗りの光沢のある黒い箱だ。手渡された雷斬は低調に受け取ると中身を確認するよう促される。
箱の上蓋を固定する赤い紐を解き中身を確認すると、赤いクッション素材に包まれた金色のメダルが1枚入っている。
箱にも負けない光沢とウサギと雲の装飾が彫られている。見れば見るほど美しい。
「あの、こんな素晴らしい代物を受け取っても構わないのでしょうか?」
「ええ是非受け取ってください。そのメダルは我が村の宝。満月山から掘り出された金を使い当時芸の細かい男が作ったものです」
「村の宝! そのようなもの尚更受け取れません」
雷斬は箱に戻すと、村長に返そうとした。
しかし返却を断られてしまい、困惑している。
それだけのことをしたのだろう。因縁のある満月山にすくうモンスターを討伐したからこそ受け取って欲しいのだ。
そのことを真意に受けた雷斬は村長に頭を下げる。
「ありがとうございます。大事にさせていただきます」
「はい、それは一番いいことです」
「また村に立ち寄ることがございましたら、その時は村の名産のお餅をごちそういたします」
「お月見団子ですか!」
「はい、お月見の時期ではありませんが」
村の人達皆からも感謝されたアキラ達は、陽が完全に昇りきる前に村を出ることにした。
金色のメダルは雷斬が持つことになり、アキラ達はそれぞれがログアウトする。
もう眠気で限界だった。
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