129 / 555
◇128 お月見バースト
しおりを挟む
「はぁはぁ……嘘でしょ。こんなに長かったんだ」
アキラは息も絶え絶えだった。
普段から運動しているはずのフェルノ達ですら、何故か疲れている。
Night何て半分を超えたぐらいからばたりと倒れ、雷斬背負われていた。
「急に疲労感が溜まったんだけどー」
「空気が重たくなりましたね。これが高山病でしょうか?」
「そんな……わけが、あるか……これは、山の拒みだ」
「拒みって、そんなゲームみたいな。ってここはゲームだったわね」
アキラ達の疲労感は何処から来たのかわかっていない。
ただ酸素が薄くなったわけではなく、体が急に石のように重たくなった。
半分を超えた辺りで全身を駆け巡る酸素が滞ってしまい、歩くことがしんどくなっていたんだ。その原因はこの山の持つ呪いじみた重たい空気が原因だった。
「本当にこの山は終わっているな。はぁはぁ……見たところ綺麗そうだが」
「寂しいですね。空気が重たくて冷たいです」
山の頂上から見る月は綺麗だった。
しかしどこか寂しい雰囲気が滲み出ている。ここにいるだけで時が止まったような虚無感に苛まれる。
「みんな元気出してよ。もうすぐ3時だよ」
「そうだな。はぁはぁ……最近は疲労が溜まる高難易度依頼ばかりだな」
「でも楽しいよー」
「それだけ基礎スペックが高いパーティーの集まりだからだ。とは言え今回は疲労が……うっ」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】を使う余力は残っていなかった。
このスキルはHPの消費が激しい。
そのため今のNightには脳を働かせるエネルギーも残されていない。
「まさか現実以外での食事がここまで重要になるなんてな」
パキッ!
Nightはチョコレートをかじる。糖分を補給するためだ。
ゲーム内での情報処理は現実とほぼ同じだ。
こっちでの影響も向こうでの影響も、どちらにも影響を及ぼす。
「はぁ……1回ぐらいはできるな」
「それじゃあ小雪さんから貰った団子を使ってみるよ」
「でもどうやって使うのさー?」
「うーん、わかんないけど。例えば、月に掲げてみるとか?」
アキラはインベントリから取り出した笹の葉を取り出す。中には白い団子が入っていた。
笹の葉の縛りを解くと、白い団子がお目見えする。
とりあえず月の光を浴びせてみよう。
お供えができないのなら、掲げてみるしかないと思ったからだ。
「胆略的だな」
「しかないよ。これくらいしか……あれ?」
白い団子が光り始めた。アキラは急なことで驚き、笹の葉を手から離す。
すると白い団子が落ちてしまい、コロコロと転がってしまった。
けれど光が途切れることはない。絶対におかしいと逃げる前に、変化が起きてしまった。
「ちょっとヤバいよ、アキラ!」
「そんなこと言われても……待って。これってまさか!」
「おそらくそうでしょうね。一旦隠れましょう」
「痛い痛い! 引っ張るな、雷斬」
アキラ達は揃って草むらの中に隠れた。
白い団子が眩い輝きを放つと、月の光を受けて柱のようなものがそびえる。
一体何が起きたのか。理解する前に、白い団子の周りに何かが生まれる。
カッカッカッカッカッ!
「何あれ? ウサギかな」
「白いウサギだけど、何だか大きくない?」
アキラとフェルノは草むらの陰から顔を覗かせ、白いウサギを見つけた。
しかしただのウサギではなく、奇妙な鳴き方や全身が3メートル以上は余裕である。
それに前脚も後脚も発達しており、奇妙としか言いようがないフォルムをしていた。
「何でしょうかあれは?」
「ウサギなのは間違いない。間違いないんだが……」
バキッ!
ウサギは大木をへし折った。
拳一発で簡単に木の幹に穴を空けられるウサギはもはやウサギではないと、冷汗をかくのだが、耳がいいのでアキラ達に気が付き視線を向けていた。
アキラは息も絶え絶えだった。
普段から運動しているはずのフェルノ達ですら、何故か疲れている。
Night何て半分を超えたぐらいからばたりと倒れ、雷斬背負われていた。
「急に疲労感が溜まったんだけどー」
「空気が重たくなりましたね。これが高山病でしょうか?」
「そんな……わけが、あるか……これは、山の拒みだ」
「拒みって、そんなゲームみたいな。ってここはゲームだったわね」
アキラ達の疲労感は何処から来たのかわかっていない。
ただ酸素が薄くなったわけではなく、体が急に石のように重たくなった。
半分を超えた辺りで全身を駆け巡る酸素が滞ってしまい、歩くことがしんどくなっていたんだ。その原因はこの山の持つ呪いじみた重たい空気が原因だった。
「本当にこの山は終わっているな。はぁはぁ……見たところ綺麗そうだが」
「寂しいですね。空気が重たくて冷たいです」
山の頂上から見る月は綺麗だった。
しかしどこか寂しい雰囲気が滲み出ている。ここにいるだけで時が止まったような虚無感に苛まれる。
「みんな元気出してよ。もうすぐ3時だよ」
「そうだな。はぁはぁ……最近は疲労が溜まる高難易度依頼ばかりだな」
「でも楽しいよー」
「それだけ基礎スペックが高いパーティーの集まりだからだ。とは言え今回は疲労が……うっ」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】を使う余力は残っていなかった。
このスキルはHPの消費が激しい。
そのため今のNightには脳を働かせるエネルギーも残されていない。
「まさか現実以外での食事がここまで重要になるなんてな」
パキッ!
