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◇124 満月山の道中
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次の日。継ぎ接ぎの絆の面々は『スタット』の町を飛び出していた。
正直ここまで来たらモミジヤに行った方が近い気がするが、今回は我慢する。
アキラたちが向かっているのはとある山だ。
名前は満月山。満月と書いて『みつき』と読む。
「満月山って、月が綺麗なのかな?」
「どうだろうな。流石にそこまでは調べていない」
「そっか。Nightらしくないね」
「関係がないことだからな。それに何も調べていない訳じゃない。聞きたいか?」
Nightの好戦的な目が気になった。
知識勝負に持ち込まれたら論破される。ここはスルーパスだ。
「いいよ。それにNightが頼りになるのは知っているから」
「頼られ過ぎても困るがな。それで、この季節イベントはなんだ」
Nightは絶句した。
手に持った紙に視線を落とすと、そこには月のイラストに『お月見』と書かれていた。
まさか季節行事を持ってくるとは思わなかったが、それはそれで意外だ。
「まさかお月見なんてね。団子が食べられるのかなー?」
「花より団子じゃないんだ。お月見の体を守る意味でも、団子は出ないだろ」
「そんなー」
「ちょっと残念よね」
フェルノとベルは落ち込んだ。
肩を落とす2人に手を差し伸べる私は不意に気になることがあった。
今は何処に向かっているのか。
「そう言えば今って山に向かっているんだよねー?」
「いいえ違いますよ。このイベントのためにはとあるアイテムが必要ですから、そのアイテムの調達に向かっているんです」
「アイテムの調達?」
確かにこの季節限定イベントには特殊なアイテムが要ると書いてある。
けれどそのアイテムは何なのかは現地で調べる必要があり、誰も参加したがらない訳に納得がいく。
報酬が特に設定されているでもないので、時間の無駄を過ごす羽目になる。
しかも……
「推奨レベル35以上って書いてあるけど、2人は大丈夫なの?」
「オッケーだよ」
「問題ないわ。そのために必死でレベル上げしたんだからね」
フェルノは親指を立てた。
ベルはピースサインを作るとどちらも同じレベルまで上げて来たらしい。
お互い部活で忙しいので、まともにログインできなかったがレベル上げは効率的ではないにしろ、頑張っていたみたいだ。
その調子で今度の秋季大会も頑張って欲しい。
「しかもベルは弓を新調しましたよね」
「そうよ。だから使った分は稼がないと!」
ベルは雰囲気的に好調だった。
この間まで使っていた弓もシンプルで素敵だったが、今度のはどんな形だろう。
自分が使うではないが、楽しみなアキラはNightに言われて目が覚める。
「アキラも初期装備のショートソードからいい加減変えろ」
「でもまだ使えるよ?」
「そうとは言っても、【キメラハント】も上半身ばかりに集中しているだろ」
「確かに……」
正直自分でも納得した。
痛いところを突かれたというか、何故か上半身の特徴が多いモンスターとよく戦う。
今度は足元も強化したいと素直に願ったところ、雷斬がぽつりと唱えた。
「お月見と言えばウサギですよね」
「そのイメージは日本だけだ」
Nightはすぐさま論破する。別に雷斬も意図していったわけではないので、まるで傷つかない。アキラは補助的に回ろうとしたが、雷斬は「お気になさらないでください」と答えた。
それから視線を戻すと、目の前に小さな塊が見えてくる。
雷斬はまた首を後ろに回した。
「皆さん見えてきましたよ。あれが村です」
雷斬は指差した。
目の前には、丸太でできた手作りの門と柵がある。
しかし立派な造りで、アキラたちは少しだけ足早になった。けれどおかしなことに気が付く。
「何だか閑散としていませんか?」
「そうだな。不気味だ」
雷斬とNightは表情を曇らせる。
村に到着したものの、何故かはわからないが活気がなかった。
NPC達の声も聞こえないので、不審に思う。
もしかしてゴーストタウンかとゾクッとした。
正直ここまで来たらモミジヤに行った方が近い気がするが、今回は我慢する。
アキラたちが向かっているのはとある山だ。
名前は満月山。満月と書いて『みつき』と読む。
「満月山って、月が綺麗なのかな?」
「どうだろうな。流石にそこまでは調べていない」
「そっか。Nightらしくないね」
「関係がないことだからな。それに何も調べていない訳じゃない。聞きたいか?」
Nightの好戦的な目が気になった。
知識勝負に持ち込まれたら論破される。ここはスルーパスだ。
「いいよ。それにNightが頼りになるのは知っているから」
「頼られ過ぎても困るがな。それで、この季節イベントはなんだ」
Nightは絶句した。
手に持った紙に視線を落とすと、そこには月のイラストに『お月見』と書かれていた。
まさか季節行事を持ってくるとは思わなかったが、それはそれで意外だ。
「まさかお月見なんてね。団子が食べられるのかなー?」
「花より団子じゃないんだ。お月見の体を守る意味でも、団子は出ないだろ」
「そんなー」
「ちょっと残念よね」
フェルノとベルは落ち込んだ。
肩を落とす2人に手を差し伸べる私は不意に気になることがあった。
今は何処に向かっているのか。
「そう言えば今って山に向かっているんだよねー?」
「いいえ違いますよ。このイベントのためにはとあるアイテムが必要ですから、そのアイテムの調達に向かっているんです」
「アイテムの調達?」
確かにこの季節限定イベントには特殊なアイテムが要ると書いてある。
けれどそのアイテムは何なのかは現地で調べる必要があり、誰も参加したがらない訳に納得がいく。
報酬が特に設定されているでもないので、時間の無駄を過ごす羽目になる。
しかも……
「推奨レベル35以上って書いてあるけど、2人は大丈夫なの?」
「オッケーだよ」
「問題ないわ。そのために必死でレベル上げしたんだからね」
フェルノは親指を立てた。
ベルはピースサインを作るとどちらも同じレベルまで上げて来たらしい。
お互い部活で忙しいので、まともにログインできなかったがレベル上げは効率的ではないにしろ、頑張っていたみたいだ。
その調子で今度の秋季大会も頑張って欲しい。
「しかもベルは弓を新調しましたよね」
「そうよ。だから使った分は稼がないと!」
ベルは雰囲気的に好調だった。
この間まで使っていた弓もシンプルで素敵だったが、今度のはどんな形だろう。
自分が使うではないが、楽しみなアキラはNightに言われて目が覚める。
「アキラも初期装備のショートソードからいい加減変えろ」
「でもまだ使えるよ?」
「そうとは言っても、【キメラハント】も上半身ばかりに集中しているだろ」
「確かに……」
正直自分でも納得した。
痛いところを突かれたというか、何故か上半身の特徴が多いモンスターとよく戦う。
今度は足元も強化したいと素直に願ったところ、雷斬がぽつりと唱えた。
「お月見と言えばウサギですよね」
「そのイメージは日本だけだ」
Nightはすぐさま論破する。別に雷斬も意図していったわけではないので、まるで傷つかない。アキラは補助的に回ろうとしたが、雷斬は「お気になさらないでください」と答えた。
それから視線を戻すと、目の前に小さな塊が見えてくる。
雷斬はまた首を後ろに回した。
「皆さん見えてきましたよ。あれが村です」
雷斬は指差した。
目の前には、丸太でできた手作りの門と柵がある。
しかし立派な造りで、アキラたちは少しだけ足早になった。けれどおかしなことに気が付く。
「何だか閑散としていませんか?」
「そうだな。不気味だ」
雷斬とNightは表情を曇らせる。
村に到着したものの、何故かはわからないが活気がなかった。
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