Nightはチョコレートをかじる。糖分を補給するためだ。
ゲーム内での情報処理は現実とほぼ同じだ。
こっちでの影響も向こうでの影響も、どちらにも影響を及ぼす。
「はぁ……1回ぐらいはできるな」
「それじゃあ小雪さんから貰った団子を使ってみるよ」
「でもどうやって使うのさー?」
「うーん、わかんないけど。例えば、月に掲げてみるとか?」
アキラはインベントリから取り出した笹の葉を取り出す。中には白い団子が入っていた。
笹の葉の縛りを解くと、白い団子がお目見えする。
とりあえず月の光を浴びせてみよう。
お供えができないのなら、掲げてみるしかないと思ったからだ。
「胆略的だな」
「しかないよ。これくらいしか……あれ?」
白い団子が光り始めた。アキラは急なことで驚き、笹の葉を手から離す。
すると白い団子が落ちてしまい、コロコロと転がってしまった。
けれど光が途切れることはない。絶対におかしいと逃げる前に、変化が起きてしまった。
「ちょっとヤバいよ、アキラ!」
「そんなこと言われても……待って。これってまさか!」
「おそらくそうでしょうね。一旦隠れましょう」
「痛い痛い! 引っ張るな、雷斬」
アキラ達は揃って草むらの中に隠れた。
白い団子が眩い輝きを放つと、月の光を受けて柱のようなものがそびえる。
一体何が起きたのか。理解する前に、白い団子の周りに何かが生まれる。
カッカッカッカッカッ!
「何あれ? ウサギかな」
「白いウサギだけど、何だか大きくない?」
アキラとフェルノは草むらの陰から顔を覗かせ、白いウサギを見つけた。
しかしただのウサギではなく、奇妙な鳴き方や全身が3メートル以上は余裕である。
それに前脚も後脚も発達しており、奇妙としか言いようがないフォルムをしていた。
「何でしょうかあれは?」
「ウサギなのは間違いない。間違いないんだが……」
バキッ!
ウサギは大木をへし折った。
拳一発で簡単に木の幹に穴を空けられるウサギはもはやウサギではないと、冷汗をかくのだが、耳がいいのでアキラ達に気が付き視線を向けていた。
10
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
三男のVRMMO記
七草
ファンタジー
自由な世界が謳い文句のVRMMOがあった。
その名も、【Seek Freedom Online】
これは、武道家の三男でありながら武道および戦闘のセンスが欠けらも無い主人公が、テイムモンスターやプレイヤー、果てにはNPCにまで守られながら、なんとなく自由にゲームを楽しむ物語である。
※主人公は俺TUEEEEではありませんが、生産面で見ると比較的チートです。
※腐向けにはしませんが、主人公は基本愛されです。なお、作者がなんでもいける人間なので、それっぽい表現は混ざるかもしれません。
※基本はほのぼの系でのんびり系ですが、時々シリアス混じります。
※VRMMOの知識はほかの作品様やネットよりの物です。いつかやってみたい。
※お察しの通りご都合主義で進みます。
※世界チャット→SFO掲示板に名前を変えました。
この前コメントを下された方、返信内容と違うことしてすみません<(_ _)>
変えた理由は「スレ」のほかの言い方が見つからなかったからです。
内容に変更はないので、そのまま読んで頂いて大丈夫です。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
生産職から始まる初めてのVRMMO
結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。
そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。
そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。
そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。
最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。
最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。
そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。
戦闘職をしたくてVRMMOを始めましたが、意図せずユニークテイマーという職業になったので全力でスローライフを目指します
地球
ファンタジー
「え?何この職業?」
初めてVRMMOを始めようとしていた主人公滝沢賢治。
やろうと決めた瞬間、戦闘職を選んでいた矢先に突然出てきた職業は【ユニークテイマー】だった。
そのゲームの名はFree Infinity Online
世界初であるフルダイブ型のVRゲームであり、AIがプレイヤーの様子や行動を把握しイベントなどを考えられるゲームであった。
そこで出会った職業【ユニークテイマー】
この職業で、戦闘ではなくてスローライフを!!
しかし、スローライフをすぐにはできるわけもなく…?
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!
しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。
βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。
そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。
そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する!
※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。
※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください!
※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)
採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~
一色 遥
SF
スキル制VRMMORPG<Life Game>
それは自らの行動が、スキルとして反映されるゲーム。
そこに初めてログインした少年アキは……、少女になっていた!?
路地裏で精霊シルフと出会い、とある事から生産職への道を歩き始める。
ゲームで出会った仲間たちと冒険に出たり、お家でアイテムをグツグツ煮込んだり。
そんなアキのプレイは、ちょっと人と違うみたいで……?
-------------------------------------
※当作品は小説家になろう・カクヨムで先行掲載しております。
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる